
10月16日に発売された大人気シリーズ『ポケットモンスター』の外伝的新作『Pokémon LEGENDS Z-A』。「レジェンズ」シリーズとしては『Pokémon LEGENDS アルセウス』以来の最新作であり、舞台となるミアレシティを中心に「メガシンカ」にまつわる物語が展開されます。筆者も発売日から少しずつプレイを進め、ようやくエンディングに到達。現在はランクマッチでじわじわと対戦環境に触れているところです。というわけで、今回はそんな『Pokémon LEGENDS Z-A』のレビューをお届けします。
なお、発売から少し時間が経っているため、本稿ではストーリーやキャラクター、登場ポケモン(特に後半で登場する種)についてもある程度言及します。ネタバレを避けたい方は、先にご自身でクリアしてからご覧いただくのがおすすめです。また、筆者は本作をニンテンドースイッチ2版でプレイしています。初代スイッチ版の動作パフォーマンスなどについては本稿では触れませんので、その点あらかじめご了承ください。
1:広大なミアレシティ

本作の最大の特徴は、「ミアレシティ」という一つの巨大都市だけで物語が完結するという点にあります。よく「街そのものが主役」と表現されるオープンワールドゲームがありますが、本作もまさにその系譜にある作品です。ミアレシティはおそらくフランスのパリをモチーフとしており、風光明媚な街並みが印象的な大都会として描かれています。
建物の内部や地下エリアなど、風景が変化する場所も存在しますが、全体としては常に同じ都市風景を眺めながらゲームが進行していきます。非常にソリッドというか割り切った作りだと感じますし、マップのバリエーションの少なさは、プレイヤーによっては不満点になりやすい作りかなとも感じました。

しかし、いままで『ポケットモンスター』シリーズで一つの都市がこんなに詳細に、巨大に描かれることは無かったわけで、筆者としては新鮮で悪くない体験だと感じました。残念ながらインタラクトできるものや商店の量があまり多くないため、後半はほとんどファストトラベルを使って移動することになりましたが、ベンチに座ったりカフェに腰掛けてポケモンを眺めることができる、というような要素もあり、最低限の生活要素となっています。
2:ゲームの進行

ミアレシティには「ワイルドゾーン」と「バトルゾーン」と呼ばれる、特殊なエリアが存在します。ワイルドゾーンはゲームの進行に合わせて解放されていく仕組みで、野生のポケモンが自由に徘徊しており、プレイヤーが見つけて捕獲することが可能です(もっとも、ワイルドゾーン以外のフィールドにも例外的に捕獲可能なポケモンは登場します)。
ただし、ワイルドゾーンは決して安全な場所ではありません。ポケモンによっては積極的にプレイヤーへ襲いかかってくるため、油断しているとあっという間に囲まれることもあります。プレイヤーはしゃがんでステルスしたり、ローリングを利用してポケモンの攻撃を避けるなどちょっとしたアクション要素があります。


バトルゾーンでは、他のポケモントレーナーたちとの対戦を通じて「チャレンジチケット」を集めていくことになります。このエリアには軽いステルス要素も盛り込まれており、相手に気づかれる前に仕掛けたり、逆に奇襲を受けてしまったりといった要素があります。ただ、明らかにこちらが先に視認しているにもかかわらず「見つかった」扱いになってしまうなど、理不尽さを感じることもありました。バトルゾーンは本編クリア後も金策やレベリングの場として活躍し、エンドコンテンツの一つになっています。
ゲーム全体の進行は、物語を進めるたびに新たなワイルドゾーンが解放され、同時にランクを上げるためにチャレンジチケットを集めてバトルゾーンを周回し、ストーリー上も関係したそのときフィーチャーされているキャラクターとランクアップ戦をするというサイクルで構成されています。前述のとおりマップが一都市に限定されていることもあり、「ワイルドゾーン」と「バトルゾーン」そして「ランクアップ戦」を往復するループ構造は非常にソリッドで、割り切りを感じる設計です。
単調なループに陥らないよう、各章の要所ではダンジョン的なエリアの探索や、街の住民からの依頼をこなすおつかい型クエストなど、ちょっとした変化が差し込まれています。とはいえ、ストーリー上しなければならないことにはやや面倒に感じられるものも多く、冗長に思える場面もありました。余談ですが、中盤で突然ランクが一気に「F」へと昇格する演出は、多くのプレイヤーが「なんだそりゃ!」と感じたことでしょう。ただ、もし本当に「Z」から「A」まで一つ一つランクを上げるようなストーリーだったら、相当に長いゲームになっていたはずで、それはそれでストレスを感じたかもしれません(とはいえ、じゃあZからAまでランクを上げるというような話にするなよ!とも言えるでしょうが……)。
3:ストーリー/キャラクター

本作のストーリーは、「MZ団」の一員としてミアレシティで発生する“暴走メガシンカ”の謎を追うという内容です。良くも悪くも子ども向けで、精密な物語というよりはコメディ寄りの展開が多く、カバンを盗まれたり、法的な根拠の曖昧なまま友人の借金返済を手伝わされたりと、理不尽な出来事が連続します(といっても、ほとんどはギャグとして描かれています)。プレイヤーは頼まれごとなどを断ったりなどできず、両方肯定的なニュアンスの選択肢を選ばさせられることでその理不尽な展開に無理やり加担させられるような作りになっています。筆者としてはストレスフルな展開に感じられ、好みではありませんでした。
また、特に前半部は進行がきわめて制限され、ちょっと遠くにあるアイテムを拾いたいのにそちらに行けない、というような場面があり、これも大変ストレスを感じました。序盤から自由度が高いオープンワールド作品に慣れ親しんでいるプレイヤーほどイライラしやすい部分だと感じます。
『ポケットモンスター』シリーズに物語性を強く求める人はそこまで多くないと思いますが、個人的には『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』や『Pokémon LEGENDS アルセウス』の方が好みでした。


キャラクター面ではすでに人気な人物も多く、特にインフルエンサーを意識したデザインの「カナリィ」や、任侠風の組織であるサビ組のボス「カラスバ」などはSNS上でもよく話題に挙がります。全体的に“話題になるために作られたキャラクター”という印象もありますが、それぞれの造形には一定の存在感や説得力があります。ストーリー上敵対する立場のキャラクターがプレイヤーを振り回すような展開が多く、好感を持ちづらい部分もありますが、基本的には悪人ではなく、しっかりと魅力的に描かれていると感じました。

また、服屋が数多く登場し、プレイヤーをカスタマイズする余地が非常に多いのも本作の特徴です。着せ替えは非常に楽しいですが高額な衣服も多いため頑張って金策をしようという気にさせます。着せ替え要素は本作の大きい魅力の一つだと筆者は感じました。

今作から新たに登場するメガシンカポケモンは、個性的で印象に残るデザインのものが多いです。中でもSNSで賛否が分かれている「メガスターミー」も、独特ながら可愛らしさがあり、筆者はかなり気に入っています。やはり本作の主役はポケモンたちそのもの。街中で動き回る姿や生活に溶け込んだ様子が丁寧に描かれており、その生態や仕草が実在感をもって感じられるのは、本作の最大の魅力といってよいでしょう。街を歩いているだけでもポケモンを見つけるのが楽しく、つい足を止めたくなります。それだけに、撫でたり餌をあげたりといった「可愛がり要素」が非常に少ないのは、少し惜しく感じました。
4:戦闘/エンドコンテンツ

本作の戦闘は、従来の『ポケットモンスター』シリーズとは異なり、ポケモンにリアルタイムで指示を出すアクション寄りのシステムになっています。RTS的とも言える独特な体験で、これまでのシリーズにはない操作感があります。特に暴走メガシンカしたポケモンとのボス戦では、プレイヤーを直接狙ってくる場面も多く、ローリングで回避に専念するパートも存在します。それほど難易度は高くないものの、カメラの位置関係で攻撃を避けづらい場面も多く、回避中心のパートはあまり楽しめませんでした。
技には明確な範囲があるため、思わぬ形で避けられたり、マップ上の障害物に引っかかったりと不規則な展開も多めです。ポケモンの位置を自由に調整できない割に立ち位置の重要性が高いため、上手く立ち回るのが難しく感じられました。極めれば面白くなりそうですが、少なくとも一度クリアした段階では、この戦闘システムをまだ十分に理解できた手応えはありません。


本作にはランクのあるオンライン対戦が搭載されています。筆者も報酬として用意されている「ゲッコウガナイト」を入手するためにしばらく遊んでみましたが、勝ち方がまったくわからず、正直かなり難しく感じました。正しい立ち回りや強いわざのようなものがわかりづらく、今までの『ポケットモンスター』シリーズのセオリーが通用せず、スリリングです。漁夫の利的な要素もあるため「なんか勝った」というようなことも起こりがちで、ワチャワチャしています。
深く考えずに遊んでいても、ランク自体は自然と上がっていく仕組みになっており、その少しドタバタした感じもむしろ楽しく感じられました。もちろん本気でやり込めばまた違った面白さが見えてくるのでしょうが、気軽に楽しむ分には非常にバランスの良いコンテンツだと思います。なんだかんだけっこう楽しくて、しばらく遊び続けたいと思わされました。
ただ、「ゲッコウガナイト」のような人気アイテムの入手にオンライン対戦が必須となる点については、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。こういったアイテムについては、他にも入手手段が用意されていると嬉しいですね。筆者自身は「ランクマッチがあるなら歓迎」という程度の気持ちでしたし、オンライン対戦が遊べること自体に喜びを感じていましたが、SNSなどの反応を見ていると、必ずしも多くの人がそう考えているわけではなく、「オンライン対戦を避けたいプレイヤーも一定数いる」のだということを改めて実感しました。

今作には「とくせい」はありませんが、いわゆる「個体値」や「種族値」のような育成要素もちゃんと存在しネット対戦をガチでやり込む場合には厳選やステ振りなどのやりこみが必要となります。とはいえ、そこまでちゃんとやらなくてもランクは上がっていきますし、お好みの要素なので強要されるものではありません。やり込むタイプのプレイヤーにとってはやり込めるコンテンツがあるのは好ましいことなのではないか、と思います。
5:総評

本作は、一つの街に焦点を当てたマップ構成や独特な戦闘システム、そしてループ型のストーリー進行など、全体的に実験的な印象を受ける作品です。長くゲームを遊んできた身としては「ハード世代が切り替わる時期の作品ってこういう感じだよな」と思う瞬間もあり、新しい仕組みを試す過渡期的な挑戦作という印象でした。
「ポケモンが生きている街」としてのミアレシティは非常に魅力的ですが、その反面、全体的にソリッドで、どちらかといえば“腰を据えて没入する”というより“軽く遊ぶ”スタイルに向いた作品だと感じます。戦闘もやや大味な印象ながら独自の面白さがあり、試みとしては評価できます。
個人的にはストーリー部分と、暴走メガシンカポケモンとの回避中心の戦闘があまり合わず、「シリーズの中でも特に好きな作品」とまではいきませんでしたが、このテンポ感が心地よいプレイヤーも多いはずです。ランクマッチも搭載されており、長期的に遊べる内容になっているので、興味がある方は一度手に取ってみても良いと思います。
Game*Spark レビュー 『Pokémon LEGENDS Z-A』 Nintendo Switch 2、 Nintendo Switch 2025年10月16日リリース
世代が切り替わるときっぽい、ソリッドな実験作
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GOOD
- 美しいミアレシティ
- 魅力的なキャラクターとポケモンたち
- ランクマッチは独特な楽しさがある
BAD
- ストーリーがかなり理不尽に感じられる
- 暴走メガシンカポケモンとの避け主体の戦闘があまり楽しくない
- 報酬のためにオンライン対戦が強要される











