Game*Sparkレビュー:『バトルフィールド6』変わらない“『BF』らしさ”は良さでもあり、同時に欠点でもある | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『バトルフィールド6』変わらない“『BF』らしさ”は良さでもあり、同時に欠点でもある

求めていた『BF』が帰ってきた…!C4ドローンに思いを馳せる。

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シリーズ最新作となる『バトルフィールド6(BF6)』がいよいよローンチ!シングルプレイキャンペーンの復活や建物の破壊表現、新たなゲームモードなどさまざまな要素を引っ提げて“お祭りFPS”が帰ってきました。

しかし、プレイヤーの記憶に残るのは“スコアボードすらなかった”『BF2042』ローンチ時の淡い記憶と無数のバグたち。「2042が“アレ”だったから……」と、本作の購入を様子見しているユーザーも少なくないはず。本レビューではそんな期待と注目の最新作、『BF6』のさまざまな要素にフォーカスしたレビューをお届けします。

なお、レビューにあたってはエレクトロニック・アーツよりSteam製品版コードの提供を受けており、サーバーやマッチングの内容はローンチ先行体験の内容となります。

『BF6』で復活した、シングルプレイキャンペーンはプレイする価値あり

『BF6』では前作『BF2042』でオミットされていたシングルプレイのキャンペーンモードが復活し、物語の舞台は2027年ごろの世界。世界各国の情勢が混迷してNATOの基盤が揺らぐなか、“武力による平和”を掲げる巨大な民間軍事企業「パックス・アルマータ」が台頭し、各地で実権を握り始めます。

プレイヤーは逆境の中で立ち上がるアメリカ海兵隊の部隊「ダガー1-3」のメンバーとして、さまざまなキャラクターの視点からストーリーが展開されるキャンペーンミッションに挑戦していきます。

キャンペーンは複数のミッションを通じて展開され、それぞれ時系列や戦場、戦い方も別々。斥候兵「ゲッコー」としてスナイパーライフルやドローンでの支援を行ったり、工兵「マーフィー」として装甲車を護衛しながら戦ったり、突撃兵として最前線を切り開いたりと、キャラクターや兵科にフォーカスした“見せ場”が用意されていました。

さらに、分隊員に指示を出すことで戦略的なチームプレイも可能です。“偵察”を指示することで周囲の敵をスポットでき、グレネードランチャースモークでの支援、分隊員の蘇生なども指示出しが可能。キャンペーンは難易度も複数用意されているので、この指示を的確に使い分けることがあらゆるシチュエーションを打破するカギになることもあります。

『BF6』でフィーチャーされている大規模な建物の破壊といった要素もシナリオに組み込まれており、屋内での戦闘ではスレッジハンマーで家具やドアを破壊して射線を広げたり、RPGで建物を攻撃してスナイパーの位置を暴いたりと、自分なりの戦い方で進められます。また、壁をC4で爆破して友軍部隊の援護に向かう、というようなシチュエーションもみられました。

また、ショットガンを持った敵やスナイパー、機関銃手など敵のバリエーションも複数用意されているほか、道中には弾薬の補給ポイントだけでなく武器も落ちています。詳細なカスタマイズなどはできないものの、さまざまな武器種や兵科を試すことができるので、キャンペーンを通じて自分好みの武器を見つけられるようになっているのは良い設計だと感じました。

大規模なマルチプレイヤー戦闘が“華”として語られがちな『BF』シリーズですが、本作のシングルプレイキャンペーンはプレイする価値が高いように感じます。「アメリカやNATOが傭兵組織の攻撃を受けて……」というストーリーは一見すると“ありきたり”に思われるものの、本作ではさまざまなキャラクターの視点・時系列から物語が語られ、単調になりにくくなっています。

そのうえで、さまざまな兵科の基礎やガジェット、武器や乗り物の操作、新しい戦闘要素などを実践的かつ自然な形で学ぶことができるので、マルチプレイの戦闘に乗り込む前に、まずはじっくりとシングルプレイキャンペーンをプレイしてみることをおすすめします。

待望の『BF』が帰ってきた!マルチプレイはさらなる戦いのレベルへ

『BF6』のマルチプレイでは、従来のゲームモードに加えてさまざまな新モードが登場しています。空には戦闘機やヘリが飛び交い、地上では戦車と装甲車、そして歩兵たちが駆けるオーソドックスな「コンクエスト」をはじめ、分割されたセクターで一進一退の攻防が繰り広げられる「ブレークスルー」、占拠できるテリトリーがどんどん減少していく「エスカレーション」など、“全面戦争”では文字通りの総力戦が展開されます。

一方で、より小規模なゲームモードも追加されている。最速で目標のキル数到達を目指す「チームデスマッチ」や「分隊デスマッチ」のほか、陣地の占領とポイントを競う「ドミネーション」、「キング・オブ・ザ・ヒル」など近距離でのハイテンポな銃撃戦が楽しめるモードもあり、マップ内の移動などもしやすくなっています。

マップデザインについても、あらゆるゲームモードが存在するなかで大規模なマップから小規模なマップまで用意されており、あらゆるユーザーのニーズに対応しています。

兵科システムは『BF2042』のようなスペシャリスト制は廃止され、突撃兵・工兵・斥候兵・援護兵と4種類の兵科に分かれています。また、それぞれの兵科には「トレーニングパス」と呼ばれるパークのようなスキルセットを設定可能で、戦闘を通じてプレイヤーの能力が強化されます。武器やガジェットの編成とスキルを組み合わせて、プレイスタイルの方向性を自分なりにカスタマイズできるのが良い点だと感じました。

武器のカスタマイズもコストをやりくりしながらアタッチメントを装着していくスタイルで、ダメージや射程など自身の銃のステータスがどういった状態にあるのかを確認しやすい良いデザインになっています。

兵科による武器種の制限は、コミュニティでも議論の的になっているトピックのひとつです。各兵科には得意な武器種が設定されていて、リロード速度や武器を構える速度など補正を受けることができます。ここで注意したいのは、武器種は制限があるものの、持ち込めるガジェットは兵科ごとに異なるということです。

「ビークルの脅威に対応するには、工兵のガジェットが欠かせない」などそれぞれに役割があるほか、トレーニングパスなどでも個性を出すことができるので、“特定の兵科や武器種だけが使われ続ける”ような状況はあまりないように感じます。また、それぞれ異なった装備をすることで、ゲームモードやマップの試合展開にもバリエーションが生まれます。

筆者としては、兵科ごとに武器種の制限を設けるルールをデフォルトにしなくて正解だったと思いました。もちろん、武器種制限ありのモードも用意されています。

兵科専用の武器種にのみ制限されたモードも

自身でゲーム体験をカスタマイズできる「Portal」機能も健在で、他のユーザーが作成したコンテンツのプレイや、自身でコンテンツを作成することも可能。各Portalのコンテンツを体験することで経験値も得られるほか、サーバーブラウザを用いることでどんなコンテンツがあるかをチェックできます。

マッチングするゲームモードやマップも選択可能

戦闘ではあらゆるムーブが進化、目玉の戦略的破壊は慣れるまで時間がかかりそう

本作ではグラフィックやゲームモードの進化だけでなく、戦闘の根幹である銃撃戦も進化しています。「キネステティック・コンバット」と呼ばれる戦闘の一連の新システムには複数のアクションが含まれており、その最たる例が“引きずりながらの蘇生”。これによって、比較的安全な位置からの蘇生を可能にしているほか、「戦場で戦っている」という没入感の演出にも一役買っていると感じました。

また、遮蔽物を利用した覗き込みや、遮蔽物に固定することで反動を抑える依託射撃、高所からの着地時に受け身を取ることで落下ダメージ軽減や回避が狙えるなど、銃撃戦で取れる選択の幅が広がっています。これまでのテストで指摘されていたキャラクターの操作性についても改善されており、より直感的な操作が楽しめるように。

さらに、本作の注目の要素でもある建物の“戦略的破壊”は必見。グラフィックのクオリティも高く、建物の壁が粉々に消し飛ぶ様子や砂煙、墜落したヘリやグレネードによる爆風と衝撃の表現など、かなり力を入れていることが窺えます。

グラフィックの細かな設定が幅広く、フレーム生成やアップスケーリングといった最新技術にも対応。快適性を重視しつつも、ド派手な戦場の演出をしっかりと味わえます。筆者のプレイ環境では最適化不足を感じる場面もなく、グラフィック設定を高くしていても、重さやカクつきを感じるシチュエーションは見られませんでした。これにより、マルチプレイ・シングルプレイ問わず、かなりの没入感を生み出すことに成功しています。

一方で、戦略的破壊については、有効活用できるまでにユーザー側の慣れが必要なように感じました。例えば「スナイパーが潜む場所の遮蔽物を取り除く」「床を破壊して突き上げ、突き下げ」といった簡単な動きはできるものの、「マップや建物のどういった部分が壊せるのか」、「相手の意表を突くにはどこを壊せばいいのか」といった“応用”については研究が必要で、直感的には理解しにくい印象です。

結局、建物を壊さずにお互い正面で撃ち合う……というような場面も多く見られました。

余談ですが、今回のマルチプレイを先行体験している最中、“C4ドローン”戦術を敢行しているユーザーの姿も見られました。本作でのドローンは移動距離の制限が厳しく、遠距離から爆撃をすることは難しいですが……戦場の要素すべてを使って戦う“BFらしさ”を感じ、「これだよ、これ……『BF』はこうでなくっちゃ!」という気持ちになりました。見とれている間に、屋上に登ってきた敵に倒されたので警戒は怠らないようにしましょう。

総評―“変わらない”ことが良さであり、同時に欠点でもある。そんな『BF』最新作

今回はシリーズ最新作、『バトルフィールド6』のさまざまな要素に注目したレビューをお届けしてきました。前作『BF2042』のローンチ時には数多くの不具合や最適化不足もあり、ユーザーやコミュニティからは厳しい声を向けられました。

その後数年かけて改善を図ったものの、多くのユーザーから『BF』というタイトルへの興味や信頼を失ってしまったことは事実。そんななかでの本作のローンチは、本当に困難が多く待ち受けていたと思います。『BF labs』を開催することでユーザーのフィードバックをより身近に、迅速に受け取る体制を確立したほか、今回製品版をプレイしたなかでは最適化不足や深刻な不具合に遭遇することはありませんでした。

一方で、UIなどの部分では『BF2042』に近いデザインとなっているなど、悪い点は改善され、良い点は継承されています。兵科システムやキャンペーンの復活もあり、多くのユーザーが望んでいた『BF』が帰ってきたことは素直に喜ばしいことです。

しかし、『BF4』のような“『BF』らしさ”を貫いていることは良い点でもある一方で、欠点でもあります。本作では建物の大規模な破壊要素や銃撃戦での細かな操作性といった要素が目玉となっていますが、良くも悪くも『BF』の域を出ることはなく、現状では革新的な目新しさを感じられるほどのものではないように思えます。

また、シリーズ作品のプレイヤーにとっては馴染み深いものの、戦闘時間や立ち回りなど、新規プレイヤーにとってはハードルと感じられる要素も多く、そういった部分への対処も必要です。「失墜した『BF2042』からの復活」という観点で見るか、基本プレイ無料FPSが群雄割拠の時代における「2025年FPSの最新作」として見るかによって、本作の評価は異なるでしょう。

とはいえ、グラフィックやサウンドなどはクオリティも非常に高く、シングルプレイキャンペーンでもマルチプレイでも没入感のあるゲームプレイが楽しめます。『BF2042』に失望したユーザーにも、本作を手にとって遊んでほしいと思います。


Game*Spark レビュー『バトルフィールド6』 PC(Steam、Epic Gamesストア、EA app)/PS5/Xbox Series X|S 2025年10月11日リリース

求めていた『バトルフィールド』が帰ってきた。シングルもマルチも、どちらも楽しめる作品。

GOOD

  • 高品質なグラフィックと臨場感抜群のサウンド
  • 「戦略的破壊」や進化した銃撃戦
  • 作り込まれたシングルキャンペーン
  • 多彩なゲームモードのマルチプレイ

BAD

  • 破壊要素を活かすにはユーザーの慣れが必要
  • 革新的な目新しさはあまりない


ライター:kurokami,編集:TAKAJO


ライター/チャーシュー麺しか勝たん kurokami

1999年生まれ。小さい頃からゲームに触れ、初めてガチ泣きした作品はN64の『ピカチュウげんきでちゅう』です。紅蓮の頃から『FF14』にどハマりしており、Game*Spark上ではのFF14関連の記事を主に執筆しています。

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編集/いつも腹ペコです TAKAJO

Game*Spark編集部員。『Crusader Kings III』と『Mount & Blade II: Bannerlord』に生活リズムを狂わされ続けています。好きな映画は「ダイ・ハード」、好きなアメコミヒーローは「ナイトウィング」です。

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