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中華ゲーム見聞録:ポップな絵柄のフリーホラーADV『異化之悪』主人公は異能力者たちを収容する病院の看護師

「中華ゲーム見聞録」第52回目は、異能力者の収容された病院を舞台に、ポップな絵柄の可愛いキャラクターたちが活躍するフリーのホラーアドベンチャーゲーム『異化之悪(Abnormal Treatment)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録」第52回目は、異能力者の収容された病院を舞台に、ポップな絵柄の可愛いキャラクターたちが活躍するフリーホラーアドベンチャーゲーム『異化之悪(Abnormal Treatment)』をお届けします。

本作はEternal Dreamが開発し、迷糊的安安によって8月2日にSteamで配信されました。迷糊的安安はこれまでにもSteamで『雨鴉 - You are my sanctuary』や『永凍之殻(The Shell of Permafrost)』などのRPGツクール製のフリーゲームを配信してきました(『永凍之殻』はふりーむで日本語版が配信中)。本作もRPGツクール製のフリーゲームです。配信後、Steamの「話題の新作」上位にもバナーが登場しており、好評を博しています。


本作は「452b療養院」という病院が舞台です。ここの患者たちは皆、何かしらの異能力を持っているとのこと。設定からして異能力バトルが繰り広げられそうな様子です。ゲーム自体はそれほど長くなく、1~2時間もあればクリアできるとのことですが、マルチエンディング方式(全部で7種類)なので繰り返し遊ぶタイプのもののようです。いったいどんな内容なのか。さっそくプレイしていきましょう。

患者たちは異能力者



ゲーム開始とともに、画面が激しく揺れ始めました。病院内で地震が起こっています。ここは異能力を持つ患者たちを収容する病院「452b療養院」。患者の一人である黄色い髪の少女「レナ」が泣いています。どうやらこの地震も彼女が引き起こしているようです。そばにいる看護師たちも手に負えない様子。それにしても画面全体がポップなデザインですね。


「落ち着きなさい、レナ」とのセリフとともに、病室に入ってきたのは看護師のカリーナ。この病院の2階と3階の総責任者であり、プレイヤーの操作キャラクターでもあります。看護師長みたいなものでしょうか。それより点滴(輸血?)した状態で現れたのが気になります。


レナはカリーナの言葉で落ち着きました。それに伴って地震も収まります。プレイ前は、カリーナは格好からしてエキセントリックな不思議キャラかと思っていましたが、セリフからして温和で思いやりのある常識人です(その方が操作キャラとしては感情移入しやすいかと)。

カリーナが言うには、これから新しい患者がこの病院に来るとのこと。しかもレナと同じぐらいの年齢の少女だそうです。「歓迎会を開くので、レナにも手伝ってもらいたい」とカリーナは言います。レナは大喜びで会場へと向かいました。


病室にいた看護師は、「患者はみんな、カリーナさんの言うことはよく聞きますね」と言います。カリーナは病院にいるすべての患者が早く治るよう願っている優しい心の持ち主で、看護師たちからも尊敬されています。異能力者が患者の病院ですから、「治る」というのは「異能力を失う」ことなのでしょうか。日常生活に支障をきたす能力は無くなった方がいいかもしれませんね。


病室でのひと騒動が終わったのち、『異化之悪』のタイトルが登場。先ほどのはプロローグ的なものだったようです。このあとに「452b療養院」についての説明があります。「452b」の名前ですが、地球から約1400光年離れたところにある惑星「ケプラー452b」から来ています。「地球にもっとも似た太陽系外惑星」と言われ、人類の第2のホームにできる可能性を秘めています。この病院も、異能力者にとっての「第2のホーム」になれるよう、院長が「452b療養院」と名付けたそうです。

患者たちは、一般的な日常生活を送ることのできない異能力者ばかりです。カリーナを含めた看護師たちは、患者たちのために毎日頑張って働いています。いつか彼らの「病気」が良くなるように。患者の家族は裕福な者たちばかりなので病院の運営費用には困りませんが、しかしこれまで誰も「退院」したことがありません。そのことについて患者たちの家族からも、一件の苦情も寄せられたことがないのです。ちょっと奇妙ですね。

病院内を探索しよう



病院に関する説明が終わり、ゲーム本編がスタート。ゾーイという患者が登場します。おとなしそうな子で、姉と一緒に入院しているようです。能力は「暗闇の中の物体を透視することができる」。カリーナはゾーイに「歓迎会があるので姉を連れて時間通りに来るように」と言います。姉の方はルーズな性格のようですね。


カリーナを操作可能になりました。Xboxパッドだと、Xボタンで決定や調べるなど、Aボタン押しっぱなしの移動でダッシュ、Bボタンでメニュー呼び出しとキャンセルになります。カリーナのドット絵を見ると、常に点滴を付けたままの状態ですね。画面周囲の装飾が、場面ごとに変化するのは面白いです。今はコーヒーがテーマになっていますね。


病院内のオブジェクトはほとんど調べることが可能。また通路にいる人たちにも話しかけることができます。画像の男はこの病院で働く修理工のモディ。酒好きで明るい性格の一般人(無能力者)です。


ドアから室内に入ってみました。アイテムが落ちている場合もあるので、各部屋を探索してみるのもいいかもしれません。探索や人との会話が面白いので、本編そっちのけであちこち歩き回っています。


病院は4階建て。歓迎会が開かれるレストランは1階にあるので行ってみましょう。レストランに入ると、奥の方に矢印が表示されています。ここが目的地のようですね。歓迎会を開く理由は、来たばかりの患者が不安にならないようにとの配慮からだそうです。


ケーキの準備も終わり、カリーナは「最後の仕上げ」に入ります。それはケーキに自分の血を混ぜること。カリーナは、自分の血で相手を治癒する能力を持っています。入院時に「異能力検査」を受けるときに、予期しない事態が起こって患者が自身を傷つけてしまうこともあるので、それを予防するためだそうです。また血を飲んだ者の精神をコントロールすることもできるようです。


左手に貼っていたガーゼを剥がしました。そして唐突に始まるミニゲーム。決定ボタンを連打するよう言われます。説明が無いので何をやっているのかよくわかりませんが、血を絞り出しているのでしょうか。血は物に触れると跡形もなく消えてしまうとのこと。ただ治癒効果は残るようです。

新しい患者の来院



新しくやってきた患者はマリーという少女。歓迎会を喜んでくれましたが、両親のいる家に帰りたい様子です。「自分の家のように過ごしてください」と言われても、やはり自分の家の方がいいですからね。


歓迎会の会場にいた、この病院の院長。優しそうな人柄で、「すぐに退院できますよ」とマリーを慰めてくれます。これから入院検査のために、カリーナはマリーを4階へ連れていかなくてはなりません。


厚着姿の男は、患者の一人であるノエル。気さくな性格で、能力は「永遠寒冷」。「エターナルなんたら」と読めそうな能力ですが、実際のところは「永遠に寒気を感じる能力」のようです。ただの冷え性なだけのような気もしますが……。あとでこの能力が役に立つのでしょうか。


マリーを連れて4階へ向かう途中、ゾーイと出会いました。マリーは挨拶をしますが、ゾーイはどういうわけかマリーを良く思っていないようで、「近づかないで」と言います。何か理由があるのでしょうか。


病院内には花園もありました。ここにはライトという医療用ロボットがいます。病院全体を管理しており、カリーナも信用を置いている人物(ロボット)です。「何か困ったことがありましたらお申し付けください」とライトはマリーに言います。よく見ると、部屋の一番左に丸いマークが見えますね。


丸いマークを調べると、パズルのピースのようなものが落ちていました。何かに使うのでしょうか。とりあえずもらっておきましょう。ちなみに他の部屋でも同じようなものを見つけました。


ゾーイの姉のボス。天真爛漫な性格で、新しい物好き。この病院のトラブルメイカーで、カリーナにとっては頭痛の種のようです。廊下でローラースケートをやっていたことで、カリーナにスケート靴を取り上げられたことがあります。


階段のそばには、そのフロアのマップが貼られていました。結構部屋が多いですね。マップはアイテムとして保管され、メニューからいつでも見ることが可能です。


4階にたどり着いたカリーナたち。マリーは不安そうにしています。彼女の能力は「黒色液体」だそうですが、どのような能力なのかはまだわかりません。カリーナは「すぐに良くなって両親のもとに戻れますよ」とマリーを安心させます。


検査室には院長とライトが待っていました。院長が言うには、マリーの能力である「黒色液体」には危険性があり、制御できなくなると周囲にも害が及ぶとのこと。治るまで両親に会わせることはできないようです。


夜中、カリーナが病室の見回りをしていると、マリーが部屋の外にいました。自分の「病気」がいつまでも治らず、ずっと両親に会えないのではないかと悩んでいます。カリーナはマリーを落ち着かせ、部屋で眠らせました。


カリーナは見回りを続けます。階段のそばまで来たとき、部屋に戻ったはずのマリーがその階段に立っていました。しかもどこか様子がおかしい。いったい何が起こっているのか。そしてマリーの能力である「黒色液体」とは……。この続きは自身の目で確かめてみてください。

テンポの良いストーリーと個性のあるキャラクター


本作はフリーゲームながらしっかり作られており、物語はテンポよく進んでいきます。また病院内の人々の会話も物語に合わせて変更されていったり、調べられる物が多いことなど、本筋以外の部分も作り込まれています。様々な能力を持つ患者たちなど、キャラクターも個性があって良いですね。


ゲーム中には様々なミニゲームがあります。ボタンを連打したり追いかけっこをしたりといったものや、パズルを解いていくものなど多様です。本作にはゲームオーバー(バッドエンド)もあるので、ミニゲームは本気でやった方がいいかと。それとセーブもこまめにしておいた方がいいでしょう。なかなか出来のよいゲームなのですが、残念なことに現在は中国語(簡体字)のみとなっています。今後日本語や英語のサポートがあることを期待しています。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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