デベロッパーIndoor SunglassesとパブリッシャーPLAYISMが手掛ける一人称視点ミステリーADV『Mind Diver / マインドダイバー』。今回は本作のプレイレポをお届けします。
ゲームの序盤1~2時間ほどのストーリーと、その範囲で取り組んだ推理要素の一部を取り上げています。閲覧にはご注意ください。
また、執筆にあたってはPLAYISMから提供されたSteam版コードを利用しています。
記憶喪失の女性の意識に潜り失踪事件を調査
本作の主人公は、人々の意識に潜り事件を調査する「マインドダイバー」。オペレーターからの支援を得ながら記憶喪失に陥った「リナ」の意識に潜り、怪事件の真相を解き明かすことを目指します。

重度の記憶喪失状態にあるリナですが、直前まではある程度の記憶を保っており、昨夜から交際相手の「セバスチャン」が行方不明だとして警察を訪れていました。しかし、警察の対応に満足できなかった彼女は知人の紹介により「マインドダイバー」の元を訪れることになります。
その後、彼女の意識に潜って調査を始めようとするも、直前に警察を訪れていたことすらも忘れてしまっている様子。彼女はなぜこのような急性の記憶喪失に陥ってしまったのか、また行方不明とされる「セバスチャン」はどこにいるのか、手がかりを求めて記憶の“海”の捜索を開始します。

記憶空間を渡り歩いて手がかり集め&推理
記憶の世界は、海を意識しているのか水中のように表現されています。奇妙な景色の中を泳ぎながら探索し、何か意味のある記憶にたどり着くと小さな空間の中に降り立ち、歩いて調査することができます。

その空間内には、記憶に刻まれている出来事が再現されており、様々な人物やオブジェクトの調査が可能です。さらにその中には音声と共に当時の会話や出来事を確認できるものも含まれています。
記憶の不完全さや彼女の記憶喪失が影響しているのか、空間の一部が欠落していることもあります。周囲の状況や音声などからその場所に存在していたであろう物体・人物を見つけ出し、穴を埋めることで新たな事実が明らかに。この記憶の穴を埋めていくことが本作の謎解き要素のメインとなっています。

謎解きは手強くシステムは快適
ここからはゲームの冒頭での謎解きをご紹介します。なお、数多く埋めることになる記憶の穴の一つのみではありますが、推理の流れなどを紹介しているため、ネタバレを目にしたくないという方は色付き背景部分を読み飛ばすことをお勧めします。
この記憶では、セバスチャンが誰かと話している様子ですが、誰と話していたのかが欠落してしまっています。そこでセバスチャンから音声データを拾って会話を聞いてみると、どうやら「マイケル」なる人物を制止しようとしていたようです。
しかし、この場所には6、7人が集まっており、どの人物がマイケルなのかがまだ分かりません。


周囲を調べていると自転車に音声データが。どうやらこの場所にリナとセバスチャンが到着したときの会話を聞くことができるようで、「あれってマイケル?」「なんか白衣着てる?」という発言がありました。

もう一度この場所に集まっている人々を確認していくと、白衣と呼べるような服装だったのは一人だけ。この人物を手に持った装置で記録して先ほどの記憶の穴に配置してみると...。


どうやら正解だったようで新たな音声データにアクセスできるようになりました。
これはゲームの最初に挑むことになった謎解きだったので軽く周囲を調査するだけで解くことができましたが、プレイを続けていると別の記憶空間に足を運んでヒントを集める必要がある記憶の穴も登場。
とはいえ完全に手探りで調査する必要があるというわけではなく、ステージとして分かりやすく繋がっているので、今回の謎はこの4つの記憶の中にヒントがあるといった形で調査する対象を絞り込むことができます。
また、集めた情報がメニュー画面に詳しく記録される点も好印象でした。別の記憶で発見した手がかりであっても見返すことができ、何日何時の記憶なのかといった情報も表示されています。音声データやオペレーターの発言は文字起こしされているので、確認のために何度も再生しなおす必要はありません。

『Return of the Obra Dinn』に近しい推理体験ながらテーマは大きく異なる
本作に最も近いタイトルを挙げるとするならば『Return of the Obra Dinn』が思い浮かびます。「時間が進まない空間内を探索し、複数の手がかりをつなぎ合わせて答えを出していく」という行為自体『Return of the Obra Dinn』のゲームプレイと近しく、同じ頭の使い方をしていると感じられました。

ただし、『Return of the Obra Dinn』は過去の様々な瞬間を渡り歩いて殺人事件・事故の背景を調査し、人名や死因を推理するのが主目的のミステリーだった一方で、本作ではリナとセバスチャンの関係を紐解いたりなど、ヒューマンドラマ色が濃い内容が推理の対象となることもあります。

プレイした範囲内だけでも推理の難易度はそれなりに高く、複数の手がかりを組み合わせて総合的に推測することが求められる場合も。その分、手がかりの記録システムが快適なため、難しい問題に集中して取り組むことができました。
ヒューマンドラマ色の強いミステリーADVをプレイしたいという方や、『Return of the Obra Dinn』のような推理体験を味わいたいという方などに特におすすめできる作品です。



『Mind Diver / マインドダイバー』は、2025年9月28日にSteamにてリリース予定です。











