ホラーゲームに新境地をもたらした『アローン・イン・ザ・ダーク』は32年の時を経てどう進化したのか?初期シリーズと最新作を徹底比較 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ホラーゲームに新境地をもたらした『アローン・イン・ザ・ダーク』は32年の時を経てどう進化したのか?初期シリーズと最新作を徹底比較

32年の歳月は、名作ホラーにどのような変化をもたらしたのか。

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ホラーゲームに新境地をもたらした『アローン・イン・ザ・ダーク』は32年の時を経てどう進化したのか?初期シリーズと最新作を徹底比較
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3Dグラフィックで描かれるサバイバルホラーの草分け的存在をリ・イマジネーションした『アローン・イン・ザ・ダーク』が、ついに3月20日に発売を迎えます。

1992年にリリースされた本作は3Dポリゴンで描画されるサバイバルホラーの原点であり、ゲーム史に偉大な功績を残しました。その後も2015年までさまざまなタイトルがリリースされてきましたが、ついにこの度初期シリーズをベースとした「リ・イマジネーション作品」が登場するのです。

本記事では、本作のベースとなった初期作品と最新作を比較しながら、現代のゲームとしての魅力をチェック。サバイバルホラーファン必見な本作の魅力に迫ります。

初期作品はサバイバルホラーの草分け的存在!

1992年に発売した初代『アローン・イン・ザ・ダーク』は、3Dホラーゲームの草分け的存在です。調査に訪れた不気味なデルセト屋敷を舞台に物語が描かれます。プレイヤーが操作する主人公は、私立探偵のエドワード・カーンビーと自殺したデルセト屋敷の主人の姪であったエミリー・ハートウッドの2人から選択できます。

3Dサバイバルホラーの原点でありながら、固定カメラを生かした恐怖演出や弾薬管理、日記などのドキュメントによるストーリーテリングといったジャンルの定番要素をすでに実現しています。操作は方向キー左右でキャラの向き、前後で前進後退といういわゆる“ラジコン操作”と呼ばれる操作形態でした。Enterキーを押してメニューを開き、「銃を使う」「開ける/調べる」など行動を選択するというシステムも独特ですね。

1993年発売の『アローン・イン・ザ・ダーク2』は、前作とはテイストを変え戦闘が全面に押し出されたアクション重視な作品に。カーンビーがトミーガンなどを携え、かつて悪名高いギャングが住んでいたギャングゾンビたちと戦います。本作には、リ・イマジネーション版で重要人物のひとりになるであろう少女「グレイス・サンダース」も登場しました。

初期シリーズ最終作となる『アローン・イン・ザ・ダーク3』では、ゲームではいまだにちょっと珍しい“西部劇ホラー”がテーマに。ドンパチが楽しめる『2』と謎解き&恐怖演出重視な初代の中間をとったような作りになっています。プレイアブルではないもののエミリー・ハートウッドが再登場し、物語上で重要な役割を果たす点が特徴です。

サバイバルホラーの原点はどう「リ・イマジネーション」されたのか

そんな初期三部作を「リ・イマジネーション」した本作はどうなっているのでしょうか。具体的なゲームプレイを通じて見ていきましょう。

イントロでは、第1作目のオープニングと同じく、車に乗ってデルセト屋敷を訪れるところから始まります。突如カエルが大写しになる印象的なシーンもバッチリ再現されている……どころか、なんとワニに食べられてしまうというシーンも追加されています。

ダブル主人公はもちろん健在で、エドワード・カーンビーとエミリー・ハートウッドのどちらでもプレイが可能です。定期的に合流して会話を行うシーンもあります。

カーンビーは立派な口ひげがなくなったものの、貫禄を残したままより“ダンディさ”のある風貌に。ハットがオシャレですね。声優およびモデルは映画「ストレンジャー・シングス」「ブラック・ウィドウ」で知られるデヴィッド・ハーバーが担当しています。

原作のハートウッドは、デザインがキャラ選択画面とゲーム内モデルでブレがありましたが、茶髪を束ねたどこか陰のある雰囲気になっています。タバコをふかす姿がステキ。声優およびモデルは映画「フリー・ガイ」「最後の決闘裁判」に出演したジョディ・カマーです。

カメラは、今日のサバイバルホラーでは一般的な肩越しTPS視点を採用しており、背景グラフィックももちろんフル3D。人物から背景オブジェクトまで精細に描かれており、現代のゲームとして申し分ないクオリティに仕上がっています。

ホラーゲームにおいて極めて重要なライティングもバッチリで、窓から差し込む何気ない光なども雰囲気バツグンです。

ゲームプレイは探索・謎解き・戦闘の3要素が中心となっており、原作がジャンルとして打ち立てたゲームプレイの精神を受け継いでいます。謎解きでは探索で集めたキーアイテムを使ってパズルを解いたり、拾った読み物アイテムから手がかりを得たりします。

戦闘は銃や近接武器で行いますが、弾薬は少ないため、いかに少ない弾数で倒すか、あるいは節約のために回避するかといった戦略性があります。また近接戦闘は銃弾の節約になる一方、銃より反撃されやすいため回復アイテムを消費するリスクがあるなど、このジャンルの定番と言って良い駆け引きも。古くから続くシリーズではあってもここに古臭さは無く、現代ゲーマーでも満足できるでしょう。

本作のディレクターによれば、現代から見ると単純なプロットだった原作よりひねりのある物語にしたいという考えがあるそうで、大きくアレンジが加えられています。わかりやすいところで言えば、デルセト屋敷が精神病棟へと設定変更されている部分や、先述したようにカーンビーとハートウッドが同時に屋敷を探索することになる、という点が挙げられます。

キャラクターは大幅に増加しており、ちょっとイヤミな使用人やミステリアスな雰囲気の少女などなど、どこか不思議で印象に残るキャラクターも登場します。原作第1作目は基本的に孤独な冒険でしたが、より賑やかにストーリーが紡がれそうです。

筆者が感動したのは、本作を「おしゃれなレトロ感」を引き立たせるデザインに仕上げたことです。原作の時点で特有のおしゃれさはありましたが、本作ではそれをより引き出すことに成功しています。

衣装は男女ともに落ち着いた印象で、ブラウンを基調としたシックな雰囲気を醸し出しています。「キャラクターっぽさ」があまり強くないリアル感も魅力的で、上品な物語体験が楽しめます。

マップのデザインも目を見張る美しさを感じました。デルセト屋敷は洋館らしく上品な装飾の照明やカーペットがありますが、華やかすぎないのがポイント。全体的にどこか仄暗いのが特徴で、大人っぽい雰囲気が漂います。

とある屋外に出る場面では、市街地を歩けるように。クラシックな時計やアメリカ車など時代を感じる町並みを堪能でき、およそ100年前のアメリカはどのような雰囲気だったのかが味わえます。

サウンドトラックに着目してみても全体的にジャズを取り入れており、耳に心地良いシンバルやベース、サックスの音色がたまりません。筆者はすでにデジタルサウンドトラックを何度もリピートしてしまうほどのめりこんでいます。

サバイバルホラー作品は数あれど、こうした魅力は『アローン・イン・ザ・ダーク』ならではの強み。元から備わっていたこれらの点が生かされている部分は、非常に良い「リ・イマジネーション」と言えるでしょう。


『アローン・イン・ザ・ダーク』は、3Dサバイバルホラーというジャンルを確立した偉大すぎる初期シリーズの雰囲気やゲームプレイを汲み取りつつも、現代に発売される新作として「リ・イマジネーション」された作品になっています。ただ原作の良さをなぞるだけでなく、30年以上の歴史の中で進化してきた新たな魅力を備える「2024年の新作ゲーム」として、申し分ない作品に仕上がっています。

『アローン・イン・ザ・ダーク』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けで3月20日に発売予定です。

『アローン・イン・ザ・ダーク(アローン・イン・ザ・ダーク)』日本語公式サイト
アローン イン ザ ダーク - PS5
¥6,434
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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