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家庭崩壊の中で育った子供がどのように感じるのか伝えたいと思い、本作を作った―サイコロジカルホラーパズル『Adam - Lost Memories』開発者ミニインタビュー

自らが受けた児童虐待の体験を基に作られたサイコロジカルスリラーパズルです。

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家庭崩壊の中で育った子供がどのように感じるのか伝えたいと思い、本作を作った―サイコロジカルホラーパズル『Adam - Lost Memories』開発者ミニインタビュー
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Adam Dubi氏開発、PC向けに7月5日正式リリースされたサイコロジカルホラーパズル『Adam - Lost Memories』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、一人称視点のサイコロジカルホラーパズル。開発者であるAdam Dubi氏が子供の頃に実際に受けた児童虐待をベースとしており、プレイヤーは「開発者本人の目線」で恐怖を体験します。記事執筆時点では日本語未対応です。

『Adam - Lost Memories』は、1,520円で配信中





――まずは自己紹介をお願いします。

Adam Dubi氏(以下Dubi氏)ハンガリー出身の25歳のソロデベロッパー、Adam Dubiです。私は「みんな知り合い」と言うような小さく退屈な町に住んでいますが、私が本プロジェクトを完成させたことや、世界中の人から数え切れないほどのフィードバックをもらっていることを知る人は誰もいません。

私がゲーム開発を始めたのは今から8年前で、私の人生において一番憂鬱な日々でした。学校も退学しましたので、ゲーム開発に関する学習経験もありません。これは私にパニック障害があったためです。選択肢は2つしかないような状況でしたが…私は助けを求めることを選びました。

それから数年間、私はすべてを独学で学びました。英語、ゲームデザイン、3Dモデリング、サウンドデザイン、マーケティング。ソロデベロッパーですので、これ以外にもゲームを作るにあたって知っていなくてはいけないことすべてを独学で学んだのです。

もちろん当時はプログラムを学ぶことへの経済的余裕もなかったので、体調が多少良くなると、フォークリフトのドライバーとして働き始めました。個人的にはこの仕事が大っ嫌いだったのですが、おかげで他の人たちとの交流やチームで働くことを学べました。しかし本作の開発を進めながら、一日12時間働くというのはなかなかハードでした。

そして今から一年と少し前、本作の早期アクセス版をついにリリースできました。その「リリース」ボタンを押す瞬間は、感情的にとても難しいことでしたが、それがまさに私の人生のターニングポイントになったのです。世界中の人たちからとても優しい言葉をかけられましたし、時にはまったく知らない人が、彼らの抱える悩みや、本作との類似性について話してくれるのです。その瞬間は、私の人生にとって最高の瞬間のように感じます。そして今、ついにデビュー作となる本作を完成させられて、とても安心しています。


――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?

Dubi氏上でも書いたように、今から8年前、私は助けを求めました。すると精神科医に、子供の頃のトラウマを克服する方法は、芸術という形でそれを解き放つことだと言われたのです。私は家庭崩壊が起きている家庭で育った子供がどのように感じるのか人に伝えたいと思い、本作を作りました。

――本作の特徴を教えてください。

Dubi氏おそらく本作一番の特徴は、私の辛い過去を5~6時間のゲームに落とし込んだところでしょう。また、本作では最初にロールシャッハ・テストを受けます。あなたの答えとプレイスタイル次第でゲームが少し変化しますので、プレイする人によって異なる経験ができるでしょう。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Dubi氏他のゲームのコピーではなく独自のものを作りたいと常日頃思っていました。しかし、もちろん影響を受けた作品は存在します。雰囲気の面で、多くのインスピレーションはOleg Vdovenkoというアーティストから受けています。パズルの面では『Amnesia: The Dark Descent』から影響を受けていますし、サウンドデザインは『Alien: Isolation』から、ビジュアル面では『Doom 3』から影響を受けています。

――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能でしょうか?

Dubi氏もちろん、日本語を含む他の言語への対応は、ずっと前から考えています。しかし一人で開発しているため、経済的にも難しいのが実状です。有志翻訳は喜んで受け付けたいと思いますので、ぜひメールでご連絡ください。

――新型コロナウイルスの開発への影響はありましたか?

Dubi氏悲しいことに、ありました。おそらく、この現状は世界中の人に様々な形で影響を与えているでしょうから、私のケースが最悪だとは思っていません。しかし、自分のPCを修理できなかったことから、開発が中断してしまったのです。私のPCは雷が落ちたせいで壊れてしまいました。幸いにも貯金があったので、新しいPCを買うお金はあったのですが、すべての店は閉まっていましたし、配達も国境が閉鎖されてしまったため遅れ、結果としてプロジェクトの遅延に繋がってしまいました。また、工事業者にも外出禁止令が出ていたため、家のインターネットがしばらく繋がらなかったということもありました。

ここでNVIDIAに感謝を述べさせてください。私に連絡をくださり、新しいRTX 2080 Tiを本作の開発のために無償で提供していただきました。本当に奇跡かと思いました。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Dubi氏日本の読者の皆様、私たちは距離として遠く離れているのに、こうして近くに感じられるのは素晴らしいです。私についての記事を読んでくださり、ありがとうございました。児童虐待についてもっと意識していただけるように、こうして一人の人間が世界中の人々に訴えかけられる時代に生きているというのは、素晴らしいことだと思っています。

日本の皆様、お体にお気をつけてお過ごしください!

――ありがとうございました。



◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に300を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
《Chandler》
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