8月29日、10年という長い年月をかけて開発されてきたスタイリッシュなアクションアドベンチャー『Lost Soul Aside』がPC/PS5向けにリリースされました。本作では妹を、そして世界を救うため、ひとりの“お兄ちゃん”が相棒とともに、次元を超えた冒険を繰り広げます。
本稿では注目タイトルである『Lost Soul Aside』の魅力であるグラフィックやバトル、ビルド要素などのポイントをピックアップしつつ、見えてきた課題点など含めて序盤の様子にフォーカスしたプレイレポートをお届けします。
なお、記事内で使用しているスクリーンショットはPC版のもので、レビューにあたってソニー・インタラクティブエンタテインメントから製品コードの提供を受けています。
妹を、そして世界を救うため…アリーナとともに『Lost Soul Aside』で次元を超える冒険を
本作はUltizero Gamesが開発したスタイリッシュなアクションアドベンチャー。『FINAL FANTASY XV』のトレイラーに影響を受けた、ひとりの開発者から開発がスタートしました。
その後は10年にも及ぶ開発期間のなかで個人からチームでの開発に移行しており、開発の舞台裏映像なども公開されています。
本作で物語の舞台の中心となるのは帝国が支配する帝都の港町。主人公の「ケイサー」は妹の「ルイーザ」、そして仲間たちとともにレジスタンスとして活動しています。この日は帝都で開かれるパレードに乗じて、反攻作戦を実施する計画でした。



しかし、突如として現れた謎の勢力の襲撃によって、帝国や帝都内外の人々は大きな被害を受けます。さらに、妹のルイーザも謎の勢力によって魂を抜き取られ、目覚めない身体になってしまう事態に。



混乱のなか、ケイサーは地下の研究施設で封印されていたドラゴン「アリーナ」と出会います。アリーナの力と融合することでケイサーは次元を跳躍する能力を獲得し、ルイーザを、そして世界を救うための冒険が始まります。


本作では現実世界の孤島や遺跡などさまざまなロケーションのほか、アリーナの力を使うことでまったく別の次元を探索できます。フィールドにはギミックが用意されており、アスレチックのように足場を飛び移るような場面もあれば、剣の攻撃で仕掛けを移動させるといったものも。



また、本作の特徴ともいえるのがグラフィックのクオリティで、フィールドはそれぞれ壮大で神秘的な雰囲気が感じられます。レイトレーシングなど細かなグラフィック設定が可能なのも嬉しいポイントで、空気感や質感がリアルに表現されています。



カットシーンは特にグラフィックの力強さを感じられ、エフェクトや演出など派手な戦闘シーンが繰り広げられます。フィールドでの会話も多く、キザで無口なケイサーと、おしゃべりなアリーナの掛け合いはユーモラスで、クスっとなる場面も多くあります。


一方、序盤のストーリー展開は王道で理解しやすいものの、「あっさりしすぎている」と感じてしまうような部分も。基本的にはケイサーに起こった物事が中心で、ひとつひとつのカットシーンは短めに作られています。
また、ストーリーに登場するさまざまな用語に関しても、詳しい解説がストーリー中でなされておらず、“置いてきぼり感”が出てしまうのは残念なポイントでした。キャラクター背景や用語などを確認できる機能はゲーム内にあるものの、ストーリーを読んでいる最中に確認できる辞典機能などがあれば、より良かったと感じました。


多彩な武器とアクションを組み合わせる、無限のビルドは大きな魅力

戦闘ではストーリー進行に応じて新たな武器種がアンロックされ、複数の武器を切り替えて戦うことができます。アクションは弱攻撃と強攻撃の2種類があり、さまざまな入力によってコンボを繋げていきます。武器は即座に切り替えることができるので、敵の種類やシチュエーションに応じた使い分けをするのが大切です。

また、ジャストタイミングでのパーフェクト回避やブロックといったアクションによる攻防も楽しめます。パリィや回避のパーフェクト判定はシビアすぎず、敵の攻撃の予兆も表示されているので、いわゆる「死にゲー」のような難しさを感じることはありませんでした。


最初に使用できる「剣」は手数と機動力を活かした戦いが得意で、あらゆるシチュエーションでも立ち回りながら戦うことが可能です。特に遠距離からの衝撃波攻撃や、敵を空中に打ち上げてからコンボを叩き込むのが強いと感じました。


ある程度ストーリーを進行すると入手できる「大剣」は一撃一撃が強力なタイプで、機動力はないものの、カウンター攻撃などを備えています。なかには大剣の攻撃によって装置を起動し、シールドを発生させるなどフィールドギミックも用意されています。


しかし、エフェクトや演出は派手なものの、戦闘の爽快感はあと一歩といったところ。全体的な移動アクションにも少し“もっさり”感があり、カメラ操作やジャンプの慣性などの部分は、慣れるまでに少し時間が必要でした。
また、敵に囲まれるシチュエーションも多く、「気付いたらHPがかなり削れてしまっていた……」というシチュエーションにも陥りがちでした。


「幅広いビルド要素」も本作の特徴で、獲得できる武器には属性が付与されているだけでなく、武器アクセサリーを装着することでさまざまなステータスを伸ばせます。
このパーツによるカスタマイズは個性的で、自身でアクセサリーを好きなところに装着することが可能です。しかし、もとのグラフィックと重なってしまい、「装飾を強調したいのに埋まってしまう……」という気になるポイントも。



戦闘を通じて獲得したエネルギーを使って発動するスキル「アリーナパワー」はストーリーの進行に応じてアンロックされていき、装備スロットも増えていきます。
要求エネルギーが少ないものもあれば、広範囲を攻撃できるもの、回復する範囲を生み出せるものなど効果はさまざまで、戦略に幅を広げられます。


さらに、スキルツリー形式でアンロックされていくスキルも種類がかなり豊富で、武器種に応じたスキルツリーが用意されています。なかには使えるアクションを増やすだけでなく、ケイサーのステータスを上昇させるものもあるので、自身のプレイスタイルに応じた“無限”のビルドを楽しめるのは本作の大きな魅力といえるでしょう。

今回は『Lost Soul Aside』のプレイレポートをお届けしてきました。本作では豪華なグラフィックを活かした演出やエフェクト、スタイリッシュなアクションのほか、プレイスタイルや武器、装備品など非常に奥深いビルド要素が魅力です。
しかし一方で、移動のもっさり感や戦闘の爽快感、用語の解説やストーリー展開など“あと一歩”の部分がどうしても気になってしまいます。このあたりは今後のアップデートでさらなる最適化を期待したい部分でもありますし、気になった方は体験版から触れてみるのも良いかもしれません。

『Lost Soul Aside』はPC(Steam)/PS5向けに現在配信中です。













