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『Child of Light』連載型レビュー(4) 「Ubisoftモントリオールが夢見た理想のJRPG」

子供っぽいビジュアル、少年少女が世界を救うリアリティのないストーリー、ダイナミクスに欠けるターン制バトル......。日本のゲーム産業の黄金期に培われたこれらの伝統は、良くも悪くもJRPGという名で知られてきた。

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Child of Light』連載型レビュー企画(4)
Ubisoftモントリオールが夢見た理想のJRPG
Text by 今井普(ライター)


子供っぽいビジュアル、少年少女が世界を救うリアリティのないストーリー、ダイナミクスに欠けるターン制バトル......。日本のゲーム産業の黄金期に培われたこれらの伝統は、良くも悪くもJRPGという名で知られてきた。海外産RPGが浸透した現在では、JRPGはニッチなものになりつつある。

だが『二ノ国』や『ブレイブリーデフォルト』などの作品が、欧米で高い評価を獲得していることからわかるとおり、JRPGは海外でも根強い人気を誇っている。インディーに目を移すと、『Project Phoenix』などの大規模なものからRPGツクール製の小規模なものまで、JRPGを謳った作品は数多く存在している。

つまり、産業の巨大化と共に忘れ去られてきたJRPGという伝統が、今再び注目されているのだ。そのような中、Ubisoft Montrealが本作『チャイルド オブ ライト』で夢見たJRPGとは、一体何なのだろうか?

プレイして最初に飛び込んでくるのは、水彩画風の背景の中で生き生きと動き回る主人公の姿だ。特に3Dでモデリングされたモーションはジブリ風の味付けがなされ、巨大な剣を重たげに振り回す姿は非常に愛らしい。

しかし、本作のJRPGらしさは見た目だけではない。注目すべきはシンボルエンカウントへのこだわりだ。モダンなRPGでは廃れてしまった仕様だが、本作はサイドスクロールのフィールド上の敵シンボルとの接触で戦闘が発生する。プレイヤーはジャンプや飛行、ホタルのお供イグニキュラスの操作によってエンカウントを避けることが可能だ。



パズルやアクション要素を加えることで、本作は時代遅れとなったエンカウント制の再生を試みている。さらに興味深いのは、本システムが全体の難易度に与える影響だ。というのも、本作はボス戦以外の戦闘をほとんど無視することが可能なのだ。戦闘を避ければ、当然、パーティーの成長は遅れる。だがこの仕様は、念入りなレベル上げから低レベルアタックまで多様なプレイを実現する。

カジュアルにもハードにも遊べる懐の深さ。選択と行動に時間経過がからむターン制バトルは、低レベルの立ち回りも可能だ。そこにはあるのは、不利な状況を冷静な判断で乗り越える面白さ。Ubisoft Montrealが夢見たJRPGという理想は、単なる見た目ではなく、その部分にこそ宿っているのではないだろうか。
《Shin Imai》
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