第四の壁が2025年5月1日に発売予定の『異世界帰りの僕と失われた恋』。本作は河北彩伽さん、上原亜衣さん、三浜唯さんらが出演する一人称視点のSteam用実写恋愛シミュレーションゲームです。
何らかの原因で異世界に転移していた主人公は、最強の魔法使いとして魔王討伐の旅を終えました。しかし気がつくと、目の前にはかつての懐かしい現実世界の光景が。魔法使いの力を手にしたまま現実世界へなぜか帰還してしまった主人公は、初恋の相手とバッタリ遭遇するも......?

ゲームは魔法の力を使える主人公と、個性豊かな5人のヒロインたちによる、予測不能で時に甘く、時にユーモア溢れる非日常が繰り広げられていくことになります。選択肢によるシナリオ分岐やマルチエンディングシステムを採用し、さらに実写映像とのインタラクティブな体験が楽しめる、意欲的なタイトルに。セクシー女優たちが登場するゲームではありますが、ゲームにアダルトコンテンツはありません。
プレイレポ記事はこちら。
この度、ご縁があって、本作に制作協力をしているVFXスタジオ・StealthWorksの協力により、ゲームの主人公とヒロインを演じる声優陣にインタビューを実施することができました。
インタビューにご協力してくださったのは、主人公役・里岡拓弥さん(@satooka_1406)、純奈役・小路裕夕さん(@shoji_yuyu)、楓役・伊澄茉耶さん(@isumi_maya)の御三方。中でも小路さんと言えば『ヘブンバーンズレッド』のキャラクター・水瀬すもも役としても知られています。
アニメ誌「月刊 アニメディア」のゲーム特集で、キャラクターを演じた声優へのインタビューを何かと行うことが多い筆者なのですが、今回は作中キャラクターの演技部分だけではなく、「ゲーム」という媒体における声優陣の見え方、そして声優を目指したきっかけからプライベートに至る部分まで、あまり本作と関係ない部分を含めて、みっちり幅広くお話を伺えました。
ゲーム業界で活動する記者の視点から見ても、中々興味深いインタビュー内容になったため、せっかくなのでほぼ全文をGame*Sparkにて掲載することにしました。これから声優へのキャリアを歩もうとしている方々にとっても、何か少しでも参考になればと思います。

◆現場のディレクションを通して深まるキャラづくりの技術。経験がない役どころだからこそ「挑戦」に
━━Game*Spark編集部です。本日はよろしくお願いします!早速ですが自己紹介をお願いします。
里岡拓弥さん(以下、敬称略):プロダクション・エースの里岡拓弥(さとおか たくや)です。
この作品がデビュー作で初めての作品になります!今回はゲーム『異世界帰りの僕と失われた恋』で、主人公の声を演じさせていただきました。よろしくお願いいたします。
小路裕夕さん(以下、敬称略):同じくプロダクションエースの小路裕夕(しょうじ ゆうゆ)です。よろしくお願いします。
デビュー5年目になります。普段はアニメやゲームのキャラクターボイスを中心に担当させていただくことが多く、実写映像に対する吹き替えは今作が初めての参加となりました。今作ではヒロインの1人「純奈」の声を担当しています。
伊澄茉耶さん(以下、敬称略):プロダクション・エースの伊澄茉耶(いすみ まや)です。ヒロインの1人「楓」の声を演じています。普段はアニメとゲームの収録が多いです。最近はラジオドラマのような作品にも出演させていただいてます。
まだ活動を始めたばかりなので、これから活動の幅を広げていければいいなと思っています。本日はよろしくお願いします。
━━まずはゲームの収録に参加してみた感想をお願いします。
里岡:今作で演じさせていただいたゲームの主人公は顔が見えないので、最初に映像をいただいた時に“どんな表情”をしてるのかが全然分からなくて、最初のうちはヒロインのセリフから「今だったらこんな表情なのかな」と、自分で作って演じていました。ですが、それだとぶっきらぼうな感じが出てしまっていたんです。
現場の音響監督さんから「もっとファニーに」と言われてから「見えていないならもっとやっていいんだ!」と思ったのがすごく印象に残っていて、今回は好き勝手に演じさせていただきました(笑)。
「もっと面白くていい、おかしくていいよ」って言われたので、“へっぽこ”な感じが表現できていればと思っております。
━━今回、里岡さんが演じられた主人公はどういった人物なのでしょうか?
里岡:異世界から現実に帰ってきて、自分が手に入れた「チート能力」を自分のために使っているというすごく利己的で浅ましい人物です(笑)。
当初は色んな女性と関係を築いていくというところから、かっこいい主人公像を勝手にイメージしていたんです。実際には思っていたものとズレていたみたいで、もっと下心があって、わがままで自分勝手なヤツっていうキャラクターに仕上がっているのかなと思っています。
自分のためにしか能力を使っていなかったので、下心はバリバリにある方かなと(笑)。

━━ありがとうございます(笑)。続いてヒロインを演じられた小路さんと伊澄さんにもお伺いしたいと思います。
小路:私が担当させていただいた純奈は、ゲーム内の役者さんがJoey Lyjさんという方でして、私がスゴい理想とするような美貌をお持ちの女性で......(笑)。役が決まったときは、声だけでもこんな爆美女になれるって嬉しさがまず最初にありましたね。
純奈はすごく高飛車でワガママ。主人公を気分でブンブン振り回していくようなお嬢様っていう役で、結構パワーがあるというか、自分の意志がはっきりとした役だったんですね。
自分で言うのもなんですが、優しい人間なので(笑)。
一同:(笑)。
小路:その役のパワーに負けないようにしつつも、キャラクターの意志を忘れないように強く保っていないとって言うのはありました。
でもその反面、寂しさを抱えてたりとか、子供みたいに無邪気にはしゃいだりするギャップもある“たまらん性格”をしていたので、そのたまらん感じをお届けしたいなっていう思いが強くあります。私が男性だったらだいぶ好きですね~(笑)。

━━(笑)。ちなみに小路さんは『ヘブンバーンズレッド』の「水瀬すもも」役として認知しているファンもいると思いますが、純奈に近いと感じたところはありましたか?
小路:そうですね。マイペースな性格という意味では凄く似てるかなと。
━━水瀬すもものように猫っぽくてツンツンしている?
小路:そうですね!ツンツンしてはいますよね。でも、もしかすると純奈の方はあまり優しい人間ではないのかもしれない(笑)。
伊澄:私も小路さんと同じで、まず映像をいただいた際に演者のKiraさんがすごく綺麗な方だなっていうのに驚きました。普段は優しい性格の役を演じることが多く「今回もそういう役なのかな?」と思ったら、楓はクールというか冷たい部分も持ち合わせているキャラクターだったんです。
私は声質が柔らかいこともあって、お芝居が“優しくなり過ぎない”ようにっていうのはすごく気を付けていた部分で、監督さんからもディレクションしていただいていた部分でした。

━━やっぱり今まで自分の演じたことがないキャラクター性を演じるのは、難しいものなのでしょうか?
伊澄:そうですね。難しくて慣れないところではあったんですが、ご指摘いただきながら演技を調整していくのが挑戦でもあり、楽しくもありっていうところでした。もっと厳しくやってもいいと言われ「あ、もっとなんだ...!」と、思いながら合わせていった感じです(笑)。

━━今作はゲームですが、実在する女優がキャラクターとして登場する実写作品でもあります。アニメ作品と実写作品の演技にはどんな違いがあると思いますか?
里岡:今作の主人公は顔が映らないため、個人的にはあまり実写作品というアフレコの仕方はしていなくて。もちろん最初は方は実写作品のゲームということもあり、実写のつもりで役を作っていったんですけども、現場のディレクションに応えていくうちにだんだん、こうアニメ寄りの芝居になっていきました。
僕としてはキャリアとして今回がデビュー作にあたるので、アニメ作品と実写作品の違いを上手く表現できているか分からないのですけども、普段見ているアニメや、自分が研究してるアニメのようなお芝居はしました。
「リアクションも大きく取っていい」ということだったので、普通の人がするリアクションよりも2倍、3倍ぐらい大きくリアクションしていたので、“アニメ作品に近いお芝居”ができたんじゃないか思います。
小路:アニメーションのときは「このキャラクターはどういう声を出すかな」ってところから自分で持っていくんですけれども、実写作品では、本体となる役者さんがいらっしゃるので、その方が出している“素敵な感じ”を邪魔しないように拾いながら演じています。
後は、実写ならではの生身の人間の繊細な表情の変化と動きを拾って合わせた上で、日本語音声になったときに自分ならそのセリフの中で、どこに想いを強く乗せて言ったらいいかなっていうのを考える。そのバランスが難しいところでもあり、やりがいがあるというか楽しい要素でもあるなっていうのを思いました。
━━里岡さん演じる主人公は、「姿が見えないからこそアニメ寄りな演技」が求められたようですが、ヒロイン側は「実写の女優さんがいるからこそ吹き替えに近い」と?
小路:そうですね。やっぱり動きを拾うというところでは、かなり吹き替え要素があるお仕事だったなと思うんですけども、今作のテイストはアニメーション的というか「ファンタジー(異世界)」ですし、演者の方もアジア系の役者さんです。
なので良い具合に今までやってきた“二次元の絵に当てることと、吹き替えの間くらい”の感覚でしたね。

━━なるほど。それでは実際の収録において苦労した部分などはありますか?
小路:私が一番苦労したところは......キス音(笑)。
一同:(笑)。
小路:大変でしたね、キス音が。今までやってきたお仕事の中ではなくて(笑)。
里岡:たくさんリテイクされていましたね。
小路:本当に申し訳ない......。
里岡:凄く勉強になりました。そういう出し方もあるんだって(笑)。
━━伊澄さんはアニメ作品と実写作品でどんな違いを感じられたのでしょうか?
伊澄:アニメ作品ではシーンや絵に合わせて芝居感をデフォルメする必要がありますが、実写作品だと実在の方がそのまま登場するので、イチから作り込むより基の情報からナチュラルになるよう、仕上げていく感覚が強いかなぁと思いますね。
━━ちなみ小路さんが苦戦されていたキス音の収録は大丈夫でしたか?
(無言でサムズアップする伊澄さん)
一同:(笑)。
伊澄:以前、マネージャーにそういうことも必要になるからって言われていて、「そっか。練習しないといけないんだ...!」と思って練習をするようになったら、結構早く使う機会がきました(笑)。
「やった!」と思って(笑)。すぐにOKも貰えたので、勉強した甲斐がありました。マネージャーに感謝ですね。
━━声優活動をされている方の視点から見てゲーム作品に関われる面白さや良さはありますか?
里岡:今回の作品に関して言いますと、マルチエンディングなので選択肢によって見える視点が変わったり、ヒロインのリアクションが変わったりします。そういった意味ではアニメや映画では味わえない“自分で物語を進めていける体験”というのが、ゲームならではの面白い所です。
僕ら演じている側としてもパターン毎のお芝居を楽しめました。「そりゃあそんなことを言ったらそうなるよね」みたいな、そういう持ち味もあるのかなと。
人生を生きてる中で“選択肢は1回しか選べない”と思うんですけども、ゲームなら別の選択肢も簡単に選べます。今作は「恋愛」がメインのゲームですが、僕自身の恋愛経験としても「あのときこうしておけば良かったな」という後悔はあるので、そういう部分が演じる中で体験できたのは面白かったと思います。

小路:ゲームっていう点で言うと、ユーザーさんへの「訴求時間が長い」ところかなと思います。リリースされてからずっと遊んでくださる方が現われ続けることで、知ってもらえる機会になるのはすごくありがたいことです。
今回の作品に関しては、内容が“男の子の理想の世界”という感じで「あ~こういうのが好きなのね!」って(笑)。その世界観にどっぷり浸かることができてとっても楽しかったです。
━━アニメのように原作がないので、プレイヤーのウケを狙った性質は強いのかもしれません。それこそ男性陣の欲望みたいなものが詰まっているのかなと(笑)。
小路:演じていてとても面白かったですね。
男心を知れるし、やっぱり演じている側も“味付けを濃くしたくなってしまう”というか(笑)。普段ないじゃないですか、そんな風に振る舞うことって。なので、男心をくすぐる可愛い女性になれたのがすごく楽しかったです。
伊澄:自分は主人公に感情移入してしまうタイプなので、今作のアフレコのときに「すごい、みんな自分のことを好きになってくれる」というか(笑)。こんなアプローチを自分も受けてみたいなっていう楽しさがありました。
あんな綺麗な方々に......。見ているだけでもドキドキするような内容だったので、ぜひプレイヤーの皆さんにも楽しんでいただければと思います。

━━最後にGame*Sparkの読者や今作が気になっているプレイヤーに向けてぜひメッセージをお願いします!
里岡:先ほど小路さんがおっしゃっていたみたいに男の妄想というか「夢が詰まった作品」ではあると思います。ゲームではいろんな女性といろんなシチュエーションが展開されていくと思うんですけども、絶対に“推し”が見つかると思いますので、その人とハッピーエンドを迎えられるように頑張って選択肢を選んでいただきたいです。
もし、僕が異世界からチート能力を持って帰ってきたら、絶対主人公と同じように下心を持って女性に接すると思います(笑)。皆さんもそれを噛み締めてというか、そういう気持ちで、ゲームをプレイしていただけると良いなと思っています!
小路:いろんなタイプの女の子とイチャイチャできる作品になっていると思うので「なんか最近、生活が乾いてるな......」みたいな読者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ触れていただきたい作品になっているかなと思います。
「俺は振り回されたいんだ。翻弄されたいんだ」というタイプの子が好きな方がいらっしゃいましたら、ぜひヒロインの純奈にアプローチして楽しんでいただけたらなと思います。
伊澄:選択する楽しみ、選択から得られる感情の楽しみもあるので、ぜひ楽しみながらプレイして欲しいです。シーン毎にその選択肢に合うようなお芝居を意識しているので、そういう部分も含めてプレイしていただけると嬉しいです!
次ページではおまけとして、声優として活動されている3人の日常的な習慣や、声優デビューの経緯など、プライベートなエピソードをお届けしています。












