気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Berzah Games開発、PC向けに10月2日リリースされたトルコ2Dアクション『URUZ "Return of The Er Kishi"』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、トルコの英雄物語をベースとした2Dアクション。プレイヤーは様々な土地を探索し、人々を助け、パズルをときながら、モンスターやスピリチュアルなクリーチャーたちと戦います。欧米とも東アジアとも違う、独特なビジュアルにも注目です。記事執筆時点では日本語未対応。
『URUZ "Return of The Er Kishi”』は、2,570円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。
Ali Can Meydan氏(以下Meydan氏)3Dアーティスト兼イラストレーターのAli Can Meydanです。主に伝統と歴史に関連した創作活動をしています。(作品リンク:DeviantArt/Behance/ArtStation)
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Meydan氏私はフリーランスの2D/3Dアーティスト兼アニメーターとして、テレビ業界と広告業界で長く働いてきました。今から5年前、私はゲーム開発に興味を持ち、本作を作ろうと決めたのです。私たちの開発チームは小さく、開発には4年かかりました。
――本作の特徴を教えてください。
Meydan氏本作には特徴的な部分が多くあります。雰囲気と世界観が個性的ですし、これは中央アジアの文化とトルコ文化をベースとしています。アジアの遊牧民の敷物の模様であったり、伝統的な雲の描き方、それにスキタイ文化の石像からも影響を受けています。ありがちな中世ヨーロッパとは異なる世界を本作では描きたいと思いました。
音楽も同様で、伝統的な中央アジア&トルコ音楽と現代の楽器を混ぜ合わせています。ゲームプレイも特徴的で、一般的な2Dアクションではありますが、プレイヤーはスキルツリーとアイテムでキャラクターを強化でき、クエストを攻略していきます。
しかし何より、本作一番の特徴はそのアートスタイルであり、私たちが一番推したい部分でもあります。本作には中世ヨーロッパ、古代ローマ、古代エジプトなど、美しい文化が色々と登場しますよ。

――本作が影響を受けた作品はありますか?
Meydan氏はい、本作は古代トルコの「デデ・コルクトの書」(注:トルコ系オグズ族の英雄物語集)に収録されている物語から影響を受けています。本作のストーリーは、この本に出てくる「カザン・ベグの子ウルズ・ベグが虜囚となった物語を語る」という物語をベースにしています。収録されている物語は、遊牧民たちの道徳や社会生活における大切なことが書かれているだけでなく、イスラム教が入ってくる前の信仰についても描かれているのです。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能でしょうか?
Meydan氏はい、すべての言語に対応させたいとは思っているのですが、まだその余裕がありません。私たちは小さなインディースタジオなので、予算がそれほどないのです。もし本作の翻訳をお手伝いしていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いしたいです。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Meydan氏それほどありませんでした。私たちはわずか4~5人で作業をしていますし、みんなリモートワークをしています。
――配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Meydan氏はい、もちろんです。どなたでも配信していただいて大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Meydan氏日本の歴史と伝統には尊敬の念を持っています。トルコの歴史と伝統とも似ている部分があると思っているのですが、日本の方々が成し遂げた素晴らしいことは、それらの伝統や文化をアニメやゲームといったポピュラーカルチャーに変化させたことだと思っています。トルコの人々にとっては良い前例ですので、本作において、私たちは日本の方々がやってきたことをトルコ式のやり方で実現しました。気に入っていただけると嬉しいです。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に300を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。