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温故知新な競技的FPS『VALORANT』CBTインプレッション……ライアットゲームズは新たな旋風を巻き起こせるか

『VALORANT』CBTで見えたゲームプレイと特徴に迫ります。なお、本稿の筆者はアメリカ在住であり、英語環境でプレイしています。

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温故知新な競技的FPS『VALORANT』CBTインプレッション……ライアットゲームズは新たな旋風を巻き起こせるか
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2020年4月7日、ライアットゲームズ初FPSタイトル『VALORANT』のクローズドベータテストが、アメリカ、カナダ、トルコ、ロシア、ヨーロッパで実施されました。『リーグ・オブ・レジェンド』でPCゲーム/e-Sportsシーンを大きく動かしたライアットゲームズですが、初挑戦のジャンルでゲーマーに何をもたらすのか気になる方はたくさんいらっしゃるでしょう。本稿では、そんな同作CBTのインプレッションをお届けします。なお、本稿の筆者はアメリカ在住であり、英語環境でプレイしています。

筆者の印象としては、『VALORANT』のプレイフィールは完全に『Counter-Strike: Global Offensive』そのものです。『CS:GO』経験者にとって『VALORANT』は親しみやすいFPSとなることでしょう。キャラクターの動きや射撃感、試合の流れやマップの形、銃のセレクションまで丁寧に参考にしているような手触りです。

『リーグ・オブ・レジェンド』が『DOTA』をベースにしているのと同じく、『VALORANT』は『CS:GO』の“骨格”となる部分に、現代的な“肌”と“筋肉”を付け加えたような作品です。これは悪い意味ではなく、むしろFPS界の中で最も「質実剛健な骨格」とまで言えるでしょう。そしてただ骨格を再現したのみでなく、『CS:GO』以降のシューター作品の魅力的な要素も混ぜ込むことで、「現代的」かつ「競技的」なFPSとして仕上げたのです。


『VALORANT』を簡単に説明すると、「5v5のチーム対戦ゲーム」です。攻める側は敵サイドに「スパイク」という爆弾のようなものを設置し、発動させるのが目的。守る側はそれを阻止します。それを12回繰り返したところでサイドが交代。ラウンド冒頭に銃やアイテムを購入でき、そこで使うお金を勝敗やラウンド内のキルなどで稼いでいきます。そうして13ラウンドを先取したチームが勝利、というよくあるシステムです。


『VALORANT』の最もユニークな点は、「チーム構成」にあります。『オーバーウォッチ』や『レインボーシックス シージ』のように、プレイヤーはゲーム開始時にそれぞれ特殊能力を持ったキャラクターを選びます。10人の「エージェント」はそれぞれのアビリティ―を持っていて、銃やアーマーと同じように試合中に購入・チャージすることができます。アビリティ―以外の違いはありません。

チームメイトを回復したりバリアーを作ったりできるエージェント、爆弾やロケットを放つエージェント、相手の視界を奪うエージェントなど、バリエーションは豊か。能力の使用回数は限られているので、使用するタイミングは作戦としても非常に重要になってきます。「試合中に数回しか使えないアルティメットをいつ使用するか」という戦略を練りに練って考え、流れを一瞬で反転することも可能。エージェントや能力のメタが成長すればするほど、『CS:GO』とは別物の作品になっていくことでしょう。


エージェントたちは新鮮さとバラエティを楽しませてくれるものの、ゲームのコアはやはり「射撃」と「連携」にあります。有利をとるべく索敵したり、慎重に進むために曲がり角をうまく利用したり、動けば動くほど狙いがズレる射撃をコントロールしたり……『オーバーウォッチ』のような長い集団戦はまるで起きません。

多くのアビリティは相手をダウンさせる技でなく、先手を取るための手段として使われています。それもあって、ラウンドごとに緊張感が積み上がり、それが一瞬で爆発するような面白さを感じることがあります。競技的FPSのプレイヤーなら分かるかもしれませんが、その魅力はもしかしたら新参のプレイヤーには少し息苦しいものかもしれません。どうしても、馴染むまで時間と練習量がかかってしまいます。

また、『VALORANT』自体はゲームプレイのコツを教えてくれません。ベータ段階であるためかもしれませんが、初プレイ時のチュートリアルでは「基本の基」以外に触れません。操作やゲームコンセプトを紹介されたら、その後は「射撃場で練習」もしくは「5v5の真剣勝負」のみです。

17種類の銃と10人のエージェントの使い分け、試合の流れと連携のとり方……そういったテクニックを覚える手段は、本番の試合で練習していくかネットで調べるかのどちらかです。『CS:GO』などのFPSプレイヤーは問題なく飛び込めるでしょうが、そうでない人はコツをつかむまで容赦なく潰されるでしょう。


とはいえ、FPS経験が薄い私でも、数回のプレイで流れを把握したあとは楽しくゲームに参加できました。チームの足を引っ張ることもあったものの、相手をキルしたときの達成感が「もっといけるぞ」と背中を押してくれるのです。


競技性を意識したタイトルは、グラフィックの品質より動作のパフォーマンスを優先しがち。『リーグ・オブ・レジェンド』同様、『VALORANT』でもそういった意識が伝わってきます。公式サイトには「必要最低限(およそ10年前)のスペックのPCでも最低30fps、最近のゲーミングPCならば60~144fps」と説明されていますが、その文言は伊達ではないようです。たくさんのアビリティが同時に使われているときもフレームは落ちませんし、キャラクターの操作性はいつも精確でキビキビしています。

その代わり、能力のエフェクトは旧世代的なものに見えます。マップのディテールも薄く、テクスチャー品質も敢えて美麗と言うほどではありません。とはいえ、キャラクターや武器のモデルはシンプルで一貫したスタイルであるため、ライアットゲームズらしいセンスが伝わってきます。


最後に、課金システムについて触れていきます。『VALORANT』は『リーグ・オブ・レジェンド』と似たような仕組みを採用しています。5人のエージェントは最初から自由に使用でき、もう5人はロックされています。プレイヤーは試合を通して経験値を得て、それを使うことで新エージェントを解放することができます。

しかし、3人目からはなかなかの経験値が必要となってきますが、有料のゲーム内マネーとなる「VALORANT POINTS」を使えばその時間を大幅に減らせます(経験値ゼロの時点からエージェントを解除するためには約1,000円がかかる)。エージェント以外にも、銃のスキンや他のコスメティックアイテムがたくさん揃えられています。これらはエージェントの解放よりも高価なのですが、ゲームプレイへの影響はありません。



本作のCBT段階の評価をまとめると、「さすがはライアットゲームズだ」という結論に至ります。『リーグ・オブ・レジェンド』が歴史ある競技的ストラテジー『DOTA』をベースに展開していったことと同様に、『VALORANT』は競技的FPSを誰からも愛される現代的なタイトルを目指しています。Twitchの最高視聴率記録を更新したこともあり(COVID-19の影響かもしれませんが)、その注目度は現時点でもかなりのもの。コツを掴むのが難しいゲームにもかかわらず奥深いこのゲームには、きっと明るい未来が待っています。日本にもサーバーが到来し、e-Sportsシーンを盛り上げてくれることを期待しています。
《Cameron Gilbert》
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