本作の実況プレイ終了後にメディア向けの発表会が開催されました。この発表会では、ゲームクリエイター河野一二三氏と映画監督の清水崇氏、クリーチャーデザイナーの伊藤暢達氏、ゲームプランナーの池田祥也氏、サウンドエフェクトの小池令氏の5名が改めて登壇。登壇したメンバーの中で最年少の26歳となる池田氏は、開発の代表として来場しており昨年での段階でまだ学生だったとのこと。また、放送時に発覚した不具合についてはリリースまでに修正すると共に、この発表会に来る前に一つシザーウォーカーの調整をやり遂げてきたことを述べました。
本作が「『クロックタワー』というタイトルを使わなかった理由とは?」という話題で河野氏は、過去にカプコンからリリースされた『クロックタワー3』とは別方向の作品である他にも、ポイント&クリックのゲームを制作したいがパブリッシャーから予算が出にくいためジャンルのため、インディーズとしての資金集めをしたからという『クロックタワー』とは別ベクトルで制作されたためと語りました。
続いて「敵を倒せないフラストレーションへの対処は?」の話題では、フラストレーションを溜めても良いという割り切り方と、撃って敵を倒したい快感というのは大きなマーケットを狙ったタイトルの話であるべきだと述べました。さらに、本作は元々インディーズとして作りたい物を作るというスタンスから資金集めをした作品であり(AGMからパブリッシャーが付いたものの)、AAAタイトルはパターンが決まってしまうからそれらが出来るところに任せるという狙いがあるようです。
映画監督の清水氏は本作が『クロックタワー』における“精神的続編”というスタンスをとっていることについて、その立ち位置の取り方があることに驚きを覚えると共に「自分も映画『呪怨』の精神的続編をいつかやってみたい」と語りました。
また本作は、Kickstarterのクラウドファンディング終了後に一度グラフィックを全て開発し直したようで、Kickstarter初お披露目のモニカの3Dモデルと現在新たに公開された3Dモデルは髪の毛のボーンを含め大きく作り直されています。河野氏の話では、グラフィックの再開発を行うためにかなりの借金をしたようで(億単位ではないとのこと)数千万円ぐらいならすぐ返せると語りました。またグラフィックに関して伊藤氏は、本作が刷新される前の段階ではクオリティが微妙であったものの、再開発された際には予算が心配という気持ちと共に河野氏に対して良くやったと賞賛したそうです。
ニコ生で放送された本作のバージョンは、一部のモデルが最新のビルドとは異なるものであるようで、ワゴンに潰された人などのモデルが今後描き変えられるようです。コンソール機への移植に関するレーティングの話では、現時点で何も計画されていない状態であり、PS Vitaなどに移植される場合ではレーティングによって幾つかのシーンが差し替えられてしまうかもしれないと話しました。この後メディア向けの質疑応答の前に、改めて上映されたトレイラーによってPC版の発売日は3月29日に決定したと発表しました。
■メディア向けの質疑応答―次回作や新作の構想とは?
初めに「『クロックタワー2』から20年となる本作を開発した時に変化した思いはありますか?」という質問が投げかけられました。河野氏は、Twitterからのリプライで初めて『クロックタワー2』から20周年が経ったことを認識したようで、『クロックタワーゴーストヘッド』やカプコンの『クロックタワー3』への開発に参加しなかった理由としては(カプコンとは三上真司氏と『鉄騎』で繋がりがあった為)、やりたいことは初代と『2』でやりきっていたためのようです。技術と時代が進歩すると共に気力がチャージされ自分のホラー論を展開したいという思いから『NightCry』の制作に踏み切ったようです。
次に「PlayStation 4への対応について」という質問では、PS4での展開ももちろんのことVRへの対応や清水監督による映像化などの取り組み全てをやりたいと思っていると話ました。これらの展開は資金の問題であるため、PC版の売り行きが今後のやりたいことに影響されます。
最後に「次回作や新作への構想については?」という質問で河野氏は、現在構想中で具体的な話は決まっていないもののエンディング後の展開などを示唆。また初期に描かれた別版の“シザーウォーカー”のデザインを気に入っており、いつかは活躍の場を与えたいと話していました。
発表会終盤に差し掛かった時、もし本作のPS4移植の話がきたのならという話題が展開された際に、本作がいくつか大きなチャプターやイベントなどをカットしていると話しました。もしPS4での展開が決まったのなら移植用の予算の中で、いくつかの要素を復活できたらと考えているようです。
最後に映画「死霊のはらわた」や「キャプテン・スーパーマーケット」、そして2002年版「スパイダーマン」で監督を務めたサム・ライミ監督からメッセージが届けられたことを報告しました。内容は以下の通りです。
- ■サム・ライミ氏より本作へのコメント(『死霊のはらわた』、『スパイダーマン』監督)
“清水崇の『NightCry』は、明かりを点けたまま眠りたくなるようなタイプの体験である。殺人鬼のストーリーは、ファンタジー的なビジュアルで彩られる。今日のビデオゲームでこのような素晴らしい作品があるとは。このホラーの船旅に出航し、どっぷりとその旅を楽しむのが待ちきれない。”
●原文
“Takashi Shimizu’s NightCry is the type of experience that makes you sleep with the lights on: a killer premise supplemented by fantastic visuals.Knowing the great work being done in video games today,I can’t wait to be fully immersed in this seafaring horror.“
本作に関する他のプラットフォームへの展開や開発の裏話が語られた発表会は、最後に主要スタッフが集う写真撮影を行って終了しました。本作のPC版は国内で3月29日に発売予定。価格は、ゲーム本編が2,480円(税込)、サントラ同梱版が3,980円(税込)、サントラ+アートブック同梱版が4,980円(税込)、サントラ+アートブック+絵コンテ同梱版が5,980円(税込)です。