
2025年7月18日にリリースされる、Steam向け新作アドベンチャーゲーム『魔法少女ノ魔女裁判』初の朗読劇&トークイベント「魔法少女ノ魔女裁判~the first page~」が、5月10日に昼夜2回公演で開催されました。

ゲーム発売前にも関わらず、昼夜共に会場は満席。さらに、夜公演前にグッズが完売してしまうという、異例の展開を見せたイベントの夜公演をレポートします。
黒幕の“魔女”は一体誰なのか?疑い、罵り合う少女たちの運命は―
シナリオ制作会社Re,AER発のクリエイティブブランド「Acacia」が手がける『魔法少女ノ魔女裁判』は、13人の少女たちにまぎれている魔女を炙り出すため、魔女の魔法と嘘を暴いていく魔法議論×ADVミステリーです。
今回の朗読劇では、ゲームのネタバレなしのサイドストーリーとして楽しめる“完全書き下ろし新ストーリー”が展開。夜の部の登場人物は「桜羽エマ(CV:三木谷奈々)」「二階堂ヒロ(CV:東雲はる)」「宝生マーゴ(CV:樹冬華)」「遠野ハンナ(CV:石崎紗彩)」の4人です。

血で満たされた巨大なバスタブの中で目を覚ました桜羽エマ。彼女の他に、二階堂ヒロ、宝生マーゴ、遠野ハンナと名乗る少女たちも閉じ込められており、また全員が閉じ込められる以前の記憶を失っていました。
どうすれば出られるか思考を巡らせている最中にも、排水溝からあふれ出る血の量は増えるばかり。さらに、バスタブの側面に浮かび上がる「くろまくのまじょは このなかにいる」の文字。
「この4人の中に、私たちを閉じ込めた犯人がいるのかもしれない」―疑心暗鬼になった4人は、お互いを疑い合い……。
この“少女たちが1か所に集められ、その中から“魔女”を探し出すというのはゲームのシステムと同じ。この話し合いの中で、彼女たちの個性が見えてきます。

このような状況に陥っても比較的冷静な二階堂ヒロは、成績優秀・スポーツ万能・家柄も良く、非の打ちどころがない少女です。
ただ価値基準が「正しいか」「正しくないか」なため、正しさを追い求めるあまり、偏った思想に走りがち。これが“裁判”にどう関わってくるかがポイントになりそうです。

そしてヒロと同じく比較的冷静であり、むしろ余裕そうにも見える宝生マーゴ。彼女は「信用しない・信頼しない」が信条で、人・物・現象など、この世の全てを信じないと決めています。
笑顔も言動も一切本心ではないため、一番怪しく見えますが……。観察眼が鋭く、頭の回転も速いため、口が上手いのもマーゴの特徴。きっとこの部分が、良い意味でも悪い意味でも“裁判”をかき乱しそうです。

一方、2人とは正反対で、この状況に大慌てする遠野ハンナ。「~ですわ」などのお嬢様言葉で話し、発言も上から目線。高貴な生まれの印象を受けますが、見栄を張った物言いも多く、それを指摘されるとケンカ腰に。そのため、彼女もまた何かを隠し・偽っているのではないかと思われます。

そして、主人公の桜羽エマもまた、何らかのトラウマを抱える1人。地頭が良く、冷静に物事を見て判断することができるものの、嫌われるのが怖くてわざと失敗することがあります。
なぜ彼女たちはこんなゆがんだ性格・思想になってしまったのか。これは朗読劇の中で明かされますが、それによって少女たちの疑いがより深まることに……。

なんとかバスタブを抜け出し、次に辿り着いたのは食堂。再び浮かび上がった文字には、「いけにえ し のこり でる」と書かれていました。さらに4人の前にグツグツと煮えたぎる大釜が用意されていたことから、誰かが「生け贄」となって大釜に入り死ぬことによって、残りの3人は出られるのだと考えます。
問題は、誰が生け贄になるか。ハンナが自分を偽って生きていると見抜いたマーゴは、「自分を偽るということは、現実で生きづらさを感じているから」と、ハンナが生け贄になるべきだと主張します。対するハンナは、「辛いこともあったけれど、自分の生き方に誇りを持っている」と拒否するのでした。
残り時間が迫り、このままでは4人全員が死んでしまう――という中、「僕が生け贄になる!」とエマが立候補。彼女が思い切って大釜に飛び込み、これで残りの3人は解放された、と思われたのですが……?
3人は薄い氷の張った湖の上に立たされており、少しでも衝撃を与えるとすぐに割れて、冷たい水の中に沈んでしまいます。大釜に飛び込んだはずのエマもそこにおり、足が氷に張り付いて動けない状態になっていました。

ここで浮かんできた文字は「そこで ねむれ」。生け贄のエマを湖の底で眠らせろという、暗に「殺せ」と言っているような文字に、3人は顔を歪ませます。一方、エマは「僕以外の3人が出られるなら」と犠牲になることをやはり受け入れるのでした。
そんなエマを助け出そうと、氷を砕き始める3人。出会ったばかりにも関わらず、4人は心を通わせ始めます。
しかし、次に目覚めた先ではエマ以外の3人の記憶が少しだけ戻っており、バスタブで目覚める前に「閉じ込められた心当たりはあるか?」と自白を強要されたと言います。
強要してきた相手は、なんとエマ。ですが、エマにはその記憶がなく……黒幕の魔女の正体は、本当にエマなのでしょうか?

こうした“魔女の炙り出し”が、ゲームでも展開していきます。朗読劇の登場人物は4人ですがゲームでは13人もの少女たちが登場し、疑い、裏切り、殺し合うという内容です。
“魔女”は一体誰なのか? そもそも“魔女”は本当にいるのか……? 本公演は、まるでゲーム内容そのものを疑ってしまうような朗読劇。本稿を読んでいる読者の方にもしこの疑念が生まれていれば、それはすでに『魔法少女ノ魔女裁判』の世界に入り込んでしまっているということでしょう。

会場を埋め尽くす「共犯者(本作のファンの総称)」も同じ気持ちだったようで、終演後、出演声優陣の「これからも共犯者として、一緒に罪を重ねていきましょう」という言葉に割れんばかりの拍手が巻き起こっていました。
ゲームでは、この朗読劇の“続き”が展開されます。少女たちが裏切り、殺しあう残酷な物語の結末とは――?
新作アドベンチャーゲーム『魔法少女ノ魔女裁判』は、PC(Steam)にて配信予定。早くも7月18日のリリースが待ち遠しいところです!
(C)2024 Re,AER LLC./Acacia
写真撮影:武田真和