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俺の死は、始まりに過ぎない。ポイント&クリックADV、80年代ノワールの香りが濃密な『The Drifter』プレイレポ

日本語翻訳は進行中とのこと。今後のアップデートにも期待ですね。

連載・特集 プレイレポート
俺の死は、始まりに過ぎない。ポイント&クリックADV、80年代ノワールの香りが濃密な『The Drifter』プレイレポ
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今回はPowerhoofとDave Lloyd氏が手掛け、2025年7月18日にSteamにてWindows PC向けに リリースしたポイント&クリックアドベンチャー『The Drifter』をご紹介。

『The Drifter』とは?

本作はとある街を舞台に、主人公ミック・カーターを通じて、彼が巻き込まれてしまった陰謀の真相を追いかけていく、ピクセルアートのポイント&クリックADV。

古き良きアドベンチャー形式を踏襲し、どこか80年代のクライム映画を彷彿とさせるハードボイルドな世界観の本作。それでありながらゲームシステム的には意外とテンポが早く、現代的な遊びやすさも取り入れられており、実に親切で丁寧なプレイフィールでした。

なお物語の展開がゲーム進行の核になっているため、本稿がプレイレポという性質上、どうしてもネタバレにならざるを得ず、もし現時点で事前情報無しにプレイを検討している読者がいらっしゃれば、ここでブラウザバックをおすすめします。

操作・設定・言語について

本作はキーボード&マウス、そしてコントローラーでのプレイに両対応しています。昔ながらのポイント&クリックなので、マウス操作が基本かと思いきや、コントローラーでの操作性も驚くほど快適でした。左スティックでミックを移動させ、右スティックで周囲のインタラクトできる対象を選択する方式は、直感的でストレスがありませんでしたね。

またグラフィックやサウンドまわりのその他設定項目については、オーソドックスなものが並んでいます。

なお言語についてですが、記事執筆時点では、残念ながら日本語には未対応。全編フルボイスで、登場人物たちの会話も非常に重要なのですが、その英語もスラングを多用した癖のある表現が多く、聞き取りや読解にはそれなりのスキルが求められます。

とはいえ個人的には映画を見ているような楽しさがあって、本作の世界が持つ雰囲気にめちゃくちゃ引き込まれたのでグッドポイントだったり。

ちなみに今後のアップデートでは、日本語対応も予定されているとのこと。


本編開始

さあ始まりました『The Drifter』。ゲームを始めると、列車の内部が映し出されます。退廃的で、それでいて奇妙な美しさを湛えたピクセルアートがすでに良し。この解像度からでもわかる「疲れた中年」感が漂う人物が誰あろう我らが主人公のミック・カーターです。

フルボイスがさらに引き立てる主人公の魅力

ここからチュートリアル的に進行していくのですが、本作は伝統的なポイント&クリックアドベンチャーの形式であるため、操作感に戸惑うことはないと思います。怪しい場所をクリックして調べ、アイテムを手に入れ、それを別の場所で使ったり、時には組み合わせたり。

それ以外にも、画面内に映る他のキャラクターと会話をしながら情報を引き出して次へ進んでいくのですが、これら一連の行動には、ミックのナレーションがついています。しかもフルボイスで、これまた良い声なんですよ。やや掠れた調子で語る見事な演技も相まって、彼の吐き出す悪態や、時折見せる弱さ、そしてくたびれた様子に人間的な魅力を感じてしまうのです。

緩急のバランスがあるゲーム展開

ところでこういったジャンルのゲームは、そのシステム上、腰を据えてじっくりと謎を解くことに終始しがちです。本作でも基本はそのスタイルなのですが、時には、死と隣り合わせの状況で決断を迫られるなど、「制限時間を感じさせる」ような演出もあり、引き締まったプレイフィールを楽しめました。

選択を誤ればミックは死亡してしまいます。特に筆者は、「なんかよくわかんないけど、わかんねえ!」と手当たり次第に選択肢を試す蛮族式攻略法によってたつため、何人ものミックを無慈悲な死に追いやってしまいました。しかし、本作において「死」は終わりではありません。

本作では、ミックが死ぬたびに、時間は彼が殺される直前に巻き戻ります。これは「死に覚え」というメタ的なお約束ではなく、ゲームシステムとして見事に物語に組み込まれているのです。一度目の死で得た情報を元に、二度目のループでは別の行動を取る。そうやって試行錯誤を繰り返し、絶望的な状況を打開した時の「助かった……!」という安堵感は、他のゲームでは味わえないものがありました。

必ずヒントがある

所持品やジャーナル(?)にカーソルを合わせれば「ミックの独り言」とセットで、いくつかの情報が表示されます。それらを画面内のインタラクト可能なオブジェクトを組み合わせていけば、必ず答えにたどり着けるようデザインされているのが本作の良いところ。

謎解きの難易度も、決して理不尽なものではなく、基本的に何でも試してみれば何かしらの反応があるので、開発チームが言う通り、本作はプレイヤーが迷いにくいような設計になっていると思います。

ただそれでもたまに「あれ?これどうなってんだ?」と迷子になり、正解にたどり着くまで画面内を虱潰しにクリックしてまわることもあったのですが、たぶんこれは筆者の脳筋総当たり攻略法に問題があるものと思われます。


本作は、開発チームの、古き良きポイント&クリックアドベンチャーへの熱い情熱を感じさせながら、しかし、ただのフォロワー作品ではなく、「死のループ」という現代的なスパイスを加えることで、新しい地平を切り拓いた野心作だと感じます。

美しいピクセルアート、耳に残る良質なBGM、そしてプレイヤーを引き込んで離さない、巧みに構築された物語。これらが高次元で融合した結果、本作は単なるアドベンチャーゲームの枠を超え、上質な一本の映画を観ているかのような、深い満足感を与えてくれました。

このお盆休みに、じっくり腰を据えてこのゲーム世界を堪能してみるのも良い選択肢かもしれませんね。

  • タイトル:『The Drifter』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2025年7月18日

  • 著者プレイ時間:2.5時間

  • サブスク配信有無:無し

  • 価格:2,300円(サントラ付きバンドルはセール価格で2,905円)
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパくんのひとこと

古き良きシステムが現代的な便利さに調整されており、なおかつ濃密な物語によって全身に浴びるハードボイルド(?)がたまらんスパよ


《ライター:エイダ,編集:麦秋

編集/お空の人。 麦秋

普段は仕事であちこち渡り歩いては飛んでます。自分が提供するものが誰かのお役に立てれば幸い。皆さんのこくまろなキャラに並べるよう頑張ります。

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