ご注意
このプレイレポには、どうしてもネタバレが含まれます。そのため一切の前情報無しに、初見プレイで楽しみたいという方におかれましては、ここでブラウザバックして頂きますようお願い申し上げます。スパくんとのお約束スパよ(読者の怒りを誘う安易な語尾)。
最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。私もプレイするまで正体が掴み切れず泣いています。そこで「なるべく早く!」をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのがこの企画「爆速プレイレポ」!さあ、本日もやって参りました。
今回は、Dreams UncorporatedとSYCKが開発を、Modus Gamesがパブリッシャーを担い、Windows PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass Ultimate/ニンテンドースイッチ向けに、2021年7月20日にリリースされたファンタジーRPG『Cris Tales』について生の内容をお届けしたいと思います。全プラットフォーム同時発売とは気合の入った、凄まじい熱量を既に感じさせてくれます。
『Cris Tales』とは?
本作は、王道ファンタジーをベースに、様々な名作から受けたインスピレーションを盛り込んだRPG。宝石が透き通るような美しいトーンで描かれたアートワークに、生き生きとしたアニメーションもさることながら、特に注目すべきポイントは、過去と未来の時間演出です。単純に時間移動するのではなく、あくまで現在に軸足を置いて過去と未来に干渉していくというスタイルは、戦闘などのプレイ体験を新鮮なものへと昇華しています。
記事を執筆するにあたり、私はPC(Windows)版をXboxコントローラーでプレイしました。言語設定は日本語。ごく稀にぎこちない翻訳箇所がありますが、キャラクターと作品世界を損なわず、上手に合わせていると感じます。特にデモ版は英語のみだったので、日本語になると、登場人物をより深く知れると申しましょうか。
実際遊んでみると、主人公のクリスベルをはじめとするキャラクターたちが本当に可愛い。それまであまり意識していなかった、しゃがむ際にスカートがちょっとふわっとする動きにすら品の良い所作を感じて胸がときめいてしまい締め付けられるような恋の(錯乱)
ともあれ今回の執筆にあたり、4時間半ほど遊びましたが、既に濃密なプレイ体験を楽しめました。記事を書き終えたら、続きを遊びたい……!あのキャラのその後が気になる……!そんな気持ちでいっぱい。流石にすべてを紹介することはできないので、この記事は主に「ストーリー」「演出」「戦闘」に焦点を当てていこうと思います。
ストーリー:王道にちょっとしたアクセントを加えた展開
あらためて、本作を一言でまとめるなら、まさに「王道ファンタジーRPG」です。ひょんなことから「時の女帝」の企てに巻き込まれたクリスベルと仲間たち。ゲームは、世界を旅する彼女らが訪れる各地で、メインおよびサブクエストをこなしていくことで進行していきます。そんなオーソドックスなベースに対して、クリスベルの「時の賢者」という設定は、ひねりの利いたアクセントになっていますね。
どういうことかと申しますと、時の賢者……いわゆるタイムトラベル能力の一種を、彼女はクリスタルの力として手に入れます。その結果、人々の暮らしの過去と未来が見えるようになり、そのなかには絶対に避けなければならない、悲惨な結末があることも知ってしまいます。彼女はより良いエンディングを掴み取るべく、クリストファーやウィルヘルムといった仲間たちと共に困難を乗り越え、未来が様変わりするほど大きな「決断」をしていくのです、
演出:過去と未来は何故そうなった?
決断はプレイヤーの行動に委ねられており、個人的に、この演出は実に見事だと思います。
記事冒頭でも触れましたが、本作の過去・現在・未来が同じ画面内で表示されることによる、グラデーション的変化は、プレイヤーの心に訴えかけるものがあります。何故なら街を歩いていて、過去では快活だった子どもが、何があったのか未来で身を落としていたりしますからね……。
その時点における過去や未来のイベントに干渉し、「何があった」の部分を明らかにして良い方向へ導こう、というのがサブクエストの役目。それらが最終的にはメインクエストにて下す「決断」にも影響します。ただし、サブクエを埋めて決断すれば万事解決かと言えば、そうとも限らないのが本作の味つけ。なかには「どうしてこうなった?」というビターな部分も。誰かシュガーソングを歌ってあげて!(心の悲鳴)
話は脇道にそれますが、開発者側に思いを馳せると、こういった数パターン存在するイベント関連は、管理が非常に難しかったことでしょう。そういった部分はインタビューでも、面白さと両立しつつ、設定をシステムへ落とし込む際の苦労話として伺っています。これはライターというより、いちプレイヤーの個人的な感想になってしまいますが、ゲームをリリースしてくださり本当にありがとうございます。
戦闘:過去と未来へ敵を弾き出せ!
さて、ここからは戦闘について紹介していきます。王道ファンタジーRPGだけあって、基本的な戦闘ルールも至って正統派。戦闘はマップ移動中に敵とエンカウントすると場面が切り替わり、お洒落なUIでターン制コマンドバトルが始まります。攻撃ならびに防御の際は、タイミングよくボタンを押してクリティカルやパリィをすることも可能。与えるダメージを増やし、受けるダメージを減らす……これは戦闘中において必須スキルなので、ゲーム冒頭チュートリアルの段階でマスターしておきたいですね。
というかそうしないとチュートリアルで殺される。殺されましたよ(しょーもない技量不足の疑い)。
エンカウントの演出はちょっと寂しい
また話がズレますが、このエンカウントの演出について少々。マップを気持ちの上では美少女でスキップるんるんしてたら、突然のロード画面でヌルッとバトルに突入というのが本作のエンカウント。しかも場所によってはロードが長かったり……。これは個人的にはもう少し、切り替わりにメリハリをつけて欲しいところだと感じます。例えばシンボルエンカウントで画面にヒビが入ってバリーンしたり、シュワァァァァとズームインしたり……などなど。
各キャラクターの特徴を掴もう
ともあれ各キャラクターには攻撃力・防御力・素早さといった戦闘能力値が設定されており、特に素早さが高いほど、敵よりも早く行動できるというお馴染みのシステム。
またキャラクターには、それぞれ戦闘スタイルの方向づけがされています。クリスベルは、攻撃と回復さらに「時間の能力」を使って味方パーティを牽引する万能系。ウィルヘルムは、毒などの付加ダメージを与える攻撃が得意なサポート系。そしてクリストファーは、高い戦闘力により攻撃を続けるアタッカー系……といった役どころでしょうか。ここらへんはもしかすると、レベルアップで新しく覚えていくスキルなどで、さらに別の戦闘スタイルに発展するかもしれません。
ちなみに攻撃を続けてゲージが溜まることによって、「シンクロ」という強力な連携技も放てます。ゲージは戦闘終了後も据え置きなので、雑魚敵でゲージを溜めておいて、ボス戦の際に一気に使用するのも手。
時間の能力
さて、『Cris Tales』におけるクリスベルのクリスタルのクリスがクリ……記事を書いていてちょくちょく目が滑る瞬間です。ともあれクリスベルの時間に干渉するクリスタルの能力は戦闘においても大活躍。ざっくり簡単に説明すると、「敵を過去または未来へ飛ばし、幼体や老体に変えて弱体化させる」ことでバトルを有利に運びます。
マップと同様、画面中央が現在で、左右がそれぞれ過去と未来ですね。これは実際にプレイすると、視覚的に理解しやすい部分だと思います。
ともあれこの能力は、バトルの戦術において「仲間との連携」を、より重要なものにします。
どういうことかというと、例えばウィルヘルムのスキル攻撃によって毒状態にされた敵がいたとします。通常であればターン毎にわずかなスリップダメージが入るのですが……これを未来へ弾き出すと、「現在から未来までの経過時間分をまとめたダメージ」が一気に叩き込まれるのです。
こういった要素は、バトルの駆け引きをさらに白熱させてくれますね。しかもなかには、自分で画面内の位置取りを変えて、時間の効果を無効化してくる敵もいたり。
惜しい点
個人的に、強いて惜しい点を挙げるとするならば、マップ構造による移動時間の長さがネックでしょうか。演出やアートワーク優先のためか、町は内部で往復に時間がかかる作りだったり、施設へのファストトラベルが無かったりと(ワールドマップは違う?)、移動がやや面倒。個人的には、その分綺麗な景色を楽しめるのでそれほど苦にはなりませんが……。
ただこの移動時間、敵が出現するエリアは特に入り組んでるせいか、エンカウントが妙なところで発生するような気がします。例えばセーブポイント直前、またはボスイベント直前で戦闘突入……ということもしばしば。さすがに、ボス戦のあと、セーブポイント手前で雑魚敵エンカウント、しかも何度か闘争失敗した時は笑顔が引きつりました。幸い回復だけはしていたので良かったものの、ゴッドエンペラー倒した直後うっかりプリミティベビー連戦やらかした時のトラウマが蘇りましたよ(メダロット2の話)。
しかし古き良きJRPGへのラブレターでもある本作としては、こういった部分も意図的にデザインしたのかもしれません。惜しい点とはしつつも、なんやかんやで楽しんでプレイしていたので、ある意味で、ゲームを引き締めるスパイス的な役割を果たしていたと言えましょう。
おわりに
王道ファンタジーRPGを土台に、丁寧に独自の設定を乗せて見事、面白いプレイ体験へと組み上げた本作。RPGにどっぷり浸かって遊ぶんだいという方にも、絵が綺麗で可愛い~と気になっていた方(私の事ですな)にも、幅広く開いた作品のはず。今年の夏に色鮮やかな『Cris Tales』、おひとつどうでしょうか。
※UPDATE(2021/7/22 14:10):当初のタイトルが、意図しない印象を与える表現と思われたため、一部修正しました。
対応機種:Windows PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass Ultimate/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2021年7月20日
記事執筆時の著者プレイ時間:4.5時間
価格:通常価格 3,980円、セール価格 3,582円(21年07月28日まで)/オリジナルサウンドトラック同梱版通常価格 4,960円、セール価格 4,562円
【ライター紹介】麦秋
普段の仕事の傍ら、爆速プレイレポを通して、様々なゲームをプレイさせてもらってます。好きなゲームは、起動後すぐプレイヤーを殺しにくるもの。『TETRIS 99』とかそうですよね。違う……!?ともあれ生意気承知で申し上げるなら、読者の皆様にゲームの魅力を少しでもお伝えすることができたら、それはもう嬉しくて失禁するレベルです。