中華ゲーム見聞録:職人芸的ドット絵の本格パズルADV『Rehtona』光と影の世界を行き来して異変の謎に迫れ―開発者インタビューも | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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中華ゲーム見聞録:職人芸的ドット絵の本格パズルADV『Rehtona』光と影の世界を行き来して異変の謎に迫れ―開発者インタビューも

「中華ゲーム見聞録」第23回目は、光と影の世界を行き来して謎を解いていく、ドット絵の美しい本格パズルアドベンチャーゲーム『Rehtona(幻境双生)』をご紹介。開発者インタビューもお届けします。

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「中華ゲーム見聞録」第23回目は、光と影の2つの世界を行き来して謎を解いていく、ドット絵の美しい本格パズルアドベンチャーゲーム『Rehtona(幻境双生)』をご紹介します。

本作はDot 4 Joy(Dot 4 Joy工作室)が開発し、Joyient(成都嘉諠互娯科技有限公司)がSteamで1月23日に配信を行いました。Dot 4 JoyはJoyient傘下のインディーデベロッパーで、3名のパズルゲーム好きのメンバーによって構成されています。

名作パズルアドベンチャー『Fez』『BRAID』以降、この手の斬新な2Dパズルの良作品が少なくなったため、「それならば」と自ら開発を始めたとのこと。中国のクラウドファンディングサイト「摩点」にも登録し、目標金額の3万元(約50万円)を超える開発資金調達にも成功しています。今回は開発者の亜蒙氏にコメントをいただけましたので、記事の最後でインタビューもお届けします。


本作の内容ですが、鏡面世界を行き来するパズルゲームとのことです。タイトルの『Rehtona』も「Another」を逆にしたもの。いったいどのような世界なのでしょうか。そしてそれがどのようにパズル要素に活かされるのか。さっそくプレイしていきましょう。

見ていて楽しいドット絵風グラフィック



ゲームを起動させると明るいトーンの『Rehtona』のタイトル画面が……と思ったらその文字が反転し、「ANOTHER」に変わってしまいました。画面も暗くなってしまっています。これが鏡面世界でしょうか。とりあえずゲームスタートします。

タイトル~オープニング


ゲームスタート後に現れるのは、パンダの帽子をかぶった少女の寝起き姿。彼女が主人公のレトナ(Rehtona)です。今日は縁日で、屋台などを見に行く予定。さっそくベッドから飛び起き、家の外へと出かけます。ドット絵の動きがいいですね。


家の外に出ると、色彩豊かで賑やかなドット絵マップが広がります。レトナの家の屋根にはでっかいパンダ顔。犬も飼っているようです。後ろにも薄っすらと町の建物が描かれています。見ているだけで楽しくなってきますね。

画像にある大きな鳥の像のようなものは「ムシー(Musii)」。空飛ぶ乗り物のようです。町の建物にはパイプ管がたくさんあるので、スチームパンク的な世界観なのでしょうか。ムシーも人工物っぽいです。


ムシーに乗ってさっそく縁日に出発。後ろに全体マップが映し出されていますが、結構いろいろなステージがありそうですね。楽しみです。

広場の人々が消えた……?



縁日の広場にたどり着くと、大勢いた人々が突然消えてしまいました。いったい何が起こったのでしょうか。画面中央には金色の鍵が出現し、右側には門があります。

門を開けて影の世界へ


鍵を取って門を開けると、そこは影の世界。この後、影の世界が崩壊し、レトナは自宅のベッドで目を覚まします。先程のは夢だったのでしょうか。もう一度ムシーに乗って縁日の広場へ向かいます。


ここでチュートリアルステージが始まります。レトナのアクションですが、パズルゲームにしては珍しく、空中で2段ジャンプができます。また四角いブロックは横に押すことが可能。赤いレーザーに触れると死んでしまいます。まずはブロックを押し、レーザーを止めるボタンの上に置きましょう。

チュートリアルステージ


画面中にあるジグソーパズルのピースを取ったあと、ステージスタート位置に現れるムシーのもとに戻ることが、ステージクリアの条件。ピースはレトナの記憶の破片のようです。

それと、レトナの今いる世界は「光の世界」、鍵を取って門をくぐった先は「影の世界」。この2つの世界を行き来しながらパズルを解かなければピースを取ることはできません。最初の目的は鍵を取ることです。

光と影の世界を駆使してパズルを解け



今回はXboxパッドでプレイ。Bボタンを押すと、レトナは少女の「幻影」を光の世界に残すことができます。いくつ置けるかはステージによって異なり、チュートリアルステージでは2つまでが限度。門をくぐって影の世界へ行くと、幻影は石と化して足場にすることができます。これを上手く使うことがパズルを解くカギです。

また緑色の触手のようなブロック(ツタブロック)と、先ほどスイッチの上に置いた灰色のブロックは、影の世界では縮まって通れるようになります。コーヒー色の小さな四角は、影の世界だと通行不可の紫ブロックに変化します。茶色の箱ブロックはどちらの世界でも同じ形です。


こちらが門をくぐった先の、影の世界。光の世界と見比べてみれば、ブロックが変化しているのがわかるかと思います。本作はこの違いを利用してパズルを解いていくことになります。ステージが進むにつれ、このギミックの種類が増えていきます。


ピースを取ると、ムシーが出現。ムシーのもとに行けばクリアなのですが、ステージによってはすんなり行かせてくれません。ピースを取ることだけではなく、ムシーのもとへ行くための道も作っておかなければならないのが、このゲームの難しさです。

多彩なステージと難易度高めのパズル



チュートリアルステージが終わると、さっそく自力で解くステージが始まります。今回のレーザーはボタンがないので、箱などを使ってふさぐしかありません。ところが灰色のブロックでレーザーをふさぐと、影の世界へ行ったときにはこのブロックは縮小してレーザーを通してしまいます。パズルゲーム好きの人たちが開発したゲームだけあって、最初のステージからすでに頭を悩ませるレベルの難易度です。


ステージが進むと、スイッチを押すことで泡の発生する装置が登場。泡を踏めばジャンプ力が上がり、2段ジャンプでは届かなかったところへ移動できます。パズルゲームながらアクションを求められる部分もあります。


泡発生装置も、影の世界では触れたら死んでしまう毒泡に変化。ムシーの出現位置は画面の左なので、この毒泡をどうやって越えるかも問題になってきます。この他にもこのようなギミックは多く、光と影の世界の性質を考えながらパズルを解いていかなくてはなりません。2つの世界を何度も行き来することになるでしょう。

開発者へのインタビュー


本作はストーリーを重視したパズルゲームですが、パズル自体は本格的なもので、最初のステージから頭を悩ませます。「最後まで行けたと思ったら、最初のうちにブロックをあの位置に置かないと駄目だった」みたいなことも多く、解く手順はかなり重要。幸い、Yボタンを押すことで一歩ずつ手順を戻せますので、間違ったときには戻していきましょう。以下は本作の開発者・亜蒙氏へのインタビューです。



――まずは自己紹介をお願いします。

亜蒙氏:亜蒙と申します。私たちDot 4 JoyはJoyient傘下のデベロッパーで、本作に関わったメンバーは3名です。それぞれグラフィック、企画、プログラミングを担当しています。Joyientのテストチームや運営チーム、音楽チームの方々にも協力していただきました。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょう?

亜蒙氏:チームメンバーはドット絵風パズルゲームが大好きで、普段からよく遊んでいます。このジャンルのゲームは、私たちチームメンバーに喜びを与えてくれます。私たちと同じように、このジャンルの新作を待ち望んでいるゲーマーが多いのではないかと思ったのが、本作開発の理由です。2018年5月から開発を始め、半年以上かかりました。

――本作の特徴を教えてください。

亜蒙氏:謎解きの革新性と美術表現です。本作を開発しているとき、私たちはグラフィックとステージ設計に対して多大な努力を注ぎました。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

亜蒙氏:日本人開発者が『RPGツクール』シリーズで開発したゲームは、私たちに多くのインスピレーションを与えてくれました。特にキャラクターやストーリー展開が練られているもの、例えば『Ib』『魔女の家』『マッドファーザー』『囚体』といった作品です。また『Eversion』からは多重世界パズルのインスピレーションを得ました。

――本作の日本語対応予定はありますか?

亜蒙氏:日本語サポートは開発計画の中にずっとあったので、きっと配信できると思います。しかし日本語は英語と違って、同じ言葉でも状況が違うと別の意味になってしまい、適切に翻訳しようと思うと難易度が高くなります。この点に関しては、中国語も日本語も同様の特徴がありますが。しかし、できるだけ早く日本語版を皆様に提供できるよう努力しています。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

亜蒙氏:日本の読者の皆様、初めまして!皆様と接する機会があることを嬉しく思います。私は日本のゲームが大好きです。なぜならば、日本の多くのゲーム開発者は、キャラクター造形やストーリーに対して非常にしっかりとした基礎を持っているからです。例えば『Fate/Grand Order(FGO)』。キャラクターが好きすぎて、いくら課金したかわからないほどです。これらはとても敬服すべきことであり、学ぶに値することでもあります。また同じように、本作を日本の皆様にも気に入っていただければ嬉しい限りです。本作は比較的純粋なパズルゲームであり、日本の皆様に良いゲーム体験をお届けできればと思います。

――ありがとうございました。



可愛い絵柄ながらも、パズル要素はかなり本格的な本作。今のところ中国語(簡体字)と英語のみですが、日本語も収録予定とのことです。パズルゲームなので、ルール把握さえすればプレイ自体は問題ないかと思います。ただし、ストーリーも本作の目玉なので、内容を理解しながらプレイするのが一番かと。最近パズルゲームの良作を遊んでいないという方は、ぜひとも本作をプレイしてみてください。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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