イジメに家庭環境、じわじわ“少女の恐怖心”に同化する…ホラーだからこそ伝わるリアルな苦悩が『BrokenLore: UNFOLLOW』にはあった【先行プレイ&インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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イジメに家庭環境、じわじわ“少女の恐怖心”に同化する…ホラーだからこそ伝わるリアルな苦悩が『BrokenLore: UNFOLLOW』にはあった【先行プレイ&インタビュー】

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イジメに家庭環境、じわじわ“少女の恐怖心”に同化する…ホラーだからこそ伝わるリアルな苦悩が『BrokenLore: UNFOLLOW』にはあった【先行プレイ&インタビュー】
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松竹ゲームズがパブリッシャー、Serafini Productionsが開発する『BrokenLore: UNFOLLOW』が本日1月16日に発売しました。本作は、社会問題とソーシャルメディアの闇に焦点を当てたホラーゲームです。実在のインフルエンサーも出演し、SNS社会での暗がりを描写しています。

今回、そんな『BrokenLore: UNFOLLOW』序盤を先行プレイ! それにあわせて本作の開発者であり、モデルや作曲などをこなし、自身もインフルエンサーであるセバスチァーノ・セラフィニー氏へのインタビューも実施しました。

本稿では、先行プレイ&インタビュー内容を元に、社会問題に切り込むホラー、『BrokenLore』シリーズの最新作はどのような作品であるかを深掘りしていきます。

◆じわじわと“少女の恐怖”に沈んでいく……社会派ホラー『BrokenLore: UNFOLLOW』

序盤は、主人公「アン」が謎の家で目を覚ますところから始まります。謎の家と言っても、おそらく自宅……しかし、かなり異変が起きているようです。自宅に似た異界と言った方が、伝わりやすいかもしれません。

ここでは“母親の恐怖”や、どう見ても母親ではなさそうな能面を被ったような怪異に襲われます。アンはインフルエンサーに憧れる少女ですが、派手な生活をしているわけではなく、学校でのイジメや家庭での圧迫感に苛まれているようです。

ゲームの基本は探索型のアドベンチャーとなっており、丁寧に「次の恐怖までのガイド」がなされています。

先行プレイでは次のステージとなる「学校」まで味わえました。この時点で、少なくとも「あのオブジェクトはどこだっけ!?」と悩むほどのギミックはありません。「この先に行くことは必須なんだろうけど……絶対何かの恐怖が待ち受けているよ!」となるタイプの印象です。

ジャンプスケア要素もありますが、それより先に立つのは「精神的恐怖」です。自宅の中では(姿の見えない)母親の呼び声や、“突如現れた巨大なクリーチャーに料理を振るまえ”などの、奇妙な恐怖が待ち受けます。

ちなみにこのクリーチャーに出すべき料理は「使いかけのミルク」「ミートスパの残り」「心臓」……。心臓って……!?

自分で作っておいて食べたくなさすぎる料理……。

余談ですが、小物のひとつに「ジークムント・フロイト」の書物がありました。ジークムント・フロイトさんは、無意識を探求した心理学者です。

いかにも悪夢的な怪異たちは、アンが抱えた恐怖が実在化した存在なのではないでしょうか。そう考えると「突然現れて、疲れたように頭をテーブルに置く巨大クリーチャー」は、アンにとっての父親なのかもしれません。

また、本作ではインフルエンサー志望の彼女らしく、右下には「フォロワー」というステータスが表示されます。行動次第で増減していくのですが……果たしてゼロになったらどうなってしまうのでしょうか?

そして学校では、インフルエンサーに憧れる彼女を馬鹿にするクラスメイトたちが登場します。

アンがどのようにいじめられているのか、そして学校と家庭の関係性のズレがこれでもかというほど繰り広げられます。ここに現れるクリーチャーも、やはり「アンはこういうイジメを受けていた(いる)んだろうな」と感じられるモノばかり。

先述した通り、『BrokenLore: UNFOLLOW』で先に立つのは「精神的恐怖」です。度肝を抜かれるクリーチャーが残虐に襲い来る恐怖ではありませんが、プレイしていくうちに「少女の恐怖」に共鳴してしまい、そっと心が濁んでいくような恐ろしさが味わえます。

たとえば、母親の「ご飯できたから降りてきなさい」という声。多くの方がかつて聞き馴染んだ声でしょうが、自分が怒られた後や家が上手く行っていない場合、「1人の世界から引きずり出される」恐怖の声に聞こえるものでしょう。その演出の上手さから、本作ではこのさりげない一言も「精神的恐怖」たり得ているのです。

『BrokenLore: UNFOLLOW』のキービジュアルにはクリーチャーの外見が映り、実際に本記事に使用している画像もそういった「直接的なホラー」染みたもので、『BrokenLore: UNFOLLOW』の真の怖さは“アンの悪夢的な境遇にプレイヤーが没入していること”でしょう。

社会問題に切り込む『BrokenLore: UNFOLLOW』は、かなりしっかりとした“社会派ホラー”でした。

◆華々しいセバスチァーノ氏は、なぜホラーゲームの世界に踏み込んだのか?

続いては、そんな本作を生み出したセバスチァーノ・セラフィニー氏へのインタビューをお届け。ちなみにセバスチァーノ氏は日本在住で日本語が達者のため、日本語での質疑がなされました。

セバスチァーノ・セラフィニー氏

――まずは、『BrokenLore: UNFOLLOW』および『BrokenLore』シリーズの紹介からお願いいたします。

セバスチァーノ・セラフィニー氏(以降、セバスチァーノ氏):『BrokenLore』は、社会問題をテーマにしたシリーズです。

普通に暮らしている中での悩みや恐怖がテーマとなっており、今回の『BrokenLore: UNFOLLOW』では「SNSでの悩みやストレス」を元に、インフルエンサーに関わる物語にしています。実際に、実在するインフルエンサーも出演していますよ。


――続いては、セバスチァーノさん自身の自己紹介をお願いします。

セバスチァーノ氏:イタリアから参りました。子供の頃からホラーゲームが好きで、特に日本のホラーゲームを遊んでいました。もう、日本に来てから結構長い時間が経ちましたね。モデルや作曲も行いつつ、インフルエンサーの仕事もやっていました。4年前から自分のスタジオを開いて、今ではホラーゲームを作っています。

『BrokenLore』シリーズでは、「この問題について描きたい」という想いから様々な設定が生まれました。ちなみに私が日本在住なので、今後の本シリーズでは日本を舞台したものが多くなってくるでしょう!

――主人公は今現在、インフルエンサーを目指している少女ですよね。

セバスチァーノ氏:そうです。正確にはインフルエンサーになりたいというか、インフルエンサーにものすごく憧れている少女です。

彼女は学校でいじめられていますが、案外インフルエンサーになっている方でもイジメ経験のある方は多いのです。リベンジじゃないけれど、自分を磨いてインフルエンサーになりたい。そういうタイプです。

でも彼女がSNSをやり続けることで、それが自分の人生にどんな影響を及ぼすとか、そういう問題がどんどん出てくる。本当の彼女を知らない人に褒められるために、近い人間を大事にできないタイミングなどもあるわけです。

――ちなみに、海外のインフルエンサーがメインなのでしょうか?

セバスチァーノ氏:海外ばかりではなく、日本のインフルエンサーという世界にも少し触れていますよ。

――ゲームは没入感が高い媒体です。今回プレイしていて、自分がその恐怖を感じた経験がなくとも、痛みを感じるような感覚に陥りました。ゲームで社会問題を描くにあたり、こういった作用も意識されていたのでしょうか?

セバスチァーノ氏:プレイヤーが彼女の立場に立ち、彼女に共感していただけると幸いです。でもそのまま出しても、プレイヤーと主人公の間には距離があるので、ゲームのフォローによって没入感を高められるよう強く意識しています。

彼女の日記を出してどんな人間なのかがわかるようにしたり、彼女のリアクションの理由などをプレイヤーが自然に理解できるようにしたりと工夫はしました。

――ホラーという題材を使って、社会問題を理解させるということですね。ゲームによる「社会派ホラー」のように感じます。

セバスチァーノ氏:そうですね。ちょっとだけジャンプスケアもあるけれど、『BrokenLore: UNFOLLOW』のメインポイントはそこではありません

――セバスチァーノさんは、モデルに作曲と、私から見ると華々しいキャリアだと思います! なぜ普通のゲームではなく、ホラーゲーム開発の道に進まれたのでしょうか。

セバスチァーノ氏:華々しくないですよ(笑)。ホラーゲーム開発に踏み込んだのは、社会問題への言及に一番適していると思ったからです。

コントローラーを握っているときは、その恐怖に注目しないといけない。そして「恐怖の具現化した姿」が、メッセージとして多分一番伝わりやすい。元々ホラーが好きということもありましたし、自分が伝えたかったメッセージにはホラーゲームが一番合っていたのでしょうね。

――日本のホラーにはどのように影響を受けましたか?

セバスチァーノ氏:日本ホラーでは「呪怨」が好きです。でもアメリカ版は全然面白くなかった。自分が好きなのは「ちょっとずつわからないまま進行するストーリー」で、それがアメリカ版には無かったからです。

同じ理由でホラーゲーム『SIREN』も好きですね。『SIREN』は各エピソードで、“ちょっとずつがわからないまま”進行していきます。『BrokenLore』はシリーズなので、他作品にまたがり“ちょっとずつわからない違和感”を用意できます。Steamが普及した今だからこそできる手法ですね。

アメリカの面白いホラーもあるけれど、そこにはあまり影響されていません。でも、『BrokenLore: UNFOLLOW』はアメリカが舞台だし、それらの要素も恐らくミックスされていますね。けれどもやっぱり、能面などに影響されたデザインなどもありますよ。

――最近のゲームでは何か影響を受けたタイトルなどはありますか?スクリーンショットでは、リミナルスペースのような雰囲気も感じられました。

セバスチァーノ氏:あまり影響されたくないから、最近は自分のホラーゲームに没頭していますね。リミナルスペースは、ゲームではプレイしていませんが発祥がネットとあって影響されているかもしれません。

――『BrokenLore』シリーズを作ろうと思われたきっかけについて教えてください。

セバスチァーノ氏:普通のストーリー仕立てのホラーゲームは、クリアの時点で語りたいことやミステリーが完結してしまいます。エンディングですべて終わってしまい、心にメッセージが残りづらいものです。ですがシリーズにすれば、作品のメッセージや謎と共にプレイヤーが歩んでいける。メッセージや謎が記憶に残ってほしくて、シリーズにしました。

もちろんひとつの作品だけでも、ホラーとしての楽しみは味わえます。全部のストーリーを完璧に理解したいのであれば、シリーズでプレイしていただければわかるでしょう!

――シリーズとして展開することによって、『BrokenLore』の世界と長く付き合えるということですね。

セバスチァーノ氏:いつも聞かれるのは「どんな順番でプレイした方がいいか」ですが、特に指定はありません。ひとつのストーリーが続くわけではなく『BrokenLore』の物語は入り混ざっていて、まるでパズルみたいになっているからです。

なので、どれから遊んでも楽しめるでしょう。ちなみに『BrokenLore: UNFOLLOW』は一番初めに作り始めた作品です!

――『BrokenLore: UNFOLLOW』で大事にしたことを教えてください。

セバスチァーノ氏:『BrokenLore: UNFOLLOW』で大事にしているのは「後味」です。「Sweet-bittersweet(甘くてほろ苦い)」という感じですね。一部の楽曲は自分が作ったのですが、そういう気持ちが伝わると嬉しいです。

本作はパッとプレイして、きっと怖がれるホラーゲームでしょう。でもそれ以上に、プレイ後に作品のメッセージが残ってほしいのです。

――現実に即している社会問題を取り扱っているからこそ、完全なハッピーエンドじゃないということでしょうか?

セバスチァーノ氏:そんな感じかもしれません。エンディングと言っても完全に終わるのではなく、“これから始まっていく”わけです。(同席者に話を振って)あなたはクリアしてどう感じましたか?

スタッフ 終わった後にずんと重くのしかかるタイプのゲームではないのですが、「これが自分だったらどうするかな」と考えさせられました。途中まではゲームをしている主人公になりきっていたけれど、クリア後は「自分ならこの場面でどう動いたのだろう」となるのです。余韻を楽しむホラーと感じられました。

――最後に、読者へコメントをお願いいたします。

セバスチァーノ氏:改めて、『BrokenLore: UNFOLLOW』は『BrokenLore』シリーズで最初に作り始めたタイトルです。初めてなので開発が全然進められないこともあり、日本で0からチームを作ることにも苦労しました。

ですが最初のデモを出して、日本のYouTuberさんや日本プレイヤーさんからのコメントを頂いて、とても嬉しかったです。やっぱり日本を舞台としたゲームをこれからも作りたいですね。

日本人でもないのに日本を舞台にして日本人に楽しんでもらえるかが心配だったけれど、シリーズを楽しんでもらえていてありがたいです。多分、日本を勘違いしてるところもあるでしょう。でも、すごく嬉しいです。

――本日はありがとうございました!


『BrokenLore: UNFOLLOW』は、本日1月16日よりPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|Sにて配信中です。Game*Sparkでは今後、本作のレビュー記事も掲載予定なのでお楽しみに!


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ライター:高村 響,編集:八羽汰わちは


ライター/ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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