「戦場で会おう」『Battlefield 1』開発歴17年のディレクターにインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「戦場で会おう」『Battlefield 1』開発歴17年のディレクターにインタビュー

編集部は、DICEのベテラン開発者で、今作でデザインディレクターを担当するLars Gustavsson氏に、発売直前の多忙な時間の中、電話ミニインタビューを敢行。

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「戦場で会おう」『Battlefield 1』開発歴17年のディレクターにインタビュー
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いよいよ今週、発売をむかえるElectronic ArtsとDICEのミリタリーFPS最新作『バトルフィールド 1(Battlefield 1)』。多くのファンが待ち望んだ、第一次世界大戦の戦場の火蓋がついに切られます。Game*Spark編集部は、DICEのベテラン開発者で、今作でデザインディレクターを担当するLars Gustavsson氏に、発売直前の多忙な時間の中、電話ミニインタビューを敢行。本作にかける想いや開発中のエピソードを語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――まずは、自己紹介をお願いします。経歴などを教えてください。

Lars Gustavsson氏(以下Gustavsson): Lars Gustavssonです。スウェーデンのストックホルムで、DICEの『Battlefield 1』のディレクターを務めています。経歴は、1999年に小さな会社Refraction Gamesに入りました。入社1年後、会社がDICEの一部となって、さっそく『Battlefield 1942』のプロトタイプの制作を開始しました。最初は3Dアーティストでしたが、DICEの社員になってからプロデューサーを務め、『Battlefield 1942』のプロジェクトを任せられました。それ以来ずっとバトルフィールドシリーズ全作と関わっています。『Battlefield 2』ではデザイナー、そのあとはクリエイティブ・ディレクターで、最近はデザイン・ディレクターです。バトルフィールドに17年近く関わっており、それがゲーム業界における私の人生です。

――間もなく『Battlefield 1』が発売されますが、開発チームは今どういうところに力を入れていますか。

Gustavsson: 開発チームの規模は大きく、今、私たちの仕事はスムーズなローンチを保証することです。昔は、発売後のゲームに手を出す必要はありませんでした。でも今は、発売されてからコミュニティーとの関係を築くという仕事が始まります。ファンコミュニティーと協力し、長年『Battlefield 1』をサポートしていくチームを作り上げます。すでに公開されている通り、「Battlefield Premium」のプログラムも、12月に無料で提供される「Giant's Shadow」という新しいマップもあります。そしてフランス軍が登場する「They Shall Not Pass」という2017年3月配信予定のエキスパンションパックも発表しています。本編をプレイヤーが遊んでいる間に、ゲームをより良いものにするため一生懸命働いているのです。皆さんのご意見を聞いて、一緒に協力して、長年ご一緒に楽しめるように頑張りたいと思います。

――夏に実施されたオープンベータテストについて、参加者からどんなフィードバックがありましたか? またそれらの意見を基にゲームデザインやバランスの調整を行った部分はありますか?

Gustavsson: 実は、ベータテストのフィードバックに基づいて、たくさんの変更を施しています。総合的に見てそれらの出来に大変満足していて、驚いています。『Battlefield 1』の正式発表前から一部のファンがスタジオに招待されていて、初期から積極的に開発に協力してもらっています。アルファについてもベータについても過去最高となるプレイヤーが参加し、数え切れないフィードバックが集まりました。

その中の一つは、昔からあった「Conquest」モードについてでした。旗でマークされたテリトリーを敵チームと奪い合ってポイントを稼ぐモードですが、敵を殺すことでもポイントを稼ぐことができます。今回の作品において、キルからのポイントを無くすことにしました。ところが、殺されたチームメイトを復活させることでそれを阻止するというチームプレイをなくしてほしくないと、コミュニティーがはっきりと伝えてくれました。それが大きな変更の一つです。

あとは、馬の戦闘にもフィードバックで改善したところはあります。最初は、馬に乗っているプレイヤーは右側だけに剣の攻撃ができました。馬のポジションを意識しながらよく狙う、というのがゲームバランスを考えたうえでのデザインでしたが、左側にも攻撃したいという意見がありました。それもオープンベータが終わった後に変えたところです。ほかにも細かな調整をしています。Light Tankは強すぎたので少し弱体化しました。クラスランクの上達をより目立つようにしました。皆さんにいただいた実にいいフィードバックに感謝しております。発売日に向けてより素晴らしいゲームにするためにとても役に立っているのです。

――シングルプレイキャンペーンの話に移りますが、ゲームプレイの長さはどのぐらい期待できますか。

Gustavsson: ゲームプレイ時間はプレイスタイルによって異なりますが、イントロダクションを含めて6つのミッションが存在します。開発チームは、プレイ時間を長くすることよりも、最高のゲーム体験を提供することを最優先にしています。それにより、プレイヤーはとても重要な決定を下すことが出来ます。戦車を奪うべきか、馬を奪うべきか、ダイナマイトを使うべきか、あるいはステルスで侵入するか……。我々はプレイ時間を設定しません。テスターからはおよそ7時間くらいでクリアしたという情報も聞いていますが、いずれにせよ、それはプレイスタイルによる影響が大きいです。

――シングルプレイキャンペーンでは何人のプレイアブルキャラクターが登場するのでしょうか?

Gustavsson: プレイヤーは、6人のメインキャラクターを体験できます。第一次世界大戦は、第二次世界大戦よりも多角的でグローバルな戦争でした。したがって、1人の兵士の視点で戦争を見るのではなく、様々なキャラクターの視点で、予期しないような、あるいはこれまで語られなかったような運命を描きたかったのです。なにせ1人の兵士が戦車にのって飛行機も操縦して何でもかんでもこなすのは、当時の戦争ではありえないことで、超人のような存在になってしまいます。戦争の物語を描くにあたり、それぞれのキャラクターが戦争によってどう変貌し、世界がどう変わったかを描くことに注力しました。また、彼らがどんな存在にでもなれるようにも表現しています。

――キャンペーンには歴史上のキャラクターも登場しますか?

Gustavsson: キャラクターの多くは史実を基に描いています。プレイヤーが一緒に戦えるメインキャラクターの1人は“アラビアのロレンス”です。『Bad Company』『Bad Company 2』『Battlefield 3』『Battlefield 4』と、これまでDICEはずっと現代戦を舞台にしてきたので、戦時中の歴史の深みを紐解いていくのは非常に興味深い作業でした。この戦争のことをよく考えて、それをキャンペーンという形で映し出すのがとてもいい経験でした。

――第一次世界大戦に基づいたゲームを作る上で、もっとも困難だったことは?

Gustavsson: 最も大きいハードルの一つだったのは、第一次世界大戦はスピード感がなく、武器が古臭い戦争であるという人々の先入観です。当時の武器や兵器をありのままに登場させたかったです。あの時代には最新の技術だったのです。その上で、バトルフィールドらしいゲームプレイが実現できるように、初期プロトタイプも開発しました。それで結果を示せたので、安心して進むことができました。

例えば、この時代に戦車は発明されたばかりです。現代は各国の戦車がだいたい同じ形をしています。しかし、我々のゲームに登場している戦車を見ると、その3分の1ぐらいが現代の戦車に似ています。上に単装砲があるという形。ほかの3分の1が左側と右側に砲身があります。残りの3分の1のは正面にあります。戦車は当時希少な存在で、戦車のない軍隊が倒した相手の戦車を奪い、修理して戦場に復帰させていたのです。それぞれの戦車が全く異なる見た目をしているのは、ゲームで再現するのは困難だと最初は感じましたが、我々をそれをポジティブな形でゲームプレイに取り入れています。それは困難で挑戦的な試みであると同時に、体験を届けるのは楽しかったです。

――PS4 ProやXbox One Sなど上位ハードを対象としたビジュアル面の強化は計画していますか?

Gustavsson: PS4 Pro/Xbox One SにおけるHDRの対応計画については、我々もとても期待しており、『Battlefield 1』の発売後に詳細をお知らせします。

――最後に、日本のゲーマーやバトルフィールドファンにメッセージをお願いします。

Gustavsson: 日本のファンの皆さんにとても感謝しています。『Battlefield 1942』の発売当時、マーケティングチームに「日本語ローカライズをしよう、日本のプレイヤーがものすごく遊びたがってる」と言われたのを今でも覚えています。その声に応えたのがうまくいって、日本に大きなファンコミュニティーが生まれ、それ以来ずっと強いサポートをしてもらっています。『Battlefield 1』を日本で発売するのを楽しみにしていて、また近い将来に日本に行って皆さんに会いたいと思っています。すごく久しぶりです。それまでに、ゲームをめいっぱい楽しんでください。また戦場で会いましょう!

《Rio Tani》
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