『バトルフィールド 2042』漠然とした「残念さ」はどこから?【コラム】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『バトルフィールド 2042』漠然とした「残念さ」はどこから?【コラム】

『BF』、生きてくれ!!

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『バトルフィールド 2042』漠然とした「残念さ」はどこから?【コラム】
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バトルフィールド 2042(Battlefield 2042)』はDICEが開発し、エレクトロニック・アーツよりPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC向けに発売された大規模戦争が楽しめる対戦FPS『バトルフィールド』シリーズの最新作です。

最大128人での対戦が楽しめる「All-out Warfare」バトルロワイヤルライクなサバイバルモードの「ハザードゾーン」過去作の再現など自由にカスタムできる「ポータル」の3モードが用意され、久しぶりの近未来戦の復活ということもあり、ファンからの期待も十分でした。

一方で、発売当初から評価は芳しくなく、Steamのユーザーレビューは「やや不評」となっており、発売約1か月後のアクティブユーザー数は前作『バトルフィールド V』と大差ないか、24時間当たりでは、より少ない人数にまで落ち込んでいました。現在はさらにアクティブユーザーが減り、約5,000人にまで落ち込んでいます。

4811人というプレイヤー数はヒットした過去のシングルプレイゲームと同程度です。

ちなみに、前作『バトルフィールド V』は約28,000人、前々作『バトルフィールド1』が約11,500人。プレイ人数から、シリーズファンが過去作へと脱出しているのが分かります。

2月4日時点でのシリーズ4作同時接続プレイヤー数の比較(SteamDBより)

そこで、本記事では『バトルフィールド 2042』の何が問題なのか、良い点は何なのかを分析し、『バトルフィールド 2042』のレビューはもちろん、『バトルフィールド』シリーズの魅力とは何かについて考えつつ、本作の漠然とした「残念さ」について考えていきたいと思います。

    目次リンク

    ページ1(本ページ)
  1. レビューする者はどんな『BF』遍歴なのか、どのようなプレイスタイルなのか。
  2. 筆者の考える『BF』に必須の要素
  3. 評価に迷う・少し不満に思う点
  4. ページ2
  5. 強く不満に思う点
  6. ページ3
  7. 良かった点
  8. ハザードゾーン・ポータルについて
  9. 漠然とした「つまらなさ」はどこから?

レビューする者はどんな『BF』遍歴なのか、どのようなプレイスタイルなのか。

『BF』は約20年の歴史を誇るゲームです。既に10年前の『バトルフィールド3』からプレイし始めたプレイヤーすら、古くからプレイしてきている古参兵たちからは新参者扱いされるほどです。そのため、人によって「BFはこんなゲーム」という考えや思い入れが全く異なります。

また、発売直後に掲載した筆者による『BF2042』への批評記事のコメントにて、「初心者目線なのか、上級者目線なのかレビュアーの立場が分からない」や「シリーズのファンゆえに好みのBFと今作を比較して変更点を批判している」といった声を頂きました。確かに、対戦型ゲームにおいてレビュアーがどのように遊んでいるのかは評価に直結する重要な評価軸であり、以前の批評記事ではその点が手落ちになっていました。

そこで、まずは筆者が『BF』とどのように出会ったのか、どんなプレイスタイルで遊んでいるのか、どれぐらいのプレイスキルなのか、好きな過去作は何かについて簡単にご説明し、筆者の評価軸を明らかにしてからレビューに参りたいと思います。

筆者が初めて『BF』シリーズを認識したのは動画投稿サイトのプレイ動画を観てからです。ゲームと言えばDSかWiiしか知らなかった筆者は『BF3』や『BF1943』のプレイ動画に驚愕し、いつかこんなゲームをプレイしたいと思うようになっていました。そんな筆者にとって『バトルフィールド4』は初めての本格的なゲーム体験。そのため、かなり贔屓目に『BF4』を見てしまっているかもしれません。

『BF』シリーズでは主に歩兵で楽しんでいました。上に『BF4』と『BF1』での筆者の戦績を添付しましたが、(統計情報を取得できるトラッカーを使用しました。)筆者は対兵器に力を発揮する兵科と味方の看護や回復に力を発揮する兵科でよく遊んでいました。一方で、『BF4』の兵器に関してはほとんど触っておらず。『BF1』では多少使用したのみとなっています。

好きな過去作は思い出補正も込みで『BF4』。ですが『BF1』も同じくらい大好きです。ただ、『BFV』は全く合いませんでした。統計を見ると50時間程度しかプレイしていないようです。このようなプレイヤーが評価していることを念頭に、レビューを参考にしていただければと思います。

筆者の考える『BF』に必須の要素・評価軸

上記のような『BF』遍歴の筆者がシリーズに求めている「必須」要素を明示しておきます。

まず欠かせないのが大人数対戦であること。加えて、ビークルと歩兵が両存した戦闘であること。野良との自然な協力要素があること。オブジェクト破壊要素があること。です。

おそらくは多くのBFプレイヤーも同じものを求めていると思いますが、この要素が無かったり不足していたりする場合は『BF』シリーズとして大きな欠点とせざるを得ません。また、筆者は歩兵を主に使っていますが、だからといってビークルの影が薄いのはイヤという面倒なこだわりがあります。マップの公平性・対称性に関してはそれほど気にしません。また、武器のバランスもそれほど気になりません。強武器は各国の正式採用銃にしてくれよ、とは思いますが……一方で「理不尽な死」は好きではありません。特にスナイパーや攻撃ヘリ等が強すぎるのは好みではありません。

こんなプレイヤーが評価した、ということを留意してもらいつつ、長い前置きは以上にして実際の評価に参りましょう!

※なお、上述の批評記事の評価と本稿の評価は要素の重視度が若干変わっているものの、ビークルの強さについて以外の評価は大きく変わりません。共通する部分に関しては批評記事を基に展開していきます。

評価に迷う・少し不満に思う点

本作は要素が膨大なので、要素の列挙とその解説を行い、その後、なぜ評価されなかったのか、『バトルフィールド』シリーズの魅力とは何かについてに触れていきます。

最初に、明確に良いとは言えないものの、強く悪いとも言えない。評価に迷う・少し不満に思う点について紹介し解説していきます。

128人対戦

128人対戦について、筆者はその存在意義にかなり懐疑的です。128人対戦の必要性はあったのでしょうか?マップをコンパクトにして、同じ体験ができるなら、人数は少ない方が良いはずです

常に128人満員のサーバーを何年も維持し続けるのは難しいですし、少ない人数で最大限楽しめればコンテンツの延命にもつながります。マップがコンパクトにまとまればPS4やハイエンドではないPCでも楽しめます。また、今作の大きな不満点であるマップの構造は128人対戦ゆえにあるとも感じます。

一方で、場面によっては過去作とは密度が違う、と感じることもあります。ただ、その密度感が面白いかと問われると……なんとも評価に迷う要素です。(個人的には128人対戦は不必要だと考えています。)

蘇生待ちのシステム

これは『BF1』から導入された要素なのですが、蘇生待ちのシステムは必要ないと思っています。死んだ側は、衛生兵が近づいたり遠ざかったりするのに振り回されながら蘇生スキップの判断を下すのが煩わしいですし、蘇生する側は蘇生出来るのにスキップされ、本来不要なフラストレーションが溜まります

蘇生待ちや蘇生スキップにはゲームに大切な予測可能性が無いのです。

また、『BF1』以前は自由に動きながら、ガジェットを押しつける形式で蘇生していたのですが、『BFV』以降の形式では無防備になる時間が多く、味方を蘇生し辛くなっています

これは、蘇生のハードルが大きく上がっただけでなく、蘇生すべきかどうかの状況判断がより大切になったことで初心者と上級者の差を広げてしまいました。さらに、今作は蘇生スキップが非常に速く、蘇生を待ってくれない味方も多かったです。(自分も頻繁にスキップしてしまいました。)このことはボイスチャットでの連携(蘇生を待って、と伝えるなど)の重要性を上げています。

また、過去作での蘇生の手軽さは、平均的なキルデス比を上昇させたことに疑う余地はありません。やはり敵をたくさん倒せた方が楽しいですし、たくさん蘇生された方が楽しいでしょう。

一方で、『BF4』では蘇生してもすぐに死ぬのが分かっているのに無理やり蘇生される「無理蘇生」を嫌うユーザーも多かった印象があります。個人的にはどうせデス数に加算されないのだから、多少無理矢理でも蘇生してもらえるのはありがたいのですが、蘇生スキップを歓迎する声も踏まえて明確な欠点とまでは言えない(もっとぶっちゃけると、欠点の要素が多すぎてこんなのは些細なことになっている)と判断しました。

試合終了後の煽り演出・表彰システム

『BF2042』では試合後に優秀だった分隊の表彰要素と併せて煽り演出があります。

表彰が終わると、分隊員それぞれの良かった点を表示してくれる要素もあるのですが、無理矢理褒めている感も多く、何とも微妙な要素だと思います。そもそも、兵器破壊アシストや敵兵器をハッキングといった戦局を左右する重要な行動がスコアに入っていません。

また、これは何度もプレイしていると強く感じるのですが、煽り演出はバリエーションが少なく、マッチングのテンポも悪くなってしまっています

実際の対戦時に大きな影響はなく、ことさらに騒ぐほどでは無いものの、地味な欠点です。

スコアボード廃止

スコアボードの廃止は『BF2042』で初めての試みでしたが、廃止した結果、チーターが特定不可能になり、普通にプレイしていても張り合いが無くなってしまいました。

分隊ごとのスコアになっており、全体のスコアボードが見られない

殺されたときにスコアボードを開いて、「やっぱりこの人上手いなぁ」みたいな遊び方もできなくなってしまいました。

もちろん、初心者にとってスコアボードの存在がプレッシャーに繋がってしまっている場合もあるでしょう。であれば、デス数のみ表示しない、といった柔軟な工夫をお願いしたいところです。(補足追記:アップデートでスコアボードは大きく変わる予定のようです。)

とはいえ、致命的な不満点ではありません。

バトルログ(戦績)の廃止

キルデス比や1分当たりのスコアといった自分の総合戦績が見られないのは対戦ゲームとしては驚くべきことですが、戦績要素に気が散る方もいるので、過去作より気楽にプレイできるという意味では良いのかもしれません。

不満ではありますが、他の欠点に比べると致命的ではありません。

要求スペックと比較してのビジュアル・グラフィック

過去作に比べると地面に戦車の履帯痕が付くなどグラフィックは進化したとは思いますが、要求スペックにしては綺麗になっていない感があります。また、ビジュアルの雰囲気は前2作(特にBF1)の方が圧倒的に良かったです。

PCでは最適化が上手くいっていないようなのも気になります。

指差しスポットが無い

指差しスポットが無いのは前作の『BFV』からですが、指差しスポットは野良同士が咄嗟に協力できる良い要素だっただけに無いのは残念です。野良同士が気持ち良く連携できる要素を潰していくのは賛成しかねます。

開発陣の話では「赤点を撃つゲームにしたくない」ということですが、指差しスポットは無いものの「スポット」の要素はあり、車両のスポッターや航空機が強力にスポットできます。さらに、サイトを覗き込むと赤いタグが表示されるため、実質的には赤点を撃つゲームになってしまっています。

前作の『BFV』に引き続き指差しピンは存在しており、おそらくはボイスチャットを繋いだフル分隊(パーティー分隊)に寄った調整がなされているのだと思いますが、上級者や常にフレンドとプレイしているような少数だが声の大きいコア層にシステムを合わせるのは、(特に大規模チームプレイゲームである本作においては)速やかに止めるべきです。将来のファンである初心者や最も多い気軽にプレイする層が脱落すれば、衰退していきます。

ただ、『BFV』からのプレイヤーにとってはピン方式が当たり前ですし、他の欠点に比べると致命的ではありません。そのため、本項に入れました。

「評価に迷う・少し不満に思う点」には他にも、極端に強調された足音や陰鬱で盛り上がりに欠けるBGM、など多岐にのぼります。ただし、これらはもっと大きな欠陥に比べれば些細なものです。

ページ2 『バトルフィールド2042』強く不満に思う点
《大塩》
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