時を巻き戻す少女…『Life is Strange』インタビュー―ノスタルジックな世界と等身大の女子高生描く | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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時を巻き戻す少女…『Life is Strange』インタビュー―ノスタルジックな世界と等身大の女子高生描く

LAで開催されたE3 20015スクエニブースにて、アドベンチャーゲーム『Life is Strange』の開発者を囲んだ合同インタビューが行われました。時間を巻き戻す能力を持った女子高生を中心に物語が展開する今作の魅力をきいてきました。

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LAで開催されたE3 2015スクエニブースにて、アドベンチャーゲーム『Life is Strange』を開発したDontnod EntertainmentのMichel Koch氏、Raoul Barbet氏、Luc Baghadoust氏を囲んだ合同インタビューが行われました。時間を巻き戻す能力を持ってしまった女子高生を中心に物語が展開する『Life is Strange』。北米ではエピソード3までリリースされ好評を博している今作の魅力を聞いてきました。

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―――『Life is Strange』のコンセプトはどういったものでしょうか。

Dontnodが開発した『Remember Me』というアクションゲームがありまして、人の記憶を書き換えることでストーリーや結末に変化をもたらすという内容でした。ここからさらに時間を巻き戻す能力を加えることにより、さらなる変化や深みを与えることができるのでないかというのが、コンセプトとしてありました。自分の選択であったり行動によって今後の話が変わっていくというコンセプトをベースにして、設定を考えていくうちに高校を舞台とすることにたどり着きました。高校時代というのは、人生の中で、ゲームではなく人の人生の中で、さまざまな選択をしなければいけない大事な時期であるからこそ高校時代を設定しました。今作はアメリカのとても小さな町が舞台ですが、『Life is Strange』のベースラインにはミステリーの要素がふんだんにあります。誰もが誰もを知っていて、でもみんなは何か人には言えないことを隠している、そういった設定がミステリー的な要素に合うのではないかと考え、小さな町を舞台としました。

―――舞台はオレゴン州ですが、理由があるのでしょうか。

オレゴンの町は海も森もあり、ネイティブアメリカンの歴史もあります。そういった深い歴史がある町を舞台にしたかったんです。そしてコントラストとして、森や海の違いみたいなものも織りなすようにしたかったのです。先ほどの補足ですが、ゲームは全体的にノスタルジックで懐かしい感じのものにしたかったので、そういった歴史がある場所を選びました。舞台設定はリアルさを重視して選んではいますが、その上に今回の主人公であるのMaxの能力であったり、ファンタジー要素的な現実ではあり得ない要素を組み込むことで、すごく面白いことが起きるのではないかというのも理由です。

―――オレゴンの町や高校にはモデルがあるのでしょうか。

実際にオレゴンに行き、様々な建物や学校を見に行って多くの写真を撮りました。そうした中で見つけた実際の実在する建物から、今回のゲームに合うような場所をピックアップしています。ロケハンした多くの小さな町から合いそうな要素を引っ張ってきて、ゲームに組み込むという形にしています。

―――そもそも主人公の少女は突然時間を巻き戻す能力を身につけるわけですが、最終的にその理由がわかるのでしょうか。

ネタバレはできませんが、もちろん能力がなぜ芽生えたかということについてはゲームを通してどこかでは説明は行います。ただ、今回のメインは、どちらかというと能力の原因というような要素というよりは、MaxとChloeの2人の主人公が織りなすドラマであり、2人がどういう人間なのかにフォーカスを当てたいと考えています。


―――ゲーム中では時間を巻き戻して未来を変えて人の死を回避しますが、人の死を回避する以外の時間の巻き戻し方とかはあるのでしょうか。

もちろん様々な使い方はあります。メイン部分は、その力をどう使うかによってその後の話が大きく変わるというのが本作の特徴です。時間を巻き戻しても、その後の選択肢によってストーリーは変わっていくので、プレイヤーは時間の巻き戻しを自由に使うことができます。しかし、チェックポイントがあるので全てを巻きもどせるわけでもありません。もちろん、トレーラーにあったように現実で起きた悲劇を巻き戻して別のことにすり替えることはできます。他にもパズル的な要素もあり、その能力を使って攻略しなければならない要素は多くありますので、必ずしも一つの使い方ではありません。会話を巻き戻して話相手の好感度をあげるといった、ある意味恋愛ゲーム的な使い方もできます。出てくるキャラクターそれぞれに合わせた選択肢を取っていかないと、そこで影響がでてくるようになっています。

―――なぜ女子高生を主人公として設定したのでしょうか。

最初に作り始めた時は、いろいろなキャラクターが候補としてありましたが、最初にお話ししたコンセプトであったり、ストーリーであったりを考えた上では、少女が1番適していました。

―――選択肢ですが、どちらを選んでも正解がないようなものが多く、女子高生的な人を傷つけないような選択肢も目立っていましたが、主人公が女子高生だからそのような選択肢を用意したのでしょうか。また、その選択肢が後々ストーリーに大きな影響を与えていくものなのでしょうか。

選択肢についてですが、高校時代は誰しも辛い思いをする時期だとは思いますので、そういった時期も含めて、内気でナイーブなMaxの性格を踏まえた選択肢を作っています。『Life is Strange』の選択肢は、「はい」か「いいえ」で終わるような選択肢はなく、どちらを選んでも正解はありません。例えば、エピソード1で、これが正解だと選んだ選択肢が、実はエピソード2になってみると自分が思い描いていた結末にはいかなかったりします。そういう意味で、ゲームのコンセプトとしては、いくら時を巻き戻せたとしても、1度決めてしまった結果はあくまで結果となり、それを活かして次のステップにいかないといけないという人生の教訓もテーマにしています。

先ほども話しましたが、高校時代というのは大人になる一歩手前で、そこで自分で決めた選択によって今後に大きな影響を与えてくる時期です。仮に失敗したと後々後悔してしまう選択肢を取ってしまっても、それは変えることはできないのです。そのまま大人になっていくしかないんです。時間を巻き戻す能力とは矛盾する、”過去は変えられません”というところで選択肢をどう作り、そこからどう分岐するかを考えています。


―――エピソード3まで配信されてますが、反響はいかがでしょうか。

とても良いですね。現在エピソード3までリリースされており、今後エピソード5まであるという比較的長期間のプロジェクトですので開発陣も今は少し疲労が見えます。ただ、ユーザーから応援メールだけでなくプレゼントをもらうこともあり、そういったものがモチベーションになって今も頑張り続けることができています。

―――ユーザーからのフィードバックでシナリオを変更することはあるのでしょうか。

基本的に、ストーリーラインは書き終えていますので大きな変更はできませんが、ユーザーのフィードバックをもとに、細かい調整や変更を行うことは視野に入れています。例えば、登場人物の追加であったり、選択肢の変更や会話の追加などですね。すべてのユーザーが共通して体験する根幹となるストーリーがあり、そこからいろいろ枝分かれしていくのが現状です。今後、その枝分かれする部分が変わってくるかもしれません。

―――今作はエピソード形式でのリリースとなっていますが、このような形式にした理由とはなんでしょうか。

まず説明したいのは、今作は1つの完成したゲームを分割しているのではなく、エピソードごとに作っていることです。大作タイトルのように20時間から30時間のプレイ時間を要するようなゲームだと、クリエイター側から見て、プレイヤーがどこでプレイを一旦途切るのかが読めない部分があり、そこをコントロールしたかったというのがあります。ドラマのように、エピソードの中に必要な情報をすべて詰め込み、いわゆる「クリフハンガー」方式の次が気になる終わり方であえてエピソードを終わることで、次のエプソードをプレイしたくなるような作り方を試しています。エピソードで区切ることにより、次のリリースまでの間にプレイヤーのコミュニティでいろいろなやり取りが行われますし、今もエピソードが終わるたびにすごい数のファンアートをいただいており、そういうのがクリエイター目線から見るととても嬉しいですね。

―――ストーリーが枝分かれしていているものの大筋の流れが決まっているとおっしゃってましたが、エンディングはマルチエンディングになるのでしょうか。

マルチエンディングであることは確かですが、メインのストーリーの根幹の中に細かい分岐があるので、共通のストーリーは皆さんは体験すると思います。あるシーンにあるキャラクターがいたり、ある会話にある人が参加しているような細かい分岐を通りつつ、最後はマルチエンディングに枝分かれするという構想で進めています。

―――トゥルーエンディングのようなものは用意されているのでしょうか。

ゲームを通して沢山ある選択肢ですが、正解と不正解がないという時点で真のエンディングというのはありません。間違ったプレイのやり方がないといったほうが正しいでしょう。選択肢の中にも、それが不正解だと断言できる選択肢がないというのが前提としてあるので、他のタイトルにあるような真のエンディングというものはそもそもありません。


―――今作の音楽は印象的なものが多いですが、誰が担当したのでしょう。

エピソード1で、Maxがイヤホンをつけた時に流れる音楽やメニュー内で流れる音楽は「Syd Matters」というバンドのJonathan Morali氏が作曲を担当しています。他にも、いろいろなアーティストのライセンス曲が16曲ほど流れます。メニュー内のいろいろなところでBGMとして音楽が流れていますが、そういったものは基本的にはMorali氏が担当しています。単に音楽を流すだけではなく、例えばChloeの部屋に行くとステレオがあるのですが、それをつけると彼女が聴いている音楽が流れたり、Maxの部屋にいって音楽をかけるとインディーフォークなゆったりとした音楽が流れるといった工夫を行っています。

―――今作は絵画的なグラフィックを採用していますが、どのような意図があるのでしょうか。

今回のメインテーマは「ノスタルジア」なのですが、リアルなグラフィックだとそういった要素が失われてしまう懸念がありました。キャンバスに描いた絵が動いているような感じにすることで、プレイヤー自身の捉え方や思いを投影しやすいと考えました。あまりにリアルだと、キャラクターに対する思い入れができなくなってしまうからです。

―――『Life is Strange』はUnreal Engine3で制作されていますが、それはどのような理由でしょうか。

前作『Remember Me』でUnrealを使用しており、開発内部の技術的な面で皆がノウハウを持っており使い方を熟知していたので、今回も同じエンジンを使うのがベストだと判断しました。『Remember Me』でUnrealを使用した際に、ライティングの効果などがとても良かったので、今回もそのまま引き継ぎたかったのです。さらに『Life is Strange』では今までやっていなかった別のライティング技術であったり、深度のエフェクトをカットシーンに入れ込むといった試みをしています。

―――「ノスタルジック」というキーワードが出てきましたが、今作の舞台を70年代や80年代ではなく現代にした理由とはなんでしょうか。

確かに80年代にしようという話はありましたが、あえて現代にすることで、現実の10代の中で起きている問題についても触れてみたかったというのがあります。インターネットでのいじめなどの要素も取り入れたかったのであえて現代にしました。30代40代からみると、自分の高校時代とは違うというのはあるかもしれませんが、スマホなどのネット環境が整っている現代の方が辛い思いが多いのではないかという考えからです。

―――今時の女子高生に対してのリサーチは行っているのでしょうか。

今作のシナリオライターがサンフランシスコ在住のアメリカ人なのですが、オレゴン州に実際にいって、どういった風に女の子たちが話すのか、というのを研究した上で今回書いています。Facebookだったりブログなどのネットの媒体に関しても、意味のわからないスラングが多くあるので研究しています。ストーリーはフランスのスタジオで作られていますが、そのような要素を上乗せするということでアメリカ人のライターを起用しています。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

日本の漫画やアニメの影響も強く受けているというDontnodの開発メンバーですが、1時間にも及ぶインタビューの中で、タイムリープ的な要素やバタフライエフェクトといった日本人にも馴染みのあるテーマを持つ『Life is Strange』の魅力について語ってくれました。

『Life is Strange』はPS4/PS3/Xbox One/Xbox 360/PC向けに北米ではエピソード3まで配信中、国内の発売時期は未定です。
《Daisuke Sato》
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