Game*Sparkレビュー:『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』3DSの名作をうまく落とし込んでいるが、細かい仕様やUIにはもう少し“踏み込み”がほしかった | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』3DSの名作をうまく落とし込んでいるが、細かい仕様やUIにはもう少し“踏み込み”がほしかった

発売当時に3DS版を遊んだときはリングアベルが好きでしたが、今遊びなおしてもやはり一番推せるのは彼でした。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』3DSの名作をうまく落とし込んでいるが、細かい仕様やUIにはもう少し“踏み込み”がほしかった
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2025年6月5日、スイッチ2のローンチソフトとしてスクウェア・エニックスから『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』がリリースされました。

同社が2012年に3DSでリリースしたRPGは、スイッチ2でいかに蘇ったのか?大筋では満足しつつも惜しいと感じる気持ちも拭えなかった、クリア済みレビューをお届けします。筆者のプレイ状況は以下の通りです。

  • プレイ時間と難度:約60時間/Normal

  • 機種:スイッチ2(ほぼTVモードでプレイ)

  • プレイ状況:メインシナリオ、サブシナリオをすべてクリア。パーティー全員のレベルが99で全ジョブをマスター済み

  • 3DS『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』を発売当時にクリア済み

  • 3DS『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』は未プレイ

本記事はレビューという特性上、ストーリーに関するネタバレが一部に含まれますのでご了承ください。また、レビューにあたっては、スクウェア・エニックスよりソフトを提供していただいています。

考えるほどに解像度が深まる味わい深いRPG

本作はプレイヤーに考えさせることを諦めないRPGです。「光の戦士たちが闇に穢されたクリスタルを浄化していく」というあらすじからは「王道の勧善懲悪ストーリー」を連想しがちですが、メインシナリオを進めると徐々にそうではないことが分かりはじめます。「行く手を阻む敵は倒さざるを得ないけれど、果たして彼らは“悪”なのだろうか?」と、どんどん物語に惹きこまれていきます。

自ら考え、行動する。本作のストーリーにおける重要なテーマでもあります

主人公パーティーは羊飼いの少年ティズ、風のクリスタルの巫女アニエス、記憶喪失の青年リングアベル、ティズたちが敵対するエタルニア公国の元帥の一人娘イデアの4人で固定されています。イデアは物事を“白か、黒か(正しいか、正しくないか)”のどちらかで考える、やや幼い(言い換えれば15歳という年相応の)正義感を持つ少女で、彼女がさまざまな出来事と向き合い、精神的な成長を果たしていく姿には共感を覚えました。

イデアの成長はシナリオ上の大きな見どころのひとつ
飄々としたリングアベルが失った記憶を取り戻すにつれ軽口を叩かなくなっていくのも熱い展開でした
引っかかりを覚えるひと言がしっかり伏線になっていたりと、シナリオは丁寧に構成されています

考えさせることを諦めない”というフレーズはシステムにもあてはまります。本作は『ファイナルファンタジー5』を彷彿とさせるジョブチェンジとアビリティシステムが採用されており、シナリオを進めてジョブとアビリティが増えるほど、各キャラのビルドの方向性(バトルで取れる戦術の選択肢)が増えていきます。

『ファイナルファンタジー』シリーズでもおなじみの魔法剣は本作で強力なアビリティのひとつ

そして、コマンド選択式である本作のバトルをもっとも象徴するものが「ブレイブ」と「デフォルト」です。本作のバトルは毎ターン1ずつ自動回復するBP(ブレイブポイント)を消費して攻撃や回復などの各種行動を行うようになっており、ブレイブはBPを追加消費することで行動回数を増やし、デフォルトは防御しつつBPを1回復するコマンドとなっています。

ブレイブは逐一コマンドを選ばずとも、Rボタンでスピーディーに選択できます

「ザコ戦は1ターン目にブレイブを最大まで使用して各キャラが4回行動し、即座に撃破する」、「ボス戦はアタッカーがデフォルトしている間にバフを重ね、ブレイブで一気にまとまったダメージを与える」というようにブレイブとデフォルトは本作のバトルに深みを与えており、その楽しさは今も色褪せていないと感じました。

特にフィールドやダンジョンで行う通常バトル(いわゆるザコ戦)は「2体以上の敵を1回の攻撃で同時に撃破する」、「1ターンで撃破する」、「ノーダメージで撃破する」などの条件を満たすとお金、経験値、JP(アビリティを習得するためのジョブポイント)の獲得量にボーナスがかかるので「考えれば考えるほどゲーム(もしくは“稼ぎ”)がスムーズに進む」仕様になっています。筆者はついついレベル上げに興じてしまい、クリアする前に全キャラがレベル99、全ジョブマスターとなっていました。

ゲーム中盤で稼ぎのお供となる、敵全体を攻撃するアビリティ「クレセントムーン」
3種類のボーナスがきっちり付くと壮観で、稼ぎを楽しいものにしてくれています

リマスター作品として見ると惜しい点も

ここまで『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』がどのような魅力を持つゲームであるかを語ってきましたが、本作はリマスター作品でもありますので、「リマスター作品としてはどうなのか」という視点でも見ていきます。

グラフィックやフォントは3DS版の雰囲気をまったく損なうことなくHD画質に対応しており、不満は何も感じませんでした。モニターに接続してプレイすると3DSの小さな画面では分かりづらかった背景美術の細部もよく見えて、むしろ新鮮味すら感じられたほどです。また、3DSの2画面からスイッチ2の1画面になったことでインターフェースが刷新されていますが、これも違和感のない仕上がりだったと感じます。

ユルヤナの森の仕立て屋では、仕立て屋らしくミシンのような器具を使っているのがしっかりと確認できました

エンカウント率を複数の段階から設定できる(ゲームスタート時は50%/100%/150%/200%の4段階)など、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』のアッパーバージョンである『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』の要素も一部採用されているのも遊びやすさに拍車をかけています。

とはいえ、プレイしていてまったく不満がなかったというわけでもありません。「どうせなら、ここにも手を加えてほしかった」という点も挙げていきましょう。まずは、ソフトリセットがないことです。

本作のボス戦は基本的に歯ごたえのあるものになっており、予備情報なしで戦うと「●●属性で弱点を突きたい」「この状態異常への耐性を付けたい」とさまざまな対策が思い浮かびます。しかし、そういう時もソフトリセットがないので「そのままダラダラと戦う」、「ゲームを一度終了させてやり直す」、「わざと全滅してロードする」しかなく、現代のゲームとしては少々もどかしいと感じました。

デスの魔法であっさり即死!都度蘇生しながら戦い続けるより、即死耐性を付けてスピーディーに再戦できたら……

バトルに関連するものとしては「全快」ももう一声ほしかった機能です。「全快」はメニュー画面で+ボタンを押すだけでパーティー全員のHPを満タンまで回復する便利機能ですが、状態異常は一切治療してくれません。

本作は序盤から「暗闇」や「毒」などの状態異常を使用してくる敵が見られますが、それらに見舞われつつ戦闘を終えた場合は結局状態異常を手動で治療するほかなく、ここにもやはりもどかしさを感じました。

ティズとイデアの顔グラフィックの左下にある緑色のマークにご注目。「全快」を使用しても2人の「毒」は治らずそのままとなっています

新規に追加されたミニゲームはおおむね好感触

また、リマスターにあたってのブラッシュアップの類ではなく、完全に新規に追加された要素としてはミニゲームの存在が挙げられます。

ミニゲームは「光で応援 リズムキャッチ」と「リングアベルのパニッククルーズ」の2種類で、どちらもJoy-Con 2をマウスに見立ててプレイします。「光で応援 リズムキャッチ」は画面に表示されるノーツに応じたアクションを行うリズムゲームです。

作中の戦場アイドル、プリンの持ち歌である「純愛▽十字砲火(▽はハートマーク)」が、作曲を手がけたミュージシャンのRevo氏によるLinked Horizonのアルバム「ルクセンダルク大紀行」のロングバージョンで収録されているのはすばらしく、筆者はこの曲ばかり遊んでいました。この曲では、ティズたち主人公パーティー4人の誰か1人を好きなジョブの恰好でダンサーとして登場させることができるのですが、肝心のプリンを選べないのは残念なところです。

ミニゲームでプリン親衛隊の気分も味わいたかった

もう片方のミニゲーム「リングアベルのパニッククルーズ」は、リングアベルとなって飛空艇を操縦しながらさまざまなトラブルやティズたちのお願いに応えていくというもの。ティズたちの冒険のひとコマを切り取ったかのような雰囲気を味わえるのも魅力です。

プレイを繰り返すうちに工具や冷暖房の切り替えスイッチなどさまざまな物の配置が自然と頭に入り、ノールックでこなせるようになると“シゴデキ(仕事ができる)”感も味わえるのがユニークです。ただ、こちらは左側のJoy-Con 2をパッドとして使う、いわゆる「モンゴリアンスタイル」で遊ばせるスタイルにしてもおもしろかったのでは?とは思いました。

ミニゲームは交換制の報酬が用意されており、エンカウント率を0%に設定できるようになる退魔の腕輪、さまざまな状態異常を無効化する頭用防具・リボンなど「さらっとクリアするだけなら必須ではないが、あると助かる」いい塩梅の報酬がラインナップされています(リボンはミニゲームのみの報酬ではなく、ゲーム本編中でも1個入手可能)。

ストーリー展開に応じて攻略済みの地域との往復が発生するときは、エンカウント率を0%にできると便利です
ミニゲームの報酬のひとつである必殺技パーツ「限界突破」を技にセットしてバトルで使用すると、一時的に最大与ダメージが9,999から99,999になります

総評

本作『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』は、メインシナリオ/サブシナリオやバトルの魅力をスイッチ2で申し分なく楽しめる一本です。しかし、本格的にやり込もうとすると、かゆいところにあと一歩届いていないとも感じました。

ナイトのジョブのように、あと一歩踏み込んでほしい

「メインシナリオ/サブシナリオのクリアまでざっくりと遊べればよい」というスタンスであれば、今も色褪せない魅力を持つストーリーやバトルを税込4950円という抑えた価格設定で楽しみつつ、細かい部分もそこまで気にならないと思いますのでオススメできるタイトルです。ただ、アップデートの実施などであと少し遊びやすくなることに期待したいところです。

Game*Spark レビュー 『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター』 ニンテンドースイッチ2 2025年6月5日リリース

骨太で驚きに満ちたストーリーと、「ブレイブ」「デフォルト」を軸としたコマンドバトルの魅力は今も色褪せない

GOOD

  • 王道の勧善懲悪では終わらない展開を見せつつも、読後感はよいストーリー
  • 通常バトルをスピーディーにしつつ、ボスバトルは逆にじっくり楽しませてくれる「ブレイブ」と「デフォルト」
  • Joy-Con 2を活用しつつ「必須ではないがほしくなる」報酬も用意されたミニゲーム
  • 3DS独自機能を使った遊びや当時配信されたアイテム/ボスなどがスイッチ2に合わせた形で盛り込まれている

BAD

  • ボス戦でジョブや装備を見直して再戦したくなってもソフトリセットがないもどかしさ
  • 状態異常を治してくれない「全快」などインターフェースが一部練り込み不足
  • クリア後はデータを引き継ぎして周回プレイできるが、踏破状況がリセットされるダンジョンマップ、ストーリー中盤で取得し直す必要がある「宝箱の鍵」など、配慮にやや欠ける

ライター:蚩尤,編集:みお

ライター/汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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