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【第2回 京都インディーズゲームセミナー】後編: ゲーム作りは○○だ!+Q&A

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以下、インタビュー形式でお送りします(インタビュアーは記者ではありません)。

高橋氏: ライブコーディングは何回かやったことがありますが、スムーズにいったことはありません。今日は比較的にスムーズにできたほうです。というより、普段ここまで創りこんだライブコーディングはなく、天谷さんに引っ張られた形です。モチベーションが維持されましたね。

山村氏: まさにその通りで、最初はもう少しイージーなものを考えていたんですが、天谷さんから素材がどんどん出てきて、「こっちもやらなければ!」となりました。最終的にゲームと呼べるものになってしまいましたね。本当ならもう少し中のソースコードをお見せしたかったです。すべて120行以内にしているなど、こだわっています。後日公開しますので、よろしければご確認ください。

天谷氏: ライブコーディングは今までやったことがありませんでした。今回ゲーム制作はSkypeでずっとやりとりしていたのですが、相手の状態がわからなかったので自分だけノリノリでデータを送ってしまいました。みなさんに負荷がかかっていたんですね。まあ、おかげで2コマでちゃんと動いていました。ただ、点数表示の部分ですとか、色々と修正したい部分はあります。ちゃんと創りこんだ上で、無料で配布できれば理想的ですね。


Q: ゲーム作りは○○だ! 空欄を埋めて下さい

山村氏: ゲーム創りはゲームです。単純にトライアンドエラーを繰り返すのは楽しいです。また、目標は「みんなでプレイできるレベルのものにすること」です。仲間と一緒に製作するのはそれだけで楽しいことですね。

(「こいつ殴ったろかなと思うことはないか?」という質問にたいして)
それもゲームです。

高橋氏: ゲーム創りはゲーム……カンニングしてませんよ!たまたまかぶっただけです。ああ、じゃあソーシャルゲームです。ソーシャル性があります。今回天谷さんとタッグを組んだことでのシナジーは大きかったです。人との繋がりが大事ですね。

最近重要だと思っているのはモチベーション維持の部分で、普通ならば自分一人では相当意志が強くないと無理です。そこで、自分がいつもやっているのは人を巻き込むこと、意見をしてもらうこと。そういうソーシャルな繋がりでモチベーションが保てます。だからソーシャルだと言い切ってみますよ。

(「かえってうまくいかなくなることは?心を折られたりはしないか?」という質問にたいして)
軸がブレることはあります。ただ、慣れてくると、人の意見を聞いたからといってそれを受け入れられなければならないというわけでもないと理解できます。捨てちゃったらいいや、という気持ちになれるんです。そうした心境で他人の声を聴きまくっていると、やりくりのテクニックが生まれます。

天谷氏: ゲーム創りは……というと、「諦めろ」とか「やるもんじゃない」とか「大変だ」とか色んな言葉が浮かびます。ただ、あえて共通しているものを挙げるとすれば料理です。料理に似ています。素材次第であると同時に、調理次第でもあります。どんな皿に、どんなタイミングで、どう食べさせるのか。たとえば吉野家のように安価で一定水準の品質をたくさんの人に提供するのか、自分の信じているものを創るのか、そういう意味でも料理と同じです。

(「美味しくなければならない?」という質問にたいして)
人によって味覚は違います。食べたい料理も違います。ですから一概にはいえません。ただ、私は普段興味のない人でも"食べて"もらえるよう、ゲームに限らず様々なコンテンツを創作に繋げるよう心がけています。



【Q&Aコーナー】
出席者からあらかじめ用意されていた質問に応えていく方式です。


Q: 実務におけるUnityの有用性や、開発にあたり覚えておくべきことは?

高橋氏: 弊社の者が皆、口を酸っぱくして言っていることがあります。それは「Unityを使ったことがない人は1回目で失敗する」です。そのあとが本番なんです。失敗を経験しておいて、2回目で成功したらいいや、と思うほうが望ましいですね。

天谷氏: それはUnityに限らないのではないですか?

高橋氏: いえ、今まで見たケースだとUnityを導入して最初から本気モードの方がいらっしゃるんです。そういう人向けの心がけということです。

山村氏: 強いて言うなら、プログラマだけでなくデザイナーやサウンド担当などリソース分野の方がUnityを使ってもらえると管理が楽になるという点ですね。Unityはフレームワークに近い性質があって、「プログラマだけ使えばいいんじゃないか」と思われがちですが、そうではありません。一例を挙げると、デザイナーやプランナーが作業を分担すれば製作進行がスムーズです。

天谷氏: それがUnityの魅力?

高橋氏: 天谷さんは単独開発するスタイルですのでイメージがわきづらいかもしれませんが、例えばデザイナーは絵を出したあとにアイドルタイムがあったりします。そういった部分での連携が取れるということです。

山村氏: 右に2ドットずらして、ボタンをちょっとずらして、エフェクトはこんな感じで、みたいな。

天谷氏: その「ちょっと」がどんだけだよと。

山村氏: そう、その「ちょっと」が楽になるんです。デザイナー側が調整できますから、納得感もでますし。

天谷氏: 3DS『洞窟物語』を出すにあたり痛感したのですが、4・5回もやり取りを繰り返したら妥協が入りますね。その点において自分で触れるUnityはたしかに優れています。


Q: プロがUnityを使う理由は?また、個人が使う理由は?

高橋氏: プロとしては試作品をさくっと創るにあたって便利でしょう。個人規模なら最後まで完成させられるのは確実です。また、マルチプラットフォーム展開が容易である点も強調したいところです。ともあれ、説明を始めると終わりがありません。

山村氏: 個人開発レベルだと、OpenGLやDirectXは学習が容易くありません。ですが、Unityであれば、簡単なツールでぱぱっと製作するというイメージでいけます。修行の身には最適ではないでしょうか。もちろん、マルチプラットフォーム展開の部分も嬉しいところでしょう。

天谷氏: 今回Unityでの開発に参加して改めて思ったのですが、やはりゲームは料理ですね。Unityは有能なアシスタントをそろえた調理場です。目玉焼きを創るのもいいですが、もっと豪華なものもできます。私はC言語などを長いあいだ触ってきましたが、何かアイデアが浮かんでもそれを実装するまでに、たとえばグラフィックを表示させるための手段であるとか、ゲームデザインと別の部分の勉強が多すぎるんです。その点、間口が広いといえます。


Q: Unityなどで今後ゲーム開発の敷居が低くなるが、プロのクリエイターの存在意義はどうなる?

高橋氏: たしかに今インディーは元気です。GDCでもインディー系が力強かったです。今時面白いものはほとんどインディーだと言ってもいいかもしれません。だから、Unityの存在を除外しても、大企業からインディーシーンへと面白さが移りつつあります。ただし、この傾向は永久に続くわけではありません。大企業でゲームを創るのに飽き飽きした人がインディー化したりもしていますが、その逆も今後ありえます。そうやって行ったり来たりして、ゲーム市場は成熟していくのでしょう。

天谷氏: 今は盛り上がっているのがインディーですが、AAAにはAAAとしての存在意義があります。

山村氏: 意義?ない。(会場から笑い) 何といえばいいのか難しいのですが、今はゲーム開発がスマホへシフトしていて、その前はガラケーでしたよね。そういった流れもありつつ、AAAとインディーへの住み分けはあります。今インディーが盛り上がっていますが、今後の動向はわかりませんよ。AAA級のタイトルを創っている組織が人材を分散させてコンパクトなゲームを大量生産するようになるかもしれません。

高橋氏: スマホはもちろん、AppStoreの存在が大きいですね。Unityがどう、Unreal Engineがどうというより、そちらのほうが重大です。

天谷氏: プロがUnityを使えば当然すごいものができますよ。存在意義がどうこうといったところで、プロフェッショナルならば「Unityを使え」と言われればUnityを使いますしね。


Q: 「自分が作るからこそこうなる」という自負のあるゲーム要素はある?

天谷氏: 簡素化することです。できるだけ小さくします。昔のレトロゲーム、とくにゲームボーイが好きなんです。あのころ面白いと思った作品が自分の"好み”なんです。今のインディーはレトロ風や8bit風が多いですが、実際のところ半透明処理とかバンバン使ったりしていますよね。よしあしはともかく、それが認められているということを踏まえつつ、ファミコンっぽいゲームを創り続けられればいいなと思います。

高橋氏: 自分で自信を持つ要素があれば独立するでしょう。インディーシーンへ行っていたかもしれません。

天谷氏: 創りたいゲームはあります?

高橋氏: プログラマーとしての迷いを告白しますと、「色」が出しづらいんですよね。絵をかけるプログラマーが羨ましいです。自分ならではの部分を出せますからね。

天谷氏: 私自身たくさん絵を描いてきましたが、「これしか描けない」という側面もあります。それに、小学生でも上手いひとはもっと上手いです。絵を描かない人の理由はわかりませんが、ともかく描いてみたらいいと思います。プログラマーは下手でも絵を描いたほうがいいです。

山村氏: プログラマーが色を出しにくいことは確かです。自分が創るとなると、あまり良いイメージはありませんが何かを模したものに必ずなってしまいます。たとえば「パックマンみたいなもの」とか。基盤の部分に引用してきた要素がくっつくイメージです。それが悪いかといわれると悪いんですが、様々なゲームが創られる中で素材がどんどん豊富になっていること自体は認めなければならないでしょう。

天谷氏: 積極的に模倣しているという部分もありますね。『洞窟物語』にもです。その分、説明がいらなかったという性質がありました。(注: チュートリアルを綿密に作りこむ必要性が薄かったということ)


Q: 分業と個人製作で作業過程やアウトプットに違いはある?

天谷氏: 個人製作では当然時間がかかります。それに、多人数でやっていると、自分の思い込みの部分を誰かが指摘してくれたりします。広く受け入れられるゲームを創るのならば人数が多いほうが望ましいでしょう。尖ったものが求められている場合は単独のほうがよいかもしれませんが。

高橋氏: 良し悪しであはりません。分業では意識するポイントが違いますし、なにより相手が予想を超えたものを返してくれることを期待して仕事をします。想定内で「こういうものを創れ」とは指示しませんよ。あそびの部分で想定以上のものを創ってくれると意識しています。個人で創るときは狭い範囲で閉じこもるリスクがありますが、逆に変てこで独創性の在るアイデアならば個人でやるしかないでしょう。アイデアに広がりをもたせるなら多人数でやるべきです。

天谷氏: なるほど、プロにならそれ(想像以上のアウトプットが返ってくること)を期待していいんですね。

山村氏: プロが集ったほうがクオリティが高くなりやすいとは個人的には思います。しかし、どのように分業するかなどの問題もありますし、中の人によりけりです。一概にはいえません。

高橋氏: 座組を決める時点で運命の90%くらい決まっていたりしますものね。

山村氏: ゲームジャムではチーム構成によってはゲームにならなかったりします。一方、理不尽なまでに高クオリティな作品ができてしまい、「コレ製品化したいけどできないよな」みたいなこともあります。能力的な部分では個人でできるなら個人で完結させてもいいし、アセットストアを使うのもいいのですが、最終的にはカネの話にならざるをえません。コスト内でどれくらいのクオリティになるかはセンス次第です。


Q: 製作時のモチベーションの保ち方は?

天谷氏: 実際大変です。一生テーマにしていると思います。人によって違うのかもしれませんが、毎日気分って違いますよね。なにもできない日が一週間続いたかと思えば、3日くらいすごいハイテンションでクリエイティブになったりとか。

モチベーションの保ち方はいろいろありますが、最近気づいたのは環境の重要性です。自立して3年目に入りますが、じつは最初は家でやろうと思っていたんです。なんでもありますから。家でできなかったらどこでやっても同じだと言い聞かせてやってきたんです。でも、最近インキュベーション施設で作業をしたら開発速度が3倍くらいになることに気づいたんですよ。家にいれば寝っ転がれば寝てしまいますし、漫画やらゲームやらありますし。もしそうした誘惑を除くとしても、事務的な仕事が机の上に散乱しているわけです。それを片付けるのに一心不乱になってしまうんですよ。11年間サラリーマンをやっていたこともあって、そうした作業でお金にならないのに仕事をした気になってしまうんです。

環境づくりは大事です。家で頑張ってるけどゲームが創れない、ままならない、という人は家の外に出て場所を探してみるのもいいかもしれません。去年10月に入ってからなんですが、私はその効果にびっくりしましたね。鳥山明氏なんかは「やりたい場所でやれるはず」といった旨のことをおっしゃっていますが、そういう天才はともかく、環境によってできるものが広がる可能性はあります。選択肢としてぜひ考えてほしいですね。

山村氏: 喫茶店に入るとやたら効率が上がるメソッドですね。

天谷氏: ゲーム創りしかできない環境というのも大事です。ネットがあってPS3があってPSPがあって後ろに漫画があったら、もう勝てる気がしません。左には布団があるし。(会場笑い)

山村氏: それに屈しない意志も必要なんですが、意志も有限で、削られていきますからね。

天谷氏: 考えている時間が長いのですが、その後が危険なんです。机で考えて、「あーちょっと寝っ転がるか」で夜の11時とか。そういう事態に絶対になってしまうんです。

山村氏: はい一段落、MMOやろう、で一日経過と。

天谷氏: 定期的に水分を取ることも大事です。あと、もくもく会というものをやっているのですが、これは2時間毎に皆同時に休憩するんです。「今ノッてきたのに!」と思うこともありますが、それを我慢して休憩すると10分後にバッチリやれます。3時間後に倒れたりとかしません。定期的な休憩と水分補給が大事です(会場笑い) ノッてるときに自分で止めるのはなかなか難しいですが、隣に人がいれば環境として機能します。

高橋氏: あと1点追加すると、コミュニティとのかかわりあいを積極的に持つことです。こうした会に足を運ぶ人には言うまでもありませんが。ただ、そうしたことをしないプログラマーも存在します。そういう人たちがモチベーション維持に苦労することはあります。コミュニティで発表する機会を持つとか、刺激しあう機会を持つとかが、モチベーション維持に有効です。ここにいない、引きこもり気味の方へ「コミュニティへ参加しよう」とアドバイスしたいですね。

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いかがでしたでしょうか。記者としては、とくに水分補給のくだりは印象的でした。ジョークのように感じられるかもしれませんが、かなり切実です。長時間着席した状態で集中して作業すると、エコノミークラス症候群のような症状が出たりしますし、飲み物を摂取するタイミングが集中力の維持に影響をおよぼすことは実体験としてお分かりいただける方も多いことでしょう。デスクワークもスポーツのうちです。

アナウンスとしては、まずUnityクリエイターズ。関西中心で活動しており、6月末に勉強会を開催予定。初心者から上級者まで幅広く参加を募っているそうです。代表はくるくる氏

第3回京都インディーズゲームセミナーは6月8日に開催予定。次回のテーマは「ゲームを作りたい君へ」。第2回から引き続き天谷氏のほか、NIGOROから楢村匠氏や、アクティブゲーミングメディアからイバイ・アメストイ氏が登壇予定です。

福島GameJamはサテライト会場が全国各地に設置される予定で、京都も視野に入っているとのこと。関西在住でフリーの方は挑戦してみてはいかがでしょうか。




【関連記事】【第2回 京都インディーズゲームセミナー】前編: Unityのポテンシャル、使途とは? − まずはアイデアを形に
【第2回 京都インディーズゲームセミナー】中編: Unityで創ってみた − ライブコーディング実演
【第2回 京都インディーズゲームセミナー】後編: ゲーム作りは○○だ!+Q&A
《Gokubuto.S》

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