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『DOOM Eternal』音楽の半分以上の支払いを受けていない─作曲家Mick Gordon氏が“最後の手段”として長文ブログ公開

両者の決別が報じられたのは2020年5月のこと、事態は全く収拾されていなかったようです。

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『DOOM Eternal』音楽の半分以上の支払いを受けていない─作曲家Mick Gordon氏が“最後の手段”として長文ブログ公開
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Mick GordonことMichael John Gordon氏は11月9日、フォロワー8.6万人のTwitterアカウントにてidSoftwareのスタジオディレクター・Marty Stratton氏を名指しで批判。「DOOM Eternal 公式サウンドトラック(OST)」をめぐるトラブルに対して、「Stratton氏はこの件について口外しないよう6桁の金額を提示してきた。でも真実を語るほうがもっと重要です」と、個人ブログへのリンクを投稿しました。

Gordon氏はビデオゲームの楽曲制作、特にリブート版『DOOM(2016)』『DOOM Eternal』のサウンドデザイナーとして知られ「D.I.C.E. Awards」や「Game Audio Network Guild」など多数の受賞歴を持つ作曲家です。ことの経緯を順に追うと、発端は2020年4月『DOOM Eternal Collector’s Edition』購入者向けにDL配信されたOSTに、違和感を抱いた有識者がサウンド解析を行い「とてもMick Gordon氏の仕事とは思えない」とSNS上で発言しました。

これに対してGordon氏が直接「ミックスを自身が行っていない」とリプライし、OSTに収録されている59曲のうち12曲のみをGordon氏が編集、残りの曲はidのリードオーディオデザイナーがミックスしたという事実が判明。同社への憶測や批判が飛び交う中、2020年5月5日、Stratton氏は「DOOM Eternal OST Open Letter」という2,500ワード以上におよぶ長文をRedditに投稿しました。

技術的な面の解説をはぶき要約すると、idおよびStratton氏は、『Doom』という作品を同社が軽視しいい加減な扱いをしている、あるいはGordon氏により良いものを提供するための時間やクリエイティブな自由が与えられていなかったとするファンの憶測・批判はすべて事実ではないと否定。ゲーム内の楽曲を全てサウンドトラック形式にアレンジした最高の品質を提出するため、数週間の追加期間をGordon氏から要請された時も、ゲーム本編との同時配信ができなくなったことに失望しつつも受け入れてきたと回答しています。

契約を交わした時期の嘘について、証拠画像の一部などをブログで公表している。

また、納品された一部データにヘビーな戦闘系のトラックが1曲しか含まれず完成にはさらなる時間が必要であると告げられたこと、さらに多くのヘビーな楽曲が必要ならばid社のリードオーディオデザイナーによるトラックで肉付けしてはどうかと提案され同社はこれを受け入れたこと、しかしながら配信後(先述の)ユーザーによるSNS投稿に対してGordon氏は「自身がミックスしていない旨と、自分はこのようなミックスをしないだろう」と発言し、結果としてid社のリードオーディオデザイナーを中傷し攻撃するファンが出はじめ、その状況に対してGordon氏は何も発言しなかった、と説明しています。

Stratton氏は、Gordon氏の要望やクリエイティブを妨げる行為を一切していないこと、要求に応じて複数回の延長を行ったにも関わらず、こんな状況を迎えてしまったことに誰よりも失望していると明かし、開発中であったDLCは“素晴らしく、稀有な才能を持っている”Mick Gordon氏の楽曲を採用せず、idとMick Gordon氏の「決別」を発表しました。

約2年半前に投稿されたこの説明に対して、Gordon氏は「Martyは『DOOM Eternal』サウンドトラックを取り巻く状況について嘘をつき、偽情報をほのめかし、その失敗を完全に私のせいにしました」と反論したのが、冒頭でお伝えした11月9日のTwitter投稿であり、個人ブログとなっています。

「マーティのRedditへの投稿は私の職業上の評判と、個人の評判の両方に深刻な影響を与えました。この声明を発表することで、私は自分自身を弁護する権利を行使しています。」「問題を解決するための他のすべての試みが失敗した後に、極めて不本意ながら発表します」と始まるブログは、あいまいさや憶測を回避するため、またゲーム開発と業界にくわしくない読者が読んでも理解できるよう、契約形態やギャランティの支払いといった前提知識の説明も含んでおり、詳細かつかなりの長文です。

Gordon氏によれば、『DOOM Eternal』のプロジェクトに参加した時点でリリースはまだ2年先の「タイトだが不可能ではない」スケジュールでしたが、ゲーム内容と密接に関連してくる音楽についてもidは資料をタイムリーに提供してくれず、ゲーム映像のキャプチャは絶望的なことも多く、ボスとの遭遇やストーリーの詳細は1年も先に。id Softwareは忙しすぎて基本的な質問に1週間以内で回答できないことも頻繁にあったそうです。

金銭的な問題についても提出した音楽の承認をid側が何カ月も差し控え、2019年1月から11カ月間無給だったこと。それ以前に2019年のE3にてコレクターズエディションの特典である「Mick GordonによるオリジナルOST」が発表された時点でGordon氏は制作のオファーも契約もしておらず、メディアを通じて知り、しかも予約注文は始まっていたそうです。支払いに関する問い合わせは、空約束または長々とした言い訳のいずれかで対応され、id Softwareとの緊張は高まっていったとするGordon氏の財政状況は「悲惨なものでした。このプロジェクトは私の唯一の収入源であり、お金をめぐってゼニマックスの法的機関と争う余裕はありませんでした」と書いています。

さらにゲーム本編、マーケティング、サウンドトラックでは公開を意図していない楽曲制作のプロセスとして共有したものまで、請け負ったものの実質2倍以上の音楽が含まれているのに、id Softwareは支払いを拒否。「『DOOM Eternal』で使用された音楽の半分以上の支払いを受けていない」と明かしています。

ブログではこのほか、OSTリリース後のファンの否定的な反応を受け行われた1時間のスカイプ通話の内容、その後Redditに矛盾する嘘や偽情報を散りばめた投稿でGordon氏を直接的に攻撃し、嘘は真実としてメディアも繰り返し報じた結果、スケープゴートを作成するためスカイプ通話を行い情報を収集していたのだと、失意を語っています。

スカイプ通話を交わした時点では、まだ彼に信頼があったが裏切られたと語ったGordon氏。

新しい和解案は、OSTの失敗の責任をすべて公にする見返りに6桁の“口止め料”を提示したそうですが、その内容は「Stratton氏のRedditの投稿を無期限に保持し、告発の撤回はしない」「『DOOM Eternal』とOST、Redditについて発言はできず、もし何か問われたらノーコメントとのみ回答」「Stratton氏やゼニマックス傘下で働く人々の悪口は決して言わない、製品批判もしない」という無茶苦茶な内容だったとか。

しかし、Redditの内容をうのみにし、プロの作曲家としての姿勢に不満を抱いたゲーマーからGordon氏に対する嫌がらせが始まり、Redditの投稿削除を試みたことでid側弁護士からは「非常に気分を害し、激怒した」との連絡により、最後の“防衛手段”としてこのブログの公開に踏み切ったと述べています。



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《稲川ゆき》

プレイのお供は柿の種派 稲川ゆき

ゲームの楽しさに目覚めたのは25歳過ぎてからの超遅咲き。人やら都市やら、何でも育て上げるシミュレーション系をこよなく愛する、のんびりゲーマーです。

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