
自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第26回では、Lingが開発・販売を手がけるデッキ構築型カード融合ローグライト『Trizon』をご紹介します。
『Trizon』とは

本作は「デッキ構築型ローグライト」に分類される、トレーディングカードゲーム(TCG)の要素を取り入れたローグライク/ローグライトゲームですが、『Slay the Spire』に代表される「コマンドカードを使用して敵を倒していく」のではなく、一般的なTCGと同様にフィールド上に仲間を召喚し、相手フィールドの敵を一掃することを目的とします。

本作の敵戦闘においては最初から敵ユニットがフィールド上に配置されており、これを全滅させることが目標です(戦闘によっては、敵の増援が発生することもあります)。カードの左上に書かれているのがコストで、0コストのカードはフィールド下半分の自分のフィールドに出すことができます。

1コスト以上のカードは自分フィールド上のカードに重ねることで「燃やして生贄にする」ことができ、コストが1下がります。こうしてコストを0にまで下げると、そのカードも戦場に出せるようになります。コストの支払い方こそ違いますが、この生贄の仕組みは『遊戯王OCG』『遊戯王ラッシュデュエル』のアドバンス召喚に近いので、これらのタイトルを遊んだ経験のある方にとってはすぐに慣れることができるかと思います。

召喚した仲間モンスターは、ターン終了時に真正面のモンスターを攻撃します(基本的に正面以外のモンスターには攻撃できません)。こうして召喚した仲間で、すべての敵モンスターを倒しましょう。

使い切りのスペルカードも多数用意します。厄介な敵を直接焼いたり、HPを調整して次の一撃で倒せるようにしたり、その他諸々のサポートをしたり。さまざまな使い道があります。

敵を撃破すると、新たなカードを入手するチャンスがやってきます。

各カードは固有の能力を持っているので、それを活かすデッキ構成を見据えてカードを追加していきましょう。本作は高コストカードの使用に必須となる0コスト仲間カードの需要が高いので、積極的にピックしていくとよいでしょう。

本作の最大の特徴的な要素が「カードの融合」です。先述した『遊戯王OCG』でも一部のカードを「融合」して強力なカードを召喚することができますが、本作ではマップ上に現れる「融合」マスに止まることで、ゲーム上に登場するあらゆるカードを融合することができます。

例えば、低タフネスだが敵を撃破するとカードを1枚ドローできる「ネコ」に、高タフネスと1度だけダメージを無効にできる「カニ」を融合すると、高タフネスで敵の攻撃を1度無効化しつつ、敵を殴れて撃破できたら1枚ドローという、「ネコカニ」というわけのわからない生物が誕生します。
融合したカードはそれぞれのカードのすべての能力を合算します(コスト、固有能力、攻撃力、防御力)。もちろん高コストの強力なカードを合成すれば能力値も跳ね上がるわけですが、召喚に必要なコストも跳ね上がることにはご注意ください。
「ぼくのかんがえたインチキ効果カード」で戦場を蹂躙せよ

さて、本作では「あらゆるカードを融合できる」と書きました。そして、本作では1枚のカードに何十枚もカードを合成できます。つまり、理論的にはあらゆる能力を持つ究極生物カードを作ることも可能なのです。しかも、本作ではランを終了するたびに1枚その周回で使用したカードを保存することができ、次回以降のランで保存したカードを1枚デッキに加えてスタートすることができます。つまり、1枚のカードを複数周回ランで徹底的に鍛え上げていくことができるのです。
参考までに、筆者がストーリーモードクリアまでに愛用した「宅配ヒトデ王様収穫祭(2)ネコカニ彼岸花反物質(3)雪嵐旋風火葬イグルー生贄子ヤギ天罰(2)手紙チョウリサイクル雨」の能力(一部)は次の通りです。
コスト1/攻撃力22/守備力47/盾/びしょ濡れ(火攻撃耐性)/召喚時カードを1枚ドロー
召喚時フィールド全体に3ダメージを2回与える。この効果によりモンスターがフィールドを離れた場合、カードを1枚ドローする。
このカードがダメージを受けた場合、空いた味方フィールドに「ヒトデ」を召喚する。
このカードの与えるダメージによって敵モンスターがフィールドを離れた場合、ランダムな敵モンスターに5ダメージを与える(2回)。このダメージによって敵モンスターがフィールドを離れた場合、他の敵モンスターに5ダメージを与える。この効果を繰り返す。
このカードの与えるダメージによって敵モンスターを倒した場合、カードを1枚引く。
このカードがフィールド上に存在する限り、敵が召喚したモンスターは凍結状態(1ターン麻痺)となる。
魔法カードを使用するたび、このカードの攻撃力/防御力を+1する。
このカードにはコストにした仲間カードの攻撃力と防御力を加算する。
このカードは戦闘開始時に必ず手札に追加される。
う~ん、なんて素敵なぶっ壊れカードなんでしょう。戦闘開始直後に適当な0コストカードを生贄にして、このカードを召喚するだけで大抵は敵陣が壊滅、もし敵が残ったとしても、大量に加わった手札を駆使してそのまま圧倒、勝利できます。
こうしてゲームを何度も周回してぶっ壊れたカードを作り出して、作り出したインチキ効果カードで「強靭!無敵!最強!粉砕!玉砕!大喝采!」を繰り返すのも、本作の正しい楽しみ方の1つなんだろうと思います。
しかし……このゲームの真価は持ち込み不可の「アセンションX」にあり!?

さて、ここまでいかに本作のカード無双が楽しいか……ということを語ってきたのですが、本作にも「デッキ構築型ローグライト」にはつきものの「アセンション」モードが存在します。その中でも、特にゲーム性に与える影響が大きいのは最高難易度の「アセンションX」です。
「アセンションX」では、ここまで鍛えに鍛えたカードを持ち込むことができません。「ぶっ壊れカードで無双」が出来ない、真のプレイヤーのデッキ構築力が求められるゲームモードとなります。

その代わりに、ゲーム開始時にランダム選出されたなかから縛りプレイを選び、そのうえで「トリゾン」と呼ばれる3枚の強力なカードのうちランダムな1枚を持ってゲームを開始します。

このモードを進めやすい縛りの内容はすべての報酬カードが二重合成済みで出現する「合わせ鏡」か、すべての報酬カードがランダム合成済みで出現する「ティアラメンツ」です。
このうち、「ティアラメンツ」は毎回ムチャクチャなネーミングの合成カードが出現し、カードの効果バリエーションが非常に豊かになるので、遊んでいてとても楽しくなります。デッキに必須のコスト0カードの確保がなかなか難しいのが悩ましいのですが……!

「死者蘇生ヤンデレ」ってなに……何!?

何はともあれ「アセンションX」モード、「鍛えたカードで無双」ができず、難易度は非常に高いのですが、本ゲームに関するあらゆる知識と経験が要求される絶妙なバランスのゲームモードに仕上がっています。
日本のローグライクゲームでいうところの「もっと不思議」的な、難しい……けれど何度もチャレンジしてやる!的なプレイ感覚が楽しめる、本ゲームの真の本編と言っても過言ではありません。一見絶望的な難易度に見えるかもしれませんが、チャンスを掴めば充分に*勝利*は可能なので(筆者達成済み)、このゲームを気に入った方は是非ともここまで遊んでほしいと思います。
『Trizon』は、PC(Steam)にて1,000円で配信中です。