
エレクトリック・アーツは現地時間の8月2日、香港にて最新作『Battlefield 6(バトルフィールド 6)』の実機プレイを伴う大規模イベントを開催しました。今回のイベントはアジア地域の動画クリエイターやストリーマー、それにプレス代表が集結。Game*Spark編集部もイベントに参加し、最新作を堪能してきました。
さらに、プレスメディアに対してはSenior Technical Artistを務めるMakoto Tanaka氏、Development DirectorのAnna Norrevik氏、Game DesignerのJac Carlsson氏ら3名へのインタビューも実施。『バトルフィールド6』の疑問点をさらに深掘りできました。本記事では、そのメディア向けインタビューの内容を紹介します!

Makoto Tanaka――Senior Technical Artist, DICE
DICEにてシェーダー開発やピクセル挙動の定義を担当。ゲームのビジュアルクオリティ向上に取り組むシニアテクニカルアーティストです。EAでは『Battlefield』『FIFA』『Harry Potter』などに、ソニーでは『アークザラッドIII』に携わってきました。Anna Norrevik――Development Director, DICE
DICE内のMetaチームにて開発ディレクターを担当。Paradox Interactiveでは『Stellaris』『Europa Universalis IV』『Crusader Kings III』などのタイトルでプロダクションを牽引。Jac Carlsson――Game Designer, DICE
DICEでゲームプレイデザイナーを担当。『Battlefield 6』においては「Combat Experience」(戦闘経験)チーム内の「Firefight」(銃撃戦)サブチームをリードしています。「Game feel」(ゲームの触り心地)を専門とし、エイムや射撃の応答性、そして没入感のある銃撃戦やFPSゲームプレイの基礎を定義する全体的な視覚、聴覚のフィードバックループに重点を置いています。
◆『BF6』が生まれた臨場感とは?

――試遊していて、特に戦車に乗った際の体験がすごく楽しかったと感じました。例えば車内に乗り込んだ際に、周囲の音がくぐもった感じになったり、もしくは主砲を撃ったときのインパクトであったりといった部分ですね。他の乗り物も大変楽しかったのですが、乗り物に対してはどういうことを考えつつ、作っておられましたか?
Jac Carlsson氏(以下、Carlsson):戦車のデザインに関して言うと、今仰ったように実際に乗った時の重厚感やパワーを感じられるようにしています。動きの面だけでなく、音においてもそうですね。『バトルフィールド』は“本物らしさ”を感じられるようにしました。
加えて、これまでのバトルフィールドらしさを探求するだけでなく、エイムやキャラクターの動きも、サウンドとよりシンクロするよう進化しています。
Anna Norrevik氏(以下、Norrevik):多くのプレイヤーが乗り物を愛していることは理解しています。それだけに、ビークルがある中で、ゲームプレイをどう最適化するかというのは、重要な事項の1つでもありました。
今回いろんなマップを用意していますが、比較的小さなマップでも、戦車や大きめのビークルを活用可能にしています。そこに本作の破壊要素が組み合わさったことで、さらにゲームは面白くなったと思います。

――『BF6』において、建物の破壊要素が楽しさの源泉に繋がっていると感じました。マップにおいて、破壊できる部分とできない部分のバランスはどのように捉えているのでしょうか?
Norrevik:マップをデザインするとき最も重視したのは、プレイヤー同士の楽しさをどう最大化するかでした。その中で、壊れる壁・壊れない壁などを残していきます。全部を壊せるようにしたら本当にフラットなマップになってしまうので、それは楽しみを損なうと思います。しかしマップによっては、たくさん壊れるような建物などを用意しています。
Carlsson:何かを破壊すると、ただ無くなるのではなく、壊した時に瓦礫の山が残ります。これにより敵を側面から攻撃したり、2階から下に降りたりといった新しいポジショニングやルートができる場合もあります。つまり、破壊によって新しいプレイが生まれるようになっています。
◆『BF4』からの変化とは?その進化について深掘り!

――『BF6』は『BF4』に続く現代戦となります。ただ『BF4』が生まれたのは2013年で、今から12年も前のことになります。そうなると、一言で「現代戦」と言ってもかなり変化があるかと思います。ゲームプレイの場面やビジュアルの面において、変わった部分などありますか?
Carlsson:仰るように戦争や技術の変化があるので、そういった現実の部分からもインスピレーションを得ています。武器やガジェット、ビークル……ミリタリーっぽく見えるようにしていますね。
Makoto Tanaka氏(以下、Tanaka):ビジュアル面に関して言えば、GPUの性能が大きく向上したことで、より高品質になっています。ビークルの描写や発砲時の表現は、レンダリングや計算能力の向上によって、大きく進化しています。
――今回の試遊では、すごく広いマップと近接戦闘が多く発生する狭いマップの2種類を体験しました。この広いマップと狭いマップを作ろうとした理由、またこだわったポイントなどをお聞きしたいです。
Norrevik:やはりプレイヤーにバラエティのある戦いをしてほしい、という意味があります。ビークルの活用や戦い方など、広さに応じて向き不向きがあるので。
Carlsson:ゲームの中には広いマップもあれば狭いマップもあり、その中間のマップも展開しています。プロジェクトの初期の段階では、「そもそも良いマップとはなにか?」を時間を使って分析しました。その上で、細かい要素も含め全体的に動きやガンプレイなど含め、統一した体験を作るようにしています。
Norrevik:また、モードによっても大きな変化があると思います。同じマップであっても、ゲームモードが異なれば違った体験になりますから。
◆開発陣からプレイヤーに対する“期待”
――本作では4つのクラス制が復活しています。どのクラスも楽しかったのですが、広いマップだと満遍なくクラスが活用される一方、狭いマップだと偏りが出ているように思えます。これは今後調整していくのでしょうか?
Carlsson:より大きな規模でテストして、それらのデータを見ながら今後の方針を決めていくことになりますね。これまでも社内でテストを行ってきましたが、リリース後はもっと多くの人が遊んでくれます。それを踏まえて、どのようなバランスが保たれ、ゲームが遊ばれているのか、調整を加えたいと思います。
ただ、1つ言いたいのは、多少の偏り自体が悪いわけではないという点です。マップや戦況、プレイヤーの熟達度によって、遊び方も変化していきます。あくまでそれに基づき、いろいろな対応をしていくべきだと思います。

――『BF』シリーズはやはりユニークなアイディアや戦術を試せるゲームだと思っています。開発者としてどういったことをユーザーに期待しているのか、ぜひお聞きしたいです。
Tanaka:個人的にはやはりC4です(笑)。見ていて楽しいですから。もちろんビークルなどを使ったクリエイティブなゲームプレイには期待しています。昔よくあった、ジープに地雷を積んで突っ込んでいって……みたいなものですね。
Carlsson:僕も同じですね(笑)。付け加えたいのは「開発陣を驚かすような、面白いプレイを見せてください」という点です。バトルフィールドはいろいろなことが試せるゲームです。社内でもさまざまな遊び方を見ていますが、ユーザーの皆さんがそれを超えるのを楽しみにしています。
Norrevik:戦術的な破壊もうまく使って欲しいですね。状況によって床をぶち抜いて逃げたり、敵を強襲したり、建物自体を壊したり、そういった動きは見てみたいです。
Tanaka:『BF』シリーズはそうやって様々なプレイで倒されたとき、思わず笑ってしまうようなユニークさがあるんですよね。そういった部分がシリーズの良い所だと思うので、ぜひ体験してみて欲しいです。
――ありがとうございました。
『バトルフィールド 6』はPS5/Xbox Series X|S/Windows(Steam、Epic Games Store、EA app)向けに10月11日に発売予定。オープンベータウィークエンド2は8月14日~17日に実施されます。











