ゲームは面白いだけでなく、色々な勉強になる要素を含んでいます。例えば『桃太郎電鉄』シリーズで日本の地理や特産品を学んだというゲーマー諸兄も多いのではないでしょうか。筆者はこれまで多くの『大航海時代』シリーズをプレイしてきたことで、世界の地理に関する学びを得たと考えています。
そんな『大航海時代』シリーズの第2作『大航海時代II』のスーパーファミコン版が「Nintendo Switch Online」のサービスに登場しました。本作は元々PC向けに1993年に発売され、これまで多くのプラットフォームに移植されているシリーズでも高い人気の作品です(スーパーファミコン版は1994年発売)。
16世紀初頭のいわゆる「大航海時代」を題材にしており、国籍が異なる6人の主人公が世界を舞台に冒険や交易、海戦を行っていきます。多彩なプレイスタイルによる自由度の高さが特徴で、光栄(現・コーエーテクモゲームス)の“リコエイションゲーム”としての魅力が詰まっています。

本稿では『大航海時代II』の魅力とともに、ゲームの遊び方などを紹介していきます!なお、記事執筆タイミングの関係で、スクリーンショットの撮影にあたっては筆者所有のスーパーファミコン版でプレイしました。

いざ海原!目的の異なる6人の主人公
本作でプレイ可能な6人の主人公は、それぞれスタート地点や境遇、そしてストーリーの目的が大きく異なります。ゲーム内では冒険・交易・戦闘それぞれに名声があり、冒険家や海賊、億万長者を夢見る商人など、主人公ごとに目的となる名声を上げていくことでストーリーが展開していきます。
筆者はイタリア国籍の冒険家ピエトロ・コンティーが大好きなのですが、今回は最初に表示されている主人公のジョアン・フェレロを使用しました。ジョアンは前作『大航海時代』の主人公の息子で、ある日、父から1人前になるための試練として「プレステ・ジョアンの国」の発見を命じられるところから物語は始まります。




目的達成までは家への出入りを禁じられ、国では平民として扱われることになったジョアン。お付きとして仲間になったベテラン航海士・ロッコのアドバイスに従って船を入手し、最低限の資金を受け取り、会計能力を持つエンリコを仲間にして、いよいよ壮大な冒険の幕が開きます。
ちなみにこのジョアンは目標として冒険が中心なのですが、海戦などのイベントが多めのキャラクターです。システムを覚えるのにはピッタリですが、作中でもシナリオの難易度が高い主人公なので注意しましょう。ロッコがとても優秀な仲間なので、慣れてしまえば遊びやすいのも間違いないのですが……!





冒険を楽しみたいならジョアンだけでなくピエトロ(宝探し)・エルネスト(地図作り)、交易ならアル(投資)、海戦ならカタリーナ(海賊)とオットー(私掠海賊)を選びましょう。シナリオは異なりますが、金稼ぎなど基本的なプレイは大きく変わらないので、好きなキャラクターで始めても問題ありません!




「安く買って高く売る」がすべての基本です
各主人公は開始時点で最低限の船と資金を持っていますが、水と食料の補充やクルーの給料、ときには傷ついた船体の修理など、航海にはお金が不可欠。もちろん、はるか外洋への冒険となれば船自体もより良いものへと新調しなくてはなりません。お金を稼ぐ基本は交易です。
それぞれの港には多彩な交易品があり、例えばジョアン編では「リスボンで岩塩を買ってセビリアで売る」「セビリアで陶磁器を買ってリスボンで売る」という、いわゆる2点間貿易のやり方がエンリコから紹介されます。移動しながら特産品やお得な交易品を運んで利益を出すという考えです。




なお、このエンリコ交易ルートは多少の利益は出るのですが美味しいとはいい難いものです。交易は「安く買って高く売る」のが基本。本作ではカテゴリーごとの相場変化があり、買えば高く、売れば安く推移していきます。そのため、2点間貿易は同一カテゴリーで売買して相場をなるべく保つことも重要です。
ジョアンのスタート地点であるポルトガルの首都・リスボンは、地中海も北海も、アフリカ大陸も目指せる好立地。特にポルトガルはとある島の特産品が非常に優秀な交易品として存在するので、活用したいところです。儲けたお金で船を増やせば一度の航海で得られる利益も増えていきますね!




また、交易所や造船所に投資をすることでそれぞれの港は発展していきます。発展度によって新しい交易品が登場したり、船の種類が増えることも。船は改造して乗組人数や砲台を増やして戦闘仕様にすることもできますし、割り切って交易や冒険専用のカスタムにするのもおすすめです。





世界は発見に満ちている
交易である程度お金を稼いだら、いよいよ世界への冒険の始まりです。『大航海時代II』では、初期状態ではほとんど世界地図が明らかになっていません。そのため、自身で色々な港を巡りながら地図を完成させていく必要があります。
この際に、各地にあるスポンサーと「契約」しておくことで、新たな地域や発見物の報告で名声とお金を得ることができます。名声を得ることがストーリーを進めることにもなるので、冒険家の主人公の場合は必ず契約を結びましょう。エンリケ航海王子のようなパトロンは、大航海時代に大きな存在だったのです。



航海中には、さまざまな場所で「集落」を発見できます。集落では遺跡や生物などを発見できますが、地域住民を歓待して好感度を上げるのが必要なことも。また、発見物によってはクルーの数が減るようなイベントもあるので注意が必要です。長い川をのぼる冒険など、場合によっては航行不能になりかねません。
喜望峰を超え、インドまでたどり着き、やがてアジアの黄金の国・ジパングまでたどり着く――冒険航海ができるゲームは、少しずつ未知の世界を広げていく楽しみがあります。ゲーム内では主人公によって多少制約はありますが、この発見を自由に行えるのも大きな醍醐味です。




筆者はいわゆる「北回り航路」が好きです。これは、現在のノルウェーから北上してアジアなどを目指すルートなのですが、途中いくつかの補給港はあるものの、厳しい環境のコースで達成にはある程度準備が必要があります。普通に遊ぶなら交易も発見もできる通常航路のほうがいいのですが、あえて過酷な航路を選択する――これも自由な旅の醍醐味です。
冒険だけでなく、ひたすら交易で稼いだり、海賊として海軍を壊滅させたり、隠されたアイテムを探したり、遊び方はいくらでも用意されています。




地名を知るだけでも楽しくなりますよ
本記事の冒頭で、筆者は『大航海時代』シリーズで世界の地理の学びを得たことを紹介しました。ゲーム内は実際に詳細な世界地図があり、港の位置や地名なども、ある程度は現実に則したものになっています(地名などは時代でも変化していますが)。
例えばロンドンやヴェネツィア、アテネの位置がどこにあるか、と言われたら多くの人がわかると思います。ワインで有名な場所と言われて、フランスのボルドーを思いつく人も多いでしょう。ゲームをプレイしていくと、こういった情報を自分で探索しながら得られていくのです。



大まかにでも地理を知ることで、映画やニュースで国や地方、遺跡の名前が出たときに「あ、あの辺だ!」とわかるようになります。港の住民が土地に関する情報を披露してくれることもあり、遊ぶことで色々な知識が深まっていく体験というのは貴重なものです。



もちろん勉強になるだけでなく、ゲームとして面白いものであることも大きなポイントです。自由なプレイスタイルは、地理・産物・考古学・生物学・船など、さまざまなカテゴリーに自然に触れる機会を与えてくれ、それがゲーム自体の没入感をアップさせてくれています。
シリーズで言うと過去に『大航海時代Online』をプレイしていましたが、こちらは酒場や生産で色々な地域の料理を作ることができました。この知識もちょっとしたタイミングで思い出せるので、とても大切な思い出になっています。







「Nintendo Switch Online」にて配信された『大航海時代II』は、比較的遊びやすく完成度の高い作品です。もちろん当時の容量から来るコンテンツ量やわかりにくさもありますが、多彩な境遇の主人公によるさまざまなプレイングは大きな魅力と言えるでしょう。
世界の姿を明らかにしていく冒険も、一度の利益を追求する交易も、最強の艦隊を目指す海戦も、すべてはプレイヤー次第。この自由度を堪能するだけでなく、あの菅野よう子さんが作曲している各種BGMも是非とも楽しんでほしいところです!


なお、今回同サービスでは、『大航海時代II』を含むコーエーテクモゲームスの歴史シミュレーション4作品が追加されました。いずれもじっくりと楽しめるゲームなので、色々と遊んでみてください!
※UPDATE:キャラクター名に誤りがあったので修正しました。














