
NetEase Gamesがオープンワールドサバイバルゲーム『Once Human』のプレス向けイベントを開催しました。本稿ではそこで行われた『Once Human』開発原案者・呉迪(ウーディ)氏へのインタビューをお届けします。
今回のイベントではインタビューに加え、新シナリオ「永遠の長夢(仮題)」の世界最速となる先行試遊が実施。さらには4月24日にリリースされるモバイル版『Once Human』の先行実機プレイに、コンソール版『Once Human』が開発中であるとも発表されました(こちらの模様は別記事にてご紹介しているので、あわせてご確認ください)。
そんな本イベントにあわせて来日した呉迪氏に、新シナリオ「永遠の長夢(仮題)」をはじめ、モバイル版の容量やカスタムサーバーまで質問。さらには日本で行われた本イベントが“世界最速”となった理由までも伺ってきました。
◆なんで『Once Human』日本発表会が“世界最速”なの?新シナリオからモバイル版まで、気になる点を聞いてきた

――モバイル版とPC版におけるクロスプレイでの違い、調整面についてお聞かせください。
呉迪氏(以下、呉迪):モバイル端末とPCで差が生まれるのは仕方ないことですが、今回モバイル版で投入する予定の機能としては、例えば自動で物資を拾ってくれる機能であったりとかエイムアシストなど、なるべくストレスフリーでプレイしていただけるような努力をしています。
もちろんモバイル端末でもエイムアシストを外して精密な射撃などもできるようになっているので、ぜひ皆さんの好みに合わせてプレイして貰いたいですね。
――本日、モバイル版をプレイさせてもらったところ、オート機能などをふくめて快適にプレイできると感じました。そこでPC版をメインにプレイするユーザーから「差がある」と思われたりしないのでしょうか。
呉迪:以前、中国国内でモバイル版クローズベータテストを数回実施したことがあります。しかしこの“プレイ環境による差”については、正直「どうにかしてくれ」という意見はほとんどなかったんですよ。
なぜかというと、PCユーザーはPCユーザーで、キーマウを使って自分はより正確な照準、操作ができるとの自負があるからです。その一方でモバイル版のユーザーは、エイムアシストなどで便利にプレイを行えているという認識があるので、それぞれ「自分の方が有利」という意識になって不満が出なかったのでしょう。

――モバイル版リリースや今回発表されたコンソールにて、新たに『Once Human』に注目が集まると思います。リリースから今に至るまで印象に残ったフィードバックなどをお聞かせください。
呉迪:リリース以降、ユーザーさんのフィードバックを元に議論を繰り返しながら今の『Once Human』の形を作りました。そんな中で特に印象に残っているモノを挙げるなら、ひとつのシナリオをサーバーで一か月ほど体験してもらうという『Once Human』の形式についてのフィードバックですね。
このリセットは、イメージとしては全く別のゲームを遊び始めるようなものです。しかしそこで「良い装備を作っても無くなってしまう不満」というのをユーザーさんからいただいて、ある程度の連続性をつけるために「継承システム」を開発したり、永久に続くサーバーを新設したりして改善しました。これはゲームの根本的な部分ですが、そこからコミュニケーションを取りながらゲームを形作っています。
――「永久に遊べるサーバー」などではコストもかさむと思うのですが、コストよりもユーザー第一で進んでいったのでしょうか。
呉迪:おっしゃる通りで、永久サーバーはもちろん、当初想定していなかった機能を加えるというのは本当にコストがかかるものです。本当にユーザーさんが何を欲しているのか、何を遊びたいのかとコミュニケーションを取りながら、これは必要だなというものを判断して実装しました。
もちろん予定にないものを実装すると、様々なチャレンジに直面してしまうのですが、ゲームを運営していく以上チャレンジはつきものです。これをいい方向に解決するのが開発もしくは運営の仕事なのではないかな、と考えております。今の開発進捗を言いますと、永久サーバーも含めて対応できる範囲内かなと思っていますので、今後を楽しみにしていただければ嬉しいです。

――『Once Human』新シナリオ「永遠の長夢(仮題)」はドリームコア、精神的恐怖を感じる独特の世界観です。これを広大なオープンワールドで表現するということに関して、難しさであったり工夫したところがあればお教えいただきたいです。
呉迪:今回の話に限ったことではないですが、怪奇による恐怖を描く『Once Human』が持つ要素と、『荒野行動』を思わせるオープンワールドがお互いに干渉して薄めあってしまう可能性は最初からありました。なのでそれを逆手に取って、「ドリームコアという特定のエリアに入る」ではなく「世界全体がドリームコアに影響されている」という考え方にしました。そういった世界で、戦闘やクラフト行為そのものにもドリームコアの影響が与えられています。
――今回の新シナリオ「永遠の長夢(仮名)」はプレイヤーの行動によってシナリオが変わるということですが、サーバーにいるプレイヤーの行動次第では観られないエンディングも生まれるのでしょうか。
呉迪:シナリオは30日のスパンで一旦終わりますので、当然次の周では別のエンディングを見られるチャンスがあります。3つのエンディングで報酬に差はないので、皆が特定のエンディングを目指して周回するということもありません。報酬は、あくまでもプレイヤーの1ヶ月間の行動で変動するもので、エンディングはその頑張りの結果として見せるものになっています。
――「永遠の長夢(仮名)」のボス戦では激しい攻撃が繰り広げられていました。今の段階で明かせる攻略法などはあるのでしょうか。
呉迪:(事前に遊んでもらった)試遊版では難易度が高めに設定されているという理由もありましたが、「永遠の長夢(仮名)」のボス戦での大きな変化でいうと、今まではFPSゲームのようなボス戦でしたが、今回はオープンワールドを主体とした戦闘になっています。オープンワールドに散らばる物資を利用して、その場でクラフトなどをこなして順序だてて倒していくなど、いろんな楽しみ方が出来るようになっています。
――スマホ版で新規ユーザーが増えると思いますが、そういった方に向けてホラーが苦手というユーザーに向けて『Once Human』のホラー具合をお聞かせください。
呉迪:『Once Human』ではグロなどの要素は特に取り扱っていません。出血や暴力的な表現も良いバランスで抑えているつもりではあるので、物理的なホラーはありませんね。
もちろん、皆さんからフィードバックで「このクエストが本当に怖かった」や「ビビりました!」といった声はよくいただくのですが、そういう声もホラー映画を見て興奮したというテンションであり、怖くて夜も眠れないといったものではないでしょう。直接的な怖さというよりは、後に引き摺ってモヤモヤするような、精神的恐怖がメインとなる作品です。
――モバイル版の容量は、現在のところどれくらいのサイズになると想定しているでしょうか。
呉迪:モバイル版は分割してダウンロードできるようにしました。まず必要となるベースパックは1,6GB前後ですね。フルパッケージで、全ての要素を端末にダウンロードすると10GB前後となっています。
――ユーザーがカスタムサーバーを利用する条件や、カスタムサーバーにて配信者の方を起用した施策の予定などはあるのでしょうか。
呉迪:ひとつのサーバーを開くのは結構コストがかかるものではありますが、基本的に全てのユーザーがその機能を使えるようにはしたいとは思っています。特定の条件をクリアした人間にしか資格が得られない、という風には考えていませんね。
そしてコスト面を含めて、どのような形でサーバーを開設するのかは、今現在未定です。今後のテストにてユーザーとコミュニケーションをとりつつ決めていこうと考えています。

補足としてお伝えしたいのは、カスタムサーバーを導入した理由についてです。私たち開発チームとしては、プレイヤーの皆さんにさまざまな遊び方を体験してほしいという思いがあります。ただし、1つのシナリオを開発するにはどうしても時間がかかってしまいますし、1つのシナリオだけで全てのユーザーを満足させるのは難しいのが現実です。
そこで、「自分好みのプレイ環境をユーザー自身が作れるようにする」という方向性を考え、カスタムサーバーの開発に至りました。
今後も皆さんからいろんなフィードバックをいただきつつ「プライベートサーバーが欲しい」とか、「自分と友達のみのサーバーを作りたい」などの要望をどのようなコスト体制で実現していくのか、皆さんとコミュニケーションしながら検討していきます。
2つ目の質問についてですが、カスタムサーバーがまだ開発途中ですので、その後のプロモーションはこれが最終的にどういう形になっていくのか確定してから考えようと思っています。これに関してはしばらくお待ちください!
――今回の試遊イベントが、嬉しいことに日本が世界最速だと伺いました。それも踏まえて日本ユーザーに対するコメントなどが伺えれば幸いです。

呉迪:まず結論から申し上げますと、日本市場は我々にとってトップレベルで重要な市場だと思っています。いろんなユーザーさんとDiscordを初めとしたコミュニティで交流していく中で、日本ユーザーが1番活発に発言したりフィードバックをくれています。しかも私たちからすると、すごく有益になるアドバイスだったりするわけです。
個人的に感じているのが、日本のプレイヤーの皆さんとそこまでゲームに対する感覚で「壁を感じていない」というか、私たちが表現したいことを一番、日本のユーザーさんがわかってくれている。日本のユーザーさんが要求している改善案は、私たちも「それはそうだ」と頷けるものです。そのような関係性になっているので、これからもこれを大事にしていきたいですね。
また、実際の数字の話になってしまい恐縮ですが、実際に日本市場での『Once Human』の結果は他のリージョンと比べてもトップクラスです。今、トップ3には入っていますね。そういった観点でも、日本ユーザーさんを大事にしていきたいという気持ちがあります。

日本のユーザーさんはその理解度から、改善やアドバイスという面でとても支えてくれています。この実感はスタジオ全員が持っている共通認識です。開発チームは「これを作ったので買ってください」というスタンスではなくて、どちらかというと、皆さまが欲しいものを一緒に研究して開発し、皆が楽しめるものを提供したいのです。それがこのスタジオの初心であり原則的なところで、日本のユーザーさんが支えてくれているところです。我々も、それに応えていきたいです。
――今回は、ありがとうございました!
オープンワールドマルチプレイヤーサバイバルゲーム『Once Human』はPC向けに基本無料で配信中。iOS/Android版も4月24日より配信予定です。
提供: Netease Games











