『ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ』1周年インタビュー!金山D、1年経っても「心は沈みがち」と吐露。だがユーザーの“期待を超える”ため寿命を削り続ける―2年目の展望やコラボ方針も訊いた【TGS2025】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ』1周年インタビュー!金山D、1年経っても「心は沈みがち」と吐露。だがユーザーの“期待を超える”ため寿命を削り続ける―2年目の展望やコラボ方針も訊いた【TGS2025】

開発者は辛さを乗り越えつつ、期待を超える努力を続けています。

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『ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ』1周年インタビュー!金山D、1年経っても「心は沈みがち」と吐露。だがユーザーの“期待を超える”ため寿命を削り続ける―2年目の展望やコラボ方針も訊いた【TGS2025】
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2024年10月のリリースから、間もなく1周年を迎えるスマートフォン/PC(Steam)向けRPG『Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ)』。リリース直後の不安定さという苦難を乗り越え、多くの冒険者を奈落の底へといざない続けてきた本作は、この1年で大きな成長を遂げました。

昨年のローンチ前のインタビューの際「いったいどうなるんでしょう、このタイトル」と語っていた開発ディレクターの金山圭輔氏は、この1年をどう振り返り、そして未来をどう見据えているのか。


本稿では、同作の1周年を目前に控えた金山氏へのインタビューをお届けします。キャラクターやイベントの反響から、今後のアップデート、コラボの方針、そして2年目への抱負まで、赤裸々に語っていただきました。

■1周年を迎えても「心は沈みがち」―地下8階からようやく地下6階へ

――1周年を目前に控えた今、率直な感想はいかがでしょうか。

金山圭輔氏(以下、金山): もっと幸せになれるかと思っていたらそうではない、というのが正直なところです(笑)。まず1周年を生き延びられて良かったというのはあるんですけど、やっぱり楽にはならないですね。全然心は沈みがちです。

――いきなりヘビーな言葉が飛び出しましたね…。

金山: ええ。息つく暇がなく、余裕がない感じですね。ダンジョンに潜る感覚で言うと、地下8階で死にそうになっていたのが、今はなんとか地下6階くらいまで戻ってきた感じです。まだ地上には出られていません。

――そんな過酷な1年で、最も反響があったイベントは何でしたか?

金山: なんでしょうね…グアルダ城塞や忍者・侍の実装などもありましたが、やはり「ブレイド&バスタード」(※)とのコラボは反響が大きかったです。新規の方も既存の方も盛り上がってくれましたし、売上も思った以上でした。自社関連タイトルなので手前味噌感があるかと思いきや、かなり好評でしたね。クエストや、冒険者の内容をこだわったかいがありました。

※編注:蝸牛くも氏の手掛ける『ウィザードリィ』小説作品。アニメ化も決定している。

――冒険者についてはいかがでしょう。プレイアブルな冒険者と、そうでないキャラクターでそれぞれ教えてください。

金山: プレイアブルでは、なんだかんだでシェリリーニャが強いですね。ハーフアニバーサリーで登場した冒険者ですが、頑張った結果、このタイトルの中では突き抜けて可愛い冒険者になったので、皆さんに愛してもらえました。プレイアブルでない方だと、最初からいじられている主人公の相棒ルルナーデはもちろんとして、エルモンやアルバーノあたりですね。新しいほうだとモルグスなどは楽しんでもらえたかなと思います。

シェリリーニャ
ブースではシェリリーニャはじめコスプレイヤーの姿も

――ガチャの人気も、やはりそのあたりと連動している感じでしょうか。

金山: そうですね、「ブレイド&バスタード」の2人は強かったのもあって人気でしたし、やはりシェリリーニャも人気でした。あとは「カシナートの剣」が手に入るということで、注目の冒険者 放浪の王女ラナヴィーユも人気がありましたね。みんなカシナートが好きなんです。

――開発者として、この1年で最も嬉しかった瞬間はいつでしたか?

金山: リリースして「このゲームでも売上が立つ」とわかった瞬間です。クローズドβテストで「面白いものは届けられる」という手応えはあったのですが、それが商売になるかは分かりませんから。リリース直後は通信障害や不具合も多くて大変申し訳なかったのですが、それでもユーザーさんがついてきてくれて、売上が立ったと確認できた時が一番ホッとしました。「生き延びられる」と。

――従来の『ウィザードリィ』ファンからの反響はいかがでしたか?

金山氏: 昨年のインタビューの時点では「これで『Wiz』として認められるのか」と不安でしたが、思ったより受け入れていただけたという印象です。

仲間が喋ったり、「逆転の右手」といった独特なシステムも「これはこれでいいね」という感じで。もちろん、受け入れられずに離れてしまった方もいるとは思いますが、少なくともモバイルを中心に展開する新しい『ウィザードリィ』として、温かく迎えてもらえたと感じています。本当に感謝しています。

ブースに据えられた掲示板にはファンからの激励が並んだ

――そして、逆に最もピンチだったのは…

金山: やはりリリース直後の1週間ですね。進行不能や復帰不能といった不具合に加え、通信の遅延…。メンテに入っては開けて、またメンテに入っての繰り返しで、ユーザーさんからのお叱りも、社内からのプレッシャーも凄まじかったです。

当時は、お詫びやお知らせの準備などに追われて、昼ごはんを1、2分でかきこんで席に戻るような状況でしたね。最近は、ようやく30分くらい休憩がとれるようになりました(笑)。

■それでも開発は楽しい―“期待を超える”ことが原動力

――そんな過酷な日々の中で、開発の楽しさを感じる瞬間はありますか?

金山: やはりスタッフが驚きのあるものを作ってくれたり、「もっとこうした方がいいんじゃないか」と提案してくれたりした時ですね。あとは、他社さんでは費用対効果が悪くてやらないような“ちょっとしたこと”を押し切って実装して、それにユーザーさんが気づいてSNSなどで盛り上がってくれると、やっぱり嬉しいです。

――その“ちょっとしたこと”が、本作の魅力に繋がっているのかもしれませんね。

金山: 私たちは「期待を超える」ことを大事にしているんです。

※編注:ドリコムは企業理念としてミッションに「with entertainment ~人々の期待を超える~」を掲げている

スタッフが作ったものが自分の期待を超えてきたり、ユーザーさんの反応が我々の期待を超えてきたりすると、嬉しくなりますし、その大切さを実感します。だから自分も寿命を削りながら、常に期待を超えていこうと。

一度超えたら、次はそれをさらに超えなければならない。死ぬまでその繰り返しです(笑)。売上目標も期待を超えて、と。

ゲーム開発者を目指す子供たちが少なくなるかもしれないですけど、あえて言えば「辛い」。

1周年迎えてなお辛い。なるほど、これが現実だ。という感じなのですが、今作はシビアで辛い世界の中で苦労した先に感動があります。自分もこの開発の先に感動があると信じてやっていっています。

■冒険者の入れ替え、転職後の見た目、Steam版…気になるアレコレ訊いてみた

――現状、冒険者の入れ替えがしづらいという声もあります。今後の緩和策はありますか?

金山: あります。本来は、好きな冒険者を突き詰めて育成する遊び方と、適材適所で交代させて挑む遊び方の両方ができるようにしたかったんです。ですが、皆さんの、個々の冒険者に対する愛が想像以上に深くて(笑)。

今後はもう少し入れ替えをしやすくするため、特定の冒険者が輝けるようなシーンを増やしたり、システム面でも典籍時計(経験値の書)のようなアイテムでのフォローのような、入れ替えのハードルを下げる施策は入れていこうと考えています。

――水着エカテリーナのような別衣装の冒険者は今後も増えますか?アーシャとか…

直近で登場したとある冒険者の別衣裳

金山: 皆さんの冒険者への愛が深いので、人気のある冒険者の別スタイルは用意していきたいです。ただ、そこまでたくさん増やしたいわけではなく、冒険者の使用率であったりとか要望に応じてという形ですね。

アーシャ…承知しました。

――伝説の冒険者クエストや転職後のグラフィックを、スタイル切り替えから以前の姿に切り替えられる機能が欲しいという声もありますが…。

金山: 職業グラフィックの切り替えも含めて可能性はあります。ただ、公式に「姿を戻せます」とは言いづらいんです。

とくに伝説の冒険者クエストのほうは、デボラ等が顕著ですが、それを経て冒険者が変化したのに、巻き戻ってしまうのは世界観的におかしいので。なので現状そちらは“裏技”(※)的な要素としてあります。職業グラフィックの切り替えも要望が多ければ同じような形で実現するかもしれません。

※編注:伝説の冒険者クエスト後の見た目の変化については訓練室でキャラを三回連続タップをすると切り替えが可能ですが、ゲーム中の説明はない“裏技”です。

――増えてきた冒険者たちの活躍の場として、派遣以外のコンテンツは考えていますか?

金山: 中長期的には色々と考えています。ただ、特定の冒険者がいないとクリアできないような、苦しくて楽しくないものにはしたくありません。今くすぶっている冒険者たちが活躍できる喜びをどう提供できるか、バランスを見ながら検討しています。

――Steam版がリリースされましたが、手応えはいかがですか?

金山: UIや画面構成がスマホ向けということもあり、賛否は多いですね。海外からの新規ユーザーさんも、我々が思っていたほど爆発的に増えたという感じではありません。まずは国内でのプロモーションに注力していたので、これから海外向けにも展開していきたいと考えています。その時にSteam版も伸びてくるのではないかと期待しています。

――Steam Deckへの対応についてはいかがでしょう?

金山: 現状、使用率などもあってどうしても後回しになってしまいますね。他社さんも含め対応するのがより一般的になってきたら可能性は上がると思います。個人的にはやりたいんですけどね(笑)開発中にDeckで遊ぼうとして、なんで動かないんだとなったりもしたので。

■コラボは“驚き”を重視、今後の奈落は“ガラッと構造を変える”―今後の『ダフネ』

――今後のコラボの方針について教えてください。他の『ウィザードリィ』シリーズとのコラボはあり得るのでしょうか。

金山: 最初のコラボだった「ブレイド&バスタード」に関しては、準備的な側面も含めて自社の『ウィザードリィ』IPからとなりましたが、今後は『ウィザードリィ』IPよりは、もっと驚きのある選定をしていきたいです。もちろん、ご縁があれば他の『ウィザードリィ』作品とも可能性はありますが、そちらを積極的に、というわけではありません。

基本的には既存のプレイヤーさんはもちろん、新しいユーザーさんにも興味を持ってもらえるような、盛り上がりが大きくなるコラボができないかと考えています。ただ、世界観的な部分などもあり、なかなかご一緒できるものを探すのも大変です。突飛なものが実施できる段階でもないと思っているので。

――そろそろ次の奈落も今年中に見えましたが、今後のアップデートの方針は?

金山: 4つ目の奈落の一部を現在公開中ですが、内容については近々より詳細な情報をお出しできると思います。そして、ようやく1周年を迎えられたので、さらにその先の奈落では、またガラッと構造を変えようと準備しています。「ユーザーさんに普通に思われてしまったらおしまいだ」と思っているので、常にハッと驚くような体験を届けたいです。

ただ、細かいものやシステム関連については、ある程度方針は立てつつも臨機応変にやっているので、メインの奈落の展開とは別のタイミングで追加されることが多いと思います。直近では、自動戦闘の改善、オート移動の改善などのほか、各地に散らばる懸賞金がかけられた凶悪な魔物や悪党を討伐する「賞金首」システムなどが該当しています。

ほかには、罠の扱いに長けた新たな職業の登場を年末以降に予定しています。

――メインストーリーの10大異形を巡る物語が終わった後、何か大きな変化はありますか?

金山: 10大異形の話の後には、大きな転換がなくてはならないと考えています。今までのプレイフォーマットから少し違う形にしたいですね。また、10大異形の話についても物語の終盤は三大勢力同士の抗争が本格化してくるので、奈落の探索と勢力争いのバランスが、今とは変わってくると思います。

■2年目の目標は“もっと多くの人が知るゲームへ”

――実のところ本作は、新規ユーザーにとって少しハードルが高く、最新のコンテンツに追いつくのが難しい部分もあるかと思います。

金山: 難易度が高いということについては、それを攻略するのを楽しさとしているゲームなので、基本的には変えません。

ただ、攻略するための手段や気持ちをサポートする施策はより手厚くしていきたいです。しかし、最優先は今遊んでくださっている皆さんにより良い体験を届けること。なかなかリソースが回らないのが現状です。

短期的にやることと、中長期的にやることのバランスを取っていくのが大変ですね。

――最後に、2年目に向けての抱負をお願いします。

金山: 月並みですが、奈落の提供ペースを上げ、機能改善を進め、不具合を減らすといった、今の体制でよりクオリティの高いものを素早く届けられるようにしていきたいです。以前に一度開発チームの規模を大きくしたのですが、その体制のメンバーがより精鋭となって動けるようにも取り組んでいっています。

そして、今は『ダフネ』は「知る人ぞ知る」ゲームですが、もっと色々な人が知っているゲームになってほしい。皆さんが知り合いに「変なゲームだけど面白いよ」と勧めていただけると、来年にはもうちょっと良くなっているかもしれません。ゲームショウの酒場のブースも多分倍くらいに広くなったりして。

『Wizardry Variants Daphne』、まだまだこれからのタイトルではありますが、2年目につきましてもなにとぞよろしくお願いします。


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ライター:Arkblade,編集:Akira Horie》



ライター/関連業界のあちこちにいたりいなかったりしてる人 Arkblade

小さいころからPCゲームを遊び続けて(コンソールもやってるよ!)、あとは運と人の巡りで気がついたら、業界のあちこちにいたりいなかったりという感じの人に。この紹介が書かれた時点では、Game*Sparkに一応の軸足を置きつつも、肩書だけはあちこちで少しづつ増えていったりいかなかったり…。それはそれとしてG*Sが日本一宇宙SFゲームに強いメディアになったりしないかな。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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