自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第34回では、vedinadが開発・販売を手がける3Dアクションローグライト『Megabonk』をご紹介します。
『Megabonk』とは

本作『Megabonk』は、一言で言えば「3Dアクション化した『Vampire Survivors』」です。ゲームパッドの左スティックで移動、右スティックで視点を切り替え、ときにはダッシュやジャンプを織り交ぜつつオート攻撃で四方八方から並み居る敵を倒し続けて経験値ジェムを拾います。

レベルアップ時には3択で提示されるキャラクター強化から1つを選んでキャラクターを強化し続けます。

ステージ内でボスポータルを探し、調べるとエリアボスが出現します。エリアボスを撃破して、ポータルから次のステージに進むのが本作の目的です。

なお、本作には各エリア10分の時間制限があり、それを超えると無数のゴーストが出現します。約1分程度は耐えられるかもしれませんが、それ以上は強化された黒ゴーストが出現するようになり、プレイの続行が困難になります。
以上、プレイ時間制限とボスポータルを見つける必要があるという違いこそあれど、本作は『Vampire Survivors』のゲームの流れをほぼ踏襲した3Dアクションといえるでしょう。
「ただ動かしているだけでも楽しい」――そんなゲームの基本を思い出させる快作

正直に言いましょう。筆者はこのゲームが「3Dのヴァンサバライク」と聞いて、「それだけなら本連載で取り上げる必要もないか」……そう思っていました。今回の連載も、別のデッキ構築型ローグライクを取り上げるつもりでした。
しかしながら、連日Game*Sparkで取り上げられる本作の記事を読んで心を動かされなかった……と言えばウソになります。
なぜこんなにGame*Spark編集部の皆様が盛り上がっているだろう……?そして「2週間で100万本売れた」ってどういう事なんだろう……?

そう思い、筆者も本作を購入してみました。そして、動かしてみました。初期こそ「ただのヴァンサバクローンじゃないのコレ……」と思っていましたが、30分ほど遊んである程度コツを掴んでからは「メチャクチャ楽しい!」と感じるようになっていたのです。

なぜ、本作はこんなに面白く感じるのか?
筆者がこれを考えたところ、本作には「ただ動かしているだけでも楽しい」仕組みが揃っているからではないか?という結論に達しています。
序盤の敵はただ近付いて武器を飛ばすだけでも倒せますし、レベルアップも速いです。

そしてエリアの探索を始めて見つかる範囲に、頻繁にオブジェクトが配置されています。例えば「祠」は、一定時間祠の周りに留まることで3つの候補からパッシブスキルを得ることができます。いったん足を止めることにはなりますが、それによるメリットは足を止めるというデメリットを補って余りあります。

コインを集めることで開けられる宝箱も随所に配置されています。宝箱を開けるためにコインを稼ぐのに走り回るのも、これはこれで楽しい。

また、敵のラッシュが来る直前には必ず警告が入るなど、「プレイヤーにとってフェア」な印象をゲームから受けました。このゲームは基本的に敵に接触しない限りダメージを受けませんが、優秀なカメラワークでカメラの死角から突然接触攻撃を受ける……ということが自分がプレイした限りでは(タイムオーバー時のゴーストの攻撃を除いては)ありませんでした。

中ボスやステージボスクラスは離れた位置やカメラから見えない位置からでも遠距離攻撃を放ってきますが、必ず攻撃範囲の予兆が表示されるため、見てから回避は充分に可能です。

もちろんボスクラスの敵を倒せば宝箱がドロップするため、これもワクワクドキドキで楽しい。

但し調子に乗ってボス強化の石像を解放して進んでいったりすると、敵ボスが集団で襲ってきて地獄絵図になることも……

たとえ多勢に無勢となって力尽きてしまっても、プレイヤーの経験と冒険中に得た「シルバー」資産は失われません。


前の冒険で稼いだシルバーにより、武器スロットの追加や新たなキャラクター・武器などの解禁が行えます。キャラクターによって初期のプレイ感覚がかなり違ってくるし、それぞれの解禁要素のスピードが絶妙なこともあり、筆者が遊んでいるプレイ時間約5時間の時点ではまさに何度遊んでも楽しい!という印象を受けています。
ゲーム自体の動と静のメリハリの利き方とテンポの良さ、レベルアップや能力強化の快感、そしてコンテンツ解禁速度の絶妙なタイミングと、まさにこのゲームは「動かしているだけで楽しい」を支える仕組みが揃っているのです。

ただ、筆者が遊んでいて1点難点を感じたのが、「ステージが広すぎてボスポータルを探すことが難しい」という点です。ボスポータルに近付くと画面右上のミニマップにナビゲートは出るのですが、ナビゲートが出るまでマップを隅々まで歩くのが10分ではかなり難しい印象があります。
(なおこの記事を書きながら「Game*Sparkのラジオ善意 #11」を聴いていたら、「探索範囲を広げるために祠の報酬でジャンプ回数を伸ばすといい」というヒントを頂きました。記事を書き終わったら試してみます)

何はともあれ、ゲーム全体的な雰囲気も独自なコメディタッチでまとめられており、「いろいろと背負わず、気楽に楽しんでほしい」という印象も感じる本作。たまには難しいことを考えずに、キャラクターを動かす→強化していく→楽しい!というゲームに没頭するのも良いと思います。
『Megabonk』は、PC(Steam)にて1,200円で配信中です。Steam右側のメニューから、デモ版も用意されています。














