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PCベータテスト版『Titanfall』ファーストインプレッション、渾然一体となったFPSとMOBA

パルクールやメック「Titan」といった真新しい要素が注目を集める『Titanfall』。今回は2月14日よりついに開催されたPC版ベータテストのプレイを続け、一度の試遊では見えてこなかった『Titanfall』の概要やプレイフィールについて記します。

連載・特集 プレイレポート

パルクールやメック「タイタン」といった真新しい要素が注目を集める『Titanfall』。今回は2月14日よりついに開催されたPC版ベータテストのプレイを続け、一度の試遊では見えてこなかった『Titanfall』の概要やプレイフィールについて記します。
    ■ベータテスト版『Titanfall』の制限について
    ベータ版『Titanfall』では、3種類存在する「タイタン」のうち中量級に当たる「Atlas」だけが使用可能。マップは「Fracture」と「Angel City」の2種類のみ。さらにレベルキャップが最大14に制限されています。製品版では残り2体の「Titan」や各種アンロックなど、ベータ版には登場しなかった新規要素やコンテンツが登場する予定である点を強調しておきます。

■バトルアリーナ系FPSであり一人称視点MOBA
『Titanfall』の開発を手がけるRespawn Entertainmentは、かつてEAにて『Medal of Honor: Allied Assault』を手がけ、Infinity Wardに所属していた頃には『Call of Duty』および『Modern Warfare』シリーズを生み出してきたメンバーが所属する新規スタジオ。時代設定は違えど現在までミリタリーFPSばかりを開発してきただけに、『Titanfall』も「タイタン」などのSF要素を盛り込んだだけの、『Battlefield』や『Call of Duty』といったここ最近のシューターの延長線上に捉えていたユーザーは少なくなかったでしょう。

しかし純然たるシューターとして見た場合、『Titanfall』はなんだか的を射ていないゲームです。戦場では最大12人のプレイヤー数を超えるAIたちが次々と戦いを繰り広げているものの、彼らの強さはほぼ無抵抗と思えるレベルで、プレイヤーはAI達をハリボテを風で倒すように瞬殺できてしまいます。時おり出会った敵プレイヤーたちと射撃戦を繰り広げていると、マッチは「タイタン」を戦場に降下させることが可能な時間帯に突入。予想以上に貧弱な「タイタン」を倒す倒されるの目まぐるしい展開が続く内に、勝敗を告げるメッセージがディスプレイ上に告げられます。

多くのプレイヤー達がパルクールの爽快感や劇場型のマルチプレイヤー、駆動する「タイタン」の巨体といった派手な戦場要素に魅せられる中、特にコアなシューターファンは「見た目は派手だが中身のない大作、すぐ飽きるだろう」という感覚を如実に持ったのではないでしょうか。AIはただの賑やかし要員、降下させた「タイタン」は簡単に破壊されただの役立たずに見えてしまう。しかし同作をシューター然として見るのは間違っており、『Titanfall』は「FPSとMOBAの融合作」、言うなればバトルアリーナ型のFPSであり一人称視点のMOBAなのです


■MOBAの視点から見る『Titanfall』
「FPSとMOBAの融合作」という視点で見ていくと、『Titanfall』はプレイヤーが「ヒーロー」であり、AI兵たちが「ミニオン」、そして「タイタン」は消費型の「装備品」であり「召喚ユニット」と捉えることができます。例えばAI兵は倒すことでタイタンの準備時間を短縮できる「経験値」のようなものであり、またMOBAにおけるタワーの攻撃を分散させる役割のように、敵プレイヤーの注意を逸らすための「囮」でもあります。「タイタン」は様々な活用が可能な万能の「購入アイテム」であり、ただ搭乗してその強力なパワーとアーマーを駆使するだけでなく、展開に合わせてAI操作にして「囮」にしたり、あるいは「召喚ユニット」の如くプレイヤーと共に共闘したりします。

いかにして敵AIを効率良く狩り「タイタン」を素早く召喚するのか、「AI」と「タイタン」をどのように使って敵プレイヤーを捌き倒していくのか。迫力満点の戦場描写に隠れながらも、実は「プレイヤー」と「AI」と「タイタン」の駆け引きが『Titanfall』における駆け引きの面白さであり、このMOBA的な要素とパルクールの超高速シューターが渾然一体となり今までにないゲーム体験を生み出しているのです。


「FPS」と「MOBA」、さらに「メック」や「パルクール」など現在人気のジャンルを融合させた作品とも言える『Titanfall』。しかしただの闇鍋にせずゲームとして破綻しないように仕上げたRespawnの手腕は凄い


「AI」と「タイタン」と「プレイヤー」の駆け引きが面白い性質上、ゲームモードでは戦略の幅が広がるドミネルール「Hardpoint Domination」が最も面白い。「タイタン」は「乗るメック」ではなく「使い潰すメック」と捉えよう

■従来のMOBAと比較すると難易度は"上手く"カジュアルに
従来のMOBAジャンルと言えば、倒された場合には重度のペナルティが用意されており、高レベル帯ではリスポーンには数分を要することもあります。また倒した相手には大量の経験値やゴールドが入り、何度かヒーローが倒されれば戦力差が広がっていき逆転は難しくなるという展開が多く見られます。一方MOBA的な要素を持つはずの『Titanfall』は、プレイヤーが倒されても即座にリスポーンが可能で、また敵やミニオンを倒して得た筈のタイタンも破壊することは決して難しくはありません。ゲーム後半でも逆転は容易です。

例えばシューター部分をリアル寄りに調整、「タイタン」をより強い存在にしてゲームの進行速度を遅くすれば、ペナルティが重い従来のMOBA的な『Titanfall』にすることもRespawnには出来たことでしょう。コアゲーマーならそんな『Titanfall』にも興味は湧くところですが、上手く新規ユーザーが獲得できるように許容範囲内で難易度をカジュアルに仕上げたRespawnのデザインからは、同作を次世代のフラグシップゲームとして定着させたい野心が伺えます。またゲーム速度の鈍化はパルクールによる高速移動や戦場のスピード感などゲームの肝であるテンポを失ってしまう可能性もあり、ただカジュアルであるわけではなく、上手く落とし所がつけられていると言えるのです。

■今後の成功はコンテンツ次第か、武器とPerk要素によるプレイヤー特化に注目
ベータテストにてそのポテンシャルを見せつけてくれた『Titanfall』ですが、前述したとおり現在解禁されている「タイタン」や各種Perk的な要素、武器は限られており、製品版にてどのようなものが登場するかが本作の成功の鍵となり得ます。例えば敵AI狩りに特化した「オートピストルMK5」のような特殊武器や、光学迷彩を装着する「クローク」や超スピードで移動できる「スティム」といった過激なタクティカルアビリティは、プレイヤーが様々なヒーローを構築できるという点で、MOBA的な要素により戦略性を加えてくれるでしょう。

『Titanfall』はPC向けに3月13日、Xbox 360向けに3月27日リリース予定。

UPDATE(2014/2/18 13:00): 一部文章を修正しました。
《ishigenn》
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