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【第2回 京都インディーズゲームセミナー】前編: Unityのポテンシャル、使途とは? − まずはアイデアを形に

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インディー系ゲームの後方支援をすべく立ち上がったKyoto IGSの第2回セミナーが4月27日京都で開催されました。9月に催された前回PLAYISMに引き続き、Unityが登場です。まさしく順当といえましょう。最初にざっくり説明してしまうと、UnityとはWindows/OS X向けの統合開発環境です。

15時開演の10分前には開場はほぼ満員。そもそも当初は30名ほどが想定されていたにもかかわらず参加希望者が殺到し、最終的に欠席者を除いても60名前後へ。立ち見を希望する肝の座った方もいらっしゃいました。年齢層は十代の学生から四十路が見えそうな方までと、意外に幅広い印象。また、すでにゲーム開発に携わっている方もちらほら。

なお、来場者の内訳としては京都からが約1/3。大阪からが次いで多く、一番豪快だったのが北陸で1名(日帰り)。全体的にビジネスライクというよりはインディーらしくカジュアルな勉強会というムードでした。


まず、謎めいた動画が流れます。球体が周回軌道のようなラインを描きながら音を奏でるといったアンビエントな作品。これを製作したのはまず壇上に上がったUnity Technologies Japanの高橋啓治郎氏(上掲写真右)。最近社内で流行している「地方出張などでの移動中にUnityで作品を創る」芸だそうです。そういえばBitSummitでも同社の大前広樹氏が無茶をしていました。

高橋氏いわく、アイデアは「トイレや風呂や通勤中の無心な時間に思いつく」とのこと。天体の楕円軌道とスペーシーなサウンドの相性が良いのではないかと閃いたと、ジェスチャーを交えながら解説しました。

こうした突発的に生まれたアイデアを、漠然とした状態で放置するのではなく、まず形にする。これがUnity活用法の1つであると最初に強調しました。実際に流されたデモは口頭で説明するのはやや難しいものの、サウンドとオブジェクトの連動やリズム感は充分表現されていました。

また、Unityにデモンストレーションとして付属している『Angry Bots』(リンク先でプレイ可能)を紹介。ゲームビューからシーンビューへ遷移しつつ具体的にどのようにエディットするのかを実演しました。例示されたのはゲームを動かしながらのテクスチャ変更や、物理判定も含むオブジェクト再配置など。作業の流れを止めずにゲームの中身を改定している様子が来場者の興味を引いているようでした。さらに、攻撃をトグル的挙動にするプログラム調整にも軽く触れ、開発環境としての手広さもアピール。

ゲームエンジンとして認識されるUnityを、こうした柔軟性をもってして「トライアンドエラーに快適」としました。突如生まれたアイデアを仕様書や企画書にするのではなく、まず形にしてみる。白紙のキャンパスにいきなり名作を描ける人間は少数派で、大多数は反復作業から作品を生み出すものであり、そのためのツールがUnityであるということです。

Unityの強みの1つであるアセットストアにも言及。3Dモデリングや背景、キャラクターのテンプレート、2D系グラフィックス製作補強プラグイン、はてはマルチプラットフォームでの「セーブ機能」(25ドル)まで、バリエーションの豊かさをプッシュしていました。

次に、Unityが実際に採用されたタイトルの紹介へ。1本目が『Bad Piggies』。ご存知『Angri Birds』の続編にあたるタイトルですが、例の鳥を飛ばすシステムから脱却することがRovio社内で検討された際、プロトタイプ製作にあたりUnityが採用されたそうです。結局本作は最後までUnityで創り上げられました。


2本目は高橋氏のお気に入りという『Jack Lumber』。パブリッシャーはセガ(SEは昔懐かしいバージョン)ですが、デベロッパーのOwlchemy Labsは北米のインディーチームで、メンバーはほぼ2人だけ。「おばけの木におばあさんを殺された木こりが復讐する」というストーリーが聴講者の笑いを大いに誘っていました。


『Jack Lumber』は「木こりのゲームを創ろう」とPAX開催7ヶ月前から出展を決意して展示費用まで支払いスタートしたものの迷走。映しだされたプロトタイプはもう誰がどう見ても木こり、というか薪割りで、誰が得をするのか?感に開場からは失笑が漏れました。PAX3ヶ月前になっても迷走は続き、その段階でのデモもやはり厳しい品質。しかし、2ヶ月前になってテスターから「『MaxPayne』みたいなスーパーパワー持ってたらいいんじゃないの」と何気なく投げかけられた一言から大幅に軌道修正。それまでのリソースをほぼ破棄し、わずか1週間ほどで製品版の地盤を創り上げることに成功しました。

こうした大胆な決断を下せたのもUnityの機動性ならびに、「Unity慣れ」による時間感覚によるものと高橋氏は説明。Owlchemy Labsいわく、「俺たちみたいなインディーゲームデベロッパーは7日以下で創るべき」「その後1ヶ月で磨き上げる」とのこと。極論ではありますが、興味深い思想です。

情熱・思想・理念など。

続いて、学生が製作した『Puzzlejuice』。まずは動画をご参照ください。


テトリスライクな落ち物パズルに、「ラインを消したらアルファベットが登場し、それを組み合わせて英単語を作れば消える」というシステムを加えたものです。文章で伝えづらい面白さというアイデアからしてすでに極まっていますが、プロトタイプではデザインがいささか殺風景で魅力に欠けていました。そこでデザイナーをブログとTwitterで公募したところ、協力者が登場。完成形へたどり着くことができたのこと。こうした書類ベースで価値が伝わりづらいものでも、まずUnityでプロトタイプを創ればポリッシュに専念できるとしました。

最後に、原則無料であること(学校や会社での導入は別)、またマルチプラットフォーム対応であることなどを説明。なお、BitSummitでも説明があったとおりUnity for Wii UはWii U開発者であれば無料になります。

「ものにせず捨ててしまっているものを形にして検証してほしい。光るものがあれば拾って欲しい。せっかくの独創性が無駄にされずに済みますから。」と締めた高橋氏。一瞬の煌き・閃きに賭ける要素があるインディーシーンにおけるUnityの優位性が再確認できる講演でした。
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《Gokubuto.S》

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