
ローグライトといえば、何度も戦闘を繰り返し、パターンやシナジーを見つけて、操作や判断力を磨きながらさらなる深みへと潜っていくことを目指すジャンルです。
しかしながら今回紹介するゲームは、どんなに操作が上手くとも、ボスを綺麗に倒そうとも、隠された謎に気付けなければ先に進むことができません。
その名も『スーパードリフトブレード』。小学生が考えたようなタイトルですが、プレイヤーを欺く仕掛けと、秀逸な出来のパズルが山ほど仕掛けられていました。

能力をすべて奪われても、閃きだけは残っている――どん底から仲間を救うローグライト風パズル

本作は角の生えた女の子が主人公。どうやら探索隊の一員のようです。大量の能力を有し、敵をバッサバッサとやっつけていきますが、謎の存在にシステムをハックされ、ほとんどすべての能力を奪われたうえ、不思議な世界に飛ばされてしまいました。さっきまでWASD入力でスムーズに移動し、1234キーでスキルを使い放題だったのに、左クリックするたびにダメージを負わされ、上下左右に動くことしかできなくなってしまったのです。

主人公を貶めるだけでは飽き足らず、謎の存在はワープゾーンを破壊し、探索隊をバラバラにしてしまいました。グチャグチャになった世界で、主人公は仲間たちを救うことができるのでしょうか?

本作は見下ろし型のローグライトアクションゲームです。といっても、できることはマウスを上下左右に動かすだけ。進行方向に照準を向け、そこに敵がいれば勝手に攻撃してくれます。

一画面が1ステージの構成になっており、ステージ終了時に経験値が溜まっていればステータスアップをすることができます。まあ、攻撃回数や攻撃範囲が広くなるものを上げていけば問題ないでしょう。

マップの途中には宝箱部屋もあり、そこの敵を全滅させると、2つのうちから好きなアップデートを選ぶことができます。といっても、ここもシナジーやコンボの類はあまりないので、レア度が高いものを選べばOKです。
道中で隠し武器を手に入れると、次のラン以降もその武器で始められたり、ちょっとしたパズルを解くことで恒久的にステータスが上がったりするので、グッと冒険が楽になります。積極的に寄り道していきましょう。

とこんな具合で、正直言ってローグライトアクション部分は佳作の域を超えません。つまらなくはないですが、何十時間も遊べるほど奥深いものではないです。クリックできるならまだしも、基本的に敵をなぞるか攻撃を避けるかするだけなので……。

何よりもこのゲームを支えているのは、全体を貫く大きなパズルの部分です。
本作の世界は25分でループしてしまい、また最初の地点に戻されてしまいます。しかしながら、マップは一本道かつ広大で、馬鹿正直に戦いを挑んでも時間切れになってしまいます(そもそもマップ構造は完全に固定なので、「ローグライト」のタグこそ付いていますが、厳密には違うジャンルな気もします)

そして、ランの最後は行き止まりで、罠のごとく強制ワープポイントが置かれており、完璧なビルドを組もうが、ボスを倒そうが、最初の地点に戻されます。
しかも、ただ猪突猛進に進んでいるだけでは、バラバラになった仲間たちが過酷な環境にやられて死んでいってしまいます。
どうしたらいいのよと叫びたくもなりますが、一旦落ち着きましょう。よくよく見ると、そこかしこに探索隊が残した手がかりや、メモの切れ端が落ちています。

それらを読み解いていくと、さっきまで敵と戦っていたフィールドに、それらしい目印や、怪しい暗号が隠されていることに気づいてきます。もしや、と思って色々と動かしていると、なんとショートカットが開通しました。これで大幅に時間を削減できたうえ、仲間が死ぬ前に合流することも叶いました。

そのうえ、システムをハックし返したということなのか、行き止まりの隣にあった道が開通され、新しいエリアに進むこともできるようになります。
そう、本作は、ローグライトアクション部分はただの一方通行のマップに過ぎず、観察と閃きによって真の道を見つけ出すのが目的の壮大なパズルゲームなのです!

似た傾向の作品だと『Void Stranger』などが該当するでしょうか。
もしくは『Leap Year』のようなメトロイドブレイニアないし知識アンロックパズルの影も感じます(20分そこそこでループする発想は『Outer Wilds』かもしれません)。
すべてを奪われても、閃きだけを駆使して裏を掻いていくゲーム性はなかなか刺激的です。なにせ、ランの途中で何度も見たあの光景が、謎解きのヒントや答えになっているわけですから……。
だんだんとゲームの流れが見えてきたあたりで、何に使うのかわからない別のパズルのピースが出てくるところも、神秘的でたまりません。

しかし、謎が解けないと、延々と同じローグライトアクションをやらされるので、正直苦行に感じる人もいるかと思います。また、ローカライズも機械翻訳っぽく、一応文意が取れる程度のもので、あまり情緒はありません。
色々と気になるところはありますが、挑戦的なつくりであることは間違いありません。我こそはというパズルジャンキーの方、ぜひともチャレンジしてみてください!
タイトル:『スーパードリフトブレード』
対応機種:Steam
記事におけるプレイ機種:Steam
発売日:2025年8月13日
著者プレイ時間:10時間
サブスク配信有無:なし
価格:800円(2025年8月27日まで720円のセール中)※製品情報は記事執筆時点のもの
シンプルなローグライトアクションのなかに混ぜ込まれた秀逸な謎解きに、頭を焼かれるスパ!












