今年最低級の評価を記録した『The Lord of The Rings: Gollum』は実際ゲームとしてどうなの?原作未履修勢が挑む【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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今年最低級の評価を記録した『The Lord of The Rings: Gollum』は実際ゲームとしてどうなの?原作未履修勢が挑む【プレイレポ】

原作未履修だからなんともいえないところも、例え原作を知っていたとしてもなんともいえないところも。

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今年最低級の評価を記録した『The Lord of The Rings: Gollum』は実際ゲームとしてどうなの?原作未履修勢が挑む【プレイレポ】
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Daedalic Entertainmentが手掛けるアクションアドベンチャー『The Lord of The Rings: Gollum(ザ・ロード・オブ・ザ・リング:ゴラム)​』の日本向けPS版が3gooより6月22日に発売されます(海外コンソールおよびPC版は5月25日に発売済み)。

本作はJ・R・R・トールキンによる小説を原作とした映画化権を持つミドルアース・エンタープライズのもと開発されており、醜悪なキャラクターである「ゴラム」がホビットに奪われた指輪を探す、「指輪物語」3部作で描かれなかったゴラム視点の物語を描くという触れ込みで制作された作品です。

しかし海外レビュー集積サイト・MetacriticではPS5版が34点、PC版が39点と、今年のゲームでも暫定最下位のメタスコアを記録し、大きな波紋を呼びました。296件のSteamユーザーレビューでも「やや不評」となるなど、お世辞にも批評家・ユーザー共に支持を得られている作品とは言えません。


加えて、開発元はユーザーの期待に答えることができなかったとして謝罪。フィードバックの分析を続ける他、バグや技術的問題への対処も行っていくと述べています。

そんな“いわくつき”の本作ですが、日本PS版が22日に発売することに合わせ、日本向けPS5版を先行プレイさせていただく機会を得ました。「もしかしたら、原作に思い入れがあるからこそ“低評価”になるのではないか……?」という思いの下、映画を見たことすらないレベルの筆者の視点から、シンプルにゲームプレイに注目したプレイレポをお届けします。

序盤の印象は「あれ?思ったより悪くない?」

さて、どんなものがお出しされるのか……と身構えながら挑んだ序盤ですが、正直な感想を言うと、「あれ?思ったより悪くないな?」というものでした。ゲームの流れはストーリーに沿って切り替わる目標を追って進んでいくというもので、道中はシンプルなステルスや『アンチャーテッド』スタイルのパルクールアクションをこなして進みます。

海外レビューでは、グラフィックの品質やモーションが時代遅れであると評されていました。確かにのっぺり感や影描写の甘さは感じますが、個人的には許容範囲内。もちろんここ最近のAAAゲームと比較してみるとやや古さを感じますが、そもそも開発元のDaedalic Entertainmentは中堅どころの開発元であると認識していたので、あまりギャップは感じません。

フィールド上にはよじ登れるツタや出っ張りなどがあり、ジャンプや飛び移りを使って進みます。アクションとして特段難しいところはなく、基本的にはストーリーを楽しむアクションアドベンチャーであると感じました。特定の場所では壁走りや壁登りといったアクションも可能で、筆者が思っていた以上に身体能力が高いことに驚きました。

ステルスは敵のオークに見つからないよう茂みや影に隠れると見つからないという簡易的なもの。背後から忍び寄って首を締めることはできますが、戦闘能力は持ち合わせていないので、近づかれると一発でゲームオーバーになります。本作に対してはステルスゲームというイメージを抱いていたため、このシンプルさにはやや残念さを感じました。

特徴的な要素として、モラルシステムのようなものが存在します。ゴラムは二重人格のような設定なので、時折目の前のイベントに対して、狡猾な「ゴラム」サイドか用心深い「スメアゴル」かを選ぶことになります。

序盤に限った印象では、特別優れた点はないものの、基本はできているため「高水準なゲームではないが、そこそこの完成度」という印象を受けました。日本語訳に関してもゴラムの「ス ス ス」という口癖や“ひ”“し”になってしまう喋り方などは原作未体験者の視点では特徴的に感じましたが、後に原作ファンから話を聞いたところ、癖のある原作や映画の翻訳をしっかりと踏襲できているようで、十分によいできだと言えるでしょう。

徐々に出てくるゲームとしての粗

しかし、ゲームを進めていくにつれ徐々に粗が見え始めます。まず気になる大きな問題点は、進行方向が分かりづらいことです。『アンチャーテッド』では、主人公が飛び乗れる進行方向は黄色で示されていることが多いですし、そうでなくともそこに飛び乗るということがわかりやすいような見た目になっています。

一方で、本作は進む方向に迷うことが多々あります。上記の画像の例では丸で囲ったところが進行方向なのですが、背景に紛れておりとてもわかりづらいです。

他にも目の前に乗れる足場がないと思ったら、足元にうっすら目印がついているだけ、など不親切さが目立ちます。上記の画像の例では四角で囲った床の裏側から降りないと落下ダメージを受けてしまう仕様で、完全にプレイヤーの視界外であるため気づきにくいです。

物語の途中、ゴラムはオークによって奴隷にされてしまい、しばらくの間は課せられた仕事をこなさなければなりません。

特に、この奴隷にされてからのストーリーの動きが鈍く、先述した進行方向のわかりづらさによって迷うことも加わり、余計にもどかしさを感じるようになります。

ジャンプの挙動もふわっとした不安定な挙動をしているため感触が悪く、R2を押しながら✕でダッシュジャンプというキーアサインもややアクセスしづらい割に、助走をつけないと遠くまで飛べません。うまくジャンプできずに足を踏み外したときはストレスが溜まります。

オークから隠れなければならないステルスパートも発生しますが、シンプルでステルスらしいアクションがないゆえにいつの間にか見つかって捕まるということも多発し、納得感がありません。唯一の対抗手段である絞め殺しも、数少ないヘルメットなしのオークにしか効かないので、苦戦させられました。

また、“石を投げて気をそらす”というステルスの定番も登場しますが、不具合なのか、時折全く反応してくれず困ったときも。とはいえ、今回プレイしたPS5日本語版では極めて大きなバグなどに遭遇することはなく、そこについては最低限十分な体験を味わうことができました。


本作をアクションアドベンチャーとしてみたとき、残念ながら純粋には楽しめるとは言えないでしょう。序盤の印象こそ悪くないものの、力尽きたかのように徐々に作り込みの不足が露呈してくるように感じます。

また、根本的な話ですが、本作を楽しむにはある程度以上には「指輪物語」への知識が深い必要もあります。原作に思い入れがなければ素直に楽しめるのではと思った筆者でしたが、結果としては、固有名詞が多く登場する上、ゴラムの口調が独特であることも加わり、逆にストーリーを理解するのに支障をきたしてしまったという、外伝ものでは致し方ないところに落ち着くこととなりました。

筆者は本作の背景情報を「指輪物語」履修勢から解説された上でようやくある程度理解できましたが、ゴラムというキャラクターに主人公として操作したいというほどの思い入れをもったプレイヤーでないと、感情移入できず置いてけぼりにされてしまうように思います。

『The Lord of The Rings: Gollum』は、PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中です。


《みお》

取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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