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王道ゲームサウンドからの大転換…『クロノ・クロス』20周年の音楽作品をプレイバック

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『クロノ・クロス:RD エディション』先行プレイレポート―「幻」の挿話と共に、夢の再演はより鮮やかに蘇る
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『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』が4月7日に発売されました。先にリマスターが発売された『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』と並び、プレイステーション円熟期のスクウェアを代表する作品です。『クロス』と言えば光田康典氏の手がけた音楽で、一度聴けばすぐにその彩り豊かな世界に魅了されるでしょう。

当初は『クロノ・クロス』20周年にあたる2019年の発売を予定していたとのこと。それに合わせ、同年は関連する音楽作品やコンサートが複数ありました。この度の『RDエディション』で初めて触れる方も、見逃していた方も、スルーしてしまうのはもったいない!ということで、『クロス』の音楽が今なお支持される理由と、同年にリリースされたアレンジアルバムをご紹介します。

CHRONO CROSS Original Soundtrack Revival Disc

『クロノ・クロス』の音楽のコンセプトは「ラジカル・トラッド」、伝統的な民族音楽に現代や他の地域の要素を加えたジャンルです。1990年代の北欧が発祥と言われ、民族楽器とバンドやダンスミュージックを組み合わせ、従来の伝統音楽から飛躍したサウンドとして新しい聴衆に受け入れられています。現在における民族調のゲーム音楽は、伝統音楽そのものよりも、このラジカル・トラッドのようなモダンな進化をしたものの影響が大きいでしょう。そしてきっかけのひとつになったのが『クロノ・クロス』というわけです。

ゲーム黎明期からプレイステーション世代までは、『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういち氏の影響もあり、ゲームの王道サウンドと言えばオーケストラ調の堂々とした音楽でした。民族音楽の要素もある程度ありましたが、異境の雰囲気の演出が主で、メインテーマや主要イベントの曲になることはまだ珍しかったのです。光田氏が直前に担当した『ゼノギアス』でも同様でした。『クロノ・クロス』では主流だったオーケストラ調から転換し、光田氏が取り組んでいたトラディショナル(民族音楽)の要素を前面に押し出します。

「そのまま聴くと、どうしても日本人にはキツい。それを日本人が感じる“向こうのお国柄”風にアレンジして、聴きやすくできないだろうかっていうのをずっと考えてたんです」(「クロノ・クロス アルティマニア」より)

1996年の『ラジカル・ドリーマーズ』には既にラジカル・トラッドの要素があり、変拍子が特徴のバトル曲「疾風」もこれが初出です。1998年の『ゼノギアス』アレンジアルバム「CREID」も本場アイルランドで収録していて、光田氏が得意とするトラッドサウンドが『クロノ・クロス』で大きく花開くことになったのです。

『クロス』サウンドがユニークなのは、民族音楽を取り入れるに当たって「アコースティック」の感触を出す工夫があることです。システム処理の関係で制約があるなか、細かいところに手を加えることで、プレイステーション世代の中でも頭一つ抜ける音楽になりました。その出来栄えがよく分かる2曲をピックアップします。

「ガルドーブ ホーム」

「天晴驚愕大奇術団」

ボサノバ調の爽やかな「ガルドーブ ホーム」では、わざわざ指が弦を滑る音を足して実演しているニュアンスを表現しています。当たり前ですが、内蔵音源なので本来であれば存在しないもの。これがあることでちょうど良いアクセントになり、ギターの存在感が際立ちますね。同様の表現は「アルニ村 アナザー」「航海 アナザー・ワールド」にもあります。

「天晴驚愕大奇術団」では、二胡や笛の音色に微妙な強弱やビブラートをかけていて、フラットになりがちな内蔵音源であるにもかかわらず、奏者がいるかのように表情がある音になっています。これらの表現はゲームに実装するサウンドエンジニアの協力があってこそ、ハードの限界を突破したという点でも本作は優れているのです。

『クロノ・トリガー』のリバイバルも同年5月にリリース。こちらも併せてお楽しみください。

CHRONO ORCHESTRA

『クロノ・トリガー』25周年と併せ、『モンハン』などでおなじみの東京フィルハーモニー交響楽団による両作品のオーケストラアレンジです。『トリガー』『クロス』の2枚組に加えてピアノアレンジも同梱された限定版もありました。

また、「CHRONO ORCHESTRA 時を渡る翼」として東京、大阪の2都市公演が開催。元々オーケストラ調だった『トリガー』は相性が良く、「クロノ・トリガー」「カエルのテーマ」は勇壮さが一層際立っています。東京オリンピックの開会式に使用されたのはこの作品の音源でした。『クロス』は少ない楽器を想定した原曲とは違う方向性なので、大きく広がりを持つ大編成になると違った表情を見せてくれます。ギター1本だった「RADICAL DREAMERS -盗めない宝石-」には『トリガー』の旋律を組み込み、両作品にまたがる大きな流れも想起する表現です。

『CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda & Millennial Fair』

2015年に発売した『クロノ』シリーズのアレンジアルバム「ハルカナルトキノカナタへ」をベースに、サラ・オレイン氏をはじめとしたアーティストによるバンド編成で国内外全6公演を各地で実施しました。

出演ミュージシャンは『クロス』のキャラクターをモチーフにした衣装を着ていて、ゲームの内容と合わせた演出も盛り込まれました。「MAGICAL DREAMERS ~風と星と波と~」ではスラッシュに扮したギターの坂本氏が大活躍。ファンにはたまらない演目です。

この時には既にリマスター版の開発が進んでおり、「CHRONO CROSS~時の傷痕~」で使用されたOP映像はリファインされたものでした。同公演の「テルミナ アナザー」も『RDエディション』に収録されたDreamers’ Circusのアレンジを元にしています。

中野サンプラザで行われた最終公演の模様はオンライン配信があり、現在は映像作品ライブ音源の形態で販売しています。Blu-ray映像作品の限定版には、Sam Griffinによるギターアレンジ「Our Cerulean Skies」も封入。PS4版の配信テーマでかかる「RADICAL DREAMERS -盗めない宝石-」はこの音源からです。こちらは現在サブスク配信で公開中。(ハイレゾ音源は限定版のみ)

『RDエディション』新規楽曲「夢よ、夢よ、我が魂の日々よ」

『クロス』20周年の音楽イベントから約3年、『RDエディション』に書き下ろし新曲「夢よ、夢よ、我が魂の日々よ」が収録される嬉しいサプライズがありました。『ゼノブレイド2』にも参加したアイルランドの合唱グループ「アヌーナ」から、Aisling McGlynn氏をゲストボーカルに迎えて、本編の「ラジカル」とは表情が異なるアイルランドの柔らかい風を感じさせる楽曲です。「映像には細かなところでゲームの物語とリンクする部分」と、加藤正人氏による歌詞から、『クロス』の物語に新しい光が差し込むようですね。

『RDエディション』「Revival Disc」で改めて確かめるオリジナルの良さ、アレンジで楽しむ意外性、どれをとっても色褪せない『クロス』楽曲の魅力が詰まっています。ゲーム音楽に「トラッド」の風を吹き込んだ名作をこの機に是非ご堪能ください。



《Skollfang》
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