【特集】新作対戦FPS『LawBreakers』のクリフBにインタビュー!「引退するのは退屈だった」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【特集】新作対戦FPS『LawBreakers』のクリフBにインタビュー!「引退するのは退屈だった」

2014年にBoss Key Productionsを創設した、CliffyBことCliff Bleszinski氏。その独立後初のタイトルとして長年開発されていた『LawBreakers』が、発売に向けていよいよ本格始動しました。

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『Unreal』シリーズや『Gears of War』シリーズなど、シュータージャンルの歴史を塗りかえる数々の作品に関わり、約20年在籍したEpic Gamesを去った後、2014年にBoss Key Productionsを創設した、CliffyBことCliff Bleszinski氏。その独立後初のタイトルとして長年開発されていた『LawBreakers』が、発売に向けていよいよ本格始動しました。米国ロサンゼルスで開催中のE3 2017では、CliffyB自ら、2017年8月8日の発売日決定(アジア地域・ロシアを除く)と、PS4版の登場をアナウンス。ショーフロアのネクソンブースで大々的にプレイアブル出展されています。Game*Spark編集部は、海外メディアからも引っ張りだこのBleszinski氏に、短いながらもインタビューの機会を得たので、その模様をお届けします。

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――Boss Key Productionsの創設から約3年が経過しましたが、クリフさんは、これまでを振り返って、独立の難しさやメリットなど、感じることはありますか?

Cliff Bleszinski(以下 CliffyB): 年をとってしまったね。以前は、自分が信じることに対して誰かと議論になった時、「本当に死ぬ覚悟でこんな議論に挑みたいのか?」と突っかかっていたけど、年をとって、そのセリフを言うのが嫌になってきたよ。辛抱強くなっているのと同時に、忍耐が足りなくなっていて、会社のCEOとしては良い面と悪い面があると思う。E3に参加するのは最高の体験だ。様々な出展タイトルを目にして、あらためて自分の会社が存在し、IPと世界観を手にしていることを実感できた。これはEpic Gamesにいた頃とは違う感覚。本当に挑戦的でやりがいがあるよ。

――あらためて、『LawBreakers』を作ることになったきっかけ、メインコンセプトを教えてください。

CliffyB: キャラクターベースのFPSで、重力に逆らうアクション性と、あらゆる側面で深みを持った作品だ。プレイヤーは重力を操り、ジェットパックやジャンプジェット、グラップリングフックを駆使して飛び回り、避け、ジャンプ、ダブルジャンプ、トリプルジャンプ、壁ジャンプと、移動アクションも豊富。アメリカの子どもたちがよくやる「地面は溶岩ごっこ」を知ってる? 地面に足をついたら負けで、テーブルやソファの上を飛び跳ねる遊び。『LawBreakers』は、そのごっこ遊びに、強烈なキャラクターやヤバイ武器、ユニークな能力を付け加えたゲームだね。なぜ『LawBreakers』を作ったかって? とにかく引退するのは退屈だったからだ。


――クローズドベータでのプレイヤーの反響はいかがでしたか。

CliffyB: 随分昔のことに感じられるけど、最初にアルファテストを実施して、当初あったのは4つのクラス(Role)のみ。「Law(=平和維持組織)」陣営と「Breakers(=反法律組織)」陣営の2つがあるので、使えるキャラは8体。両陣営のキャラはストーリーや見た目が違うだけでプレイ感は同じだった。まあまあの出来だったけど、「普通のシューター」という印象で、イケてなかったね。マップの見た目も地味、深みもあまりなかった。だから開発室に舞い戻って、しばらくの時間をかけて、4つのクラスを追加したんだ。製品版のゲームでは、9つのクラスと18キャラクターが実装されて、その後も追加していくつもりだ。アルファのプレイヤーからは、無重力空間でバニーホップやグライドができない、ゲームのスピード感が足りない、一部のクラスが強すぎる、といったフィードバックがあった。開発チームは大幅な調整を加えることになったよ。その後、二回目のベータテストでは、さらに多くのフィードバックが得られて、アサシンクラスの武器「Romerus」や、「Overcharge」っていうゲームタイプを調整し、よりゲームを手堅い作りに変えていったんだ。最終的な製品版には、9クラス、18キャラクター、4つのゲームタイプを収録して、価格にとても見合った内容になっているはずだ。

――『LawBreakers』は何名のスタッフで開発していますか?

CliffyB: 今は約65名のチームで開発しているよ。『LawBreakers』は『オーバーウォッチ』と比べられることも多いけど、ゲーム性やビジュアルは全く異なる。どちらかいうと、『Call of Duty』や『Halo』、『Battlefield』シリーズに近い方向で、『オーバーウォッチ』はピクサー映画に近いかな。『LawBreakers』は流血と罵りがたっぷり含まれているんだ。


――『LawBreakers』のキャラクターたちは個性的で洗練されたデザインに感じます。キャラクターデザインのコンセプトを教えてください。

CliffyB: そう言ってくれるとうれしいよ。一部の人々からは、「キャラクターが好きになれない」だとか、「オリジナリティがない」とか言われることもあるけど、開発チームとしては、あまり突拍子もなかったり、ステレオタイプなデザインになったりしないように、統一感や美しさを配慮している。最近のMOBAやFPSには、とんでもない奇抜なキャラがいっぱいいるけど、それだとやりすぎになってしまうんだ。『LawBreakers』のキャラクターたちはどれも人間型でクレイジーすぎないデザインだね。最初からクレイジーにするより、クールを維持して、徐々にクレイジーになっていってもいいと思うよ。

――彼らのストーリーや背景が描かれることはありますか?また、コミックやアニメなどのフランチャイズ展開の考えは?

CliffyB: キャラクター画面で、彼らのバックグランドや設定を読むことができるし、トレイラー映像では、各キャラクターの背景が説明されている。あと、ゲーム中のキャラクターのセリフも聞いてみほしい。詳細はまだ言えないけど、今後キャラクターのバックストーリーを解説する映像も出していく予定だ。そうした情報を見てもらえば、すぐに馴染んでもらえるんじゃないかな。

――ジェットパックやグラップリングを使った空中戦など激しいアクション要素がありますが、FPS初心者でもプレイできるのでしょうか。またチュートリアルなど初心者への配慮はありますか。

CliffyB: 我々は、プレイヤーがゲームを始めることを「搭乗する(On-board) 」という表現を使っていて、ちょっと乱暴な言い方だけど、『LawBreakers』は「FPS版ダークソウル」なんだ。本気でFPSの腕を試すか、あきらめるかのどちらか。でも、初心者への配慮ももちろんある。FPSが苦手でも、同じようにFPSが苦手なプレイヤーとマッチメイキングされるし、簡単なチュートリアルも用意されていて、色々なキャラクターやマップをダミー相手に試すことができるんだ。


――将来、『LawBreakers』のIPを使って、アニメや映画、コミック化していく考えはありますか?

CliffyB: ファンが望めばの話だね。例えば、Netflixシリーズとか映画とか。でも、まずはゲームにフォーカスしたい。映画やコミックを全部まとめて出すようなゲームもあるけど、無理にそれをする必要もないと思っている。

――クリフさんは、約25年前からFPSやシューターのゲームデザインを手がけていますが、本作でもっともこだわっている部分はどこですか?

CliffyB: 「プレイフィール」こそが、最初にデザインすべき最も重要な部分だと思っている。銃を撃った時の感触、画面下に描かれる銃のディテール、発砲時の音響効果はどれも大切だ。倒された時は、爆死したり、コメディーみたいに空に吹き飛んだりする。これについては、『Halo』シリーズが本当にうまく表現しているよ。ゲーム内のプレイヤープログレッションと、各キャラクターの動きやアビリティを理解しながらプレイヤースキルが上達していく過程も重要だ。

――DLCの配信予定はありますか?

CliffyB:開発チームは、すでに10番目のクラスを準備していて、ゲームのリリースから2ヶ月後には提供するつもりだ。まだ公開していないマップだってある。それらは全て無料で配信するよ。それから、今後はキャラクターの見た目を変えるコスメティックなアイテムも追加していく。 多くのプレイヤーに気に入ってもらえるといいな。

――新たに発表されたPS4版は、PC版と内容の差異はありますか?

CliffyB: 操作性がそもそも違って、PC版に比べると、クレイジー加減は85%といったところだ。PS4版とPS4 Pro版は、どちらも60fpsで動作する。ハイエンドなPCなら、144fpsでのプレイもできるんだ。オフィスのPCで『LawBreakers』をプレイしていて、フレームレートが100を切ったら、誰かに八つ当たりするだろうね(笑)。


――『LawBreakers』が、当初のFree-to-Playモデルから、買い切りのゲームに変わった経緯をあらためて教えてください。

CliffyB: 『LawBreakers』をF2Pモデルとして開発していたが、ゲームが完成するにつれてチームと検討した結果、このゲームには買い切りモデルが最適と判断したんだ。F2Pモデルは、『League of Legends』のように良い例もある一方で、特にモバイルゲーム分野において悪い印象をユーザーに与えてしまうこともある。『LawBreakers』は、衝動買いができるような価格設定にしたつもりだ。60ドル以上になると、大半のゲーマーは高いと感じてしまうからね。

――『LawBreakers』ではどのようなランクマッチシステムを採用しているのでしょうか?

CliffyB: グリコレーティングという古くからあるアルゴリズムを取り入れているよ。プレイヤーのプレイ時間と成績を基にデータを集計しているんだ。初期アルファテストでは、アベレージプレイヤーの勝率が20%だったりしてひどい状態だったけど、最終的に勝率50%になるのが正しいマッチメイキングなので、調整が必要だった。

――2017年8月8日の発売日(アジア地域・ロシアを除く)までに残された課題は?

CliffyB: とにかく少しでも多くのバグを修正すること。ゲームのバランス調整は、リリース後も続けていくつもりだ。

――最後に、日本のゲーマーにメッセージをお願いします。

CliffyB: まだ日本サービスについて情報を伝えることができず申し訳ないが、いつか日本のファンのみんなも『LawBreakers』を存分に楽しんでほしいね。ゲーム中には、二人の日本人キャラクターも用意した。『オーバーウォッチ』が日本でも人気なのは知ってるけど、『LawBreakers』は全く異なるゲーム性で、差別化できる内容だと思っている。最後に付け足しておくと、『LawBreakers』に登場するアジア出身のキャラクターたちを、国によって違う顔のデザインにするのにとても苦労したんだ。Tokkiは韓国出身、KintaroとKitsuneは日本出身だけど、私は欧米人なので最初は、顔や目元の構造が国によってそれぞれ異なることに気が付かなかった。Kitsuneの顔はまだ調整の余地があるけど、Kintaroの顔はうまく仕上がったと思う。いずれ、俳優をフェイススキャンして、「このキャラ日本人に見えない」と言われたら、「日本の出生証明書があるんだ!」と言い返したいね(笑)。

――クリフさん、本日はありがとうございました。

《Rio Tani》
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