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ベラルーシ男児は「ガチャお断り」― ウォーゲーミングCEO Victor Kislyi氏インタビュー

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ベラルーシ男児は「ガチャお断り」― ウォーゲーミングCEO Victor Kislyi氏インタビュー
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2013年7月に日本支社を設立、9月5日よりFree-to-Playオンライン戦車ゲーム『World of Tanks』を国内で正式にサービス開始した、ベラルーシのゲームメーカーWargaming.net。東京ゲームショウ 2013では巨大なブースを構え、人気のプロゲーマーや、コラボアニメ『ガルパン』の声優を呼んで華やかなショーを開催。まさに戦車の勢いで日本に上陸した同社のCEO Victor Kislyi氏に、主にビジネスの観点で話を聞きました。

――それでは、まずはじめに自己紹介をお願いします。

Victor Kislyi: 私はCEOのVictor Kislyiです。15年前にWargaming.netを創設しました。他の企業で働いた経験はありません。実際に会社を立ち上げたのは20年前で、当時は身内も含め3、4人しか社員がいませんでしたが、今では日本を含む全世界16箇所のオフィスに2,200人の従業員がいます。

――『World of Tanks』が生まれたベラルーシという国について教えてください。

Victor Kislyi: ベラルーシは欧州の小さな国ですが、面積としては日本と同じくらいで、人口は960万人ほどと少ないです。日本は海に囲まれているのに対して、ベラルーシは他の国々に囲まれています。日本とベラルーシの不運な共通点として、原発問題があります。ベラルーシの国土の約20%は、チェルノブイリ原発事故の災難に苦労しているのです。

――日本のゲーム市場についてはどのような印象をお持ちですか。

Victor Kislyi: 日本のPCゲーム市場が大きなシェアを持たないことは理解しています。日本で『World of Tanks』のサービスを正式にスタートする以前から、北米やアジアサーバーに日本人プレイヤーが存在しているのは認識していて、彼らはとても情熱的にゲームにコミットし続けてくれました。日本にオフィスを設立するのは大きな投資でしたが、プレイヤーのためにそれをすべきだと考えたのです。欧米やロシアに比べたらプレイヤーは低い数字になるでしょうけど、統計の結果、日本のプレイヤーはとても献身的にゲームを続けているのが分かりました。今回のTGSで日本の戦車を発表したのは、恩返しでもあります。現在開発している『World of Warplanes』や『World of Warships』では最初から日本の戦闘機や戦艦が登場します。



――日本支社を立ち上げてから数ヶ月足らずでこれほど大規模なプロモーション展開を実施したゲームメーカーは、おそらく前例がないでしょう。『World of Tanks』の日本でのヒットを確信していますか?

Victor Kislyi: やるしかないのです。何かをしなければ成功どころか何も起こりません。我々は投資し、リスクを犯さなければなりません。インフラを構築し、人員を整備すれば、成功できるかもしれない。もちろん成功してほしいと願っています。

――少なくとも日本では、戦車を扱ったゲームというは一部のマニアだけが遊ぶようなイメージだったのですが、なぜ『World of Tanks』は世界的なヒットを収めることができたのでしょう?

Victor Kislyi: 実は3年前のマーケティング戦略としては、軍事マニアだけをターゲットにしていました。同時に、そうしたマニア全員を取り込むつもりでした。そこから徐々にお金が出るようになってきて、利益を再び開発やサービス向上に重く投じていく考えだったのです。つまり最初の成功だけで止まることなく、新たな支社の設立、人材の獲得、ゲームのアップデート、コンテンツの追加などを3年間にわたって継続し、投資を行ったことで、トリプルAで世界トップクオリティーの製品が出来上がったのです。戦車を扱ったオンラインゲームは市場では珍しい存在で、トップになるのは難しくありませんでした。

面白い例をひとつ挙げると、女の子のアニメは無数にあって、もうほとんどの題材はやり尽くされています。そんな中で、戦車を題材にしたアニメ『ガールズ&パンツァー』が日本で人気を得ました。戦車には何か魔法があるのです。

――Wargaming.netが今後『World of』シリーズ以外のフランチャイズに取り組む計画はあるでしょうか?

Victor Kislyi: 現在シアトルで、Gas Powered Gamesのクリス・テイラーによる、あるシークレットプロジェクトが進行中です。

――そうなんですか!

※Gas Powered Gamesは2013年2月にWargaming.netが買収、小会社化。過去に『Dungeon Siege』や『Supreme Commander』シリーズを開発。

Victor Kislyi: ディレクションは気に入っていますよ。クリス・テイラーとはビジョンを共有していて、とてもビッグでエキサイティングで伝説的なものを作ろうとしています。



――Free-to-Play(F2P)モデルのマネタイズ化についてどのような考えをお持ちですか?

Victor Kislyi: 過去の歴史を5年ほどを振り返ると、中国や韓国の市場では“Pay-to-Win(お金を払えば勝てる)”アプローチが主流でした。今では減少傾向にあるものの、まだ一部で根強く残っています。我々は、かつてそのモデルを改良してロシアやヨーロッパに持ち込みました。しかし、欧州のプレイヤーは公平性や平等な勝利の可能性を尊重します。Wargaming.netのFree-to-Playモデルを簡単に言い表すと、一ヶ月にマクドナルドのメニュー2つ分ほどしかお金を取ろうとしていません。5万円払ってそれっきりプレイしない、というのは望んでおらず、毎月少額だろうと無課金だろうと、半年、1年、2年と長く遊んでもらいたいです。

弊社では、F2Pモデルをさらに一歩前進させたコンセプト“Free-to-Win(無料で勝てる)”を推進しています。これは単なるマーケティングスローガンではなく、実際に『World of Tanks』に導入しているのです。以前は課金すれば簡単に兵器を強化して対戦で有利になることができましたが、“Free-to-Win”コンセプトを採用した後は、それらの強化をインゲーム通貨(プレイで得られるクレジット)でも購入できるようにしました。そうすることで、時間はないけどお金に余裕のある私のような会社員と、時間はあって腕に自信はあるけどお金に余裕のない学生が、フェアに戦うことができます。戦場の勝敗は、お財布ではなくスキルで決まるのです。

このアプローチは、中国だろうと韓国だろうと、他の国でも受け入れられ成功しています。おそらく日本でもうまくいくと見ています。日本の市場についてはもちろんリサーチしました。日本ではモバイルのカジュアルゲームが大きな位置を占めていて、“ガチャ”で大金を稼いでいるところもあります。しかし、我々にはビジョンがあり、ガチャ企業でもカジノではありません。

――Victorさんは子供の頃からゲームがお好きだったそうですが、人生を変えるようなゲームに出会ったことはありますか?

Victor Kislyi: はい、シド・マイヤーの『Civilization』ですね。1991年にリリースされた第1作目から、全てのシリーズをプレイしています。昨夜も遊んでいましたよ(笑)。

――もし『World of Tanks』のハリウッド映画化オファーがあったら受けますか?

Victor Kislyi: 『World of Tanks』はマス・マーケットのフランチャイズになりつつあります。今のところ計画していませんが、それは良いアイデアかもしれない。考えておきます(笑)。

――Victorさんは、E3 2013のMicrosoftメディアブリーフィングのステージに登場し、『World of Tanks: Xbox 360 Edition』を発表しました。Microsoftとパートナーシップを交わした経緯や理由を教えてください。

Victor Kislyi: 『World of Tanks』を発売するより前、6~7年間にわたるゲーム制作の中で、Microsoftには良い友人がたくさんでき、親しい関係だったので、交渉を行い契約を結ぶのが簡単だったのです。コンソールにはもともとFree-to-Playが少なかったので、そのルールを変えて実現させるのにたくさんの労力を注ぎました。コンソールにおいては非常に大型の独占契約だと思います。

――Wargaming.netの今後のビジネス的な戦略計画を教えてください。最終的なゴールは?

Victor Kislyi: すでにゲームのパイプラインは出来上がっています。『World of Tanks』は軌道に乗り、『World of Warplanes』はベータテストも佳境です。『World of Warships』は2014年に登場します。さらに『World of Tanks: Xbox 360 Edition』のリリースも非常に近い。iOSスピンオフ『World of Tanks Blitz』、ブラウザゲーム『World of Tanks Generals』、クリス・テイラーの新作もあります。我々は今後もミリタリーゲームを様々なプラットフォームで作り続けるでしょう。

但し、もう一つ大変重要なビジネスの側面があります。Wargaming.netの2,200人の社員のうち、半分は、カスタマーサポート、e-Sports事業、PRマーケティング、コミュニティーマネジメントなどの、サービス面に携わる人間です。日本のプレイヤーのために何かをする必要があり、オフィスを設立し、サービスを提供したのはその第一歩です。Wargaming.netは民間企業で上場もしておらず、投資家などからあれこれ指示されることもありません。うれしいことに我々には1人しかボスがいないのです。すなわち“プレイヤー”です。IPOや上場には興味がありません。我々はプレイヤーために最高のゲームを作り続けるのが使命で、それだけでビジネスとして成功しているのです。

――分かりました。本日はありがとうございました。

《Rio Tani》

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