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【特集】日本上陸、そして撤退した欧米MMOの軌跡―『D&D Online』と『LotR Online』

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【特集】日本上陸、そして撤退した欧米MMOの軌跡―『D&D Online』と『LotR Online』
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    「大人数でRPGが遊べる」革新的なMMORPGというジャンルが誕生して十数年たった現在。日本に上陸後、名作と呼ばれつつもその殆どが撤退していった欧米産MMORPGが、なぜ日本で成功を見ることがなかったのか。本連載では日本上陸の経緯を振り返りつつ、その理由を考えます。


Turbine Entertainmentが開発したMMORPG『Dungeons & Dragons Online(DDO)』と『The Lord of the Rings Online(LotRO)』。日本国内での運営はデータセンター事業などで知られるさくらインターネットが担当し、当時話題を呼びました。今回は、運営という面で国内のMMORPG史にその名を刻んだ、上記2作とさくらインターネットを振り返ります。


さくらインターネット、Turbine Entertainmentと契約

2005年12月、さくらインターネットが『Asheron's Call』で知られていた米国のTurbine Entertaiment社とのライセンス契約を締結したと発表しました。当時のTurbine社が開発中のタイトルには『Dungeons & Dragons Online』と『The Lord of the Rings Online』の2作。発表時こそ明らかにされなかったものの、後に『Dungeons & Dragons Online』であることが判り、日本国内でサーバー運用能力を持ち、インフラ基盤も整っていたさくらインターネットの参入に期待が寄せられました。ちなみにライセンスの取得費用は約1億2000万円だったことが発表されています。


その後の2006年8月10日、月額課金モデルが採用され、米国サービス開始から僅か6ヶ月という早さで国内サービスがスタートしました。テーブルトークRPG『Dungeons & Dragons』の世界観を忠実に再現した本作は、アクション性の高い戦闘システムなどで注目が寄せられたものの、謎解きを重視したクエストベースで進む独特のシステムで後発プレイヤーが「楽しみづらい」という問題も浮き彫りになります。


さくらインターネット、『The Lord of the Rings Online』のライセンス取得

『Dungeons & Dragons Online』の日本サービス開始から18日後の2006年8月28日、さくらインターネットはTurbine社の新タイトル『The Lord of the Rings Online』のライセンスを200万ドルで取得したことを発表。言わずと知れた映画「ロード・オブ・ザ・リング」をMMORPG化した作品で、国内外からの注目度も高く、何よりも『DDO』で培われたさくらインターネットのノウハウを利用する素早い事業展開でした。


本作の日本サービス開始は2007年6月1日、『DDO』と同様に初期投資にクライアント代が必要な月額課金モデルが採用されました。『DDO』『LotRO』共に迅速なアップデートなど魅力的な面も多くありましたが、これらのゲーム事業が最終的にはさくらインターネットという会社の存続を揺るがすことになります。


さくらインターネット、オンラインゲーム事業で約4億円の特別損失、債務超過状態に

2007年11月22日、さくらインターネットはオンラインゲーム事業の不振から3億9100万円の特別損失を計上し、同社が債務超過状態に陥る見込みであると報告。理由としては『LotRO』の有料会員数が当初の予想より低く推移したためと伝えました。この発表の後、同社でオンラインゲーム事業を推し進めていた当時の社長笹田亮氏が引責辞任、後任として創業者であり、副社長を務めていた田中邦弘氏が社長へと就任しました。


『DDO』と『LotRO』についてはTurbine社との「サービス開始から4年間継続する」という契約もあり、当初は継続を前提とした発表が行われていましたが、Turbineとの競技の末、2008年3月5日に2億7200万円の違約金を支払い2009年9月までの契約期間に変更。2009年6月30日、契約期間の変更どおり、2009年9月30日を持って『DDO』ならびに『LotRO』の国内サービス終了が告知されます。それまでは好評なサービスを続けていた同社ですが、サービス終了時の対応は控えめに見ても「悪い」と言わざるを得ないもの。告知していたアップデートは最後まで実施されなかった上、本家の米国サーバーへのデータ移行も無く、両タイトルのユーザーからは落胆の声が漏れました。


なぜ『DDO』と『LotRO』は日本でヒットしなかったのか

さくらインターネットが渾身の一手をもってライセンスを取得した両タイトル。欧州/中国/韓国でもサービスインしたものの最終的には撤退。しかし、北米の本家サーバーでは月額課金モデルから基本プレイ無料のアイテム課金(Free-to-Play)モデルへと方針転換することで、ユーザー数と売上が倍増したことが報告されています。


自前のサーバーや回線バックボーンを持っているさくらインターネット。運営におけるランニング費用は、他のMMORPG事業主と比べて低コストだったはずです。それにも関わらずユーザー数を獲得できず、大きな損害を出してしまったことには、『エバークエスト』でも挙げた「パーティープレイ」を主軸とするゲームシステムの問題、そして月額課金モデルによる心理的障壁が新規ユーザーへの訴求力不足に大きく影響したとも考えられます。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

ユーザー数が単純にゲームの面白さへと直結してしまうMMORPG。この頃の日本において月額課金モデルは既に限界を迎えていたのではないでしょうか。Tribuneとの契約上難しかった可能性もありますが、もし仮にFree-to-Playモデルを採用できていたら、日本におけるMMORPGの歴史は変わっていたのかもしれません。
《水京》

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