
チェコにて開催されている『キングダムカム・デリバランス II』の舞台をめぐるツアー「KC:D live」の取材に訪れた日本ゲームメディア一行は、事前に首都プラハに到着。中世の歴史やチェコの城郭、大自然を感じられるツアー「KC:D live」を訪問する前に、筆者はアートと文化、歴史に包まれた街、プラハの市街地を巡ってきました。
本記事では『キングダムカム・デリバランス』をきっかけに、チェコに興味を持った読者の方へ、プラハの主要観光地を紹介しながら、チェコのもつ独特の歴史文化を紹介します。
街並みを歩くと感じる歴史と文化


まずこちらはプラハ旧市街。市街にはバロック様式やゴシック様式など、ヨーロッパらしい様々な建築技術を駆使した美しい建物に溢れ、ティーン教会や天文時計など美しい教会群が広がっています。筆者は「のだめカンタービレ」の大ファンであるため、ドラマ版のロケ地でもある旧市街の街並みを歩いた際には夢のような気分に包まれていました。

こちらがヤン・フス像。フス皇帝は14世紀~15世紀に活躍をしたチェコの宗教思想家で、当時、権力を強く持っていた教会が行っていた貴族と庶民間での待遇格差(例えば、キリストの血として宗教上飲むことができるワインは貴族やお金持ちにしか与えられなかった、など)の是正に取り組んだり、庶民が読みやすいように読み文字に「v」の形のアクセントをつけるなど、現在のチェコ語形成に通じるアイデアを発案した人物です。
しかしながら教会との対立の中、処刑され、火炙りに。以後フスの意志を注ぐフス派は戦争を開始。戦争では『キングダムカム・デリバランス』にも登場する将軍ヤン・ジシュカなどが活躍しました。

旧市街から広がる道はパリ通り。日本でいうところの銀座に近いような、ブランドショップが揃う街並みとなっています。

こちらはユダヤ人街で、主人公が突然虫に姿を変えてしまう作品「変身」を記した、チェコ人の著名な作家、フランツ・カフカの邸宅も存在しています。

つづいてこちらが新市街。美しい景色が広がる新市街ですが、チェコスロバキアの独立宣言、プラハの春、ビロード革命といった、チェコが旧ソ連から離れ、独立した国家となっていくための民衆の蜂起がかつて行われ、戦車などが投入された過去があります。

こちらは映画「アマデウス」の舞台となり、オペラが演じられたエステート劇場。すでにアメリカに移住していたミロス・フォアマンが映画監督を務めた本映画ですが、制作当時は、まだチェコが共産主義政権下であったため、秘密警察に囲まれながら、厳戒態勢の中でのロケが行われたそうです。
共産主義下で、劇場内にもともとあった歴史的なインテリアは全て入れ替えられていたため、チェコの各地を回って椅子などの小道具をかき集めての撮影となったとのこと。エステート劇場は現在もオペラや演劇などが鑑賞可能とのことです。


こちらはプラハ・カレル大学です。プラハ・カレル大学とは14世紀の神聖ローマ皇帝カレル4世(カール4世)によって建設された非常に権威のある大学で、キャンパスは学部ごとに分かれています。
神聖ローマ皇帝カレル4世はチェコの歴史において、最も重要とされる人物で、プラハ・カレル大学や、プラハ新市街、カルルシュテイン城、プラハ城、聖ヴィート大聖堂、カレル橋などチェコの重要建築物の多くを建築を行いました。パリやイタリアにて経験を積んだ後にボヘミア(チェコ)にて神聖ローマ皇帝となったため、ラテン語、ドイツ語、フランス語、チェコ語などを使いこなすことができる非常に聡明な人物であったとのこと。

また、チェコのナショナルシンボルはライオン。ライオンの像を頂上に構えるこちらの建物はチェコのナショナルバンクで、チェコの通貨にもライオンがデザインされています。
ギネスブックにも登録される世界最大の城・プラハ城



最後にプラハ城。約77万平方メートルのギネスブックに世界最大のお城と登録されている本城は、聖ヴィート大聖堂と呼ばれるゴシック様式の大聖堂があり、かつて王たちが戴冠式を行った場所となっています。
880年頃に築城されたお城であるものの、20世紀になっても城の拡大工事を行い続けていたそうで、中を歩いてみると、『キングダムカム・デリバランス』に登場する城とはまた違った魅力を持つ、広大かつ美しい城内の観光が楽しめます。



また、こちらは旧市街からプラハ城へと続く道、カレル橋。バロック様式の彫刻が立ち並んでおり、日本人に馴染み深い銅像としてはフランシスコ・ザビエル像があります。彼の功績にちなんでザビエル像の左部分には東洋人と思われる人間が描かれています。
以上が、プラハの市街地レポとなります。非常に歴史や宗教、文化が豊かな街並みとなっていますが、現在のチェコ人の方が口を揃えて言うのは、「チェコ人には宗教観が薄い」ということ。何か「神なるもの」を信じているものの、実際に教会のミサにまで行く人はあまりいないとのことで、現地の方とお話しをする中でも、どことなく日本人の宗教間に近い点を感じました。
一度読者の方々も街を歩いて、人に触れて、このプラハという街ならではの感覚を、ぜひ味わっていただきたいと感じました。
協力:チェコ政府観光局