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映画「マインクラフト/ザ・ムービー」レビュー。ストーリーのない“世界一売れたゲーム”はどう実写化された?

膨大なコンテンツが溢れるゲーム『マイクラ』、ハリウッドが実写化!その内容は...

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映画「マインクラフト/ザ・ムービー」レビュー。ストーリーのない“世界一売れたゲーム”はどう実写化された?
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世界一売れている圧倒的なブランド力、ワクワクする世界の冒険、緊張感のあるサバイバル、ダイヤを求めてひたすら掘る採掘、クリエイティブさが発揮される建物の建築、レッドストーン回路による複雑な設計、Modによる高い拡張性……“世界一売れたゲーム”こと、Mojang Studiosの『マインクラフト』は、語るべきところが多すぎる作品です。

本記事では、4月25日より公開予定の映画「マインクラフト/ザ・ムービー」のレビューをお届けします。なお、本レビューは、ワーナー ブラザース ジャパンより招待いただいた試写会の内容を基に執筆しています。

インディコメディ映画の名手が、ジャック・ブラック、ジェイソン・モモア等楽しげなキャストで贈るゲーム映画

映画「マインクラフト/ザ・ムービー」でメガホンを取るのは、全米で大ヒットを記録した「ナポレオン・ダイナマイト」や「Mr.ゴールデン・ボール/史上最低の盗作ウォーズ」、日本でもヒットした『ナチョ・リブレ 覆面の神様』の監督で知られるジャレッド・ヘス。『ナチョ・リブレ 覆面の神様』以外は比較的低予算のコメディ作品を手掛けてきたヘス監督ですが、今作の製作費はIMDbによると1億5,000万ドル(日本円で約220億円、記事執筆時点の為替・1ドル149.33円計算)とかなりの巨額をかけて作られています。

キャストは「アクアマン」や「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるジェイソン・モモアと、ゲーム原作では「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でクッパ役の声優を務め、そしてヘス監督の「ナチョ・リブレ 覆面の神様」でも主演を努めたジャック・ブラックがメインを張っています。

他にも、Netflixのオリジナルドラマ「ウェンズデー」イーニッド役でブレイクしたエマ・マイヤーズ、DCドラマ「ピースメイカー」レオタ・アデバヨ役で知られるダニエル・ブルックス、「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート」のジェニファー・クーリッジ、子役としてデビューしたセバスチャン・ハンセンが名を連ねています。

そうきたか!「異世界転移」として描く『マイクラ』世界

原作である『マインクラフト』にはストーリーと呼べるものがないため、本映画は「異世界転移する」というオリジナルの設定とストーリーを採用しています。作中世界に『マインクラフト』はなく、ゲームの世界に転移したというよりは、「すべてがブロックでできていて、なんでも思い通りに創造できる異世界」(以下、マイクラ世界)というような描写です。

本作の登場人物は、みな現実世界で何かしらの問題を抱えています。

鉱山やものづくりに憧れるも、退屈な日々を送っていたスティーブ(ジャック・ブラック)と、80年代にゲームチャンピオンとして一世を風靡するも、時が経った現在はうだつの上がらない日々を送っているギャレット(ジェイソン・モモア)。

転校先でいじめられっこによって退学の危機に陥る発明家志望のヘンリー(セバスチャン・ハンセン)と、その影響で仕事をクビになりかけるしっかりものの姉・ナタリー(エマ・マイヤーズ)、そして2人の保護者であるドーン(ダニエル・ブルックス)。

この5名は、「オーブ」と呼ばれる謎のブロックによってマイクラ世界に転移。スティーブは最初に転移した人物で、他の4人が来たときにはすでにこの世界のことを熟知。彼にとって“理想の世界”であるマイクラ世界で皆に知識を授けながら冒険していくという物語となっています。

その中で、混沌とした裏世界・ネザーとのポータルが繋がってしまい、ピグリンやガストの軍勢が攻めてくるというハプニングも。スティーブ以外の4人は、元の世界に戻るために奮闘します。

本作は、表立った設定やストーリーのない『マイクラ』を基に、映画に必須な「物語」を表現するという第一のミッションがありました。そこで、「現実の人間がマイクラ世界に転移する」という設定を用いた点は、シンプルながら「そうきたか!」と思わせられる良いアイデアです。

ゲームネタに溢れる怒涛の展開!ドジでキュートなジェイソン・モモアも見どころ?

本作にはゲーム版を再現したネタが溢れています。

村人たちが集まる村や、滑空用のアイテムである「エリトラ」、素材を置いて武器を作る作業台や、投げてワープが可能な「エンダーパール」などゲーム版ユーザーならニヤリとできる部分が次々に訪れ、アトラクションのようにどんどん楽しませようとしてくれます。

中には、スイッチを押したらレッドストーン回路がオンになり、装置が動いてニワトリが溶岩に落下、焼き鳥が完成するといったユーザーの創造性を基にしたものまで存在します。ちなみに原作ゲームの効果音も使われているので、映画館の高品質な音響システムでゲームのサウンドを浴びるといった楽しみ方もできそうです。

「アクアマン」などで屈強なヒーローのイメージがあるジェイソン・モモアは、本作ではピンクのジャケットを身に纏って登場。ピンクといえば本人がプライベートでも愛用している色として知られています。この映画の中では見かけによらずちょっと頼りないジェイソン・モモアのキュートな姿を見ることができます。

一方で、もはやゲーム原作映画の常連となっているジャック・ブラックは、本作ではヒーロー的な役回りとなっています。ヘス監督と再タッグとなったことでいつも以上にハイテンションな演技になっていますし、「スクール・オブ・ロック」や「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でも披露していた歌声を本作でも聞くことができます。これはジャック・ブラックファンにも嬉しい要素ではないでしょうか。

原作プレイヤーにはちょっと気になったところ

映画になったことで設定の掘り下げが浅く感じてしまうところは、ゲーム版プレイヤーとしては気になりました。「マイクラ世界は想像次第でなんでもできるすごいところだ!」ということの表現には成功している一方で、ゲーム版プレイヤーであれば小ネタの多くがどういった展開をもたらすかは予想がつきやすくなっていた印象です。

むしろ、ゲーム版プレイヤーよりも、まだ本作をプレイしたことがない人や、動画で軽く観たことがある程度の人の方が楽しみやすいかもしれません。

映画では、原作ゲームでも印象的な強敵であるエンダーマンがいる洋館が登場したり、トロッコに乗ったりと、ゲームと同じようなシチュエーションが登場するのですが、その解決方法にもう一捻りあればよかったと感じる部分もありました。

物語の流れについては、劇場でちょっとトイレに行ってしまうとついていけなくなりそうなくらい怒涛の展開が連続するので退屈しません。

『マイクラ』は膨大で豊富な要素を抱えた作品であり、そのどれもが楽しい!ということを伝える作品としては、間違いなく一見の価値がある映画となっています。

『マイクラ』の間口をさらに広げる作品のひとつになっていると感じます。

キモカワ…とは言い難い、妙にリアルなビジュアル

本映画のトレイラーなどを見た人の多くが良い意味でも悪い意味でも気になっているのは、ゲームのグラフィックをそのままリアルにしたようなビジュアルではないでしょうか。

原作ゲームは、ドット絵のテクスチャを貼り付けた独特のボクセルアートスタイルを築いていましたが、本作はゲームと同じようにほぼすべて立方体でありながらリアルな造形となっています。パンダやハチなどは毛並みもふもふ、ピグリンや村人は現実の人間の肌のようにざらついた質感です。

原作ゲームをやりこんでいる筆者としては、正直なところこの点は映画のエンドロールが終わった後まで馴染めませんでした。本作はファミリー向けの映画だとは思いますが、実際に日本の『マイクラ』プレイヤーの子ども達が見たときにどう感じるのか気になります。


「マインクラフト/ザ・ムービー」は、広大すぎる『マインクラフト』という作品の要素をなるべく多く取り込もうとした作品です。アトラクションのように次々と訪れる展開はテンポが良く、観客の目を楽しませてくれます。

『マイクラ』の世界が自由で楽しいものであるということの表現にも成功していて、ゲームをそれほど触ったことのない観客にとって魅力的に映るのではないでしょうか。

映画「マインクラフト/ザ・ムービー」は、全国の劇場で4月25日より公開予定です。

©Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.


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ライター:みお,編集:蟹江西部

ライター/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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編集/十脚目短尾下目 蟹江西部

Game*Spark編集部。ゾンビゲームと蟹が好物です。以前は鉄騎コントローラー2台が部屋を圧迫していましたが、今は自分のボディが部屋を圧迫しています。

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