
KONAMIの人気シューティングゲーム『グラディウス』シリーズと『沙羅曼蛇』シリーズをまとめた『グラディウス オリジン コレクション』が、Nintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに、8月7日に発売されます。
本作はレトロゲームの移植に定評があるエムツーが開発を担当し、原点(オリジン)となる初代『グラディウス』と初代『沙羅曼蛇』、『ライフフォース』、『グラディウスII GOFERの野望』、『グラディウスIII 伝説から神話へ』、『沙羅曼蛇2』、そして基板の各バージョンと海外版に加え、さらに完全新作となる『沙羅曼蛇III』も収録するという大ボリュームのコレクションです。
今回は一足先にプレイする機会に恵まれたため、全体的な内容と注目の移植となる初代『グラディウス』の北米プロト版、そして『グラディウスIII』AMショー版を中心としたプレイレポートをお届けします。

1周目から撃ち返し!?いきなり始まる『NEMESIS(グラディウス)』北米プロトタイプ版
初めは『NEMESIS(グラディウス)』北米プロト版のレポです。KONAMIによると初代『NEMESIS(グラディウス)』の北米プロト版は、本作開発のために調査していたROMの保管箱から発見されたもので、復活時の敵出現テーブルやランク計算式、撃ち返しの条件、ランク依存の敵の行動などが発売版と異なるそう。これを再調整したものが、実際に市場に出回った北米リリース版ではないかと推測されています。
『NEMESIS(グラディウス)』北米プロト版をプレイしてみると、スタート直後こそ他のバージョンと同じものの自機のパワーアップにあわせて、敵の速度や弾数もどんどん増えていくので、自機のスピードを早めに2段階以上へと増やさないと攻略が厳しいほどです。


また、厳密な条件は見極められませんでしたが、1周目でもランクが7付近になると撃ち返し弾(敵が倒されると同時に自機に向けて弾を放出する)が発生します。体感ではステージ1の中盤から発生するので『グラディウス』シリーズが持つ、敵弾を避ける楽しさを早いうちから得られますが、かなりの高難度であるのを感じます。


既存の日本版とも欧州/北米版とも一味違うプレイ感覚だったのが北米プロト版でした。もちろん、基本的には初代『グラディウス』であるため、ステージ7をクリアすると2周目に入りステージ1へとループします。
発売版と何もかも違う!『グラディウスIII』AMショー版
続いては、完全新作『沙羅曼蛇III』と別に、移植タイトル側の本命の1つと言えるAMショー版『グラディウスIII』です。この『グラディウスIII』は、第27回アミューズメントマシンショー(AMショー)にてプレイアブル出展されたもの。
かつて存在したアミューズメント関連の業界紙「ゲームマシン」第366号のレポートによれば、1989年10月のAMショーに出展した時点では、1989年12月に完成を控えた状態だったものだそうです。確かに、今回収録されているAMショー版にはオープニングの映像が無く、タイトル画面に音楽が流れ続けているのみで、完成に至っていないのがわかります。


早速プレイしてみると、発売版にあったビギナーモードへの選択も無く選択画面に入ります。装備自体も一部異なっており、スネークオプションやリメインオプションなどが未実装だったり、リデュースが「!」枠にあったりと違いがあります。
さらに最も違うのがミサイルの種類です。発売版にもあるコントロールを除き、ホーミングとスプレッドボム、フォトントーピードという顔ぶれで、ほぼ全て異なります。


武器について言えば、特にリップルレーザーの発射数は発売版で画面上に最大2発まででしたが、AMショー版では最大6発と、3倍の火力に。判定も広く、驚くべき性能に変化しました。各ミサイルの性能も良く、非力な装備を補いつつ戦え、装備選択の幅が広がっています。


またステージ構成も発売版と異なります。ステージ1は地形の砂丘に砂が流れ落ちるアニメーションがあったり、パワーアップカプセル持ちの敵が多く出現し、ステージ1でもフル装備状態にできたりと、違いはすぐに感じられます。

加えて、ステージ1のボスがワイバーンなのですが、倒されると双頭のバルチャードドラゴンにならず3体のサンドドラゴンに分裂するという違いも特筆すべきです。
地形や敵出現パターン、ステージの長さも異なっており、まるで新作を遊んでいるかのような新鮮さに溢れています。
全体的には、自機の発射弾数が多く処理落ちこそしやすくなっていますが、火力で手強い敵を押し切れる場面が多い印象です。

これら発売版とAMショー版の違いは、公式サイトに公開されているプレイ映像と、ハムスターによって移植されたアケアカの発売版映像を見比べるとよりわかりやすいでしょう。
発売版で自機の火力が足らず難所と化していたステージ2の泡も、AMショー版では火力に任せ、そう苦労せず突破可能です。
ただし、AMショー版のステージ2の構成では途中で上下の地形が無くなりデモスが隊列を成して大量に襲いかかる場面があります。
自機が撃墜されてからの復活パターンも異なるため、発売版と違う難しさを感じますし、初期状態で戦う時は発売版とほぼ変わらない難度を持つ印象を受けます。



全体のステージの流れも発売版と異なり、ステージ3は植物ステージで、ステージ4が火山ステージ、ステージ5が3D高速スクロールステージ、ステージ6がボスラッシュ(リザードコアとデリンジャーコアのみ)、最後のステージ7がクリスタルステージです。各ステージの背景アートや敵配置をみると、発売版との細かな違いも多く見受けられます。
特にクリスタルステージは発売版と大きく異なるため沢山紹介したいのですが、この驚きは発売までのお楽しみということでご容赦ください。なお、AMショー版は発売版における最終ステージなどが実装されておらず、ステージ7クリア後に1周する構成です。
こうして通しでプレイしてみると全体的に、火力面のバランスはAMショー版の方が取れており、敵の多さと自機の強さがほぼ釣り合う印象でした。
AMショー版をプレイすると『グラディウスIII』そのものに対する見方が変わると言っても過言ではないかもしれません。それほど筆者としては衝撃的でした。
一方でAMショー版では、自機の表示弾数による処理落ちの多さは否めず、その点を踏まえれば、後の発売版で自機武装の弱体化やステージ構成の変更などの調整が行われたのは納得できる話です。
しかし、結果として自機が弱くなりすぎてしまったために発売版では多くの場面で「耐え忍ぶ」ようなバランスになってしまったのではないかと思えます。どうすれば適切でエキサイティングな難易度になるのか、シューティングゲームにおけるバランス調整の難しさを感じました。
アーケードで『III』が稼働して以降、様々な移植版が武装追加やステージのアレンジなどで何とか『III』のバランスを調整しようとしてきたのは、プレイヤーのフィードバックもさることながら、このAMショー版があったからではないかと想いを馳せてしまいます。
令和にシリーズの歴史を紐解いてくれる『グラディウス オリジン コレクション』

今回は『NEMESIS(グラディウス)』北米プロト版とAMショー版『グラディウスIII』が中心でしたが、『グラディウス オリジン コレクション』は、かゆいところに手が届く充実のオプション内容と各モードを備え、かつて『グラディウス』シリーズをプレイしたユーザーだけでなく、後追いで『グラディウス』シリーズに触れてきたユーザーにも薦めたいコレクションに仕上がっています。
もちろん、これから初めてシューティングゲームの『グラディウス』に触れてみたいと思うユーザーにもオススメです。
収録されるタイトル以外にも、サウンドギャラリーでは収録タイトルの曲が聴けますし、グラディウス図鑑では敵キャラの名前やポイントが確認できます。さらにビジュアルギャラリーでは、設定画やポスターも観覧できるため、過去作を深く知れるのが嬉しいです。


『グラディウス オリジン コレクション』はNintendo Switch/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに、2025年8月7日に発売予定。通常版は6,380円(税込)です。『沙羅曼蛇III』のサントラや、収録作のアートワークなどを同梱した、限定版のニンテンドースイッチ/PS5向けプレミアムボックスは12,980円(税込)、コナミスタイル限定のニンテンドースイッチ/PS5向けトリロジーセットは17,380円(税込)です。