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GDC 13: 緊急インタビュー企画「SUDA51 vs Game*Spark」

家庭用ゲーム Xbox360

GDC期間中、本当に突撃してみました。インタビューのテーマは「KILLER IS DEADとそのルーツ」。それではどうぞ。

◇◇◇ ◇◇◇


今回、じつは4年ぶりににセッションに行くことができました。ここ数年はGDCに来ても発売直近のタイトルプロモーションだけして2泊で帰っていました。だからGDCパスも持っていなかったんです。

――Game*Sparkとして須田さんにお話を伺うのは初めてです。弊誌は洋ゲー好きなコアゲーマーも見ていますので、そういう方向でもお話をお聞かせいただければと思います。


――さて、本日のインタビューなのですが、『KILLER IS DEAD』の話は他の大手メディアさんにもすでにたくさん露出していますし、現段階で公開できる情報は出尽くしていると思います。ですので敢えてちょっと違う角度から、可能な範囲でお話を伺えればと思います。

まず、さんざん指摘されているとは思いますが、『killer7』と『KILLER IS DEAD』が"Killer"という重要なワードでつながっているにもかかわらず、ストーリー上の連動性はあまりないという部分の理由や背景についてお聞かせください。


語源としては、「The Smiths」の「Queen is Dead」という楽曲があって、その曲名の引用です。"Queen"を"Killer"に組み替えてゲームを創りたいなと以前から常々考えていまして、それこそ『killer7』のときも『KILLER IS DEAD』をワーキングタイトルにしようかと迷っていたくらい大事なタイトルです。今回はいいタイミングということもありました。

"Killer"ということで、『killer7』との連動性や世界観の共有がどうなっているのか?といった反応などをよくいただくのですが、本質はそこではなく、『killer7』の遺伝子的な部分です。「殺し」「死」「死線の向こう側」にいる人間の物語に描くから" KILLER "なのです。僕らの知らないところ、現実の裏側で、未知なる脅威だったり、国家の脅威だったりとかと戦っている者達のレクイエムとしての" KILLER "なんです。そこが『killer7』と共通するテーマです。あとはアートスタイルへの挑戦ですね。


――アートスタイルといえば、とくにシェーディングの表現や方向性が『killer7』を連想させるため、あれを見て『killer7』の再来だ!と感じるファンもいると思います。そういうグラフィカルな部分も含めて"killer"のDNAと。

『killer7』と同じではいけません。HD機で通用する新しい映像表現を模索していて、ハイコントラストシェーダーと銘々しています。ライティングやポストエフェクト、シェード、輪郭の周りのハイライト、パーティカル表現などなど。それらを複合的に駆使して絵作りを実現しました。そういった点では『killer7』と同様に新しいアートスタイルが確立できたと思います。

――『killer7』と比較して決定的に違うように見えるのは、『killer7』が"イワザル"いわく「慣れれば快適な旅路となります」のボタン1つで前進するシステムだったのに対し、『KILLER IS DEAD』が、『NO MORE HEROES』シリーズや『ロリポップチェーンソー』のような3Dアクションである点です。そこに関しては何故変更があったのでしょうか?上記シリーズがリリースされてきた流れがあったからなのか、それとも敢えて" KILLER "の名を採用した理由がありますか?

『killer7』はアクションアドベンチャーです。アクションアドベンチャーではなく、アクションゲームとして創るというのがそもそものスタートです。Unreal Engineで創っているので、そのノウハウをきっちり活かしたものを創りたかったというのがあります。


――ところでお約束としてお伺いしておきますが、須田さんといえばプレイヤーを異様に惹きつけてやまない独特の物語を構築されます。私、最初に須田さんの作品をプレイしたのが『killer7』だったのですが、「人間を殺(ト)るのは天命よ」とか「子供(ガキ)は寝る時間だ」、「匿名仕置戦隊ハンサムマン」ですとか、そうしたフレーズに強烈な衝撃を覚えました。ああいうものは一体どこから出てくるのでしょうか?普通の人間には「匿名仕置戦隊ハンサムマン」は思いつけません。

音楽を聞きながらシナリオを書いて、その中で言葉が生まれてきます。

――「The Smiths」を聞きながらだと出てくると。(音楽でキマるのか……)

「The Smiths」は聞きませんね。「The Smiths」を聞くと仕事ができなくなるんです。聞くと全部聞いて歌ってしまうんです。だから絶対っに、「The Smiths」は仕事中にはかけません。

――では具体的には何を聞きながら?

「Joy Division」「Chemical Brothers」「Sonic Youth」などです。それは作品によって使い分けています。「The Cure」は仕事しづらいかなあ。聴くと歌ってしまう。サビのことろは合唱してしまいます。でも、iTunesに全部放り込んでランダムにするじゃないですか。すると好きな曲がたまに来てしまう。それでリセットされてしまいます。今ナニ考えてったっけ?みたいな。

――キモチよくなっちゃうと。

そうそう。そこがすごく大変なところなんです。

――なんとなくわかる気がします。


――そこで『花と太陽と雨と』ですが、私はあのゲームをプレイした時もまた衝撃を受けました。ところで、去年から今年にかけて『Journey』(『風ノ旅ビト』)が高評価を獲得し、異例とも呼べる事態になっています。その点須田さんはどうお考えですか?

良いゲームだったと思います。

――ゲームの部分をそぎ落とし、プレイヤーの感情にフォーカスして製作したとされるのが『Journey』です。しかし、そういった思想についてはすでに『花と太陽と雨と』が体現していたのではないかと私は考えます。『Journey』をプレイした時のマラソン感とでも言うべき感覚から、私は真っ先に『花と太陽と雨と』を連想しました。そのあたりはいかがでしょうか?

……。あーそうですか。おー。まあでも、オンラインフィーチャーを上手くデザインしたのはすごいところです。それに、ノンテキストゲームというのは世界中誰でも遊べます。その強みはありますね。僕らはフルテキスト系ですから。

――ちょっと話がそれますが、『花と太陽と雨と』の主人公は"モンドスミオ"でした。一方、『KILLER IS DEAD』のモンドは中村主水がモデルといくつかのメディアですでに報じられています。ですが、本当にこの"モンド・ザッパ"は"モンドスミオ"とは一切関係ないのでしょうか?

別人物です。しかし、"モンドスミオ"の延長である、僕のつける"モンド"というキャラクターはどのゲームに出てきても一貫性があります。アメリカ系イタリア人が"モンド"です。だからスタイルも一緒。黒いスーツを着て、シャツを着て、と。

――シシリアンマフィア的と。

そうです。だからルックスの方向性において"モンドスミオ"と"モンド・ザッパ"は一緒なんです。バッグでなくて剣を持っていると。それが"モンドスミオ"の遺伝子です。

――なるほど。なんとなく外見が似ているような気はしていました。しかし、"モンドザッパ"は今まで須田さんが創造してこられた主人公、たとえば"デカチン"、"モンドスミオ
"、"スミス"全員、"トラヴィス"などに比べると、どちらかというと今までの尖った須田キャラというよりは三枚目として分かりやすいキャラクターになっているようにトレーラームービーからは感じました。


三枚目……?三枚目ですか?いや、結構クールガイですよ。

――トレーラーがいきなりあんなセクシーシーンから入っていたので、イメージとしてはたとえば『コブラ』とかに感じられたのですが。

あー。女が好きで。あーー。なるほど、なるほどね。じゃあ、2.5枚目かもしれません。でも、どちらかといえばダークヒーローに寄せてます。


――ときに、須田さんがああした独特の物語を創るときにはまず日本語で考えますか?それとも英語で考えますか?つまり、日本向けに考えているのか、それとも英語圏向けに考えているのか、ということです。

全世界ですよ。世界中の人が遊んでくれる前提で考えます。だから、あるネタは日本人はわかる、別のネタはアメリカ人が爆笑するといった感じで、ネタを拡散するイメージですね。すべての人に理解してもらうのではなく、それぞれの国で笑ってもらえれば嬉しいです。例えば『NMH2』で"ヘンリー"と戦うシーンは"めぐりあい宇宙"を忠実にリスペクトした構成なわけですが、アレは海外の人にはさっぱりわからないでしょう。日本人にクスッと笑ってもらえればいい。そのために、一生懸命大量に非常にニッチなネタを仕込みまくります。

――どうしても早くプレイしたくて『NMH2』は北米版をプレイしたのですが、「ビザールジェリー」が流れたときは頭が混乱しました。

本気で創りましたよ。マーベラスさんの力ですね。せっかくマーベラスさんがアニメを創っているのですから、やらない手はないと。ゴリゴリねじ込みました。

――いきなりアニメを差し挟むというのは「ハンサムマン」もそうでしたが、須田作品中でしばしば使われている印象があります。たとえば『KILLER IS DEAD』でも特殊な見せ方は織り込みますか?

これについてはまだお答えできませんね。

――ところで『KILLER IS DEAD』のBGM作曲はどなたの手によるものでしょうか?

山岡晃です。

――どちらかというと山岡さんらしくない印象もあります。

全部山岡です。山岡は何でも創れます。

――なるほど。山岡さんといえば激しい曲のイメージがありましたが、確かに『Shadows of the DAMNED』でもバリエーション豊かな作曲をされていました。それの延長ということですね。

キャッチコピーについて、『Shadows of the DAMNED』は、海外向けには「サイコロジカルアクションスリラー」だったのが国内向けには「どパンク地獄ホラー」になっていました。あれは須田さんのセンスですか?


そうですね。サイコロジカル〜は日本では全く伝わりませんから、日本は自分の言葉で伝えました。


――もう本当にファン以外置いてけぼりな話題ですが、『Shadows of the DAMNED』で回復アイテムを飲む時のモーション、瓶を投げ捨てるモーション、さらに自販機にケリを入れる表現などがありましたが、あれはどうやって思いつきましたか?

エナジーが酒というのは最初から考えていました。蹴ったら出てくるというのはアニメーターのアドリブですよ。最初は普通だったんですが、面白かったから採用しました。ガガガガガガッと(自販機を揺らす動き)

――やはり須田さんと同じようなセンス・感性の持ち主が集まっているということですね。

だと思いますね。ただ、酒瓶は最初からちゃんと割るようにと指示出ししていました。

――すごいモーションだったと思います。あれはアクターさんの技だったのですか?

アクターもそうですが、そこに手付けでブレンドを加えています。

――カーッと飲んで、ガッと投げ捨てる。あの生々しさには感激しました。

気持ちいいですよね。音が。ゴリーンって。

――自分が飲んだような気持ちになるんですよね。回復もしますし。一度でいいから実際にやってみたいですが捕まるのでできませんね。

確かに。日本でもありますが、バーでピーナッツ食べたら捨てる風習があるじゃないですか。あれが素敵だなと思って。でも"ガルシア"のキャラクターのイメージとしては酒飲んだ瓶を戻すなんてことはありえないでしょう、投げ捨てるに違いない。荒くれ者ですから、悪魔ハンターですから。


――話が変わりますが、今、特に須田さんの作品では壁になりかねない表現規制です。国内ですと部位欠損などが典型例になりますが、そういった部分で苦戦や面倒はありますか?

国ごとに違います。ドイツ、オーストラリアに比べたら日本はまだまだ規制は強くありません。セクシーな表現では国内は比較的ユルく、アメリカでは逆にとても厳しいです。また、ヨーロッパでは表現には慣用です。これは映画文脈と一緒ですね。日本も映画文脈やテレビコードに近づいています。それぞれの国の中の規制があって、それは僕ら作り手がどうこういうべきではなく、その国の事情や文化感に対して合わせていくのがプロの仕事と思います。今後も一貫して崩すつもりもありません。表現として戦うことも大事だと思いますが、日本で戦ったとすれば須くすべての国で戦わなければなりません。もちろんパブリッシャーの事情もありますが。

――では『KILLER IS DEAD』では?世界共通スタイルか、調節スタイルか、どちらでしょう?

CERO Zを予定していますし、共通化の予定です。

――GhMが創設されたとき、メンバーは3名だったとうかがっています。現在、ゲーム界ではインディーに注目が集まっています。須田さんは当時インディーの気分でしたか?

なんとも言えません。今のインディー界の気持ちや空気感がわからないので。一緒なのかどうなのかははっきり言えません。

――最後に、『KILLER IS DEAD』の最大の見どころはどこですか?

今回、海外だとキャッチフレーズは「Love & Kill」、日本だと「21世紀の大人たちに贈る 愛と処刑(コロシ)の" ファンタジー"」です。見どころは「ラブ・アンド・キル」の要素にあります。ゲームとしてはスラッシュアクションで敵を倒すという繰り返しの中にある高揚感やリズムを強調しています。さらにゲームの中の設定、主人公そのもののミッションもポイントです。また、職務として、公務としてどんどん仕事をこなしていくなかに「ラブ」要素をサイドミッションとして用意しました。ジゴロモードというのですが、そこも楽しんで欲しいですね。

――『NMH2』にあったバイトの「ラブ」版と。本日はありがとうございました。

◇◇◇ ◇◇◇


豆知識: 須田剛一は音楽でキメる。

《Gokubuto.S》

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