【特集】日本上陸、そして撤退した欧米MMOの軌跡―『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【特集】日本上陸、そして撤退した欧米MMOの軌跡―『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』

「大人数でRPGが遊べる」革新的なMMORPGというジャンルが誕生して十数年たった現在。日本に上陸後、名作と呼ばれつつもその殆どが撤退していった欧米産MMORPGが、なぜ日本で成功を見ることがなかったのか。本連載では日本上陸の経緯を振り返りつつ、その理由を考えます。

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    「大人数でRPGが遊べる」革新的なMMORPGというジャンルが誕生して十数年たった現在。日本に上陸後、名作と呼ばれつつもその殆どが撤退していった欧米産MMORPGが、なぜ日本で成功を見ることがなかったのか。本連載では日本上陸の経緯を振り返りつつ、その理由を考えます。

Lucas ArtsとSony Online Entertainment(現:Daybreak Games Company)によって開発され、「スター・ウォーズ」初のMMORPGとして2003年にローンチされた『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』。強大な敵に挑んでいく『エバークエスト』タイプのMMORPGとは異なり、『UltimaOnline』のような「その世界で生きている」ことが感じられた本作を振り返ります。


『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』とは


本作は、その名前が示すとおり、映画やスピンオフ小説をはじめとする「スター・ウォーズ」ユニバースを舞台としたタイトルです。時代背景は映画「エピソードIV」と「エピソードV」の間で、忠実に再現された世界観とゲームシステムが特徴的でした。タトゥイーンやエンドア、ナブーといった映像化された有名ロケーションはもちろん、ダントゥインやコレリアなどの映像化されていない惑星も多数登場しています。また、プレイヤーが選択できる種族も多岐に渡り、チューバッカで有名なウーキー族、踊り子などで才を見せたトワイレック、シスの暗黒卿ダースモールの種族ザブラクなどがその世界を彩りました。

ゲームシステムはスキル制を採用した『Ultima Online』に近いタイプ。限りあるスキルポイントで、6種類の基本職と25以上の上級職から、自分なりのキャラクタービルドを目指していきます。エンターテイナー系のスキルを習得し、街のカンティーナで演奏したり、資源採取系のスキルを習得してレア資源を狙う山師になったり、ボバ・フェットのように賞金稼ぎとなって賞金首を追ったりと、多様なプレイスタイルを許容するゲーム性が魅力的でした。また、宇宙戦闘やハウジング、銀河内乱へ参加、到達が困難なジェダイあるいはシスを目指す要素もあり、当時の他のMMORPGと比べても圧倒的な自由度の高さがありました。


『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』日本上陸

本作の日本サービスが発表されたのは、海外ローンチから約1年後の2004年の8月。日本での運営会社は海外版のSOEとは異なり、エレクトロニック・アーツ(EA)が担当しました。当時のEAは『Ultima Online』を運営していて、『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』が2作目のMMOタイトル。パブリッシャーとしてのローカライズ能力と、『Ultima Online』で培われたMMORPG運営ノウハウがあり、ユーザーの期待度も決して低くは無いものだったと思います。


2回のクローズドベータテストを経て、2004年12月23日に正式サービスを開始。パッケージ販売と月額課金制というスタイルを採用し、国内サービス開始時には海外で先にリリースされていたスペースコンバットを導入する拡張「Jump to Lightspeed」にも対応しており、まさしく完全な『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』を遊べる内容に仕上がっていました。

NPC商人が存在しないという本作のゲームシステムはとても新鮮で、生産システムも奥深いものが用意されており、プレイヤーの成長によって製作される新製品、続々と建築されていく家、徐々に普及していくスピーダーバイクなど、「世界と共に進化し、世界と共に遊んでいる」という強烈なプレイ体験を与えてくれたことを筆者も覚えています。


ゲーム性を大幅に変えるアップデートと1年未満でのサービス終了告知

国内サービス開始から5ヶ月後、海外サービスから2年が経過した2005年5月、拡張パック「ウーキーの咆哮」の導入を前に、大きなアップデートが実施されました。「コンバット・アップグレード」と呼ばれるこのアップデートは、従来の戦闘システムをまるごと刷新し、それまでの複雑な戦闘システムが、より分かり易いものへと変わるというもの。このアップデート時、プレイヤーの間では賛否様々な声があがり、銀河にちょっとした混乱をもたらしました。


「コンバットアップグレード」から僅か5ヵ月後の2005年10月28日。正式サービス開始から1年を待たずして、『スター・ウォーズ・ギャラクシーズ』の国内サービス終了が告知されます。新たな拡張「オビ=ワンの試練」のリリースを11月1日に迎える直前の発表に、プレイヤーは驚きと落胆に包まれました。告知後は、2006年1月からの無料期間を挟みつつ、2006年3月31日をもって国内サービスに幕を閉じます。

余談ですが、サービス終了の発表が行われた直後、海外サービスにも大きな影響を与えた大規模アップデート「ニュー・ゲーム・エンハンスメント」の実装が発表されました。このアップデートは、これまでのスキル制システムをクラス制へと移行させ、今まで到達することが難しく、その絶対数も多くなかった「ジェダイ」が初期選択クラスとして用意されているという世界観を揺るがしかねないもの。ゲーム自体を全く別のモノに変えてしまった前代未聞のアップデートで、適用直後の海外サーバーではプレイヤー数が激減したと言われています。

次ページ:国内サービスが撤退した理由を考える

《水京》
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