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【今から遊ぶ不朽のRPG】第11回『クーロンズゲート』(1997)

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大作の陰にひっそりと埋もれた秀作や、人々の記憶から消えつつある古き良き名作RPGを紹介する「今から遊ぶ不朽のRPG」。今回は一部ファンの間では超カルト的な人気を誇るアドベンチャーRPG『クーロンズゲート:九龍風水傳』をご紹介します。

◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆

『クーロンズゲート』はもともとはプレイステーションのローンチ時期にリリースされる予定だったものの、発売延期を繰り返し、最終的に超大作RPG『ファイナルファンタジーVII』の僅か一ヶ月後にリリースされるなど、タイミングがかみ合わず、開発期間に比べるとセールス的には大成功には及ばない作品でした。

一方で、本作が放つ独特な世界観に魅了されるゲーマーは多く、特に2005年以降、YouTubeやニコニコ動画といった動画サイトの普及と共にじわじわと知名度が上がっていき、今ではプレイステーションを代表するカルトゲームとして必ず名前が挙げられるタイトルの一つとしても知られています。

ちなみに本作の公式ジャンルは「アドベンチャー」となっていますが、3Dダンジョンやターン制のバトルなど「RPG」要素がかなり強い作品です。

今から遊ぶなら…


ゲームショップでも資料集の冊子が付属した初回限定版が数百円とかなり安価な値段で売られていることが多いですが、PSNのゲームアーカイブスでもきっちりと収録されているので、今からプレイするならばゲームアーカイブス版 が無難な選択肢でしょう。


ゲームアーカイブス版は一度配信中止となっていたものの、今年9月にファンからの要望に答える形で復刻配信が決定した異例の作品でもあります。

詳細は後述しますが、古いタイトルともありセーブ周りにイマイチ融通が効かないので、お持ちの方はスリープ機能も使えるPSPでプレイするのが個人的にはオススメです。本作はロールプレイングゲームとしてのシステムを楽しむよりも作り込まれた世界観とCGIムービーを楽しむ作品なので、PSPの美麗な液晶ともマッチします。

ゲームショップでも資料集の冊子が付属した初回限定版が数百円とかなり安価な値段で売られていることが多いですが、PSNのゲームアーカイブスでも配信されているので、今からプレイするならばこちらがオススメ。

この世と対を為す「陰界」を彷徨う

アジア独特の毒気のある混沌とした世界観が異彩を放つ。

物語の舞台となるのは1997年の香港。「陽界」に属する現世に「陰界」の九龍城が突如現れ、プレイヤーの超風水師は、世界の4つの原子である白虎、朱雀、玄武、青龍の四神獣の規律を見立て、陰と陽を元に戻す為、九龍城を探索する事に。

ゲームタイトルやストーリーからも汲み取れるように、本作は1995年の取り壊しまで香港に実在していた「九龍城砦」をモチーフとした作品で、電線とジャンク、そして瓦礫の山が積み重なったほぼ廃墟に近いスラム街が舞台。

本作における「九龍城」は、露天屋台や細道に所狭しと並んだド派手な蛍光灯など、本家「九龍城砦」をベースに、街に見合わないハイテクなコンピュータなどサイバーパンクの世界観を大きく踏襲。ロケーションとしては映画「ブレードランナー」や「シャドウラン」の世界に大きく通ずるものがあり、サイバーパンクファンは絶対に楽しめる内容です。

物語序盤でアクセス可能となる、会員専用ネットワークサービス「クーロネット」。
メールやチャット、各種データベースの観覧の他、怪しい広告も再生可能。


妄想に取り憑かれた妄人と住人たち

本作一番の魅力は、独特のロケーションに相応しい陽界の退廃的な住民たち。陽界では人間が「妄想」をする事により、徐々にその対象に近づいていき、最終的に「物」そのものになってしまいます。

彼らは「妄人(ワンニン)」と呼ばれ、モーターの回転に魅了されるがあまり、自信がモーターの一歩手前になってしまった「モーター男」や「ボイラー男」鍵穴からの覗きに熱中したあまり自身が鍵穴となった「鍵穴男」など奇妙なキーパーソンが登場。

序盤の胡同(フートン)(この世界におけるダンジョン)で出会う妄人「鍵穴男」

ゲームは九龍城を探索しながら情報を集めるアドベンチャーパートと3Dダンジョンを攻略するRPGパートに別れており、アドベンチャーパートには個性的なキャラクターが多数登場…。というよりも、本作には超個性的なキャラクター以外ほぼ登場しません。

住民は各々で様々な職業に就いている者が多く、「水銀屋」、「びん屋」、「ゼンマイ屋」など変わったものばかりで、本作の雰囲気作りにより一層磨きをかけます。

登場人物のセリフが変わったらフラグが進行した証拠。



妹の死をきっかけに、自らの身体中に電線を巻きつけるようになった「水銀屋」



本作のヒロイン、小黒(シャオヘイ)。
夢に頻繁に登場する「自分も知らない姉」を探している。



こちらのボイスアクトはなんと俳優の八嶋智人さん。


「物」に取り憑かれたものたちの末路

前項でも少し触れたとおり、本作は情報収集を中心に九龍城を探索する、アドベンチャーパートと、一人称視点の3Dダンジョンの二つのパートで構成されています。探索パートは、一枚絵のロケーションをつなぎ合わせたもので、システムとしては往年のアドベンチャーゲーム『MYST』シリーズを模範したものといったところ。

独特なのはダンジョンパートで発生するバトルのシステムで、この部分を少しだけ紹介しておきましょう。

本作のバトルシステムは世界観に合わせ、中国の陰陽五行思想である木、火、土、金、水の5つの要素が軸となっています。

木の弱点が土、木の弱点が金など、一般的なRPGとは対抗属性が異なるので、
覚えるまで対応表を作ったり、出会った敵一体一体メモを取っておくといいでしょう。

胡同(フートン)と呼ばれるダンジョン内には、邪気に取り憑かれた妄人の成れの果て「鬼律」が潜んでおり、彼らの見た目から属性を予測して、水なら火、木なら土といったように、対をなす属性攻撃を繰り出すことで敵を撃退する事が可能。

主人公の持つ七宝刀はそれぞれ5つの属性を扱う事が可能ですが、属性は二つ以上持つ子ができない上使い切りなので、一度使用したら敵から吸収する必要があります。その為、考えなしに攻撃を放ちまくると後々の鬼律に対抗する手段が無くなることも多いので、バトルに関してはパズルゲームに近い印象です。

Twitter投票で人気No1の規鬼、澡盆腿家姐(ザオペンテュイガーゼ-)。
余談ですが、漫画『GTO』の作中でも彼女(?)との戦闘シーンがチラッと登場します。


ゲーム序盤主人公が好きなものを「冷蔵庫」、「扇風機」、「電子レンジ」から選ぶ事ができ、
邪気に侵され過ぎると「物」そのものとなりゲームオーバーに。


現代に現れた九龍城

なぜ、今このタイミングで『クーロンズゲート』をオススメするのか。もちろんコアなゲーマーに向けて遊んでもらいたいカルトゲームの一つだからという理由もありますが、実は発売18年を迎えた2015年に入ってからオフィシャルの動きが非常に盛んになっているのです。


今年3月にはオフィシャルツイッターアカウントが開設され、原画展、サウンドトラック、設定資料集、ゲームアーカイブス版の復刻、2016年カレンダーなどグッズ販売がスタートし、当時の開発スタッフによるニコニコ生放送や、ツイッターを通してのファンとのコミニケーションも盛んに行われています。更に、ゲーム中に「ファイアの日」とされる来年5月22日にゲームのコンサートが開かれる事が決定されました。

また、本作とは直接関係のない作品ですが、国内同人ゲームでも『クーロンズゲート』を模範した作品があり、その中でも特にマニアックなタイトルが『ガラージュ』。

こちらは既に絶版となっており、ネットオークションでもなかなかお目にかかれないプレミア作品ですが、『クーロンズゲート』ファンは機会があればぜひチェックしてみましょう。


『クーロンズゲート』からの影響を感じさせる『ガラージュ』。
本作のファンでもし見かることがあれば手に入れておいて損はありません。



実はこれ以前にもMMO仮想空間『セカンドライフ』内に巨大な九龍城が建てられ、当時としては美しい3Dグラフィックスで砦内を探索する事が可能でした。

最後に、神奈川県川崎市に位置するゲームセンター「ウェアハウス川崎」をご紹介。ゲームセンターらしからぬ、一度見たら忘れない超独特の外観を各店舗ごとに持つ「ウェアハウス」ですが、こちらの川崎店は香港の九龍城砦を再現しており、細部まで作り込まれた内装がほぼゲームに登場する陰界そのもので、ゲームのファンや廃墟マニアの間でもしばしば話題に挙がるスポットです。

ウェアハウス川崎。ここは陰界ではなく日本のゲームセンターです。


* * * * *

さて、ここまでゲーム全体に漂う「雰囲気」をご紹介してきましたが、正直なところ、『クーロンズゲート』のゲームとしての完成度はイマイチ。アドベンチャーパートは基本的に、同じ場所を何度も往復して、総当たりで町の住人と何度も会話をして進めるだけ。加えてフラグが分かり辛く、一度プレイ時間が空いてしまうと、まず次に何をすればいいのか分からなくなる事もよくあります。

また、各所にセーブポイントはあるものの、一人称一枚絵故のマップの分かり辛さから、イマイチ好きなタイミングでセーブがし難いという点も。

ダンジョンパートのバトルも、一部ボスを除けば基本的に反対属性の暗記なので、ダンジョン内はいわゆる初見殺しの連続ともいえるかもしれません。

ゲームとしては遊び辛い作品にも関わらず、その欠点をなぎ払うが如く突き詰められた世界観が本作唯一にして随一の個性であり、数多くの人々を魅了してやまないのです。

今回のプレビューはプレイステーション版をもとに執筆しました。
《FURUKAWA》

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