「キャラが勝手に動き出すまで“癖”を詰め込め」―祁答院慎が語る、ゲーム制作の最初の一歩と、「RPG Developer Bakin」による処女作『サバトの女王』リビルド版の裏側【インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「キャラが勝手に動き出すまで“癖”を詰め込め」―祁答院慎が語る、ゲーム制作の最初の一歩と、「RPG Developer Bakin」による処女作『サバトの女王』リビルド版の裏側【インタビュー】

出会った最高の”筆”の使い心地。

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「キャラが勝手に動き出すまで“癖”を詰め込め」―祁答院慎が語る、ゲーム制作の最初の一歩と、「RPG Developer Bakin」による処女作『サバトの女王』リビルド版の裏側【インタビュー】
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ホラーゲーム『コープスパーティー』シリーズをはじめ多くの作品で、多くのプレイヤーに鮮烈な体験を刻み込んできたクリエイター・祁答院慎氏。氏が今、自身のゲームクリエイター人生の原点である“処女作”の序章を、ゲーム制作ツール「RPG Developer Bakin」(以下、Bakin)を用いて自らの手でリビルドしています。

その名も『サバトの女王 Queen of Sacrifice.』。「Bakin」の無料サンプルゲームでもある同作の公開を記念し、今回は祁答院慎氏と、「Bakin」開発チームを率いるスマイルブーム取締役の長井伸樹氏にお話を伺いました。

■旧作のコンセプトだけをそのままに、「今の価値観」で描く新たな『サバトの女王』

――本日はよろしくお願いします。まず、なぜ数十年前に制作されたご自身の処女作『サバトの女王』を、このタイミングでリビルドしようと思われたのでしょうか?実際にプレイした感想としては「ほぼ全部別物の完全新作だこれ!」といった印象でしたが。

祁答院慎氏(以下、祁答院):旧作を作った当時に頭の中にあったコンセプト、根幹のテーマはそのままに、「今の自分の価値観で作ってみたらどんなものになるんだろう?」と、僕自身がそこに興味を持ったのが一番の理由です。自分の変化を見てみるという意味でも、心にリミッターをかけず、ほぼ新作を作る気持ちで制作に臨みました。

――単なるリメイクではなく、コンセプトを核にした「リイマジネーション」に近いわけですね。

祁答院:そうですね。なので、旧作をプレイされた方がもしいても、ほぼ別物になっていると感じると思います。世界観は地続きなのですが。当時のテーマはそのままで、「Bakin」という最高の“筆”を手にした、今の自分が作ってみたらどうなるか……という壮大な実験のような作品になっています。

――本作は「Bakin」のサンプルゲームとして、プロジェクトデータごと配布されると伺いました。これはユーザーに「この先を作ってほしい」というメッセージも含まれているのでしょうか。

祁答院:もちろんです! このプロジェクトデータやキャラクターを使って、全く違う名前のキャラクターにしてもらったり、僕も知らない“隙間の時間”の物語を作っていただいたり、そういうものがユーザーさんの手で生まれてきたら嬉しいですね。僕自身の野望としてこの先の物語も作りたい気持ちはありますが、それ以上に、この世界が皆さんの手で広がって行く夢が見れたら、素晴らしいことだと思いますを。

長井伸樹氏(以下、長井):今回のゲームは「長く続くストーリーの序章の部分」となっているので、祁答院さんは当初から「広げてほしい」とずっとおっしゃっていましたね。普通は「ここから先は変えないで」となりがちですが、イラストレーターの白羽先生やチームグリグリの濱本さんも含め、クリエイターの皆さんが「自分たちの提供したものがどう料理されるのか楽しみだ」と。これは今回のチャレンジの大きな柱の一つです。

――一方で、祁答院さん自身が同作の続きを作っていく可能性はあるのでしょうか?

祁答院:何も予定が決まっているわけではないのですけれど、作りたい気持ちははありますね。例えば、今回はアドベンチャーゲームのようにお話を体験する楽しみに特化して作りましたので、戦闘もイベントバトルのみで、キャラクターを成長させるためのフィールドバトル、ランダムエンカウント等は入っていません。今後もしアップデートさせていただけるような機会があれば、その辺りも汲み入れて、RPGとして面白いレベリングなどの遊びも盛り込めるといいなと思っています。

良い“筆”を手に入れられたので、今後も触っていくと思いますし、続きはぜひ作りたいです。お話も、ラストの展開まで考えてありますので。

――そういえば、今作では、次にイベントが起こる建物の付近などを示す「光」のヒントがオプション機能としてあります。こういった誘導の是非についてはどう考えていますか?

祁答院:時間がない方々にも遊んでいただくためには、遊びやすさも念頭に置いた方がいいな、と入れてみました。余談ですが、サンプルデータのマップを見ると、そういった試行錯誤の痕跡のようなものを感じてもらえるかもしれません。

RPGの楽しさには「探索」をする喜びも含まれていると思うので、そこは阻害しないように、想像の幅も広げられるような調整にしました。

長井:話は少し離れるのですが、今回驚いたのは、本当にいろんなところに文章を入れていただいていることですね。部屋の花瓶であったり、棚の書棚を調べるときちんと反応があって。テキスト量もその分膨大になってしまったので翻訳の方には怒られてしまったのですが(笑)

祁答院:ごめんなさい(笑)

■「最高の筆でした」祁答院氏を虜にした「Bakin」の圧倒的表現力

――祁答院さんは、かつてPC-98時代のツール「チャイムズクエスト」でゲームを制作されていたとのことですが、当時のツールと「Bakin」の最大の違いはどこに感じましたか?

祁答院:やはり、圧倒的な表現力の高さですね。特に3Dになったことによるカメラの操作。自分に使いこなせるかと身構えたのですが簡単で、本当に驚かされました。キャラクターの感情や物語の裏設定といった、言葉にしなくても伝えたいニュアンスを、カメラワーク一つで盛り込むことができる。いじり始めると止まらなくなる、まさに「沼」でした(笑)

――3Dツールというと、初心者には少し難しそうなイメージもありますが。

祁答院:正直、僕も最初は「3Dは難しいんじゃないか」という先入観がありました。でも、実際に触ってみると、直感で分かります。スマイルブームさんが用意してくださっているチュートリアル動画も豊富ですし、「Bakin」を先に使っているクリエイターの方々がたくさんの情報を公開してくれている。おかげで、初心者でも本当に入りやすい環境が既に構築されているんです。昔のツールを楽しめた人なら、間違いなくスルッと入れると思います。

――「Bakin」ならではの機能で、特に表現の助けになったものはありますか?

祁答院:これも挙げだすととキリがないほどなのですが、なかでもイベントの「並列処理」が扱えるのは、こういったデベロップソフトを久しぶりに触る僕には画期的でした。昔のツールだと、キャラクターAが動いて、次にBが動く…という風に、一つずつ順番に処理を組むのが定石でした。しかし「Bakin」では、それらを同時に、いっぺんに動かすことができる。これにより、群衆の演出といいますか、複数のキャラクターが同時に動くリアルで怖いシーンが作れるんです。まるで映像作品を撮っているかのような表現が可能で、本当に楽しかったですね。

――今作の途中で現れるミニゲーム群にもそういった「Bakin」の表現力は大きな助けになったのでしょうか?

祁答院:最初は『コープスパーティー』のようにキャラ劇に注力していたのですが、長井さんと相談しながらその各所に遊びとして面白いことを入れていったんですね。「Bakin」チームリーダーの超強力なスキルの後押しを得て、パズルゲームだったり、アクションゲームだったり、いろんなジャンルの要素を入れられたのは「Bakin」のもつポテンシャルのなせる業だったと思います。

――ミニゲームのお気に入りはありますか?

祁答院:ラストステージですね。長井さんがステージのビジュアル作りを手伝ってくれたのですが、いきなり「これどうでしょう」と同ステージに登場する怖いキャラを見せてくれまして。ひっくり返りましたね。

長井:ただ、見た目に反して全体的にはそんなに難しい仕組みは使っていないんです。今回のプロジェクトデータを見てもらえれば、どういう風に動かしてるかはわかっていただけるかなと思います。

■「毎回データが進化していた」開発者も驚いた祁答院氏のポテンシャル

――長井さんから見て、祁答院さんの制作スタイルや「Bakin」の使いこなしはどのように映りましたか?

長井:我々が「こういうこともできますよ」と少しヒントをお伝えしただけなのに、次に上がってくるデータでは、我々の想像を遥かに超える形でその機能を使いこなし、とんでもないものを作ってこられるんです(笑)正直、もっと手がかかるというか、丁寧なレクチャーが必要になる可能性も考えていたのですが、全くの杞憂でした。

――具体的に驚かれた点はありますか?

長井:例えば並列処理にしても、少しお伝えしただけで、最初期にいただいたデータから既に色々なものが同時に動いていて「こ、こんなにできるんだ!」と。祁答院さんは3Dツールの経験がなかったはずなのに、こちらが新しい情報をお伝えするたびに、送られてくるデータが目に見えて進化していく。その吸収力とアウトプットの質には、本当に驚かされましたね。「Bakin」が「ゲーム作りは楽しい」というコンセプトをしっかり体現できるツールなんだと、祁答院さんの姿を見て我々自身が再確認できました。

祁答院:いやいや、恐縮です(笑)でも本当に、制作期間中は学生時代に戻ったかのように、朝起きて顔を洗ったらすぐ「Bakin」を起動する、という生活を送っていました。それくらい夢中になれましたね。「これやりだすと止まらないだろうな」と感じるような作り込みの土壌があちこちに用意されていて、ほんとに痒いところ全てに手が届く勢いのツールだと思います。

■「大好きを詰め込んだキャラを」ゲーム制作の原動力と、最初の一歩

――そこまで祁答院さんを夢中にさせた「ゲーム制作の楽しさ」の源泉は、どこにあるのでしょうか。

祁答院:根源にあるのは「表現したい」という欲求ですね。自分の頭の中にいるキャラクター、自分の頭の中にある物語を、世に送り出していく作業。それ自体が楽しくて、昔から創作が好きだから続けているんだと思います。

――これから「Bakin」でゲームを作ってみたい、というクリエイターの卵へ、最初の一歩を踏み出すためのアドバイスをお願いします。

祁答院:まずは、自分の「大好き」や「癖(へき)」を山盛りに詰め込んだ、自分が心から愛せるキャラクターを生み出すことが大事かなと思います。そのキャラクターの存在が、長くて時には困難な制作期間を乗り越えるための、強い味方になってくれるんです。キャラクターが完成すれば、その子が勝手に喋りだし、動き出してくれる瞬間が来る。そうなれば、もう完成への道筋は見えたも同然ですです。

――祁答院さんご自身の、創作における“原初のモチベーション”となった作品はありますか?

祁答院:ファミコンの『スウィートホーム』ですね。当時の限られた性能の中で、しっかりとホラーを表現していることに衝撃と感銘を受けて、「自分もこんなものを作りたい!」と思ったのが、僕の活動のまさに中心にあります。

――最後に長井さんからも、未来のクリエイターへメッセージをお願いします。

長井:昔に比べて、今は本当にゲーム制作のハードルが下がっています。「Bakin」もそうですが、世の中にはたくさんの素晴らしい“筆”があります。祁答院さんのように3Dが初めてでも、やってみたら意外といけるものです。大事なのはパッション。少しでも興味があれば、ぜひ恐れずに飛び込んで、自分に合うツールを見つけてみてほしいですね。

――祁答院さん、長井さん、本日はありがとうございました。


「RPG Developer Bakin」はSteamにて、『サバトの女王 Queen of Sacrifice.』は公式サイトなどでそれぞれ配信中です。

ライター:Arkblade,編集:Akira Horie》

ライター/関連業界のあちこちにいたりいなかったりしてる人 Arkblade

小さいころからPCゲームを遊び続けて(コンソールもやってるよ!)、あとは運と人の巡りで気がついたら、業界のあちこちにいたりいなかったりという感じの人に。この紹介が書かれた時点では、Game*Sparkに一応の軸足を置きつつも、肩書だけはあちこちで少しづつ増えていったりいかなかったり…。それはそれとしてG*Sが日本一宇宙SFゲームに強いメディアになったりしないかな。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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