気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Serious Sim開発、PC/Mac向けに10月11日リリースされた無線戦場指揮官RTS『Radio Commander』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ベトナム戦争を舞台に、米陸軍に所属する一人の指揮官として、配下の部隊を率いてミッションを成功に導くリアルタイムストラテジー。プレイヤーは無線機だけを頼りに、随時送られてくる味方・敵の状況の把握に努め、命令を下し、様々な困難に立ち向かわなくてはなりません。記事執筆時点では日本語未対応。
『Radio Commander』は2,050円で配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。
Tomasz Pstagowski氏(以下Pstagowski氏)Serious Simでライターとナラティブデザイナーを担当しているTomasz Pstagowskiです。私はビデオゲームジャーナリスト、コミックブックライターでもあり、グダニスク大学の博士課程を卒業しています(自叙伝のコミックブックに関する博士論文を書きました)。Jakub Bukalaが私たちのメインデザイナー兼プログラマーであり、当スタジオの創設者であり、そして私たちのリーダーです。彼はワルシャワにある軍事工学大学の博士課程を卒業しています。Katarzyna Haptasがグラフィック担当のアニメーターでありアートデザイナーで、彼女はワルシャワ美術アカデミーの出身。そして、Grzegorz MichalakとKrzysztof Kowalがサウンドデザイナーです(Grzegorzは今CD Projekt REDで働いています)。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Pstagowski氏Jakub、Katarzyna、Grzegorzの3人は2018年2月から本作の開発に携わっています。私は7月から参加しました。本作のアイデアはJakubとKatarzynaがパブリッシャーであるGames Operatorsと話しているときに生まれました。Games Operatorsは以前本作と似たような無線コミュニケーションをテーマとしたゲーム『911 Operator』をパブリッシングしています。こんな感じで、特にドラマチックな誕生秘話はありません。
――本作の特徴を教えてください。
Pstagowski氏まず、個人的に本作で一番面白い点は、誰もが知っている戦場のルールを断ち切っているということです。本作においてプレイヤーは無線、地図、いくつかのトークンしか使用できず、自分の兵士たちが今どんな状況なのか知るすべは報告しかありません。このアプローチがドラマとリアルさを生み出します。
二つ目に、ベトナム戦争というのは依然としてゲームの舞台として珍しいのではないでしょうか。ベトナム戦争を舞台とした良いゲームは少ししかありませんし、しっかりしたストーリーのものはもっと少ないでしょう。私たちは戦争犯罪、拷問、無差別性などといった難しいテーマを、しっかり、生々しく、リアルなストーリーで描くことを目指しました。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Pstagowski氏もちろん、ベトナム戦争に関するたくさんの映画を観て、たくさんの本を読んでいます。私が特に重要だと思う本は、ティム・オブライエン著の「本当の戦争の話をしよう」(ベトナム戦争をとても詩的に見ています)、ゲイリー・クーリック著の「War Stories. False Atrocity Tales, Swift Boaters, and Winter Soldiers - What Really Happened in Vietnam」(ベトナム戦争についてのナレーションがどのようにして作られたか)、そしてKen BurnesとLynn Novickによるドキュメンタリー番組「The Vietnam War」(ユニークな資料と双方の元軍人のインタビュー)。それにもちろん、フランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」を観ましたし、「闇の奥」は何度も読みました(著者のジョゼフ・コンラッドはポーランド人で、ポーランド文学の中で最も重要なものの一つです)。
Jakubは『Operation Flashpoint』シリーズの大ファンで、そのリアルさが大好きですし、彼は多くのストラテジーゲームのファンでもあります(『Panzer Corps』シリーズは素晴らしい戦争ゲームだと言っており、初代『Warhammer 40,000: Dawn of War』のストーリーテリングが大好きです)。しかし、これらは直接的に影響を受けたものではありません。なぜなら、私たちが知っている限り、本作のようなゲームを作った人は過去にいないからです。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Pstagowski氏考えてはいますが、現時点ではっきりしたことは言えませんし、約束もできません。私たちはわずか5人という小さなチームで、誰も日本語が話せません。パブリッシャーに話してみる必要があるでしょう。
――最後に、日本の読者にメッセージをお願いします。
Pstagowski氏このインタビュー依頼のメールを受け取り、本当に喜びました。私は日本文化が大好きで、『ファイアーエムブレム』シリーズ(『覚醒』は入門用に最適ですし、歴代最高のターンベースストラテジーゲームの一本です!)と「新世紀エヴァンゲリオン」の大ファンなのです(私のベッドの上には綾波レイのポスターが貼ってありますし、物語に隠された哲学的なメッセージにも魅了されます)。それに、私はハネムーンを日本で過ごしました。
もしユニークなRTSやベトナム戦争に興味がありましたら、ぜひ本作をお試しください。フィードバックもお待ちしています。日本のゲーマーの皆さんに本作を気に入っていただけるか、知りたいのです!
――ありがとうございました。
◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に200を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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