3月30日より早期アクセスが開始された、TaleWorlds Entertainmentの『Mount & Blade II: Bannerlord』。旧作の発売から10年近く経ちついに発売された本作は、配信わずか3時間で145,000人を超えるプレイヤー数を記録するなど大きな話題になっています。リアルになったグラフィックはもちろん、経済システムの進化などシステム面でも機能は充実。現在のユーザーレビューが「非常に好評」など、高い評価を受けています。
本稿は、シリーズ作品『Mount & Blade: Warband』を全力でプレイした筆者が『Mount & Blade II: Bannerlord』で感じた細かい進化点を取り上げてみようというものです。ゲームとして遊びやすくなったシステムや、世界をより深く感じさせるようになった戦場の進化、シリーズのファンが喜ぶのではないかというポイントをクローズアップしています。
※画像は各項目旧作→新作の順で掲載しているので、画像面での強化なども合わせてお楽しみください。
商人や重要人物に即アクセス!便利すぎる街や村の進化!
旧作までは街での買い物は、武器は鍛冶屋を選び馬は馬屋を選び食料や交易品は道具屋を……などといちいち切り替える必要がありました。もちろんこれは世界の雰囲気を活かすための要素として褒める部分でもあるのですが、いささか不便に思う所でもありました。
今作では街に入ると専用の画面が表示され、買い物は「トレード」でまとめて購入可能。商品はカテゴリーごとに表示できるため、武器がほしいときなどでも迷うことはありません。もちろん実際に街を巡って直接商人から買い物などもできるので、ロールプレイ重視の方でも安心です。また、小麦などの相場も表示されるため、無駄のない買い物をしやすくなったのも大きな変更点です。
また、施設にいてクエストを受注できるような主要人物には直接アクセスできるようになり、クエストを受けられる人物には「!」マークが付いているなど非常にわかりやすいUIとなっています。街の中で一般人に「あの人どこにいるかな?」と尋ねると仕事中でも走って案内してくれるのがちょっと面白いですね。ただ、旧作では市民に街の生活しやすさなどを尋ねる選択肢があり、世界観を補う雰囲気があり好きだったのですが、今作では存在しないのは寂しいポイントです。
牛は追わなくていい!家畜はインベントリに入る時代へ!
旧作でプレイヤーが必ず直面する困難なミッションに「牛を特定の場所に運ぶ」というものがありました。この文面だけでは何が難しいのか、そう思う人がいるかも知れませんが、これは間違いなく作中でも屈指の高難易度ミッションだと言えます。
旧作は、牛などの家畜オブジェクトは「マップ上に置かれるのでそれを追い立てて進める」必要があり、この牛の行動が非常に操りづらいものでした。こちらがちょっと上にずれれば牛は下へ動き、直そうとすためにこちらが回り込むような動きをする必要がありました。そうこうしているうちに時間は無為に過ぎていき、気がつけばクエスト期限になってしまうことも珍しくありません。「牛が後ろをついていくるようになる」追加要素のあるMODが存在するくらいには面倒な要素だったと言えます。
今作では、家畜の配送クエストを受けるとインベントリに家畜が入るようになり、そのまま運ぶことが可能になりました。多少の軍備があれば盗賊も襲ってこないため、序盤で稼ぎやすいクエストとして生まれ変わったと言えます。個人的には今回プレイした中で一番喜んだ進化点です。
捕虜はすぐに売れる!ブローカーがどの街にもいる喜び!
戦闘に勝つことは名誉だけでなく、大切なお金を集める喜びもあります。集めた武具や馬などはもちろん、生き残った人間も大切な資源。捕まえた兵士は説得して自分のユニットに入れることもできますが、モラル低下の可能性もあるため身代金目的で売ってしまってお金にするのが手っ取り早くておすすめです。
捕虜を売るためには「ブローカー」に話すことが必要なのですが、旧作では彼らを探さなければなりませんでした。大抵は大きな街の酒場にいるのですが、見つからないうちに戦闘を重ね、商品…もとい捕虜たちの人数が限界まで膨れ上がってしまうこともありました。
今作では「ブローカー」はすべての大きな街に存在し、町のトップ画面からスムースな商品取引を行いすぐに現金化することが可能です。世界観的な話だと旧作から数百年前の混乱極まる時代のカルラディアが舞台のため、この時代では捕虜のやり取りが盛んに行われていたのではないかと想像できます。
クエスト管理が楽々!図鑑機能「Encyclopedia」がすごい
旧作では受注したクエスト確認画面は非常にシンプルで、ときには分かりづらいこともあります。名前のある人物を探すためには他の人物と出会い、どこにいるかを尋ねなければならないという細かい工程を追わなければならないものでした。本作では、「J」ボタンでいつでも確認できるクエスト確認画面でわかりやすく表示され、また細かい地名や人物名はすぐに検索できる機能が追加されています。それが本作の新機能「Encyclopedia」です。
ゲーム中に「N」を押すことで、ゲーム内のほぼすべての項目を調べることができる「Encyclopedia」に移行します。Settlements/Heroes/Troops/Kingdoms/
Clans/Conceptsの6つの項目に分かれていて、必要な情報にいつでもアクセスできるようになっています。
例えばHeroesの項目であれば、その人物の来歴や最近起こったできごと、一族構成や誰と敵対しているか、誰と仲がいいかなどの細かい情報が網羅されています。さらに、「二日前に〇〇の城にいた」などの直近の目撃情報も更新されていくため、クエストなどでその人物を探すときにとても重宝します。いわゆる武将だけでなく、街の主要人物までリストにあるのが非常に親切です。
検索条件も細かく、人物であれば「前にあったことのある人物のみ」だけを表示可能。兵種であれば「蛮族で騎兵」「正規兵で弓兵でEmpire所属」など詳細な条件で検索可能で、アップグレード先やスキル構成まで確認できるという万能っぷりです。
人物の来歴や街の情報、国の成り立ちなど読み物としての価値も高く、他のキャラクターや地名などの項目には直接リンクしている設計のため、この「Encyclopedia」をめくって眺めているだけでも面白いものです。
本作の売りのひとつ攻城戦はたしかにすごい!
前回は攻城戦も比較的シンプルな戦場で両陣営が弓を撃ち、ハシゴや攻城塔で兵士がぶつかり合うだけのものでした。もちろんそれでも大多数の兵士がぶつかり合い、次々と倒れていく様子には独特の迫力があり「戦場こそがゲームの華」と思わせる要素になっていました。
今作の攻城戦は、まず戦場にオブジェクトが多いのが非常に印象的です。弓兵が身を隠しながら戦える防壁が攻防どちらの陣営にもあるだけでも戦場に説得力が出ます。また、兵器も多数存在しバリスタや投石機、城の扉を破る破城槌など攻城兵器を生かした戦闘が楽しめる仕様になっています。
さまざまな戦場を試せる「カスタムバトル」で防衛戦を試してみたところ、次々と飛んでくる投石によりこちらのバリケードはあえなく陥落、バリスタで反撃しているうちに破城鎚が城門へと到着され突破されそうになるなど、大迫力すぎるバトルを楽しむことができました。もちろん今作になって大幅進化したグラフィックもあり、非常に厚みを感じる戦闘になった印象です。目の前で投石が炸裂したときは迫力がありすぎてかなり驚きました。
まだ『Mount & Blade II: Bannerlord』は10時間ほどのプレイ時間のため自分の部隊もそこまで大きくできず、攻城戦などもキャンペーンモードではまだ試せていませんが、今の所プレイした印象は同シリーズの「無骨で自由」な雰囲気をそのままに遊びやすくしている印象が強いです。グラフィックの進化も『M&B』らしさを残しつつ迫力を増しているのがファンとしては嬉しく感じられます。
旧作はシステムとして足りない部分をMODで補う文化が根付き、前述の難しすぎる牛追いや、バニラだとシンプルすぎる施設経営の強化などで拡張性の高いゲームになっていました。システム面での不満点を大きく解消している本作は、旧作での有名MODの要素を上手く吸収して進化しているな、というのが正直な感想です。
まだまだバグは多くクラッシュ報告なども多数挙げられている早期アクセスの段階ですが、今の所キャンペーンモードに終わりが見えず、楽しくプレイできている状態です。早期アクセスはおよそ1年間を予定しているようですが、旧作のファンであれば今の段階でもその進化に感動できるのではないかと思います。