E3の展示から大幅な進化、QTEも廃止―完成間近の『THIEF』プロデューサーインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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E3の展示から大幅な進化、QTEも廃止―完成間近の『THIEF』プロデューサーインタビュー

Game*Sparkとインサイドでは、E3 2013でもインタビューを実施した『THIEF』プロデューサーのステファン・ロイ氏に再び話を聞く機会を得たので、その模様をお届けします。なお、PS4バージョンのハンズオンプレビューも同時に掲載しているので合わせてご覧ください。

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E3の展示から大幅な進化、QTEも廃止―完成間近の『THIEF』プロデューサーインタビュー
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ゲーマーから手堅い評価を得た『デウスエクス』 に続いて、スクウェア・エニックスとEidos Montrealが世に放つ、一人称ステルスアクション『THIEF』。ステルス系ジャンルにおいては元祖とも言える同名作品のリブートであり、2014年、次世代機もターゲットにいよいよ復活を遂げようとしています。

Game*Sparkとインサイドでは、E3 2013でもインタビューを実施したプロデューサーのステファン・ロイ氏に再び話を聞く機会を得たので、その模様をお届けします。なお、PS4バージョンのハンズオンプレビューも同時に掲載しているので合わせてご覧ください。

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Game*Spark: E3 2013で『THIEF』のプレイアブルデモを見せていただいてから約半年が経過しましたが、現在の開発状況と開発経過を教えてください。

ステファン・ロイ: E3のデモはそこそこの出来でしたが、色々なジャーナリストの方々からコメントや指摘を受けて、操作方法などに調整が入りました。開発の状況としては、ほとんどゲーム完成間近で、デバッグなどを行っています。

Game*Spark: ジャーナリストのフィードバックを取り入れたということですが、ゲームデザインにおいて何か大きな決断や変更はされましたか?

ステファン・ロイ: はい。E3から半年で大きく変わったことといえば、クイックタイムイベント(QTE)の完全な廃止があります。E3などで公開した際に批判的な意見が見られたため決断しました。


Game*Spark: 『THIEF』のゲームプレイについて開発者の考えをお聞きしたいのですが、本作では「物を盗む」ことがメインの目的となっていて、「敵を倒す」ことが目的である一般的なファーストパーソンゲームと大きく異なります。「盗む」という行為は「敵を倒す」行為に匹敵するものなのでしょうか?

ステファン・ロイ: 確かにFPSでは敵を倒していくゲームがたくさんありますが、我々は「盗む」ことを非常に新鮮かつユニークだと考えています。それに『THIEF』でも敵を倒すことはできます。正面を向い合って戦うのではなく、暗がりに敵を誘導して息の根を止めたりと、プレイヤーチョイスの自由度があり、プレイスタイルによって自分自身の性格が垣間見えるところが面白いと思います。あるFPSゲームで、強力な銃器とボディアーマーを装備したプレイヤーは、きっと自分が力強い存在だと感じるでしょう。一方『THIEF』では、誰にも知られずどこかに忍び込んで貴重な品を盗み出す。プレイヤーはきっと同じようなパワーを感じられるはずです。

Game*Spark: 敵キャラクターについてですが、本作では高度なAIを持つと言われています。何か具体例や特筆すべき点を教えてください。

ステファン・ロイ: AIもまたE3デモから大きく進化した部分です。ステルスゲームにとってAIは最も重要な要素です。これから例をお見せしましょう。

(ここでおもむろに席を立ち、部屋を歩き回りながらAIの行動パターンやデザインについてレクチャーをはじめるステファン・ロイ氏)

AIの設計にあたってAIプログラマーと入念なテストを繰り返しました。例えばこの部屋のこちらドアから向こうのドアに移動しようとして、部屋の中央に見張り(AI)がいたとします。注意を引くために見張りに向かって物を投げたとしたら(ここで本当にペットボトルを放り投げる)、どういう反応をするか現実的に想定すると、物が落ちた場所ではなく、物が飛んできた方向にも注意するはずです。そのまま採用するとゲームとしての面白さが損なわれるためバランスが肝心ですが、こうした現実的な人間の行動様式をAIに取り入れています。また、新人の兵士よりもベテランの熟練兵士の方が警戒心が強いなど、AIのバリエーションにも考慮しています。

Game*Spark: 主人公であるギャレットは様々な金品を盗み、盗みで得たお金で新たな装備を購入したりアップグレードできるそうですが、どんなバリエーションがありますか?

ステファン・ロイ: 最初に“フォーカス”のアップグレード要素があります。ゲーム開始時の“フォーカス”はインタラクトできるオブジェクトを示すだけですが、お金を貯めてアップグレードしていくと色々な状況で使える能力がアンロックされる仕組みです。他にも道具がいくつかあり、例えばミッション中の隠し通路にアクセスできまる道具などもあります。アップグレードはプレイヤー自身がどうプレイしたいかで変わってきます。アグレッシブな“Predator”スタイルなら強力な弓矢だったり、“Ghost”スタイルとして誰にも見つからず進めたいなら足音を消すブーツなども存在します。


Game*Spark: ところで少し脱線した質問になりますが、『THIEF』では昼間のステージは出てこないのでしょうか?

ステファン・ロイ: 昼のステージはありません。そういう選択をしました。しかしゲームのプロローグ部分では、太陽の光が見えるシーンがあり、かつてのシティの黄金時代として描かれています。その後、ある事件が起こり、街は疫病が蔓延して闇に包まれます。もしかしたら、あるいはいつか、もう一度太陽を見られる時が来るかもしれませんが……。

Game*Spark: 『THIEF』の時代設定を選んだ理由は何でしょう?

ステファン・ロイ: 本作では“対比(Contrast)”を強調しています。ストーリーの中でも、シティを支配していたバロンの手から人民の手に力の均衡が移っていく様子、貧富の対比などが描かれます。世界観は19世紀頃のイギリス・ヴィクトリア朝を舞台とし、建物は石造りでありながら鉄製のパイプが出ていたりと、工業化時代に移ろうとしているのが対比として描かれています。ブルーでダークな雰囲気のシティとは対照的に、娼婦館はゴージャスで赤みがかった雰囲気です。また、『THIEF』のロゴデザインも過去作から一新され、活版印刷をイメージした工業的、近代的なデザインに変わりました。

Game*Spark: 女性キャラクター エリンは、ギャレットに並ぶ二人目の主人公のような強い印象を受けました。彼女についても教えてください。

ステファン・ロイ: エリンはとても重要なキャラクターです。物語の冒頭、彼女の鉤爪を盗んだために事故に遭わせてしまったギャレットは罪の意識を感じています。新しい『THIEF』のストーリーはエリンがきっかけになって展開していきます。

エリンが登場する英語版トレイラー

Game*Spark: 最後に日本のゲーマーに向けてメッセージをお願いします。

ステファン・ロイ: 我々は全力を投じて『THIEF』を開発しています。本作はプレイヤーがシーフ(泥棒)になるという妄想を叶えるようなゲームです。一つ例を挙げると、今は世界中で知られる『ファイナルファンタジー』が世に出る前、その名前を耳にしたら、「それってどんなゲーム?」と困惑するでしょう。しかし『THIEF(盗賊)』というゲームを作っていると誰かに話したら、すぐにどんなゲームなのか、何ができるゲームなのか全て想像がつくはずです。それを日本のゲーマーに伝えたいです。本作をプレイすればあなたがシーフになれることを保証します。

Game*Spark: ありがとうございました!

《Rio Tani》
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