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【PS4発売特集】世界を駆け回るスタジオプレジデント、PS4の魅力と過去の道のりを語る ― 吉田修平氏インタビュー

PlayStation 4ローンチを目前に、全世界を見渡しながら精力的に活動を続け、インディーゲームの可能性や、プレイステーションプラットフォームならではの楽しさを伝えている吉田修平氏に、インタビューをすることができました。

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SCEワールドワイド・スタジオのプレジデントという立場でありながら、ユーザーやクリエイターと正面から向き合い、チャーミングな一面もあわせ持った吉田修平氏。日本のPlayStation 4ローンチを目前に、全世界を見渡しながら精力的に活動を続け、インディーゲームの可能性や、プレイステーションプラットフォームならではの楽しさを伝えている同氏に、インタビューをすることができました。


■ノーティドッグとの付き合いは『クラッシュ・バンディクー』から

―――日ごろ記事を読んでくれるユーザーからとても人気が高いのが、「ノーティドッグ」スタジオの作品なんです。

吉田修平氏(以下、吉田):ありがとうございます。

―――吉田さんから見て、ノーティドッグとはどんなスタジオなんでしょうか?

吉田: ソニー・コンピュータエンタテインメントワールド・スタジオ(以下、SCEワールドワイド・スタジオ)は全世界に14のスタジオがあります。日本には、「JAPANスタジオ」と「ポリフォニー・デジタル」の2つがあって、基本的にはすべてのスタジオでPlayStation専用のゲームを作っています。そのなかには、先ほどおっしゃったノーティドッグとはPlayStation『クラッシュ・バンディクー』からの付き合いです。彼らは非常に優秀で、つい先日行われたラスベガスでのD.I.C.E.Awardsにて『The Last of Us』がゲームオブザイヤーを含む10個の賞を受賞しました。D.I.C.E.Awardsというのは、ゲームのアカデミー賞と言われているアメリカで一番権威の高い賞で、彼らが受賞するのは『アンチャーテッド2』に続き2度目です。同じスタジオで2回ゲームオブザイヤーを受賞しているのはここだけで、業界のなかでもトップスタジオという評価を受けているグループなんですね。

―――『クラッシュ・バンディクー』の時は、吉田プレジデントは日本向けのプロデューサーですよね。

吉田: そうです。そのときにノーティドッグをリードしてくれたメンバーが誰かというと、ノーティドッグの創始者であるジェイソン・ルービンとアンディ・ギャビンでした。ちなみにPlayStation 4のリードシステムアーキテクトであるマーク・サーニーは当時「ユニバーサルインタラクティブスタジオ」にいて、アメリカのプロデューサーだったアラン・ベッカーは現在JAPANスタジオのトップを務めています。その時以来PlayStation『クラッシュ・バンディクー』、PlayStation 2『ジャック×ダクスター』、PlayStation 3『アンチャーテッド』と一緒に製作してきたので、私としても非常に愛着があります。彼らは最初10人ほどのチームで、現在は200人ほど。いいゲームを作りながら高い理想を持っているチームなので切磋琢磨していますし、ほかのチームであったらメインプログラマーを張るようなプログラマーが集まってひとつのゲームを作っているようなスタジオです。最近は映画的な表現の需要もありますから、ロサンゼルスにスタジオがあることも非常に有利ですね。ハリウッドで映画を作っているような人たちがゲーム業界に入ってきて、ゲームというメディアの進化だけではなく総合的なゲーム作品としての先を常に見て「もっともっと出来る」と追いかけている集団という印象を持っています。私やワールドワイド・スタジオ アメリカSVP(Senior Vice President)のスコット・ローディなんかは、どちらかというと邪魔にならないようにクリエイティブを尊重しながら必要なサポートをする感じです。


■PS2とPS3はデベロッパーが苦労した時代でした

―――今回のPlayStation 4関連では、Twitterや海外メディアの記事を読むと吉田プレジデント自ら世界中を飛び回っているイメージがあります。

吉田: 私がいろんなハードを紹介しているのはどういうことかというと、開発メンバーとして参加しているのはもちろんのこと、日本にハードの開発チームがいますので彼らとSCEワールドワイド・スタジオのクリエイターを結びつけるのが仕事のひとつだからです。ハード開発のミーティングを行いながら、ゲームスタジオのマネジメントをして、開発中のタイトルを見るために月に1度はどこかのスタジオに行っています。地域は、特にアメリカとヨーロッパが多いですね。

―――拠点自体は日本に置いていらっしゃいますよね。

吉田: ええ。それも、PlayStation 4の開発環境ですとかツール自体を、いろんなSCEワールドワイド・スタジオの技術陣が開発しているというのが大きな理由です。初代PlayStationやPlayStation 2の頃はそのような体制がなかったので、我々もSCEIからハードを渡されてから製作を行っていました。PlayStation 3をローンチしたときに、ハードのスペックというかアーキテクチャがあまりにもユニークだったのでサードパーティが最初すごく苦労されたんですね。このことについては、PlayStation 3を発売する直前のE3になって私も驚いたんですけど、実機でデモできるサードパーティのゲームがとても少なかったんです。それぐらい苦労されてて、なかなかゲームを動かせない。それに、マルチプラットフォームでやっている会社はPCがベースだったりするので、開発環境があまりにも違うPlayStation 3版だけ遅れている状況もありました。

―――その状況は、SCEワールドワイド・スタジオとはどのように関係しているのでしょうか

吉田: SCEワールドワイド・スタジオができたのはPlayStation 3の発売前で、当時も自分たちのために技術を共有するツールやエンジン、ライブラリなどを作っていたんですね。サードパーティがすごく遅れをとっていることがわかって、SCEIの人たちからSCEワールドワイド・スタジオで使っている開発ツールをサードパーティに提供してもらえないかというリクエストを受けました。それをキッカケにSCEワールドワイド・スタジオのほうがハードを使いこなす一部の開発ツールを製作するのが得意だというのが、SCEIとSCEワールドワイド・スタジオの双方にわかったんです。それからは、オフィシャルの開発環境に入れるツールやドライバを支度して納品したあと、SCEIを通じて全ライセンスのPlayStationの開発者に提供しています。

―――PlayStation 3からPlayStation 4への移行もスムーズだった?

吉田: そうですね。こうしてサードパーティのみなさんからは、ハードの中身もわかっていて、開発ツールもいいものを提供してくれると評判が高いです。それは、ハード開発の時点でいろんなサードパーティの意見を聞きながらやっていたのと、ツール開発自体もゲームの開発チームの意見を聞きながら製作を行ったから。PlayStation 4への移行も非常にスムーズで、昨年2月の時点で完成度の高い『KILLZONE SHADOW FALL』の実機上のデモが行えたのはそういうところにあったということですね。

―――なるほど、とてもわかりやすいですね。

吉田: 開発が難航した話をしましたが、グラフィックの面での苦労もPlayStation 3は経験しました。『The Last of Us』や『アンチャーテッド』もそうですけど、映画や小説を読んだ後の感じがゲームを通じて得られるようになっていて、キャラクターが何も言わなくとも表情で感情が伝わってくるところまでかなり近づいてきているなと感じています。専門用語で「不気味の谷現象」といいますけど、コンピュータのキャラクターが人間に似ているけどちょっと違う違和感があるから「よりヘンに見える」という課題ですね。映画は、もう何年も前にお金をかけてレンダリングをして、どこがデジタルかリアルかわからないところにありますけど、ゲームがそこまでいくのはまだ時間がかかります。とはいえ、トップクリエイターの作品というのは、もうそこまで来ているんですよね。去年のE3で見せたQuantic Dreamsの「The Dark Sorcerer」という技術デモがそうです。撮影なのかデジタルなのかよくわからないですよね。あえてコメディに挑戦したのも、一番ニュアンスを伝えるのが難しいジャンルだからとのことですが、成功している。ハードの性能もそうですけど、ソフトウェアの技術があそこまで行かなくて苦しんだ時代を経て、目指す表現ができるところまで来たなと実感する出来事でした。PlayStation 4が発売した後も、デベロッパーがよりハードに慣れてくる頃が来ます。3年後のノーティドッグの作品というのは、もうワクワクしてきませんか。

■インディーズゲームがメインストリームにやって来る

―――さまざまなメディアで吉田プレジデントがインディーズゲームに対して精力的活動されていることが伺えますが。

吉田: インディーズゲームというと馴染みのないかたもいるかもしれませんが、インディーズゲームの面白さに欧米のユーザーはすでに気づいていて多くの人が楽しんでいます。我々でいうと非常にエポックメイキングだったのが昨年の『風ノ旅ビト』です。100人以上が開発に関わっているようなタイトルを押しのけて、D.I.C.E AwardsやGame Developers Conference(GDC)でゲームオブザイヤーを受賞しました。十数人で作ったゲームが、メインストリートで注目された出来事です。そのあとのインディーブームにもつながってくるんですけど、家庭用のブルーレイのゲームとは別モノだったのが、インディーズという区分けをするのも近い将来なくなっていくんじゃないかと思えるような状況になっています。

―――彼らがPlayStationを選ぶメリットはどこになってきますでしょうか。

吉田: いま、欧米を中心にインディーズの開発者が集まって開発中のゲームをアピールするイベントが年中やってて、それにSCEAやSCEEのスタッフが足を運んで「これを是非PlayStationで出してみない?」と直接声をかけていっています。PSNで販売することに興味があっても、少人数でやっている彼らにとって「めんどくささ」というのはゲームを販売するうえで無視できないポイントだと思います。そこを、例えば開発ツールの貸与や、承認プロセスの簡略化といったサポートを行っています。インディーズの人たちというのは横のつながりが深いですから、PlayStation向けに販売することがスムーズであった実例があれば、「PlayStationはいいよ」と話を広めてくれるんです。

―――日本国内へのアプローチについてはいかがでしょうか。

吉田: 日本は、SCEジャパンアジアのパブリッシャーリレーションズのなかに、専任でインディーズをサポートするチームが去年の秋にできました。日本のインディーシーンというのは、私からしてもなかなか目に見えないところにいると感じていたんです。ですが、日本のインディーの人たちとパーティを行うために口コミベースで参加者を募ったところ、400人ぐらい集まりました。いい熱気が感じられたので、これから面白くなるとかなと思っています。

―――期待してもいい?

吉田: ええ。日本でも、PlayStation 4をキッカケに欧米のインディーズゲームがやってくる環境になってくるでしょう。昨年、SCEJAの植田浩SVPが「やります」と宣言しましたので、PlayStation Vitaを中心にデジタルでスタートしています。我々はレーティングや販売の環境整備をしていきますが、インディーな彼らには広報関係者などはいませんしPR会社を雇うわけでもありません。なので、メディアのかたも注目していただいて良いゲームはみなさんに教えてあげてほしいですね。


■PlayStation 4を買ったら是非顔出しで実況放送を

―――海外でカメラが品薄だという情報があります。

吉田: 海外でPlayStation Cameraが品薄なのは、シェア機能を楽しんでもらっている影響ですね。海外のマーケティングの人にも「これ、楽しいから売れますよ」って言っていたんですけど、カメラや周辺機器はそれに対応したタイトルソフトがいくつあるかとか、それがどれぐらい売れていくかで仕入れ数を決めてしまうんです。現在でいえば、「プレイルーム」くらいしか対応ソフトしかありません。ですが、いざ発売すると「顔出し生放送」が面白いということで、生産が追いついていない状況です。ゲームだけではなく、ギターのプレイなど、自分放送をしている人たちもいて、それを見て楽しむ人たちも大勢います。日本は何故なんでしょう、カメラ付きの予約数が多いんですよ。カメラがあると本当に楽しいというのは言っておきたいところですね。

―――発売に向けて最後にメッセージをお願いします。

吉田: 我々SCEがゲームの専用機として取り組んできたなかで、PlayStation 4というのは一番クリエイターやユーザーの声を取り入れながらつくったマシンです。DUALSHOCK 4ひとつとっても過去最高のDUALSHOCKになったと思いますし、面白い仕掛けやシステムがたくさん入っている自信作。ゲームが好きな人に手にとってもらえれば、PlayStation 3から1歩も2歩も進んでいることを体験していただける自信もありますので、機会があればどこかでプレイするとか、お金があるかたには是非買ってもらいたい。買ったら、シェア機能を使ってお友達に顔出しで実況放送をしてもらって、楽しさを広めてもらえたら嬉しいです。
《きゃんこ》
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