今年のCESで発表され、現在では国内でも搭載PCが多く販売されているNVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 50」シリーズ。
今回Game*Sparkでは、NVIDIAより「Razer Blade 16(2025年モデル)」をお借りして「DLSS 4」を試す機会を得たので、リリース時から対応しているSteam版『Stellar Blade』と、6月30日に対応したばかりの『モンスターハンターワイルズ』を使用して、どれくらい快適になるのかレポートをお届けします。
RTX 50シリーズで使える「DLSS 4」とRTX 5090 Laptop搭載の「Razer Blade 16」

今回「DLSS 4」のハンズオンで使用したのは、Razerが展開するゲーミングノートPCシリーズのフラグシップ的立ち位置となるRazer Blade 16(2025年モデル)。スペックは以下となります。
OS:Windows 11 Home
CPU:Ryzen AI 9 370HX(12コア/24スレッド、最大5.1GHz)
グラフィックス:GeForce RTX 5090 Laptop(24GB GDDR7)
メモリ:32 GB LPDDR5X 8000 MHz
ストレージ:2 TB SSD (M.2 PCIe Gen 4 NVMe x4, x2)
ディスプレイ:16-inch QHD+ 240 Hz OLED, 2560 x 1600
通信規格:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェース:3 x USB 3.2 Gen 2 Type-A Ports、2 x USB4 Type-C Ports with Power Delivery and Display Port 1.4、HDMI 2.1、SDカードリーダー(UHS-II)、3.5mmオーディオ端子
GPUドライバー:576.80
本PCに搭載されているGeForce RTX 5090 Laptopは、AI性能を最大限に引き出す第 5 世代 Tensor コアや第 4 世代 レイトレーシングコア、性能と電力消費の効率性を高めたBlackwell Max-Qテクノロジーが用いられているノートPC用のGPUです。
ノートPC用GPUとしては現在の最上位のものを積んでいるRazer Blade 16は、355×250.5×14.9mmで重さは約2.14kgという非常に薄型かつ軽量なモデルとなっています。実際に目の前のすると「薄!」と思わず声に出てしまうほど。ワークステーション並のスペックが詰まっているとは思えないスタイリッシュなデザインでもあります。とはいえ、ACアダプタは他のゲーミングノートの例に漏れず非常に大きいのですが。
Razer Blade 16の各ベンチマーク結果は以下。


解像度1920x1080、DLSSオンの最高設定で計測。

解像度2560x1600、ウルトラプリセット、レイトレーシング高設定で計測。
RTX 50シリーズで使用できるようになった「DLSS 4」

さて、改めてRTX 50シリーズで使用できるようになった「DLSS 4」をはじめとしたNVIDIA GPUのAI機能について紹介しておきます。
DLSS(ディープ・ラーニング・スーパー・サンプリング)とは、フレームとフレーム間に生成したフレームを挿入してFPSを向上させる「DLSS フレーム生成」や、AIネットワークを使ってレイトレーシングの品質を向上させる「DLSS レイ再構築」、高画質化する「DLSS超解像度」と「DLAA(ディープラーニング アンチエイリアス)」といった、AIによってゲームのグラフィックを向上させる技術のこと。これらは今やゲーマーにとって当たり前のものとなりました。
今回紹介するRTX 50シリーズで使用することができるDLSS 4では、「DLSSマルチフレーム生成」というレンダリングしたフレームごとに最大3フレームをAI生成してFPSを向上させるというさらに高度な新しい技術が使えるようになっています。(RTX 40シリーズまでは通常のDLSSフレーム生成に対応)
DLSS 4に対応しているタイトルのリストも公表されていますので所持しているタイトルが対応しているかチェックしてみてください。
RTX GPUでは、ほかにも「NVIDIA Reflex」という、対応ゲーミングマウスからの応答性を向上させたり、対応タイトルのPC遅延を短縮したりする機能を使うことができます。

『Stellar Blade』で「DLSS 4」を検証!

PS5で大ヒットを飛ばし、今年6月にSteamでリリースされたばかりの『Stellar Blade』は、「DLSS 4」や「NVIDIA Reflex」に対応しているので検証にはもってこいのタイトル。

検証では、PCを電源に挿入したうえで、NVIDIAのアプリで最適化した状態(ゲームのグラフィック設定では「とても高い」、解像度2560x1600)を用い、ゲームのグラフィック設定で「DLSS 4」をそれぞれオン・オフにして同じマップをプレイしてみました。

「DLSS 4」オフの状態では、85~100fpsを推移。

「DLSS 4」をオンにした状態だと、本作のフレーム生成はx4まで選ぶことができるので、230~250fpsにまで向上。2倍以上の数値になって驚きました。画面もぼやけた感じは全くなく、本当にくっきりはっきりしています。



アンチエイリアスの比較。DLSSオフの際のTAAよりDLSS 4のDLAAの方がほんのわずかですがくっきりしているように見えます。
正直なところ、DLSS 3までのフレーム生成では少し画面がぼやけて見えることもあり、快適性の代償としてグラフィックの質が失われるような感覚がありました。しかし、DLSS 4では、FPS向上による快適性と綺麗なグラフィックが両立されており非常に驚かされます。もちろん、RTX 5090 Laptopというスペックによるところも大きいのですが。

せっかくのゲーミングノートということで、バッテリー駆動時の動作も検証してみました。ゲーミングノートはその電力消費量から、巨大なACアダプタを接続していないと高いパフォーマンスが出せないことが少なくありません。しかし、RTX 50シリーズはバッテリー駆動時のゲーミング体験も改善しているとアピールされています。

バッテリー駆動時の最適化もNVIDIAアプリから可能ですが、ゲーム中のグラフィック設定は「低」になっていました。バッテリー駆動時、DLSS 4オフの場合は、35~50fpsで推移。グラフィックがそこそこ簡素になってしまいますが、そこまで気にならないレベルです。

DLSS 4オンの場合は、110~120fpsを推移と、電源接続時の半分ではあるものの高いフレームレートをキープしていました。バッテリーは20分で25%消費していたので、電源がない状況でも80分近くはプレイできそうです。
余談ですが、今回、DualSenseを有線でつないでプレイしたのですが、本作はPS5版と同じDualSenseのサウンド&バイブレーションギミックが体験できるのでおすすめです。もともとPS5向けのゲームだけあり、レスポンスもかなり良くプレイもしやすいです。
DLSS 4に対応したばかりの『モンスターハンターワイルズ』も検証してみた

6月30日というちょうどよいタイミングでDLSS 4に対応した『モンスターハンターワイルズ』も、DLSS 3.7.10のバージョンからどれくらい変わるかを検証してみました。
まずは、アップデート適応前の「DLSS 3.7.10」での検証から。ゲームプレイはどれも高解像度テクスチャパックを適応させ、グラフィック設定「最高」、レイトレーシングを高でオンにした状態で行っています。

DLSSオフでは、緋の森のベースキャンプで60fps前後、フィールドで40~50fpsでした。

DLSSとフレーム生成オンでは、緋の森のベースキャンプで90~105fps、フィールドが75~100fpsとなりました。
続いては、6月30日のアップデートで追加されたDLSS 4 とマルチフレーム生成(4x)で検証。


緋の森のベースキャンプで145~170fps、フィールドで115~145fpsとフレームレートがアップ。フレーム生成(3x)でもベースキャンプ105~125fpsとなかなか良い数値を出します。しかも、画面がカクつくことのない安定した描画です。ちなみにDLSSオフの状態ではフレームレートはアップデート前と同じでした。
AI機能が強化されたDaVinci Resolve Studio 20でも検証

せっかくなので、ゲーム以外のアプリケーションでもRTX 5090 Laptopの性能を試してみました。ここでは、AI機能を大幅に追加するアップデートがあったばかりで、GPU依存率が非常に高い映像編集&カラーコレクションソフト「DaVinci Resolve Studio 20」を使用。
とりあえず、どれだけ快適なスペックなのかを確認するために、仕事で使っているシネマカメラRED KOMODO 6Kの圧縮RAWコーデック「REDCODE RAW(R3D)」で収録した素材を使用。6K(17:9)/23.98fpsのHQ画質で256GBだと15分しか収録できない業務用の激オモな映像コーデックです。(圧縮しているのに)DaVinci側のプロジェクト設定は4K DCI/23.98fps。

55秒ほどで12GBにもなるR3D素材をタイムラインに入れて、一番処理が重くなる時間的ノイズ除去と空間的ノイズ除去をかけてみましたが、フル解像度でのプレビューもコマ落ちすることなくネイティブの23.98fpsで再生ができました。
専門的な動画編集をしていないと分かりづらいところではありますが、ノイズ除去エフェクトをかけると驚くほど処理が重くなるので、こんなにスムーズにノートPCで再生できるのは感動するレベルです。(ちなみに筆者が動画編集用に使っているM4 Proチップ搭載のMacだと同じ条件の素材は14.5fpsでしか再生できませんでした。)
さて、DaVinci Resolve Studioは今回の20になって様々なAI機能が追加されました。その中でも、AIの性能を試すのにちょうど良さそうな、マスク(映像内の特定のオブジェクトだけを切り抜く)とトラッキング(映像内で切り抜いたオブジェクトをリアルタイムで追跡する)を楽に行ってくれる「AI Magic Mask 2」を試してみました。


ノイズ除去をかけた素材で試したらさすがにフリーズしてしまったので、何もかけていない人物が映った45秒の素材で試しました。人物に対してマスクとトラッキング行うと、1分で処理が完了。筆者のMacでは同じ条件で7分かかったので、これはAI処理を得意とするRyzen AI 9 370HXとRTX 5090 Laptopがなせる技なのでしょう。
RTX 5090 Laptop搭載PCなら「DLSS 4」が使えるだけじゃなくどんなゲームも快適にプレイできる!価格さえ気にしなければ......
今回、「DLSS 4」になったことでどれだけゲームが快適になるのか検証できましたが、RTX 5090 Laptopの処理能力の高さも体感できました。今回使用したRazer Blade 16では、現状はグラフィック設定を最高にしても快適に動かないタイトルはないと言えるので、ゲーマーの満足度は高いと感じます。デザインもいいですしね。
ただ、性能に比例してお値段もなかなかのものになります。2025年版のRazer Blade 16はまだ国内での販売のアナウンスはありませんが、米国での価格は4,499.99ドルとなっています。(約65万7千円)他社のRTX 5090 Laptop搭載のゲーミングノートPCも60万円以上ですので、購入には覚悟が必要になりそうです。
しかし、RTX 5090 Laptop搭載機を一度触ってしまうと、そのとてつもない快適性に魅了されてしまうでしょう。そういう筆者も、今回Razer Blade 16をいろいろと触った結果、同スペックのゲーミングノートが欲しくなってしまい、どうお金をやりくりすれば購入できるかを考え始めてしまっています。PR記事じゃないのに......。
きっとハイスペックPCには人を惑わせてしまう魔性の魅力があるのです。














