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【今から遊ぶ不朽のRPG】第4回『リンダキューブアゲイン』(1997)

>今プレイしても充分楽しめるレトロなRPGタイトルの魅力を紹介していく連載コーナー『 今から遊ぶ不朽のRPG 』。おかげさまで無事第三回目を迎える事が出来ました。『 Ultima VI 』、『 ルナティックドーン 』と、本腰を入れて遊びたいファンタジー色の強い作品

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!注意!グロテスクな表現や残酷表現が苦手な方、18歳未満の方は観覧をご遠慮ください。

今プレイしても充分楽しめるレトロなRPGタイトルの魅力を紹介していく連載コーナー『今から遊ぶ不朽のRPG』。おかげさまで無事第三回目を迎える事が出来ました。『Ultima VI』、『ルナティックドーン』と、本腰を入れて遊びたいファンタジー色の強い作品を続けてご紹介してきましたが、第三回目は少し趣向を変えた日本の名作サイコRPG『リンダキューブ』をご紹介。

オリジナル版は1995年にPCエンジン CD-ROM2ソフトとしてリリースされ、残虐描写やショッキングな内容からコンシューマのRPGタイトルとして初めて推奨年齢18歳以上が付けられた作品としても知られてる作品です。しかし、原作はハード面を含め、とても今から手軽にプレイ出来るタイトルとはいえません。そこで、今回は1997年にプレイステーションでリメイクされた『リンダキューブアゲイン』を対象としたプレビューをお届けしていきたいと思います。

* * * * *




今手に入れるなら

数年前までは、プレイステーション版の『リンダキューブアゲイン』、セガサターンの『リンダキューブ 完全版』共に店頭ではプレミア価格がつけられ、中々お目にかかる機会も少なかったのですが、現在はPSNのゲームアーカイブスから手軽に入手する事が可能となりました。

気になる『アゲイン』と『完全版』の違いですが、完全版はリンダキューブアゲインをベースにグラフィックの鑑賞モードやサントラ、開発スタッフのやりこみ記録に挑む「国分名人」モードなどおまけが追加されている他、プレイステーションではハードの制約上表現が緩和し、それに合わせてオリジナル同様に年齢区分が18歳以上となっています。

私はオリジナル版を未プレイなので詳しい比較をあまりお伝えできないのですが、残虐描写に関してはPS・SS版共に大きな違いは感じられず、ぱっと思いつくのがヒロインリンダの髪の色が変更されている点と、“昔ブタ”というPS版には登場しない動物が登場する点。以前に比べれば完全版も大分入手し易くなっているようなので、気になる方はそちらもチェックしてみるのも良いでしょう。

今までに無いRPGを求める人に

空から突如落下してきた石碑。同時に出現した“方舟”に世界中の動物をオス・メス一匹ずつ届ける。

今までに無いRPGを求める人に」というキャッチフレーズの通り、ストーリー、猟奇的な登場人物、システム、ブラックユーモアに溢れたテキストなど当時としては型破りなゲームデザインが本作最大の特徴です。

舞台となるのは地球と非常によく似た惑星ネオケオニア。この星は8年後に巨大隕石が衝突して滅亡する運命にあり、プレイヤーはレンジャー隊員ケンを操作しながら、世界終末の日までに全120種類の動物をつがいで保護する事がゲームの目的。

物語はAからCまでのシナリオが用意され、同じ世界観やキャラクターを共有しながらもそれぞれ全く異なるストーリーが展開していきます。基本は前述した動物集めがメインとなるのですが、その過程で起きるショッキングな事件が、今でも名作と語り継がれる所以ともなっています。


卑怯な手を使うのもアリ

名前こそ同じですが動物の外見は大きく異なります。
中にはドラゴンから“超強いヤツ”まで様々な生き物が存在します。

どのシナリオも一貫して動物集めが最終的な目的となり、その手段も様々。基本は戦闘で瀕死にさせてから捕まえるという方法ですが、本作は、レベルを上げるほど難易度が上昇する、RPGとしては珍しいタイプのゲーム。レベルが上がればステータスや特技も増えて戦闘を有利に進めらますが、強くなりすぎると動物を捕獲する前に殺してしまうリスクが非常に高まります。

そんな時は店に売られた動物やオークションで代用したり、余裕があれば、お金を払ってハンターを雇い、捕獲を依頼してしまうのもひとつの手段。限度額は限られていますが、借金も出来てしまうので自分は何も努力をしなくてもとにかく動物さえ集まればOKなのです。

ゲーム中も刻一刻と時間は流れていき、8年経てば強制的にゲームは終了となってしまいます。落下する隕石を防いだり進行を遅らせる術は無いので、限られた時間の中で如何にして行動するかが攻略の鍵となります。

とは言っても、とは言っても、あるシナリオを除けば難易度は自分で調整できるので、それ程シビアな動きは要求されず、自己流で自由な冒険を楽しむ事が可能です。

CD-ROM媒体のゲームなので画質はあまり良くありませんが
映画『AKIRA』でも知られる田中達之氏デザインのアニメムービーは必見です。

前述した通りシナリオは3種類に分かれ、A、Bはストーリー重視、Cは自由度を重視した作りとなっています。前者2シナリオは内容からのネタバレを多く含んでしまう恐れがあるので、画像と簡単な概要のご紹介のみとさせて頂きます。一言で表すと“歪んだ愛”をテーマにした強烈なストーリーが描かれ、当時の国内家庭用RPGとしてはまさに異例のグロテスクな演出と狂気に満ちた世界観が散りばめられているのです。

Game*Spark読者の中にはノンリニアな海外RPGがお好きな方が多いかと思いますが、特にシナリオCは、自由度の高い海外作品とJRPG要素を上手く融合させた意欲作として、きっと満足出来るはず。世界観こそ大きく異なりますが、ゲーム開始直後から全てのエリアで好き放題出来る『ポケモン』をイメージして頂くと分かりやすいかもしれません。

ゲーム内容を紹介するマンガや、桝田氏による落書きなど説明書にも遊び心が満載。
ケンの母ミームは、前ジャイアンママ役の青木和代さんがボイスを担当しています。

ちなみに、説明書に書かれたプロデューサー桝田省治氏のコメントによると、本作は『天外魔境 II』のような王道RPGの製作過程から生まれたストレスが原動力で、“天外IIから生まれたゴミ”が『リンダキューブ』なんだとか。同氏は『リンダキューブ』以降も『俺の屍を越えてゆけ』、『我が竜を見よ』といったパンチの効いた作品を世に出し続けています。


ちょっぴり危険なお色気要素も

ヒロインのリンダ。全シナリオを通して主人公ケンと行動を共にする積極的な女の子。

PS版は15歳以上と低めの対象ではるあるものの、一般的なRPGの宿屋に当たる施設にラブホテルが存在したり、リンダと野宿をするとアイテム欄のティッシュが減っていたりと、直接的ではありませんが、かなり際どいお色気描写もこれでもかと登場します。

特に『魔女の宅急便』のキキや『名探偵コナン』のコナンでお馴染み高山みなみさんが挑むギリギリのセリフも語り草のひとつ。

主要キャラは基本的にフルボイスなので周りに人がいる場合は注意しましょう。


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アクの強いゲームではありますが、コンシューマのリメイク作品という事もあり、ゲームバランスは練られているので、本企画でこれまで紹介した作品の中では一番遊びやすいタイトルです。筆者も、普段はRPGを全くプレイしない友人に本作を貸したところ、通常シナリオを全て攻略出来たようなので、アクションやシュータージャンルのゲームを中心にプレイしている方にもオススメしたい一本。

今回、ネタバレの関係上ストーリーよりもシステムや全体の概要に焦点を当てたプレビューをお届けしましたが、興味を持った方は是非ともご自身の手(画像検索は厳禁です!)で狂気に満ちた物語と方舟の謎を解き明かしてみてください。

プレビュー執筆時に気がついたのですが、引越しの際に『完全版』を入れた
セガサターン一式のダンボールが行方不明になりました…。

(C)1997 Sony Computer Entertainment Inc. Under License from Alfa System, MARS, and NEC BIGLOBE,Ltd.


※文中の誤字を訂正しました。コメントでのご指摘ありがとうございます。

【関連記事】『【今から遊ぶ不朽のRPG】ルナティックドーン 第三の書』(2000年)
【今から遊ぶ不朽のRPG】『Ultima VI』(1990年)
《FURUKAWA》
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